【現役広報が教える】広報とは?広報の4つの役割・仕事内容・PRとの違い

大企業では専門部署があることが多いですが、中小企業ではまだ確立されていないことも多い「広報」という仕事。広報とはいったいどんな仕事で、どのような目的で存在している役割なのでしょうか。

「広報って結局どんな意味?」
「なんで広報は重要なの?」
「広報の仕事って何?」

この記事ではそんな広報の意味仕事、広報をする目的について解説していきます。

そもそも「広報」とは?

そもそも広報という言葉はどのような意味で、どのような仕事を指すのでしょうか。

本項では、広報活動によって得られるメリットと広報が持つ4つの役割社内広報と社外広報についての違い「広報」と「PR」の違いについて解説していきます。

広報活動をするメリットとは?広報に求められる4つの役割

社内外への情報発信を主な仕事とする広報。そんな広報活動を行うことで企業が得られるメリットとは何なのでしょうか。広報が果たす4つの役割について説明します。

広報の役割1.自社と社会の架け橋としての役割

まず広報には自社と社会の架け橋としての役割があります。経営陣や現場の社員は自社の業界に精通したプロフェッショナルですが、多忙なため業界外に目を向ける余裕がないこともあります。そんなとき広報担当者が、自社の業界に偏らない広い視野を持っていることが大切です。日頃から世間のトレンドに敏感になり、情報収集するように心がけましょう。

広報と聞くとまずイメージされるであろう報道対応も、自社を社会とつなぐ大切な活動のひとつです。メディアを通じて自社の情報を世間に伝えるという意味で、架け橋としての役割を果たすことに繋がります。

広報の役割2.コミュニケーションハブとしての役割

広報はコミュニケーション全般を司る仕事でもあります。プレスリリースや自社ブログなどでの一方的な情報発信だけでなく、各ステークホルダーとの双方向コミュニケーションを図るハブとしての役割を持っているのです。

社内報の発行やイベント企画などを通じた社内の情報循環、自社と社会の架け橋としての情報発信と情報収集、報道対応窓口としてのメディアと自社の関係性構築など、コミュニケーションハブとしての役割は多岐に渡ります。

広報の役割3.ブランディングを推進する役割

広報にはブランディングの推進という役割があります。ブランディングを推進することにより、自社は社会の中でどのような役割を果たしているのか、業界内だけでなく社会の一員として考えたときどのような立ち位置なのかを確立していくことができます。ブランドイメージを強固なものにするためには一貫性があり、かつ継続的な情報発信が必須です。

ブランディングの推進は企業文化の醸成にも一役買います。企業文化とはすなわち企業の人格のようなもので、これを形作り維持していくことは、従業員の自社への愛着形成や採用活動へ好影響を及ぼします。

広報の役割4.メディアリレーションズを築き自社の認知拡大を図る役割

メディアリレーションズ構築とそれによる自社の認知拡大も、重要な役割の一つです。広報と聞いて最もイメージされやすい役割かもしれません。

自社がアプローチするべき媒体を見つけるためのメディア研究から始まり、電話・メール・対面でのメディアアプローチ、執筆したプレスリリースの送付や、日頃からのメディア関係者との情報交換、取材対応など、対メディアの関係構築すべてを包括してメディアリレーションズと呼びます

幅広く世間に情報発信する役割を持っているメディアを通じて、自社のニュースを世間に伝え認知拡大を図るのも広報担当者の役割です。

コミュニケーションをとる広報担当者

「広報」の仕事は大きく分けて2種類

広報の仕事は大きく「社外広報」と「社内広報」の2つに分類することができます。

業務内容や主となる相手は違いますが、社外広報も社内広報も「コミュニケーションを通じた関係構築」であることに変わりはありません。相手との良好な関係を築くための情報発信と、そのための行動を行うことが広報の大切な仕事です。

