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「ファミマらしさ」を伝え続ける。マーケ担当が手がけるプレスリリース|株式会社ファミリーマート

2021年に創業40周年を迎えたファミリーマート。スイーツなど話題の商品を続々と生み出し、さまざまなキャンペーンでも反響を呼んでいます。ヒットする商品やキャンペーンの企画を影で支える広報PR活動とはどのようなものなのでしょうか。

「ファミリーマートらしさ」を伝えていくためのPRについて、マーケティング本部 メディア&プロモーション改革推進部・大谷 萌さんに伺いました。

株式会社ファミリーマートの最新のプレスリリースはこちら:株式会社ファミリーマートのプレスリリース

株式会社ファミリーマート マーケティング本部 メディア&プロモーション改革推進部 プロモーショングループ

大谷 萌(Otani Moe)

山口県出身。早稲田大学を卒業後、ファミリーマートの関連会社に入社。ファミリーマートに転籍後、チケットサービスなどを担当し、2020年よりマーケティング本部でPR活動を担当している。

ヒットを支えた広報PR活動

── 2022年3月に発売後、2ヵ月で累計1,000万食を販売した「ファミマ・ザ・クリームパン」、ユニークな形状がSNSで話題になった「生カヌレケーキ」など、ヒットが続いています。それぞれ、話題の裏側でどのようなPR活動が行われていたのでしょうか。

「ファミマ・ザ・クリームパン」に関しては、パートナー企業の方々にもご協力いただき、発売前にメディアの方へサンプリングをして記事を書いていただいたり、商品の開発担当者にインタビューをしていただいたりと、入念にPR活動の準備を行っておりました。

結果的に大好評をいただいて、発売から8日間で220万食を売り上げたときは「1秒に3個売れている」という表現でプレスリリースを配信しました。もともと、発売後に商品の反響が大きければプレスリリースを配信しようと決めて準備を進めていた形です。

さらに発売から2ヵ月で累計販売数が1,000万個を突破した際は、「異例のスピード」という表現を使用してプレスリリースを配信しました。できる限り情報をタイムリーに、キャッチーに伝えることが重要だと考えていたので。

こうしたプレスリリース配信を通じて、普段はなかなかファミリーマートのパンを手に取る機会のない方や、流行に敏感な方に「ファミマのクリームパンって売れているんだな。食べてみようかな」と思ってもらう空気づくりができたのではと思います。

「生カヌレケーキ」については、いわゆるカヌレの形状ではないことをプレスリリースでは「進化系カヌレ」というキャッチーな言葉で表現しました。その表現をいろいろなメディアに取り上げていただき、話題化にもつなげていただくことができました。

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質と量どちらもこだわるプレスリリース

── プレスリリースのこまめな配信や、細かい表現へのこだわりがヒットを支えている面もあるのですね。毎月20件以上ものプレスリリースを配信されていますが、大変ではないですか。

プレスリリースの件数として多いほうだとは思うのですが、本当はもっと出したいぐらいですね。ファミリーマートでは毎週100個以上の新商品が発売されています。入れ替わりもかなり激しいので、ひとつの商品に対して長期的なPR戦略を組むのが難しいことがほとんど。でも、すべての商品に開発秘話やこだわりがたくさん詰まっているんです。

そういった情報を少しでも多くのお客さまやメディアの方に知っていただき、少しでも来店の動機づけになればと思って、積極的に商品情報を発表するようにしています。

最近は「新発売」の発表だけでなく、先述のクリームパンのように「反響」についても発表するようにしています。

『ようこそ!ポケモンカフェ ~まぜまぜパズル~』とタイアップした「ピカチュウのパインフラッペ」が100万個の販売を突破したときも、キャラクターにちなんで「電光石火の速さで100万個を突破」というタイトルでプレスリリースを配信しました。メディアの方にそのままフレーズを使っていただくことも多く、うれしかったですね。

瞬発で終わらせずできる限り長く商品を話題にしていただけるよう、SNSチームとも連携して投稿のタイミングなどを調整しています。

プレスリリース配信の体制については、大きな施策などは広告代理店の方にお手伝いしていただくこともあるのですが、その取りまとめや配信作業も含めて商品関連のプレスリリースは基本的にプロモーションチームの2名で担当しています。多いときだと私ひとりで1日に3件ぐらいプレスリリースを作成することもありますね。

── タイトルなど、表現のキャッチーさにこだわりが感じられます。そのほか、プレスリリースの作成時にどのような点を心がけていますか?

