PR TIMES MAGAZINE|広報PRのナレッジを発信するWebメディア
記事検索
title

プレスリリースの文体は「ですます調」が良い理由とは?好まれる・避けられる書き方の特徴を解説

主に企業の広報PR担当者が作成するプレスリリースは、「ですます調」を用いるのが基本です。文体のほかにも、プレスリリースに適している書き方の特徴があるので、広報PR担当者であればまず押さえておきましょう。また、好まれる書き方の逆で、避けたほうが良い書き方も存在します。

本記事では、プレスリリースの文体の基本から好まれる書き方、避けたほうが良い書き方をご紹介。両方を押さえておき、自社の魅力が伝わるプレスリリースの作成に役立ててみてください。

プレスリリースの文体は「ですます調」が基本の理由

プレスリリースの文体は基本的に「ですます調」が良いといわれています。「ですます調」は、語りかけるような文章になり、読み手に丁寧かつ柔らかい印象を与えます。記者に自社のニュースを丁寧に伝えるためにも「ですます調」がぴったりです。

親しみやすいプレスリリースを作ることができるので、メディア関係者や記者だけでなく、一般生活者に読んでほしい場合にも適しています。「だである調」と迷う場合がありますが、「だである調」は敬語を使わず、強い断定形をとるため読み手に上から目線の印象を与えてしまうことがあり、プレスリリースを作成する際にはあまり適していません。プレスリリースの文体としては、「だである調」を避け、「ですます調」で統一しましょう。

プレスリリースで好まれる書き方・文体の特徴

プレスリリースには好まれる書き方・文体があります。「ですます調」に加えて、好まれる書き方や文体の特徴も知っておきましょう。書き慣れないうちは、これらの特徴を自身でチェックリスト化し、作成時に1つずつ確認しながら作業を進めるのがおすすめです。

プレスリリース

1.シンプルで簡潔な文章・内容にまとまっている

プレスリリースはメディア関係者や記者だけでなく、一般生活者の目にも触れる文書です。幅広い方に読まれる可能性を考慮して、一文はわかりやすく簡潔にまとめましょう。誰が読んでも理解できる、シンプルな内容を意識します。

読みやすい書き方にするには、一文を50文字程度におさめるのがおすすめです。1段落は3行止まりが目安とされています。文章を組み立てる前にプレスリリース内に記載したい内容を書き出し、見出し分けをしておくと、書くべき内容が明らかになり文章を簡潔にまとめやすくなります。

2.主語述語が明確で、一文が短い

プレスリリースを書き慣れていない場合にやってしまいがちなのが、主語抜けです。内容を理解しにくくなるため、プレスリリースでは主語と述語が必ずワンセットになるように意識しながら文章を作成しましょう。主語述語が揃うと、必然的に一文が適切な長さに調整されます。

その際に注意したいのが、一文に複数の主語と述語を入れないことです。文章が複雑になり、わかりにくい内容になってしまうので、一文に多くの要素を詰め込むことは避けましょう。一文一義を原則として、文章を分けることを意識してください。

3.結論が先に書かれている

プレスリリースでは、結論を先に書く構成が好まれます。ニュースの中で特に伝えたい情報や、記者に取り上げてほしい情報が先に来るように文章を作成しましょう。

メディア関係者や記者は、ニュースとして取り上げられそうなネタを日々探しており、非常に多忙です。情報を隅から隅まで読むことが少なく、最初に書かれている内容からネタになるかどうかを判断するため、結論が最後のほうに書かれていると取り上げてもらえる機会の損失につながります。

プレスリリース作成前に書くべき内容を箇条書きにし、情報の優先度をつけておくのがおすすめです。

4.誤字脱字がない

プレスリリースは企業の公式文書なので、誤字脱字がないようにチェックをしっかりと行うのが基本です。Wordで下書きを作成する場合には、校正校閲の機能を使えば誤字脱字が拾えるほか、日本語の用法の誤りや、助詞の誤りなどにも気付くことができます。

プレスリリース内に英単語を含める場合は、Googleドキュメントに搭載されている「スペルと文法」機能が便利です。スペルミスがハイライトで表示されるので、英単語の誤字脱字も防げます。Wordで日本語を、Googleドキュメントで英単語と文法をチェックすることで、簡易的なミスを減らせます。

