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お客さまにファンになってもらうための広報PR|株式会社資さん

創業46年、幅広い年代に親しまれ続けている「資さん」。

佐藤さんが代表取締役社長に着任後、福岡県北九州市だけでなく、九州全域および山口県に店舗を展開し、全国的に目にすることが増えました。

初めて「資さん」のうどんを食べたとき、そのおいしさや店舗の活気が衝撃的だったと当時のことを語る佐藤さん。「もっと多くのお客さまにこの味を届けたい」「北九州市から今は離れている地元出身の皆さまにも届けたい」「資さんファンのお客さまに喜んでほしい」という想いで、店舗展開を拡大し、広報PRを強化していると言います。

では、なぜここまで店舗展開を拡大できているのか、実際にどのようにお客さまとコミュニケーションを図っているのか。着任当時から現在までを振り返っていただきながら、お話を伺いました。

株式会社資さんの最新のプレスリリースはこちら:株式会社資さんのプレスリリース

株式会社資さん 代表取締役社長

佐藤崇史(Sato Takafumi)

広島県出身。1997年慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、ソニー株式会社、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)を経て、2006年株式会社ファーストリテイリングに転じ、経営変革/グループ戦略/人事/店舗運営/社長室等の責任者を歴任し、経営変革を推し進めた。2018年3月より北九州のソウルフード「資さんうどん」を運営する株式会社資さんの代表取締役社長に着任。現在に至る。

佐藤社長の資さんとの出会いとファンの存在

東京で働く佐藤さんと「資さん」の出会い

広島県出身、慶応大学を卒業後、ソニー、ボストン・コンサルティング・グループ、ファーストリテイリングに勤め、それほど福岡県を訪れることは多くなかった佐藤さん。どのようにして「資さん」と出会ったのでしょうか。

── 初めて資さんのうどんを食べたときのことを覚えていますか。

鮮明に覚えてますよ。北九州市にいた当時の同僚から「おいしいうどん屋があるから食べに行こう」と言われ、食べに行ったんです。想像していたよりも本当においしくて、大好きな味。独特なパンチのある味で、うどんってやわらかいのもあるんだな、と。そして、何よりお店の活気がすごい。当時、いろんな感動があったのですが……。実は、東京に戻ってから時間が経つとすっかり忘れてしまっていたんです。

── 社長就任の声がかかったときに思い出されたのでしょうか。

すぐには結びつかなかったのですが「そういえばあの店だ」って。東京で過ごしているうちに忘れてしまうなんてもったいない、北九州市の人だけでなく、より多くの場所の人が食べられるようにしたい、と思ったんですよね。

株式会社資さん うどん

九州全域へ展開、ファンに支えられていることを再認識

── 佐藤さんが着任後、店舗数がぐんと伸びた印象です。この店舗展開は計画通りでしょうか。

特にいつまでに何店舗まで広げる、何%増などの計画ありきにはしていないんですよ。「もっと多くのお客さまにこの味を届けたい」という想いがあり、もともとは北九州市中心の店舗展開でしたが、筑豊、博多のど真ん中、佐賀……と、北九州市以外に広げていって。東京、大阪へ出店のご要望もいただくのですが、まずは北九州市や福岡県のご出身の方が多かったり、私たちの店舗に足を運んでくださるお客さまが多い佐賀や熊本、大分、宮崎などのそして九州の皆さまに味わってもらえるようにと思っています。

── コロナ禍で飲食店には大きな影響があった(大変だった)と思いますが、それでも店舗を増やしていったんですね。

「資さん」って、ものすごくファンの皆さまに支えられているんですよ。北九州市以外の店舗をオープンした際にご来店のきっかけを伺うと「友だちから絶対行けって言われたんですよ」「北九州市の友だちが連れてきてくれました」というお声が本当に多くて。

社内研修でいつも伝えている「資さん」の強み。それは何かというと、2種類の「人」なんです。ひとつは、「資さん」ファンのお客さまです。「資さん」を愛してくれて、お客さまが初めてのお客さまを連れてきてくれる。ファンがファンをつくってくれる、そういったお客さまに、本当に支えられていると思います。もうひとつが、働いている従業員の皆さん。「資さん」を愛していて、お客さまに喜んでもらうことに対する情熱を持ってくれている。最初に食べたときに感じたお店の活気ってここからくるんですよね。

株式会社資さん

北九州のうどん屋が全国のファンに向けた広報PR

きっかけは資さんをもっと深く知ってもらうため

── 広報PRに力を入れている印象ですが、きっかけはあったのでしょうか。

単に店舗に来て食べるだけでなく、愛着や親しみをもってくださっているファンのお客さまに、より深く情報を伝えていきたいと思ったんです。

一つひとつの商品への思い入れがあるお客さまが多くて、とにかく資さんに詳しいんですよね。「出汁はこうやって作っているから旨いんだ」「ぼた餅はいつ頃から、なぜできたか」など、従業員以上に詳しいお客さまもたくさんいらっしゃって。資さんのこだわりやストーリーを伝えていくことが必要だとお客さまの声を聞いて感じました。

