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スポーツマーケティングとは?特異性や成功させる5つのポイントを解説【成功事例3選】

多くの人を熱狂させて感動を生み出すスポーツ。生活者の購買行動の促進や、認知拡大に貢献するためスポーツのチカラを活用するのがスポーツマーケティングです。近年特に注目を集めているマーケティング手法のひとつでもあり、生活している中でも触れる機会が多いのではないでしょうか。

この記事では、スポーツマーケティングの基本を解説していきます。スポーツマーケティングに期待できる効果や、成功させるためのポイント、そして成功事例も紹介していきます。

スポーツマーケティングとは

スポーツマーケティングとは、スポーツを用いてマーケティングを行うことです。スポーツマーケティングの中にも2つの意味があります。スポーツそのものを発展させることを目的としてマーケティングする場合と、企業の商品やサービスのマーケティングにスポーツを活用する場合です。

それぞれどのような違いがあるのか、具体的に解説していきます。

スポーツそのものをマーケティングする方法

スポーツチームや競技大会など、スポーツに関わる企業・団体・興行の収益を上げるために行われるマーケティングです。あらゆるマーケティング手法を用いて、スポーツそのものの認知拡大に加え、チケット売り上げ、グッズ売り上げなど収益の増加を目的に行われます。

スポーツそのものをマーケティングする場合は、新規顧客を増やすため、既存顧客の好意度をさらに向上させるためなど、セグメントが多岐にわたります。それぞれのセグメントに対して効果的な手法を選択することが重要です。

新規顧客を増やす場合であれば、漫画・アニメ、アパレルブランド等の人気コンテンツとコラボレーショングッズを販売する、地域コミュニティと連携したイベントを実施するなどが考えられます。既存顧客の好意度向上であれば、SNSを活用したコミュニケーション設計で試合開催日以外にも生活者とタッチポイントをつくる、ファン感謝デー等のイベントを開催するなど、方法はさまざまです。

スポーツを活用したマーケティング方法

企業の商品やサービスのマーケティングのひとつとしてスポーツを取り入れる手法です。企業の認知拡大、ブランドイメージの向上、売り上げ増加などを目的に行われます。スポーツマーケティングを活用して収益を増やすことに加えて、スポーツに興味がある生活者を中心に、広く世間に対してリーチすることを目指すことができます。

例えば、アスリートを起用した広告宣伝や、アスリートとのコラボレーショングッズ販売、イベント開催などがあります。競技大会やスポーツチームへのスポンサードなども、スポーツを活用したマーケティング方法のひとつです。

そのほか、近年ではスポーツジムなどの施設の増加により、健康増進やヘルスケアという視点からもスポーツマーケティングが注目されています。

マーケティングイメージ

スポーツマーケティングが重視されている背景

企業がスポーツマーケティングを重視している背景には、スポーツが生活者に感動や憧れを抱かせる共感力の強いコンテンツであるということが挙げられます。日本で今日のようにスポーツマーケティングの重要性が注目されるようになるまでには、1964年に開催された東京オリンピックから続く大きな潮流があります。

1964年の東京オリンピックをきっかけに国内のマスメディアが発展すると、多くの生活者がスポーツにいっそう触れやすい環境ができました。

スポーツ放映の増加によって生活者からスポーツが注目されるようになると、企業もスポーツをマーケティングに活用するようになります。大会の冠スポンサーや試合中継の合間にCMを放映する企業スポンサーなどが増えました。

1990年代に入ると、Jリーグの開幕やヒット漫画の影響によってスポーツを実践する生活者が増加。シューズやボールなどにも、より注目が集まるようになり、スポーツ用品の新たな経済圏が誕生します。憧れの選手が使っているものと同じものを使いたい、という生活者の心理を突いたマーケティングも行われるようになったのです。

