PR TIMES MAGAZINE|広報PRのナレッジを発信するWebメディア
記事検索
title

【イベントレポ】現役記者に聞く、“トレンド”の見つけ方 #広報の集い

広報・PRパーソンの中には、「トレンドを押さえたネタを見つける力を身に着けたい」という方は多いのではないでしょうか。

しかし、メディアの方が「トレンド」をどのように定義し、どのようにネタを探しているのか、知る機会はなかなかありませんよね。

そこで今回は、某全国紙の個人消費担当記者の2人に、ご自身が考えるトレンドや、トレンドに合わせたネタの探し方などを詳しく伺いました。本レポートでは、そのオンライン勉強会の内容をお届けします。

<登壇者>

某全国紙の個人消費担当記者 A氏
某全国紙の個人消費担当記者 B氏

モデレーター 広報の集い 江川 みどり

トレンドの定義とは?

現役記者に聞く、”トレンド”の見つけ方01


A「トレンドは非常に難しく一概には言えませんすが、『消費者心理の変化、それに伴う新たなビジネスの芽吹き』だと思っています。例えば最近筋トレがブームですが、筋トレ自体は昔からあるものですよね。ブームになるには理由や背景があるのです。その要素を時系列でお伝えします。

まずは美意識の変化です。『筋肉ってかっこいいよね』『海外モデルみたいな締まったカラダってかっこいい』という意識が世の中で広まってきました。すると自然と筋トレする人が増加します。そして、関連商品・サービスが人気になる、という流れです。具体的にいうと、プロテイン販売が好調であったり、ジム会員が増加していたりという現象が起きています。

そこでトレンド系の記事を担当する我々は、美意識の変化の段階で取材できるのがベストだと思っています。関連商品もない、市場も開拓されていない、市場規模に関するデータや調査結果もない、でも明らかに消費者の心理変化は存在しており、今後関連ビジネスが流行していく兆しが見える。そんなトレンドをいち早くつかみたいと考えています。

『これから新商品を開発したい』『今の消費者が何を考えているか知りたい』といった方々の思いに応える情報が載っている、そんな記事を目指しています。

現役記者に聞く、”トレンド”の見つけ方02

トレンドの探し方

A「正直、近道はありません。SNSのアカウントを複数つくり常にタイムラインを追ったり、広報さんに最近回りで流行っているものを聞き出したり、日々生活の変化を周囲の方にヒアリングしたりと、地道に情報収集していました」

B「私は友人や大学の後輩など、人づてに情報収集することが多いですね。また、地方出身ということもあり、地方を切り口とした取材をすることもあります」

事例紹介

A「これまでに私が取材してきた事例をいくつかご紹介いたします。まずは遺伝子検査ついて取材した記事です。この記事は、自分のルーツ(遺伝子)を知りたいという欲求があり、まだ誰もが遺伝子検査を行うといったブームまでは起きていない、でも興味はあるというタイミングで取材できた事例です。

もう一つは、コロナで生活様式が変わったことによる、消費者の時間の使い方の変化についてまとめた記事です。在宅勤務が増えたことで仕事とプライベートの境目がなくなり、仕事の合間に買い物をしたり、料理をしたりということが増えたという内容をいち早く取材し、記事にすることができました。

現役記者に聞く、”トレンド”の見つけ方03

また、原宿に行って、女子高校生に使っているアプリやサービスをインタビューするということもしていました(笑)大人になると十数年前のことなのに、学生が何に悩んで何にお金を使っているか分からなくなっているのですが、実際に取材をするとそこがビジネスの種になっていることもあり、トレンドは消費者との会話のなかに転がっているということを実感した経験でしたね」

B「私は筋トレの記事についてお話しします。筋トレはもともとあったものですが、このコロナ禍で方法や道具に変化があったのではないかと仮説を立て、取材をはじめました。すると、家でDIYして筋トレスペースをつくっている方がおり、事例として取り上げました。大きな市場のなかでちょっと変わったことをしている人や、変わったモノを見つけて取材するということが多いですね

質疑応答

江川「コロナ禍での情報収集はどのようにされていますか」

A「SNSやオンラインでのコミュニケーションがメインですね。私から、広報の方に『最近どうですか?とりあえず30分話しませんか?』と声をかけて、情報交換することも多いです」

B「やはり友人をはじめとした、知り合いの方に聞くことが多いですね。上司にネタがないなら『知り合い10人に聞いてトレンドや流行を掴んでこい!』と言われたこともあります(笑)」

江川:「どんな広報さんに連絡したくなりますか?」

A「最近の流行りに詳しく、好奇心旺盛な方にはぜひ話を聞きたいです。話好きの方だと積極的に様々な情報をくださるので嬉しいです」

江川「続いて、毎週何本か企画を提案されているかと思いますが、どれくらいの確率で採用されますか?また、通りやすい企画/通りにくい企画についても教えていただきたいです」

A「だいたい毎週2本企画を出すのですが、1本通ったらいいなという感じです。企画会議では、デスクのチェックが入り、『そのネタは成立するのか』という視点で見られます。ただ流行ってるというだけではなく、そのムーブメントを象徴するようなサービスと具体的な数値データが求められますね

江川「逆に言うと、その具体例と数値があれば企画会議でも通りやすいということですね。では、同じ会社の別の媒体の記者さんへ同じネタをお伝えしたい場合、提供情報のすみ分けはどのようにしたらよいでしょうか?」

A「基本的に分けなくて大丈夫です。

一概には言えませんが、そこまで厳しくないと思うので、どちらの媒体の記者にも気軽に情報提供していただいて大丈夫ですよ」

まとめ

今回の勉強会では、トレンド担当の記者さんに、トレンドの定義、これまでの取材事例、情報収集の仕方について伺いました。

  • トレンドとは「消費者心理の変化、それに伴う新たなビジネスの芽吹き」である
  • 消費者の心理変化をいち早く捉えた記事がベスト
  • 情報収集はSNSや広報から地道に


PRパーソンの皆さんにとって、改めてトレンドとは何かを考えるきっかけになれば幸いです。

現役記者に聞く、”トレンド”の見つけ方04

PR TIMESのご利用を希望される方は、以下より企業登録申請をお願いいたします。登録申請方法料金プランをあわせてご確認ください。

PR TIMESの企業登録申請をするPR TIMESをご利用希望の方はこちら企業登録申請をする

この記事のライター

江川みどり

江川みどり

2018年、新卒社員としてユナイテッド株式会社に入社。 広告営業を経て、2年目に入社時から希望していた広報グループに配属される。Web社内報や社内ライブ配信企画「みどりの部屋」なども手掛ける。2020年10月、同い年の広報仲間である千株式会社の木村さんとと共に「#広報の集い」を立ち上げ、主催者として月1回メディアを誘致した勉強会を開催。

このライターの記事一覧へ