本項ではそれぞれについて具体的な業務内容を紹介します。

社外広報

社外広報は社外に向けて自社やブランドの認知度を高め、自社の商品・サービスを広める役割があります。特に顧客や取引先、メディア関係者に向けた情報発信を行うことが主な仕事になります。代表的なプレスリリースの作成・配信だけでなく、自社ブログやSNSの更新、取材対応、原稿チェック、メルマガの配信、イベントの企画など、社外広報の仕事に規定の枠組みはなく、目的に応じてとるべき手段は多岐に渡ります。

社内広報

社内広報は、会社で働くすべてのメンバーや、社員の家族などに向けた発信が主となります。自社のニュースや活動を知らせることで、社内文化の醸成や社員の仕事を通じた充実度をアップさせていくことが目的です。社外広報と同様、社内向けイベントの企画・運営や社内報の配信、新たな制度の策定・運用など様々な業務があります。

「広報」と「PR」の違いとは?

プレスリリースのためのミーティング

よく広報と一緒に語られることの多い「PR(=パブリック・リレーションズ)」。広報とPRの違いは何なのでしょうか。

結論から言うと「広報はPRに内包されている概念」というのが正しい認識です。広報は情報発信に伴う様々な戦略立案やその実行を指し、その結果として相手との関係構築につながっていきます。広報と対比で使われることの多い広聴も、同様にPRに含まれる活動です。社会や時代の声に耳を傾け、自社の目指すべき姿や顧客のニーズを正しく捉え、そこに向けてメッセージを発することは一連のプロセスとしてつながっていきます。

PRを考えるとき、「ステークホルダーを含む自社にとっての大切な人たちと、どんな関係にありたいか」がすべての軸となります。情報の受発信を始めとするコミュニケーション手段ばかりがイメージされることも多いですが、その根底にあるのは発信すべきニュースを生み出すために何をしたか、つまり想いを持って積み重ねられた行動です。誰かのための行動を、それを必要とする人々に伝えるための戦略・戦術に変え、あらゆる手段で誠実なコミュニケーションをおこなうことがパブリック・リレーションズの本質といえるでしょう。

PRは広報や広聴などの活動を含めた概念であり、特定の手法ありきのものではありません。ですので、プレスリリースやイベント、オウンドメディアやSNSなど、様々な選択肢を組み合わせられることも広報の醍醐味のひとつといえます。

【対象別】広報活動の目的とは?

では企業が広報活動をする目的には、何があげられるでしょうか。

広報は「企業の顔」としての役割を担うため、社内外との情報の受発信だけを担当するのではあまり意味がありません。広報が介在するからこそ生まれる良好な関係を堅持し、一層強固なものにしていく必要があるのです。ここでは広報するものの対象別に「コーポレート広報」「サービス広報」「インターナル広報」の3つに分けて、それぞれの目的を見ていきます。

コーポレート広報:採用や資金調達など会社全般に関わる課題を解決する

まず1つ目は、経営に寄与するコーポレート広報です。様々なステークホルダーとのコミュニケーションをおこなうことで採用や資金調達、取引先との関係構築など、様々な側面から会社の経営に貢献する役割があります。サービス広報のようにメディアリレーションズに限定されるものではないため、向き合う相手によって伝えるべき内容やとるべき方法も異なる、非常に重要度の高い仕事です

コーポレート広報の目的は、顧客や株主などのあらゆるステークホルダーと適切なコミュニケーションを取りながら、相手にとって、そして自社にとって、望ましい目的の実現に貢献することです。当然経営陣との意思疎通も重要であり、スピード感をもって関係者を巻き込んでいくリーダーシップも求められます。

サービス広報:購入や問い合わせなど売り上げに貢献する

2つ目は、会社の売り上げなど事業成長に寄与するサービス広報です。自社サービスや商品の特徴、そしてブランドの世界観を広めることで、広報としてマーケティングに貢献する発想が求められます。短期的な購入増や問い合わせ増にまで至らなくても、継続して情報発信を続けることで長期的なブランディングにつながっていきます

