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DM(ダイレクトメール)とは?広報活動でDMを利用するときのポイントやシーンを紹介

企業や店舗から個人に対して郵送で送られてくる「DM(ダイレクトメール)」。実際に受け取ったことがある人も多いでしょう。デジタル媒体が主流になりつつある昨今、紙を主としたリアル媒体を活用することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

本記事では、広報担当者がDMを活用したいシーンやポイントについてまとめました。ぜひ自社でのDM活用の参考にしてみてください。

DM(ダイレクトメール)とは?

DMは 「 Direct Mail(ダイレクトメール)」の略です。個人に対して直接送られる印刷物のことを広くDMと呼びます。企業では、販売促進やマーケティングの施策として取り入れられています。広報活動では、メディアや株主といったステークホルダーへのコミュニケーションツールとして活用します。

近年では、SNSの普及によってDM=ダイレクトメッセージと認識されている場合もあります。この記事では、印刷物を郵送するダイレクトメールについて解説をしていきます。

企業が広報活動でDMを送付する3つのメリット

DMを送付することでどのようなメリットがあるのでしょうか。特に注目したい3つのメリットについてまとめます。

DMイメージ

メリット1.五感に訴えることができる

DMは、リアルな実物を送付するため、受け取る人の五感に訴えることが可能です。メールのようにテキスト情報だけではなく、視覚や触覚、嗅覚など全身で体験できるので、印象に残りやすいツールです。情報を読み飛ばすのではなく、しっかりと記憶してもらうためのさまざまなアプローチができます。

メリット2.伝えられる情報量を増やせる

テキスト以外の要素を組み合わせることで、伝える情報量を増やすことができます。サイズや形状もさまざまな種類から選択が可能。さらに、画像や写真の利用、デザインなどの自由度も高くなります。これらを組み合わせて、効果的に情報を伝えられる手段を選びましょう。

メリット3.デジタルよりも開封してもらいやすくなる

デジタル媒体よりも開封率が高いことが、さまざまな調査結果から明らかになっています。メールマガジンの開封率は、オンラインマーケティングサービスを提供するコンスタント・コンタクト社の2020年の調査では、平均で17.16%。一方で2018年に一般社団法人日本ダイレクトメール協会が行った調査によると、DMの閲読率は79.4%となっています。

このように、絶対に届けたい情報を伝えるための手段として、DMが有効であることがわかっています。

DMの送付が向いている5つのシーン

DMは、メールなどのデジタル媒体とは異なる「特別感」を演出することができます。この特別感を演出するのに最適なシーンを5つご紹介します。

1.自社のアニバーサリー

自社の周年行事は、ステークホルダーへ日頃の感謝を伝える絶好のタイミング。メールなどのデジタル媒体ではなく、DMを送付することで印象深い施策になります。また、周年記念では、リブランディングやロゴ刷新などを行う企業もあり、それらの情報をよりリッチに伝えることができるのもDMの強みです。

2.新規リリース

サービスや商品の新規リリース時の認知施策としても、DMは活用できます。写真などの画像素材やデザインによって、イメージが伝わりやすくなります。サンプル品を同梱したり、限定クーポンなどを添付したりして、実際に体験してもらう機会を作るとより効果的です。

3.人事異動

重要ポジションの人事異動があった場合も、ステークホルダーにこれまでの感謝と引き続きの協力のお願いを伝えるのにDMが効果的です。可能であれば、自筆でひと言添えるとよいでしょう。

4.リニューアル

サービスや商品のリニューアルのタイミングでも、新規リリースと同様にDMが活用できます。リニューアル前との違いを体験してもらうために、サンプル品の同梱やクーポンの添付などの施策も合わせるのがよいでしょう

5.季節行事

季節行事に合わせたDMは、年賀状や暑中見舞いなど、日常生活の中で個人が送る場合も多いのでイメージしやすいのではないでしょうか。企業としても、季節行事に合わせてステークホルダーへの挨拶を送ると、デジタル媒体とは違う特別感を演出することができます

企業が広報活動でDMを送付する流れ

DMを作成し送付するまでには、どのような作業があるのでしょうか。7つのステップを解説します。

DM作成の流れ

STEP1.送付リスト作成

まずは、送付リストを作成します。目的とゴールを明確にして、誰に何を送るのかを決定する必要があります。伝えたい情報は何か、この情報を知ることで受け取った人にどのような行動を起こしてほしいのか、などを具体的にしていきます。目的とゴールが明確になると、「誰が必要としている情報なのか」「誰に送るべき情報なのか」もおのずとはっきりするはずです。