生活者の心理を利用する新たなマーケティング手法として、今日に至るまでスポーツマーケティングは重視されています。

スポーツマーケティングを行う3つの効果

スポーツマーケティングを行うとどのような効果が期待できるのでしょうか。スポーツの魅力を活かして戦略的なマーケティングを行うことで、自社の差別化にもつながります。

今回は、スポーツマーケティングに期待できる3つの効果を具体的に紹介していきます。

効果1.年齢や性別を問わずにアプローチできる

スポーツは、年齢や性別を問わずに感動を分かち合ったり、共感したりできるコンテンツです。ファンやサポーターとしてスポーツに注目する生活者も、幅広い年齢や性別の人々が存在しています。スポーツをマーケティングに活用する場合も、老若男女を問わずにアプローチできる可能性があります。

プロ野球やJリーグ、Bリーグ(バスケットボール男子)など、何かしらの競技の国内リーグはほぼ年間を通じて試合が開催されています。競技のシーズンを通じて、幅広いスポーツファンに対して継続的にタッチポイントをつくることが可能です。例えば、スタジアム内の看板広告は、現地で観戦するスポーツファンはもちろん、テレビ放映を通じて多くの生活者の目に触れる回数を増やすことができます。

効果2.ブランドイメージの向上

スポーツは、競技の勝利、チームワーク、選手の努力などによって、生活者にポジティブなイメージを抱いてもらいやすいコンテンツです。スポーツを通じてブランドを伝えることで、生活者がポジティブな感情を自社ブランドにも抱いてくれることが期待できます。

自社ブランドとスポーツチームや選手の価値観に共鳴する部分を発信できれば、これまでブランドを認知していなかったスポーツファンにも魅力的なブランドイメージを持ってもらうことができるでしょう。例えば、選手のチャレンジ精神や勝利を追求などと、自社の目指すべきブランドの方向性で共通する部分を見出すことができるのではないでしょうか。上手にスポーツマーケティングを行うことで、ブランドに対して好印象を抱いてもらうきっかけになるのです。

効果3.海外に対してもアプローチができる

スポーツマーケティングでは、海外に対してアプローチを行い国際的な認知度を上げることも期待できます。スポーツは国や地域を超えて愛されるコンテンツです。国際大会や海外でも放映される競技大会などでスポンサードを行うと、国際映像を通じて国内外の人々の目に触れる機会をつくれます。

グローバルなスポーツマーケティング展開が、海外での新たな市場開拓やビジネスチャンス創出のきっかけとなるかもしれません。国内に対しても、国際的な展望を持つことをアピールし、競合他社との差別化を図ることができます。

国際大会など放映地域が多岐にわたると、国内で行うマーケティングよりは費用がかさむ場合もあります。ある程度企業が成長した段階で、国内市場が飽和していたり、さらなる企業成長のためのブレイクスルーを求める場合に、検討するとよいかもしれません。

スポーツのコンテンツとしての特異性

世の中の商品やサービスとスポーツを比較すると、スポーツには特異な性質があるので要注意です。スポーツはサービスが無形であり、勝敗や効果体感だけが生活者の満足や不満足に直結しないことがある点です。勝敗や効果体感の不確実性が生活者の感動を生み出す要素のひとつになっていることは間違いありませんが、勝敗や効果体感はマーケティング担当者がコントロールすることができません。生活者の心理に寄り添う周辺コンテンツも重要になってきます。

これらスポーツ特有の不確実性やコントロールできない部分が、生活者を熱狂させる要素でもあり、生活者の心理をうまく捉えた施策によってさらなる熱狂を生み出す魅力でもあります。

スポーツマーケティングを成功させる5つのポイント

スポーツマーケティングを成功させるためには、入念なマーケティング戦略を立案することが重要です。ブランドの認知向上や売り上げ増加などの目的を達成するために、生活者と最適なコミュニケーションができる戦略をつくり、実行していきましょう。

ここでは、スポーツマーケティングを成功させるために大切な5つのポイントをご紹介します。

ポイント

ポイント1.ブランドイメージに合致するコラボ先を選ぶ

ブランドイメージに合ったコラボ先を選ぶことは、ブランドの一貫性を保つために欠かせません。コラボ先がブランドのイメージと相容れない場合、どんなに知名度があっても結果としてブランドの信頼を損なう可能性があります。スポーツが老若男女誰からも受け入れられる確率が高いコンテンツだからといって、どんなコラボ先でもよいわけではありません。