マーケティング本部で担当しているプレスリリースについては、画像をとても大切にしています。「生カヌレケーキ」のプレスリリースも、プレスリリースに掲載したメイン画像をそのまま使って「明日からファミマでこんなスイーツを売るらしい」とSNSで投稿してくださるインフルエンサーの方がたくさんいらっしゃったんです。

できるだけおいしそうに見える画像、そして店頭で並んでいるのを見たときにすぐに「これだ」とわかる画像を選ぶことを心がけています。

あとは、できるだけ情報を整理して簡潔にすることですね。理想はA4サイズで1枚なのですが、伝えたいことを書いているうちについつい長くなって、広報部に修正を入れてもらうこともあります……。

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PRのための連携体制

── 商品のプレスリリースは主にマーケティング部で担当されているのですね。広報部とはどのように連携をされているのですか。

広報部とはプレスリリースも含めて常に密にやり取りをしています。プレスリリースというとすべて広報部の方が作成されている企業も多いと思いますが、ファミリーマートでは商品のプレスリリースに関しては、マーケティング部で担当しているんです。

その理由は、PRをとても大事なプロモーション手段と捉えており戦略的に実施していきたく、商品の広告・宣伝やSNSの運用を行っているマーケティング本部がプレスリリースの作成・配信まで行うことで、オウンド・アーンド・ペイドなどあらゆるメディアで商品について伝えたいメッセージを一本化することができると考えているためです。

プロモーションはマーケティング本部の管轄なのですが、やはりプレスリリースと突き合わせて「同じメッセージが伝わるか」ということを確認しながら店頭の販促物など制作しています。

当社ではPRの考え方がすべてのプロモーションの起点になっていると感じますね。

── 広報部とマーケティング部のこまめな連携を通じて、発信するすべてのメッセージを統一しているのですね。メディアリレーションズなどに関しては、広報部との分担はどうなっているのでしょうか。

メディア関係者の方々へのアプローチや対応などは広報部がメインで行っています。マーケティング本部で新商品のお披露目会や試食会を実施する際は、広報部と連携してメディアの方をお招きしたりするような形です。

そのほか、プレスリリースも企業活動や社会貢献活動などコーポレートに関する内容は広報部で作成・配信まで行っています。

業務自体はしっかりと棲み分けていますが、広報部とマーケティング部のミーティングも定例を含めて週に1回はありますので、全体として連携はすごく密に行っていますね。

「ファミリーマートらしさ」を伝え続ける地道な情報発信

── 寡占のコンビニ業界において、他社との差別化はどのように意識されていますか。

そうですね……。他社の方をすごく意識しているというよりは、やはり自分たちの成り立ち、原点に立ち返るということを常に忘れないようにしています。

私たちは「ファミリーマート」と屋号に「ファミリー」を掲げていますので、「家族に寄り添う」であったり、「地域に寄り添う」であったり、そういう身近さや暖かさを感じてもらえる存在であることはとても大事にしています。

例えば、昨年9月に全国各地のストアスタッフが考案したファミリーマートの定番スイーツ「スフレ・プリン」の新フレーバーを、全国6エリア(北日本エリア・東日本エリア・中日本エリア・西日本エリア・南九州エリア・沖縄エリア)で発売し、販売数などが一番高いエリアの商品を全国発売するという企画を実施しました。

この企画は、全国各地のストアスタッフとお客さまが一体となった取り組みで、ストアスタッフやお客さまから「また同様の企画を実施して欲しい」など、大きな反響を呼ぶことができました。

── ファミリーマートとして、情報発信を行ううえで大切にしていることを教えてください。

昨年の創業40周年記念キャンペーン以来、ファミリーマート全社で「もっと美味しく」「たのしいおトク」「『あなた』のうれしい」「食の安全・安心、地球にもやさしい」「わくわく働けるお店」という5つのキーワードを設定しています。

今もプレスリリースをはじめとして、情報発信をする際は、お伝えする情報が5つのキーワードのどれに当てはまるかというのをまず考えています。

商品の入れ替わりが多いとつい目の前の商品について発信することにばかり意識がいってしまいがちなのですが、3年後、5年後を見据えたときにお客さまにとってファミリーマートが上記5つのキーワードで想起してもらえる存在になっているように、地道に情報発信を続けたいと思います。

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まとめ:プレスリリースを軸に、チーム横断で取り組む広報PR

昨年の創業40周年記念キャンペーン以来、さまざまな企画を実施しているファミリーマート。その背景にある広報PR活動では、下記のポイントを意識されていました。

  • こまめなプレスリリース発信で生活者やメディアとのコミュニケーションを活発化する
  • 広報とマーケティングを横断し、あらゆる場で統一されたメッセージを届ける
  • 情報発信の基本原則が全社で明確に言語化され、常に立ち返ることができる

取材を終えて、広報部のみならず商品部とも密に連携し、社内全体で情報発信の重要性が浸透している様子が印象的でした。

創業41年目を迎え、今後も新たな挑戦を続けていくファミリーマートに注目です。

(撮影:近澤幸司)

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この記事のライター

大林志帆

大林志帆

2021年PR TIMESに入社。営業本部で大企業から自治体、スタートアップまでさまざまな企業の広報・PRをサポートしたのち、PR TIMES MAGAZINE編集部へ異動。営業本部で出会ったいろんな広報の方々を思い浮かべながら日々記事を執筆しています。食べることが大好きです。

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