書き手は誤字脱字を見逃してしまいやすいので、社内でのダブルチェックも必ず行いましょう。

5.漢字と仮名のバランスが良い

プレスリリースを書く際は、漢字と仮名のバランスを意識しましょう。具体的には、漢字と仮名の割合は7:3になるように調整するのが良いとされています。

全体を書き上げた後、何度か目を通して、漢字表記の単語が連続していないか、仮名表記が連続していないかをチェックします。必要に応じて漢字を仮名にひらいたり、文章を入れ替えて仮名が連続しないように調整したりしましょう。

中でも、IT関連のニュースはカタカナが多用されるケースが多く見られます。その場合はかぎかっこを用いたり、適宜用語の解説を入れたりして、バランスを工夫してみてください。

6.5W1Hが満たされている

プレスリリースは、5W1Hである「Who(誰が)」「What(何を)」「Where(いつ)」「When(どこで)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」を意識して書くことで、伝えたい内容が明瞭になります。この6項目を満たすようにすると情報がうまく整理され、過不足のない内容にまとめやすくなります。

プレスリリースでは、「展望」を加えて発信するとよいでしょう。また、配信したい情報によっては、「How much(どのくらい)」を入れた5W2H、さらに「How many(いくら)」を含めた5W3Hを満たすように作成するのもおすすめです。

7.用語の表記が統一されている

プレスリリースを書く際に意外と見落としがちなのが、用語の表記揺れです。例えば、「アップル」「Apple」などの名詞の揺れや、「つく」「付く」などの動詞の揺れなどがあります。送り仮名や英数字の大文字・小文字の統一なども挙げられます。

プレスリリースごとに表記を統一する形で問題ありません。Wordには「表記ゆれチェック」という機能があるので、それを使えば効率的に表記を修正できます。どの表記にすれば良いか迷う場合は『記者ハンドブック 新聞用字用語集』を参考にするのもおすすめです。

参考:『記者ハンドブック 新聞用字用語集』編著:一般社団法人共同通信社

用語の表記統一に関しては以下の記事もご覧ください。

プレスリリースで避けたほうが良い書き方・文体の特徴

プレスリリースには、避けたほうが良いとされている書き方や文体があります。うっかりこれらをやってしまうと企業イメージが悪くなることにつながるため、広報PR担当者として避けたほうが良い書き方や文体は必ず知っておきましょう。ここからは、プレスリリースを作成する際に避けたほうが良い書き方と文体の特徴を7項目に分けて紹介します。

プレスリリースで避けたほうが良い書き方とは?

1.専門用語を使いすぎている

プレスリリースは、メディア関係者や記者、一般生活者の目に触れる企業の公式文書です。プレスリリースを読む人のすべてが特定の業界や特定の商材について詳しいわけではないため、あまり知られていない業界用語や専門用語はなるべく避け、親しみやすい単語に言い換えましょう。

場合によっては専門用語を使わざるを得ないこともあります。その際は、誰が読んでもわかりやすい解説や補足を付け加えるなど、工夫してみてください。

2.過剰な丁寧語を使用している

「ですます調」によって丁寧な文章を書くことは大切ですが、過剰な丁寧語は避けましょう。例えば、「〜させていただきます」「〜いたします」「〜でございます」などが挙げられます。

これらの言い回しはビジネスメールではよく使われていますが、プレスリリースでは一般的ではありません。丁寧すぎる文章は読みにくいうえ、嫌みに感じることもあります。親しみやすさを出すには、自然な丁寧語を使うことが大切です。

間違った使い方をしやすい二重敬語にも注意しましょう。二重敬語とは、1つの語に対して同じ種類の敬語を重ねて使うことを指します。例えば、「伺う」を「お伺いする」と書くのはよくある間違いのひとつです。「伺う」はそもそも「尋ねる」の謙譲語なので、「お……する」の形にすると二重敬語に当たります。

丁寧さを意識するあまり、過剰な丁寧語や二重敬語になってしまうことはよくあります。失礼だと受け取られる可能性は低いでしょうが、日本語として違和感があるので注意しましょう。

3.煽り文句や過剰表現を使っている

プレスリリースでは、煽り文句や過剰表現は避けたほうが良いといわれています。煽り文句とは、読み手の気持ちを煽り、特定の行動をするように仕向けるようなフレーズのことです。

例えば、「期間限定」「お買い得」などがあります。プレスリリースでは、使い方によっては煽り文句に該当します。期間限定ではないのにそう謳ったり、実際にはお買い得ではないものにそうした煽り文句を付けることは避けましょう。

同じく、過剰表現もプレスリリースでは避けたほうが良いとされています。「最上級」「日本初」「業界No.1」などが過剰表現に該当します。数字やきちんとした根拠があれば問題ないとされることもありますが、基本的には使用しないようにしましょう。