コラボ先の選定は、どんなセグメントの生活者に対してアプローチしたいのか、おのおののブランドを掛け合わせることで訴求力を強化できるのか、といった視点から検討するようにしましょう。ブランドの価値観やターゲットに合致するコラボレーションを行うことで、ブランドの訴求力が高まり、大きな効果をもたらすことが期待できます。

ポイント2.共感を呼ぶアプローチを行う

スポーツファンの生活者をターゲットとする場合は、ファンの人たちが共感できるコンテンツをつくることを心がけましょう。特にチームやアスリートとの距離が縮まる施策は効果が望めます。スポーツファンが参加できるイベントや交流会を開催すれば、ファンとの結びつきを強化できます。

自分が好きなスポーツチームや競技に対して、自分の行動がどのような意味を持つのかを明確にするような施策も考えられます。例えば、「収益の〇%をチームへ還元します」といった具体的な支援策。ファンは自分の応援がチームの発展に貢献しているという意識を持ち、さらなる熱狂を生み出すことができます。ファンのロイヤルティを高めることは言うまでもなく、スポーツチームや競技大会の収益増加も期待できるでしょう。

ポイント3.好意を持ってもらえる形で届ける

スポーツマーケティングの形はさまざまです。どのようなマーケティングがスポーツファンの生活者に好意を抱いてもらえる手法なのかも、熟考するようにしてください。スポンサーとして名前を掲示する、コラボ商品企画やイベントを実施する、SNSで情報を発信するなど、あらゆる関わり方が想定できます。自社がスポーツマーケティングを通じて達成したいゴールは何か、そのためにはどの施策が効果的なのか、逆算して検討することが大切です。

スポーツファンの関心やニーズを理解し、それに合った形の施策を行いましょう。伝えたいブランドの価値や目標に応じて、適切な形でスポーツマーケティングを活用することで、効果的な結果を得られます。

ポイント4.データ収集と分析を行う

スポーツは共感力が高く、感動や憧れを抱かせやすいコンテンツです。しかし、マーケティング担当者は感動だけに頼るのではなく、データを収集・分析しPDCAサイクルを回すことが重要です。感情だけではなく、データによる客観的な情報をもとに戦略を練ることで、効果的なマーケティングを実現することができます。

データを通じて生活者の興味関心に着目することが大切です。SNSのデータやグッズの購買データなどを分析することで、ファンの嗜好や行動パターンを把握できれば、次回以降のコラボ商品開発やイベント企画にも活かせます。これにより、ターゲット層に合った魅力的なコンテンツやサービスを提供し、ファンのエンゲージメントを高めることができるでしょう。

ポイント5.継続して取り組む

1度の取り組みで終わらせずに、中期的に継続して取り組むことも、スポーツマーケティングを成功させるポイントです。継続して取り組むことで、ファンや生活者からの認知度を高めることができます。

SNSやメールマガジンなどを活用した定期的な情報発信も、継続的な取り組みのひとつとして効果的です。試合などがないときでもファンや生活者とのコミュニケーションを行うことで、ブランドを印象付けることが可能でしょう。

スポーツマーケティングの企業成功事例3選

スポーツマーケティングは、近年注目度が高いマーケティング手法のひとつです。さまざまな企業やブランドがスポーツマーケティングを取り入れている事例も多いので、みなさんもパッと思いつくものがあるのではないでしょうか。有名選手を起用した広告宣伝や、スポーツチームとのコラボレーションなど、形は多様です。

ここでは、企業が行ったスポーツマーケティングの中から3つの成功事例をご紹介します。

事例1.コスメデコルテ×大谷翔平

株式会社コーセーが展開するブランド「コスメデコルテ」は、野球の大谷翔平選手を広告モデルに起用しました。テレビCMをはじめ、屋外広告や百貨店の化粧品カウンターなどでビジュアルを利用しています。そのほか、ロサンゼルスの野球観戦ツアーや大谷選手のサイン入りグッズが当たるコラボキャンペーンも実施しました。

