PR TIMES MAGAZINE|広報PRのナレッジを発信するWebメディア
記事検索
title

タイアップとは?メリットや成功するための5つのポイントを紹介

サービスや商品のマーケティングとしてよく見るのが、複数社によるタイアップ企画。キャンペーンや広告など、さまざまな方法で行われているのを目にしますよね。

企業タイアップを行うことでどのようなメリットがあるのかイマイチよくわからなくて提案できない、という広報PR担当者も少なくありません。

今回は、タイアップを成功させて、マーケティング企画の効果を最大化する、実施ステップやポイントについてご紹介していきます。

企業タイアップとは?

企業タイアップとは、複数の企業・団体やその企業・団体の持つコンテンツと提携して、タイアップを主導するマーケティング活動を行うことです。タイアップ(tie up)は、「結びつく」という意味の言葉で、ビジネスにおいては「協力」や「提携」という意味で使われています。主な目的は、タイアップを主導する企業・団体の売り上げ・知名度アップや新規顧客獲得です。

企業タイアップは、提携先や実施する施策によってさまざまなものがあります。タイアップ先の例として、企業・団体やそのブランド、メディア、芸能人・著名人、アニメ、漫画、学生団体、などが挙げられます。これらの提携先とともに、マーケティング活動を行っていきます。

タイアップとは?

タイアップとコラボレーションの違い

企業タイアップとコラボレーションの違いは、提携する企業・団体間の関係性と、施策の目的にあります。生活者の立場からすると、一見どちらも同じように捉えてしまいますが、両者は明確に異なるものです。正しく理解して、施策を検討しましょう。

企業タイアップは、提携する企業・団体の中に必ずメインとなる企業・団体が存在します。メイン企業・団体が売り上げ・知名度アップ、新規顧客獲得といった利益を得ることを目的に、タイアップ先の企業・団体が持つ価値を活用する施策を行います。

コラボレーション(collaboration)は、企業・団体同士が対等な関係で共同制作を行う活動です。企業・団体が持つそれぞれの特徴、長所、提供価値を掛け合わせることで、相乗効果による新しい価値を作り出すことが目的です。

「タイアップ」という言葉は広告や販促といったイメージを抱かせやすいため、あえて「コラボレーション」という言葉を利用して広報PR活動を行っている事例も多いです。施策の企画段階においては、両者の違いを理解して検討や実施をしないと、提携先との齟齬が生じたり、有効な効果測定ができなかったり、さまざまな問題が起こり得ます。タイアップとコラボレーションの違いを理解し、自社の目的に対してマッチするほうを選びましょう。

タイアップする3つのメリット

タイアップのメリットは、生活者のほしい形で情報を発信できるところです。広告などの自社だけが主語となる発信と比較して、複数の企業・団体もしくは他社が主語となって発信できます。そのほか、タイアップを行うメリットは、どのような提携先とどのような企画を行うかによってさまざまです。ここでは、タイアップ全般を通じて得られる具体的なメリットを3つご紹介します。

メリット1.生活者から信頼を得やすい

企業タイアップを行うことで、自社のブランドが生活者から信頼を得やすくなります。自社だけで行うマーケティングは、売り込み型の一方的なアプローチに終始しがちです。しかし、他社とのタイアップを行うことで、自社の長所や特徴を第三者の立場から発信することが可能になります。客観的な視点からの発信によって、信頼できる情報として受け取られやすくなるのです。

広告記事などのメディアタイアップでは、特にこの効果が期待できます。

メリット2.話題性に富んだ企画ができる

他社との企業タイアップを行うことで、自社だけではできない話題作りが可能です。他社の文脈を取り入れることで、時流、社会性・地域性、独自性といったPRインパクトを創造しやすくなるためです。

最近では、アニメやゲームとのタイアップが話題になることが多く、人気アニメの限定パッケージの展開や、限定グッズ製作などが行われています。ほかにも、地方自治体や学生とのコラボレーションも社会性・地域性といった話題作りになり、さまざまな企業・団体が活用しています。