── 資さんのプチ情報を皆さんお持ちなんですね。

「ごぼ天は別皿にして、サクサク食感と出汁を吸った味の両方を楽しむ」など、楽しみ方も教えていただくんですよ。こういうことを他のお客さまにも知ってもらい、もっと資さんを楽しんでほしいと思っています。

おいしいと思っていただけるようにするのはもちろん、そこから資さんに対する愛着や親しみなどを感じていただき、ファンになっていただく。そのために、広報PRやマーケティングを強化しようと考えたんですよね。

お客さまに喜んでいただくために届ける情報

── プレスリリースの発信に力を入れるようになられたのはなぜでしょうか。

お客さまに伝えたいことはたくさんあるのになかなか伝わっていないな、と思うことがあって。

毎月、多いと毎週のように伝えたいことがあるんですよ。それであれば、伝えたいことはPR TIMESを使いながら、毎月、毎週でも情報発信していこう、と。

とはいえ、プレスリリースを書くのは簡単ではないんですよね。でも、この発信を見てくれたお客さまが、新しくファンになってくれたらいいな、今は遠くにいるファンのお客さまに「資さんがんばってるよ」と伝わるかな、また行きたいなと思い出してくれたらいいな、という気持ちでプレスリリースを発信をしています。

── 公式のSNS、佐藤さんご自身のSNS両方しっかり運営されているのも、そのためでしょうか。

そうですね。プレスリリースをコンスタントに発信していることで、メディア関係者の皆さまからの問い合わせが結構増えたんですよね。もちろん、マーケティング・広報担当のメンバーがメディアの皆さまと関係性を築いてくれているということもありますが、過去に発信した一覧を見て、「こういうネタで取材できませんか」と連絡が来ることも。いろんなネタをもっている会社だな、と認識していただけるようになっています。

ただ、プレスリリースを配信するだけだと、メディアの皆さまには届くけど、お客さまになかなか届かないこともあって、SNSにも力を入れるようにしています。

もうひとつの理由は、お客さまのリアルな声に触れられることです。お客さまがどう感じているのか直接見ることができる。もちろん、お客さまのなかでSNSをされている方は一部なので、店舗アンケート、Googleマップのコメント欄、お褒めの声もお叱りの声もすべて目を通すようにしています。

面白おかしく、でも深いコミュニケーション

── SNS運用で工夫しているポイントはありますか。

堅くなりすぎないよう面白おかしく、新商品や新店の情報などプレスリリースに出している情報は毎回SNSでも発信するようにしています。SNSでお客さまに拡散していただき、PR TIMESで「SNSで話題」のランキングに載っているのを目にすると、盛り上がっていただいてありがたいなと感じます。

一方でSNSだけだと、ビジュアルや表現のインパクト勝負になってしまう。想いやこだわりやストーリーなどを伝えるために、SNSを入り口にして、深いところをプレスリリースに書いてもらっています。

SNSとプレスリリースの合わせ技ですね。

── 面白いコミュニケーションと言えば、「資さんブック」も同じような狙いで制作されたのでしょうか。

「資さんブック」は会社が設立して40年のタイミングで何かやりたいね、という話があって。

私が社長に着任後、部長、課長、店長たちと半年くらいかけて議論し、経営理念をつくったんですよ。創業者の大西さんが生きてる間は、「大西さんが言うこと=資さんが大切にすること」だったので、あえて経営理念をつくる必要はなかった。ただ、大西さんが亡くなって数年経ち、それが薄れてきているという危機感があり、また、北九州市から新たな地域にも店舗が広がったことで新しい従業員の方たちも増えていましたしね。資さんが大切にしてきたこと、これまでやってきたこと、こだわってきたこと……それらを知ったうえで、今の時代に合わせて進化しなくてはと思ったんです。

そして、経営理念はつくることが目的ではなく、浸透させることが大切。さまざまな浸透するための取り組みを行いました。そのとき出たひとつが、40周年に合わせて社史をつくったらどうか、というものでした。社史もすてきだと思ったのですが、従業員さんだけでなく、お客さまにも届けたい、知ってもらいたいと思い、ファンブックが生まれたんですよね。

株式会社資さん

これまで以上にファンのために動いた3年間

帰省できないお客さまを思って通販を再開

── コロナ禍で通販の購入は増えたのではないでしょうか。

実は、私が着任する前の2017年秋ごろ、それまで細々とやってた通販事業は一度止めていて……。通年でご購入が多いわけではなく、年末のお歳暮時期にご注文が集中するなど、店舗の繁忙期とも重なってしまい、継続を断念していたんですよ。

ただ、資さんのファンとなるお客さまは全国に広がっていらっしゃるので、再開するべきという声は何人かから挙がっていて。2022年くらいが再開するタイミングかな、と話をしていたんですよね。