煽り文句や過剰表現は、場合によっては景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)に違反したり、優良誤認表示と判断されたりします。法令違反に直結するため、そのリスクを避けるためにも使用しないのが無難です。

以下の記事では、プレスリリースで最上級表現を用いるときに確認することをまとめています。

4.広告的な表現が盛り込まれている

プレスリリースは、広告ではなく企業の広報PR活動の一環です。そのため、プレスリリースでは広告的な表現は避けたほうが良いとされています。プレスリリースを書く際に意識すべきは、社会性・公共性のある表現になっているかどうかです。

広告的な表現は、例えば「画期的」「好評」「すごい」などが挙げられます。これらは主観的な表現であるため、プレスリリースを書く際にはあまり適していません。

もし、これらの表現を使用するのであれば、客観的な表現になるように「従来できなかった◯◯ができるようになった画期的なサービスです」や「好評をいただき〜」など、その表現を使うに至った根拠も共に述べるようにしましょう。

5.修飾語が多い

主語・述語以外の修飾語が多い文章は、プレスリリースを書く際は避けましょう。修飾語の部分が長すぎると冗長的になり、読み手に内容が伝わりにくくなります。書き上げた際の見直しで長い文章があれば、2つか3つに分割できないか検討しましょう。

修飾語は並びや順番も大切です。修飾語がかかる箇所を被修飾語と呼びますが、この2つが離れていると言葉の修飾関係が曖昧になり、意図とは違う文章になってしまいます。伝えたいことをわかりやすく伝えるため、修飾語と被修飾語はなるべく近づけるようにしましょう。

6.略語を使っている

プレスリリースは企業の公式文書のひとつなので、基本的に略語は使用しません。いったん書き上げた後に、正式名称がきちんと使われているかをチェックしましょう。

例えば「PC」と書かれている場合、多くの方が「パソコン」の略語だと考えますが、製造メーカーでは「ポリカーボネート」、医療現場では「プレッシャーコントロール」「ペニシリン」などの意味があります。

業界では当然の略語も、ほかの業界では異なる意味で使われている可能性があります。確認に時間はかかりますが、気になる単語があれば丁寧に1つずつ調べ、理解の齟齬が生まれないように文章の細部まで気を配りましょう。

7.薬機法に違反する表現を使っている

医薬品・医療機器・化粧品・健康食品・食品・健康器具に関するプレスリリースを作成する場合には、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に違反する表現を使っていないかをチェックする必要があります。

プレスリリースは厳密にいえば広報PR活動であり、広告には該当しません。しかし、薬機法には「薬機法における広告の3要件」が決まっており、配信するプレスリリースの内容がその要件に該当していれば広告と見なされる可能性が大いにあります。

「薬機法における広告の3要件」は、下記の3つです。

  • 顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること
  • 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
  • 一般人が認知できる状態であること

上記ジャンルの商品やサービスに関するプレスリリースを配信する際は、必ず社内の薬機法チェックを通すか、外部の専門家に確認を依頼しましょう。

参考:厚生労働省「薬事法における広告規制」

薬機法に関する記事はこちらもご覧ください。

自社のニュースの魅力が伝わるよう、読み手を意識したプレスリリースを作成しよう

プレスリリースを配信する目的は、自社の商品やサービスの魅力を伝えることです。そのためには、誰が読んでも理解できるようにわかりやすい書き方や文体を意識する必要があります。

長いことひとつの業界で働いていると、自分で気付かないうちに難しい表現や、誤読につながりかねない表記を使ってしまいがちです。そうした表現・表記をなくすには、確認に時間はかかってしまいますが、何人かの目を通すフローを作るのもひとつの手です。表現や表記など細部にまで気を配り、読み手を意識したプレスリリースを作成しましょう。

【関連リンク】

プレスリリース「ですます調」に関するQ&A

PR TIMESのご利用を希望される方は、以下より企業登録申請をお願いいたします。登録申請方法料金プランをあわせてご確認ください。

PR TIMESの企業登録申請をするPR TIMESをご利用希望の方はこちら企業登録申請をする

この記事のライター

佐藤 杏樹

佐藤 杏樹

フリーのライター・編集者。PR TIMESに新卒入社しメディア事業部にてコンテンツ編集者・SNS運用・イベントなど担当。現在も執筆業に携わりながら広報・PRの仕事もしています。広報実務を通して得た知見や実践しやすい広報ノウハウ、最初に知っておきたい広報の基礎など、みなさまに分かりやすくお伝えします。

このライターの記事一覧へ