メリット3.新しい属性の生活者へアプローチできる

タイアップを実施することで、自社のターゲットとは異なる新しい生活者へのアプローチができます。自社の顧客と、タイアップ先の企業・団体の顧客の属性は完全には一致しません。タイアップ企画を通じて、タイアップ先の顧客に対しても自社のことを知ってもらう機会を創出できるのです。

広告出稿などの販売促進は、多くの新規顧客を獲得することを目的とします。費用対効果を求めるのであれば、自社のサービスやブランドに共感してくれる生活者が多い媒体を活用するのが一般的です。タイアップによって、自社の顧客とは属性の異なる新たな生活者へも違和感なく発信が可能になります。

タイアップ企画を実施することで、自社のターゲットにとどまらず、タイアップ先のブランドに共感する生活者へも幅広くアプローチが可能です。

タイアップを進める手順の5ステップ

タイアップを進めるためには、どのような手順をふめばよいのでしょうか。企画を成功させるためには、自社内での事前準備が重要。また、1回の施策で終わりにするのではなく、次の施策や新たな打ち手を検討するためにもそれぞれのステップに時間を使って進めていきましょう。

企画成功とその先の施策へつなげるためのタイアップの進め方を、5つのステップに分けて解説していきます。

STEP1.目的・ゴールの設定

まず初めに、タイアップを行う目的や達成したいゴールを設定しましょう。タイアップは、事業の目的を達成するための手段です。目的・ゴールが明確でないと、効果測定や振り返りをすることができません。企画を進めていくうえで、立ち返るべき軸にもなるので、明文化して関係者で共有する機会を設けましょう。

また、目的・ゴールに対して、どのようなタイアップ企画ならば達成できそうなのか、というイメージを一緒に持っておくとSTEP2以降がスムーズです。この段階で決定する必要はありませんが、キャンペーンなのか、タイアップ広告なのかなど、大まかなイメージをしておくとよいでしょう。

STEP2.タイアップ先の選定

目的やゴールに応じて、最適なタイアップ先を選びます。企業・団体によっては、イメージしている企画にマッチしない場合や、対応できない場合も。1社だけにアタックするのではなく、複数社をリストアップして検討を進めていくのがよいでしょう。

タイアップ先は、自分の抱いているその企業・団体のイメージだけではなく、実際の数値を手がかりとして検討することを忘れずに。実際に利用している顧客の属性や直近のタイアップ、コラボレーションの実績など、会社資料やメディアの媒体資料からわかる事実を検討の材料にしてください。

自社だけで探すことが困難な場合は、予算に応じて広告代理店などを活用するのもおすすめです。

STEP3.タイアップ企画の立案

タイアップ先の企業・団体が決まったら、具体的なタイアップ企画の立案を進めていきます。どのような企画を実施するのかはもちろん、以下のような項目も決めていきます。

  • KPI設定
  • 実施までのスケジュール
  • 制作物・準備物のリスト化
  • 定例会議の実施などタイアップ先とのコミュニケーション方法
  • タイアップ先からの成果物の有無

ここで注意したいのが、タイアップ企画の実施自体が目的・ゴールにならないことです。複数社が企画を検討していく過程で、目的・ゴールが曖昧になってしまうことは頻繁に起こります。主導権を握る企業・団体がイニシアチブを持って、進むべき方向性、やるべきことのジャッジメントをしていきましょう。

STEP4.制作や広告掲載

具体的なタイアップ企画やスケジュールなどが決まったら、開始に向けて制作や広告掲載などの準備をします。スケジュール通りに進行できるように、関係各所との情報共有は密に行います。

タイアップによって、幅広い生活者へのアプローチと話題性を作ることができるため、普段よりも多くのアクセスや問い合わせにつながることが予想されます。企画が反響することで予想される事象に対しても、対策を考えておきましょう。例えば、サーバー増強、受付対応の増員などが考えられます。

また、タイアップ企画の開始後に思わぬトラブルが発生する場合も。開始後、トラブルが発生した場合のリカバリのリソースや、広報PR対応の方針などもこの段階で検討・決定しておくと安心です。