そのとき、新型コロナウイルス感染症が拡大して……。

2020年のゴールデンウイークは「ステイホーム」というキーワードが話題になりましたが、帰省がかなわないお客さまがたくさんいらっしゃいました。「帰省時の資さんのうどんが食べられないのは残念」という声を見て、なんとか全国のお客さまに届けないといけない、コロナ禍で気分が落ちているからこそ今すぐやろう、と動き始めました。

ご協力いただいた会社には「1〜2年後にお願いするからそろそろ打ち合わせを始めましょう」と話していたのですが、突貫工事でも構わないからすぐに再開したい、協力してほしい、とお願いして立ち上げることができました。

少しでも「食」で楽しめるように

── 通販以外にも多くの施策が進められていますが、一番反響があったのは何だったのでしょうか。

「お子さまワンコインサービス」ですかね。学校に行けず、誰とも遊べない子どもたちに何かできないか、とはじめました。

また、店内飲食の時短制限がかかっていた期間は、店内飲食終了後にテイクアウト営業のみを行いました。これは、夜勤の医療従事者の皆さまやドライバーや工場勤務の皆さまの「勤務終了後は飲食店が開いてなく、最近はコンビニ弁当しか食べていない」という声を聞いて実現したんです。そのようなお客さまから感謝の声をいただけたのはうれしかったですね。

── お客さまの声を見て、実施している施策が多いんですね。

そうですね。「ぼたトッツォ」というマリトッツォのぼた餅版も「あったら食べたい」というお客さまの声から、試しに作ってみようとなって。食べてみたらおいしかったんですよ。ただ、作る工程が大変でお蔵入りしていました。

そうしたら、製麺直売所を立ち上げるときに、そのメンバーから「製麺直売所の話題づくりのためにぼたトッツォをやらせてほしい」と提案があって、やってみることになりました。それをきっかけに、製麺直売所を知ってくださるお客さまも増え、結果としてとてもよかったですね。

北九州に育てられた資さんの恩返し

伝えることを大切にしている意味

── 佐藤さんが広報PRに対して大切にしていることはなんでしょうか。

私たちが大切にしているのは、資さんを支えてくださっているファンの皆さまが、愛着を感じてくれたり、さらに好きになっていただけるようにすること。新しく資さんを知ったお客さまがファンになっていただくきっかけをつくっていくこと。そのために、資さんのおいしさ、ぬくもり、こだわり、想いなど、資さんについてより深く知っていただけるようにすることです。

もっと効率的なすごいマーケティング手法とかもあるかも知れませんが、そういうことではなく、私たちが大切にしていること、こだわっていること、いろいろな想いがきちんと伝わって、資さんの楽しみ方をちゃんと知っていただく。あと、子どものころにおいしいと思ったうどんのこと、家族や友だちと食べた思い出が、私たちの発信によってよみがえることもあると思うんですよね。

資さんのことを知っていただいたうえで、よりおいしいと思ってくれたお客さまが新しいお客さまを連れてきてくださる循環をつくっていきたい。そして、離れていても思い出してくれたり、遠くから応援してくれたり、たまには足を運んでくださる。伝えることでつながっていく。そんな方を増やしたいですね。

根底にあるのは地域に対する貢献

──「お子さまワンコインサービス」や子どものころの思い出というお話も、お客さまの中のお子さまをイメージされることも多いんですね。

創業者の大西さんは、地域の子どもたちを本当に大事にされていて、遺産の一部を児童養護施設に寄付するように、と遺言も残されていました。その想いを受け継いでいます。コロナ対策に予算を使ったことで子どもたちが楽しむことにお金を使えないと聞き、通販商品の売上の一部を地域の療育センターに寄付できる商品を企画・販売したり、北九州市や福岡県内の「子ども食堂」への食事の提供をしたりしています。

資さんって北九州(北九州市の人たち)に育てられたんです。なので、北九州の街やコミュニティに恩返ししていきたいですし、北九州が元気になることに貢献したいと思っています。

これからこの街をつくっていくのは子どもたちです。子どもたちが元気になることをやっていこうという想いから、お子さまワンコインも子ども食堂への食事の提供も行っているんですよ。

株式会社資さん

おいしいだけでなく、喜んでほしい。

北九州に貢献したい、恩返ししたい。

情報を発信することに力を入れる背景には、北九州市のお客さまや全国にいる北九州市にかかわる人に対する想いがありました。

創業者の大西さんを受け継ぎつつ、より多くのお客さまが味わえるように、喜んでもらえるように常に考え、行動する佐藤さんの想いがある。だからこそ、資さんの発信は人に届き、盛り上がっているのでしょう。

(写真はすべて株式会社資さんさまよりご提供いただきました)

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この記事のライター

丸花 由加里

丸花 由加里

PR TIMES MAGAZINE編集長。2021年、PR TIMESに入社し、「PR TIMES MAGAZINE」、ご利用企業向けのコミュニティイベント「PR TIMESカレッジ」の企画・運営を行う。2009年に新卒入社した大手インターネットサービス運営会社では法人営業、営業マネージャーとして9年半、その後オウンドメディアの立ち上げに参画。Webコンテンツの企画や調査設計に携わる。メディアリレーションズを主とした広報を経て、現職。

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