DMは無闇に不特定多数の人に送っても効果がありません。目的とゴールから送るべき相手を絞り込んで送付リストを作成し、より効果的な施策として実施しましょう。

STEP2.テーマ決め

目的とゴール、それに沿った送付リストができたら、送付先に対してどのようなテーマや切り口で情報を伝えるかを決定します。送付リストの人たちが最も共感し、興味を持ってくれる切り口を検討しましょう。時流や流行を捉える、季節性のある内容にする、送付リストの人々が抱えているであろう課題に対してアプローチするなど、さまざまな切り口が考えられます。

テーマや切り口を明確にしておくと、制作作業も分担が可能になり、作業効率を上げることにもつながります。

STEP3.文章作成

テーマ決めまで終了したら、実際の文章を作っていきます。文章作成で気をつけるべきポイントは、次の3つです。

  1. 一文を短く簡潔にする
  2. 読み手にとってのメリットをアピールする
  3. 適度な距離を保つ言葉選びをする

回りくどい文章ではなく、簡潔で端的に伝わる文章を目指しましょう。

STEP4.デザイン

DMを開封してもらえるか、読んでもらえるかは、デザインによって決まると言っても過言ではありません。テーマに沿った、目をひくデザインを心掛けましょう

STEP5.印刷

印刷は、自社内で行う場合と印刷業者に発注する場合があります。印刷業者に発注する場合は、印刷した実物の色味や雰囲気がデザインデータ上のイメージと変わってしまう場合も。必ず校正サービスを利用して、仕上がりのイメージを把握するようにします

印刷業者に発注する場合は、社内で印刷するよりも完成までに時間がかかることもあるので、スケジュールをよく確認するようにしましょう。

STEP6.宛名をつける

宛名は発送数が少なければ手書きでする場合もありますが、ほとんどの場合はシール印刷を行って貼り付けます。宛名印刷も、DM本体の印刷と同様、社内で印刷する場合と印刷業者に発注する場合があります。

印刷業者に依頼する場合は、DM本体・宛名印刷までワンストップで行うサービスもあります。社内のリソースに不安がある場合は、そのようなサービスを活用してもよいでしょう。

STEP7.発送

DMが完成したら、発送を行います。1通ずつ切手を貼り付けてポストに投函してもよいですが、量が多い場合は郵便局に持ち込むのがおすすめです。

企業が広報活動でDMを送付するときに気をつけたい3つのポイント

DMを送付して効果を高めるには、気をつけたいポイントがあります。DMを活用するときにぜひ意識してほしい大切なポイントを3つにまとめました。

ポイント1.シンプルな構成にする

DMを作成する際は、シンプルな構成を心掛けましょう。情報量を増やせることが魅力のDMですが、情報量が多すぎて本当に伝えたいことが伝わらない状態になってしまっては本末転倒です。

メインメッセージが伝わることを最優先にして、それを裏付けるための画像・グラフ等の視覚情報や補足テキストなどで、情報に厚みを持たせることを意識するのがポイント。情報量を増やした結果、メッセージが複数になってしまうと、伝えたいことも正確に伝わりません。ひとつのDMではひとつのメッセージを伝えることを意識し、情報量を増やしてもその内容に一貫性を持たせることがポイントです。

ポイント2.受け取る「個人」に向けて書く

DMは、個人に向けて送るものだということを意識してください。たくさんの数を発送するため、全体に対してDMを制作してしまいがちです。しかし、手に取ってくれた人は、自分に対して送られたDMだと感じることで、DMの情報に興味を持ちます。

そのためには、DMを発送する対象者をより具体的にイメージすることが重要です。送付先全体ではなく、より具体的なペルソナ設定を行いましょう。ペルソナをイメージすることで、より興味を持ってもらえる情報や表現を選択することができます。

例えば

  • 2年以上サービスや商品を継続購入していただいているお客さま
  • 文系学部への入学を希望する受験生のみなさま
  • 市内在住の3歳以上のお子様のいるお母さんとお父さん