STEP5.効果測定

タイアップ企画が終了したあとは、目的・ゴールを達成できたのかどうかを検証します。STEP3で決定したKPIにもとづいて効果測定を行いましょう。次回に活かせるポイント、継続的に施策を行うにはどうすればいいのか、次の一手として何をすればいいのかなど、未来の施策についても一緒に検討できると、PDCAが回っていきます。

効果測定や振り返りは、なるべく早いタイミングで記憶が鮮明なうちに実施することが望ましいです。スケジュールは事前にセットしておくのがおすすめですよ。

タイアップを成功させるための5つのポイント

タイアップを成功させるために、ぜひチェックしてほしいポイントがあります。タイアップは、自社だけでなく、他社との提携によって成果を求める手法です。自分たちの視点でなく、生活者の視点から見た、タイアップ先と自社との相性や関連性が重要。また、1回のタイアップで終わらせるのではなく、新たに出会った顧客との関係性を深めて、長期的にファンとして育成していくことも大切です。

上記でご紹介した手順をふまえることはもちろんですが、検討や企画を進めていくうえでチェックしてほしい5つのポイントをまとめました。

ポイント

ポイント1.自社とタイアップ先との相性や関連性を重視する

タイアップ先を検討するときには、自社との相性や関連性を重視します。どのような相手とタイアップするのかが企画成功の大きな要因です。大切なのは目的とゴール達成のために最適なタイアップ先なのか、ということ。生活者からどのような認知を得たいのかをポイントに検討するようにしましょう。

なぜこのタイアップ先との取り組みが必要なのかを、社内外に対して説明できるようにしておくのが理想的です。必然性や納得感のない企画は、タイアップのメリットである信頼性を失うことにつながりかねません。

ポイント2.タイアップ先の顧客層を確認する

タイアップ先の企業・団体が抱えている顧客の属性や、どのような生活者をターゲットとしているのかを把握しましょう。ブランド力や認知度だけではなく、その先にどのような生活者との出会いがあるのかを、タイアップ先を選定する基準にしてください。そのためには、広報担当者自身でもタイアップ先の企業・団体やブランドを深く理解する必要があります。事前にサービスや商品を利用してみたり、SNSなどを通じてユーザー属性を自分たちでも把握したりするとよいでしょう。

ポイント3.キャラクターなどの版権利用を確認する

アニメ、ゲーム、漫画、著名人、キャラクター関連のタイアップを行うときは、版権利用のフローや制限を特に注意して確認しておくのが安心。企画を進める前に、自社で実施したいタイアップのイメージがあるとスムーズに交渉が可能です。版権の利用可能範囲の逸脱や、デザイン変更など、企画を進めている過程で問題が発生することもあるので、なるべく事前にそれらの条件を把握しておきましょう。上記以外に、イメージ画像やロゴなどの使用でも版権の問題が発生する場合があるので、利用したい場合は確認が必要です。

また、タイアップ終了後に、事例として自社サイトなどへの掲載が可能かどうかも必ず確認しておきましょう。

ポイント4.効果を最大化するための導線を作る

タイアップ企画の目的・ゴールに対して、施策の効果を最大化するためのユーザー導線を設置します。キャンペーンや広告などは、多くの生活者の目に触れることができる一方で、実施や掲載場所が自社メディアではないことがあります。生活者が情報としてキャッチアップしたとしても、購入や自社サイトを訪問するといった行動喚起まではつながらない可能性も。目的・ゴールに対して必要なユーザー導線を設計することで、より多くの人に行動を促しましょう。

ポイント5.ファンを育てる施策を同時に行う

タイアップの実施とともに、ファンを育てる施策も行いましょう。タイアップを実施することで、新規顧客の獲得が見込まれます。しかし、タイアップ先から流入した新規顧客は、自分が共感するブランドがタイアップしているという理由で行動を起こしています。タイアップ企画が終了したあとは、自社のサービスを利用し続けてくれない場合も。継続して利用してもらうためのファン化施策を同時に行うことで、LTV(Life Time Value)が高いファンを作り出すことができます。