サービス広報の仕事はサービスの認知度を上げることはもちろんですが、サービスとユーザーとを結びつけ「強いファン」を作ることも重要な目的のひとつ。売り上げを上げるためだけなら広告施策も効果を発揮しますが、サービスや商品に込めた想い、理想とする世界観などストーリーを伝えることができるのは広報ならではの強みです。そこには、事業部だけではできないメディアアプローチなど、広報の専門的知識が求められるでしょう。

インターナル広報:経営理念の浸透や離職率低下など社内活性化に寄与する

3つ目は社内に向けてアプローチをするインターナル広報です。社内への経営理念の浸透や会社と社員との直接的・間接的コミュニケーションを活性化させることで、仕事を通じた社員の充実や成長機会の拡大を目的としています

インターナル広報の仕事はその名称の通り、内向きな活動だと考えられやすいですが、実は社外に向けた情報発信こそ重要な業務。経営情報や商品・サービスの特徴など社内の情報を適切に吸い上げ、自社の「らしさ」を軸にオープンに発信していきます。例えば社員中心のイベントに外部のお客様を招待したり、社内報を公開したりすることで、組織に適度なプレッシャーを作り、成長機会をつくることも大切な業務のひとつとなります。

広報の仕事は必ずしも社外・社内で切れるものばかりではなく、どちらもつながっているものと考えるのが適切だといえますね。

広報の具体的な7つの仕事内容は?

ここまで広報の役割について、社内外への発信や関係構築に必要なことを中心に解説してきました。では広報担当者は普段どのような仕事をしているのでしょうか。

広報の仕事は多岐に渡るうえに、企業や広報方針によって大きく異なります。今回は広報の主要な仕事内容について7つご紹介します。

広報の仕事内容1.社会・業界動向のキャッチアップ

まず、社会や業界の動向を知ることです。リサーチこそ広報担当の引き出しを増やす大切な仕事のひとつです

広報は常に経営に近い存在であり、社会の動きに合わせて会社のメッセージをかたちにし、それを伝えるための広報戦略や方針をアップデートしていく必要があります。そのため社会や業界の動向から「自社がどんな状況に置かれているか」「これからどう動くべきか」を知ることがとても重要なのです。

ニュースチェックだけでなく、メディア関係者や同業界の横のつながりを活用し適切な情報収集を行うなどして、常に外の情報にアンテナを張ることを心がけましょう。

広報の仕事内容2.公文書としてのプレスリリース作成

広報担当は情報発信の基本的なツールとして、プレスリリースの作成・配信を行います。広報といえば第一に想起されるほど、代表的な仕事ですね。

そもそもプレスリリースとは、企業がメディアに向けて発信する経営や新サービス・新商品に関する公式発表です。情報がメディアに取り上げられることで、企業やサービスの認知向上やブランディングに寄与していきます。また広報担当者はプレスリリースがメディアに掲載されるよう、日頃からメディアリレーションズを築き、適時適切な情報提供をおこなうことが欠かせません

広報の仕事内容3.臨機応変な報道対応

メディア関係者との良好な関係を築く、メディアリレーションズも広報の重要な仕事です。広報担当は突然依頼が舞い込むことのある経営者インタビューや、サービス・商品に関する取材に臨機応変な対応をすることが求められます。

取材依頼は配信したプレスリリースやメディアに掲載された情報を見て入ることが多いでしょう。特に話題性のあるスタートアップや誰もが知っているような大手企業では、メディアのほうから企画が持ち込まれ「取り上げたい」と問い合わせが来ることもあります。