今回のコラボは「挑戦と革新を絶え間なく続ける『コスメデコルテ』の妥協なきクラフトマンシップと、揺るぎない信念で挑戦を続け、可能性を切り拓く大谷選手の姿が共鳴」したことから、実現に至ったそうです。

広告やCM以外にも、大谷選手のSNSでコスメデコルテの商品が映り込んだことから話題になり、2023年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)優勝も後押しして売り上げが増加しています。スポーツの感動やアスリートのイメージを活かして共感を生み出し、購買行動を促した事例です。

参考:『コスメデコルテ』が、No.1(※1)美容液の広告に大谷翔平選手を起用! 新TV-CM「自分が整う」篇 3月16日(木)から全国オンエア開始

事例2.株式会社stand.fm×トヨタヴェルブリッツ

音声配信プラットフォームを提供する株式会社stand.fmは、ジャパンラグビー リーグワンのトヨタヴェルブリッツと連携。「トヨタヴェルブリッツ公式チャンネル」を開設し、試合開催時にトヨタヴェルブリッツのOB選手によるラグビールール解説の配信を行いました。

ラグビーはルールも用語も複雑で初心者には難しく感じるものが多く、知識がないとよく理解できないこともあると思います。しかし、試合を見ながら音声配信でルールを確認することで、スタジアムでも自宅などでも、ラグビーのおもしろさや試合の熱狂をより楽しむことができます。スポーツ観戦と音声配信を掛け合わせた新しいスポーツの体験価値を、生活者へ提供するコラボレーションになっています。

参考:音声配信アプリstand.fm、ラグビーチーム「トヨタヴェルブリッツ」と連携し、開幕戦のOB解説配信を実施

事例3.株式会社タカラトミー×FC東京

株式会社タカラトミーは、50年以上にわたり展開しているミニカーブランド「トミカ」とJリーグのFC東京とのコラボ商品を企画。FC東京が試合開催時に利用している選手移動用のオフィシャルチームバスをモデルにしたミニカーを販売しました。カラーリングやスポンサーマークなど細部にまでこだわり、ボディデザインを再現しています。

このコラボの第1弾は2021年に行われましたが、2022年にオフィシャルチームバスのデザインが変更されたのに伴い、再度商品を販売しています。継続的にコラボを行う事例としてはだけでなく、ファンやサポーターにも満足してもらえるクオリティや好意を持ってもらえるタイミングでの再コラボの事例でもあります。

参考:【FC東京】「トミカ FC東京バモバス2022」発売のお知らせ

スポーツの熱狂を生活者と分かち合おう

スポーツマーケティングについて、いろいろな視点から解説してきました。施策の方法にはさまざまな方向性があることがわかっていただけたのではないでしょうか。

スポーツは、私たちに感動や憧れを抱かせる力強いコンテンツです。どんな施策を行うとしても、マーケティングにスポーツを活用するときには生活者とブランドがその熱狂を分かち合い、ともに感動できるような形にすることが重要です。適切な形をとれば、ブランドの認知拡大や好意度の向上が期待できます。

また、それらの施策を継続して行うことも大切です。生活者と持続的な関係を築き、さまざまなマーケティング戦略を策定し展開することで、スポーツマーケティングの効果を最大化していきましょう。

スポーツマーケティングに関するQ&A

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この記事のライター

長瀬 みなみ

長瀬 みなみ

ITベンチャーにて広報PRを担当したのち、ヘルスケアベンチャーにて広報PR部門の立ち上げ、ブランド責任者として取締役就任。YouTubeチャンネル運営など、さまざまなメディアを活用した分ランディングや広報活動を行う。独立後は、広報PR・ブランディング・コミュニティ運営など幅広く活動している。これまでの経験から広報・ブランディングに関する戦略立案からプレスリリース執筆まで幅広くカバーしたコンテンツを作っています。

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