タイアップキャンペーンの事例

タイアップの目的・ゴール、新たに取り入れたい顧客層、自社との相性によって取り組むべき相手はさまざまに変動していきます。ところで、企画の内容には複数のベーシックな型があります。例えば、キャンペーン、商品開発、タイアップ広告、イベント、懸賞、限定メニューなどです。

今回は、学生とのタイアップイベント、メディアとのタイアップ広告、キャラクターとのタイアップ商品の3つの事例をご紹介します。

事例1.東京モード学園×ジーユー

東京モード学園ファッションビジネス学科は、ジーユー新店オープン記念イベントとして「ジーユー×東京モード学園」企画の特集タイアップが行われました。東京モード学園の学生が、ジーユー商品を使ったスタイリングや、リメイク作品の展示を実施。ファッション専門学校の学生によるスタイリング提案で、ファッション感度が高いZ世代に向けたアプローチを実現しています。

店舗以外にも、LIVE動画メディアで東京モード学園の学生が商品提案を行う限定コンテンツ、ジーユー公式オンラインサイトやアプリ内で学生を活用したインフルエンサー施策などを実施。店舗に来店できない生活者にもコンテンツを届ける仕組みを作っています。

参考:【モード学園×ジーユー】東京モード学園 Z世代の学生たちによる“ジーユー”の新しいスタイリングを提案

事例2.カラリア×sweet

香水やルームフレグランスなどの香りのサブスクサービスを展開するカラリアは、雑誌「sweet」でタイアップ企画を実施しました。紙面、Webメディア・SNSでの商品の紹介、タレントを起用した記事の掲載などを行っています。

雑誌タイアップだけでなく、タレント本人のSNSでも商品を紹介したり、SNSキャンペーンも開催。さまざまなメディアを活用することで、雑誌の読者だけでなく、多くの生活者にアプローチすることができる企画になっています。

参考:カラリアが女性誌『sweet』とのタイアップ企画を実施 誌面には、モデルの谷まりあさんが登場!

事例3.サンリオ×リカちゃん

タカラトミーが販売する「リカちゃん」は、サンリオのキャラクターとのタイアップによる商品を発売しました。ターゲットを成人に設定し、高価格帯の限定商品を展開しています。タカラトミーとサンリオの社員が共同で商品開発を実施。タイアップでありながら、コラボレーションの要素も含んでおり、どちらの顧客にも受け入れられやすい商品になっています。

人形の販売だけではなく、今後も雑貨やアパレルなどの展開が予告されており、継続的な取り組みとして生活者にアプローチしていく企画です。

参考:「マイメロディ」と「クロミ」をモチーフにした、甘辛スタイルのリカちゃんが2体同時に登場!2022年8月31日(水)予約開始、10月18日(火)発売!

タイアップ成功には、目的・ゴールの理解が必須

企業タイアップの進め方や成功のポイントについて解説してきました。タイアップで重要なのは、大きく2点。①必然性や納得感のある取り組みを行うこと、②企画を進めるに当たって自社がイニシアチブを握り、目的やゴールに向かって推進していくこと、です。

複数社が絡む取り組みでは、いつの間にか企画の実施自体が目的・ゴールになってしまうことがあります。それでは求める成果を出すことは困難。目的・ゴールを理解し、達成に向けた企画を実行していきましょう。

タイアップに関するQ&A

PR TIMESのご利用を希望される方は、以下より企業登録申請をお願いいたします。登録申請方法料金プランをあわせてご確認ください。

PR TIMESの企業登録申請をするPR TIMESをご利用希望の方はこちら企業登録申請をする

この記事のライター

長瀬 みなみ

長瀬 みなみ

ITベンチャーにて広報PRを担当したのち、ヘルスケアベンチャーにて広報PR部門の立ち上げ、ブランド責任者として取締役就任。YouTubeチャンネル運営など、さまざまなメディアを活用した分ランディングや広報活動を行う。独立後は、広報PR・ブランディング・コミュニティ運営など幅広く活動している。これまでの経験から広報・ブランディングに関する戦略立案からプレスリリース執筆まで幅広くカバーしたコンテンツを作っています。

このライターの記事一覧へ