取材対応は情報鮮度の観点からスピードがなによりも大切。メディアと関係性を構築するためにも取材対応は丁寧かつ迅速に行いましょう

広報の仕事内容4.サービスサイトや求人票の広報チェック

社内外へのブランドイメージを壊さないために、広報担当は自社のサービスサイトや求人情報など様々なコンテンツチェックも行います。

ポイントは、会社としてのトンマナの統一、公開してはいけない情報が含まれていないか、法律やモラルに触れていないか、などをチェックすること。もちろん各担当社員が十分に配慮すべきことでもありますが、会社の名前で公表する情報に関しては経営やサービス・商品への影響が多分に考えられるため、検問として広報が活躍するでしょう

広報担当は社内の動向に常に目を向け、各部署が社外に発信しようとする情報に目を光らせておく必要があります。

広報の仕事内容5.社内のネタ発掘

広報は情報発信のネタを収集する必要があります。そのため誰よりも社内の動向や社員ひとりひとりの活躍に目を向ける必要があります。

発信する情報が経営の報告や新サービス・新商品だけだと、広報のネタはすぐに尽きてしまいますよね。メディア関係者も関係性が深まってくるとプレスリリースで公表されるような情報ばかりではなく、まだ成熟していない話題のタネを求めるようになります。この類の情報は、待っていて自然に届けられるものではないので、自ら情報を探しに行く姿勢が大切です

探せば社内に面白いネタが転がっていた!ということもしばしば。広報担当は社員とランチに出たり、社員の日報やチャットツールを活用するなど、日頃から積極的に社内コミュニケーションを取りましょう。

ネタ収集のため社内でコミュニケーションをとっている

広報の仕事内容6.経営状況の把握

広報は経営に関する情報を発信することが多く、経営陣と近い距離で、その状況を知っておく必要があります。

また広報はしばしばメディアリレーションズの中で「会社の顔」になることが多いです。自社のビジネスや市場の動向について説明し、ときにアピールすることも必要となるため、広報担当が経営についての知識がないと会社への信用に影響することもあります。

自社の経営情報を把握するために、経営会議や事業のミーティングに出席したり、社長や事業部長などの重要なポジションの人と定期的に話をする場を設けることも有効ですね。

広報の仕事内容7.自社メディアやSNSを活用した情報発信

もはやインターネットは人々の生活インフラとなり、企業も自社メディアやSNSを活用した情報発信が求められる時代です。メディアリレーションズを通じた外部の媒体への掲載だけでなく、積極的に自社の情報を出していきましょう。

特にTwitterやInstagramなどのSNSは気軽に始めることができ、アカウント開設のハードルは低いです。炎上しないよう注意を払って運用する必要はありますが、ユーザーとのコミュニケーションが取りやすいという大きなメリットがあります。思わぬことろでシェアが広がり一気に自社の認知拡大につながる可能性もあるでしょう。とはいえすぐに多くのフォロワーを獲得できるわけではなく、地道な発信が求められます。継続的にコンテンツを作り出せるかなど、中長期視点で運用について検討してから始めましょう

広報とは、各ステークホルダーとの関係性を良好に保つコミュニケーションのプロ

広報と聞くと企業の顔として対メディアの業務をしているイメージが強いかもしれませんが、実際には各ステークホルダーに対してそれぞれ適切な方法でコミュニケーションをとる仕事です

自社を広めるための広報の手段はたくさんありますが、広報活動は会社によって目的が異なり必要なコミュニケーション手法も変わります。広報担当として重要なことは、企業の課題や経営者の目指す姿を誰よりも理解し会社に寄り添った広報活動を行うことです。そのためには手段にとらわれず、まずは会社の課題について考えることから始めてみましょう

この記事のライター

ならきち

在宅ライター主婦。会社員時代は中古IT機器の専門商社で広報をしていました。取材対応をはじめとするメディアリレーション全般、プレスリリース執筆、危機管理対応、記者会見の企画・運営、自社ブログ記事の企画・執筆などを担当した経験を活かし、広報担当者の役に立つ記事を書きたいです。現在はわんぱくな息子に翻弄されながら在宅でライターの仕事をしています。

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