上記のようにすると、伝えるべき情報や使うべき表現が判断しやすくなります。

ポイント3.次につなげるフックを作る

DMを受け取った人が、その次の行動を起こしてくれるフックを作ります。DMには必ず送付する目的があります。例えば、新商品を認知して購入してほしい、新しい取り組みを知ってもらい問い合わせにつなげたい、などさまざまです。それらの目的を達成するために、受け取り側が行動を起こしやすい動線を作ります。購入してほしいのであれば、ECサイトへの動線となるQRコードをつけたり、問い合わせ先としてメールアドレスや電話番号を記載したり、それぞれの目的に合わせた設計を行いましょう。

DMを単体の媒体として捉えるのではなく、クロスメディアの一部として広報活動や広告宣伝ツールの一部として活用すると効果的です。

クロスメディアについて詳しく知りたい方はこちらの記事もチェック!

印象に残るDMの成功事例

印象に残るDMの成功事例は、企業の目的やターゲットによってさまざま。今回は全日本DM大賞のグランプリを受賞した事例から、特に広報PRにおけるDM施策でも活用できそうなものを3つご紹介します。

1.ソフトバンクグループ

個人に焦点を当てた事例としてご紹介したいのが、2018年の第32回全日本DM大賞グランプリを受賞した、ソフトバンクグループの「ケータイアルバム」DMです。継続利用促進と顧客ロイヤリティ向上を目的に、長期間ソフトバンクを利用しているユーザーに対して送付されました。

内容は、ユーザーがこれまでに利用した携帯電話の機種を掲載したアルバムのような小冊子。それぞれの「ケータイの歴史」を、機種の写真とコピーで一冊にまとめています。一人ひとりの利用歴に基づき、個別に作られたDMは大きな反響を呼びました

2.リクルート

五感に訴えるDMとしてご紹介するのが、2021年第35回全日本DM大賞のグランプリを受賞したリクルートの「スタディサプリENGLISH法人サービス」のDMです。サービスの法人契約獲得を目的に大企業の人事部長宛てに送付しました。

送付したDMは2種類。研修コストの削減ができるメリットを伝えるために、「削る」とかけてかつお節を同封したものと、アナログ学習の代表である単語帳を模したものです。かつお節はその斬新さが目をひくことはもちろん、紙媒体だけでは伝えられない味覚・嗅覚を刺激する手法。単語帳タイプは実物のようにリングでまとめられ、単語帳をめくる感覚で読み進めていきます。

これらのDMの発送により、資料請求の件数は40倍に増加。大判はがきのDMと比較して訴求効果が爆発的に上がったそうです。

3.東京個別指導学院

受け取り手の体験設計を作り込んだ事例として、2020年第34回全日本DM大賞グランプリを受賞した東京個別指導学院の「受験生の母子手帳」DMをご紹介します。通塾している受験生の保護者に向けて送付されたこのDMは、満足度を向上することで兄弟姉妹や友人などの新規ユーザーを紹介してもらうことが目的です。

受験生活に不安を抱くことが多い保護者に対し、子供の成長記録や長所を保護者自身が書き出すページが設けられています。単にDMを情報として読むだけではなく、実際に自分で記入することで、保護者が子供と向き合うきっかけ作りをしています。

結果として、紹介での入塾数は2倍になりました

DMを活用して、デジタル媒体にはできない価値のの訴求をしよう

広報活動におけるDMの活用について詳しく解説してきました。リアル媒体によるDMは、メールなどのデジタル媒体ではできない五感に訴えるアプローチが強み。デジタルだけでは伝えきれない自社の価値を、存分に伝えることができます

一方で、開封率などの効果測定が難しいなどの弱点もあります。DM単体で完結させるのではなく、DMを受け取った人に行動を喚起させる仕組みを必ず用意することを忘れないようにしてくださいね。

広報活動でのDM活用に関するQ&A

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この記事のライター

長瀬 みなみ

長瀬 みなみ

ITベンチャーにて広報PRを担当したのち、ヘルスケアベンチャーにて広報PR部門の立ち上げ、ブランド責任者として取締役就任。YouTubeチャンネル運営など、さまざまなメディアを活用した分ランディングや広報活動を行う。独立後は、広報PR・ブランディング・コミュニティ運営など幅広く活動している。これまでの経験から広報・ブランディングに関する戦略立案からプレスリリース執筆まで幅広くカバーしたコンテンツを作っています。

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