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M-1王者「たくろう」さんで話題のSNSにも迫る。関西から全国に届く広報PRへ|京都産業大学×タメニー×THE DAY

M-1王者「たくろう」さんで話題のSNSにも迫る。関西から全国に届く広報PRへ|京都産業大学×タメニー×THE DAY

少子高齢化に伴い18歳人口の減少が進む中、大学広報には入学者獲得にとどまらない役割が求められています。

プレスリリース配信サービス「PR TIMES」を運営する株式会社PR TIMESは、2026年3月19日にユーザー会を実施。第一部では、お笑い賞レース「M-1グランプリ2025」王者となった「たくろう」赤木裕さんに関するSNS投稿が大きな話題となった、京都産業大学 学長の在間敬子さんが登壇。世の中の空気をとらえた発信判断や、組織としてスピード感ある意思決定を実現した広報PR体制の裏側をお話しいただきました。

続く第二部では、地方支社・地方事業の広報PRを数多く手がけてきた平田恵さんと、地方・小規模事業の広報支援を多数手がけてきた永井玲子さんが登壇。東京と関西のメディア特性の違いや、地域や組織規模を越えて話題を広げるための実践ポイントについて解説しました。

それぞれ、当日のお話をもとにレポートしています。

第一部:スピード判断で認知を広げた大学広報

昨年末に行われた漫才日本一決定戦「M-1グランプリ2025」で優勝したお笑いコンビの「たくろう」さんが、ファーストステージのネタで京都産業大学(KSU)の略称を「KSD」と表現。これに対し、同大学がSNSで即座に反応したことが話題となり、認知拡大につながりました。

全国に大きく認知を広げるきっかけとなったスピード感のある発信は、どのような判断で実現したのでしょうか。

在間 敬子のプロフィール画像

京都産業大学 学長

在間 敬子(Zaima Keiko)

1984 年大阪大学理学部卒業後、民間企業の研究職等を経て、京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)、博士(工学)。2007年4月に経営学部に准教授として着任、2011年4月より教授。経営学部長、副学長等を経て、2024年10月より学長。

学校法人京都産業大学:最新プレスリリースはこちら

話題化の瞬間を逃さない発信判断

──昨年末のM-1をきっかけに生まれた京都産業大学公式Xの「KSD対応」が大きな話題になりました。あの投稿はどのタイミングで決めたのですか。

「たくろう」の赤木さんが本学の卒業生であることから、昨年末のM-1は大変楽しみにしていました。今回は初の決勝進出ということもあり、広報PRでもSNSの発信体制を事前に整えて見守っていたと聞いています。

ファーストステージのネタの中で、たくろうのおふたりが「KSU(Kyoto Sangyo University)」を「KSD(Kyoto Sangyo Daigaku)」と発言した際には大いに盛り上がり、Xでも関連投稿を行いました。優勝後は、広報部長や理事長と連携し、速やかにお祝いのメッセージを発信。全体として、迅速な対応ができたと感じています。

──お祝いのメッセージの投稿では大学のロゴも「KSD」に変更されていて驚きました。

お笑いの分野でも人材を輩出している大学ということもあり、もともとそういったことを受け入れる土壌はあったと思います。大学で公式に使用しているロゴがシステムに登録されているので、それを使って「KSD」のロゴをすぐに作成し発信していました。

──「KSD」パーカーも作って発売されていましたよね。

今年1月のイベントに「たくろう」のおふたりが来てくださった際、スタッフ用に「KSD」パーカーをご本人たちにもプレゼントしたところ、卒業生からも「ほしい」という声が多く集まりました。第二弾として「KSUときどきKSD」と書いたパーカーを300枚の数量限定で発売したのですが、その日のうちに完売。その後も作ってほしいという声が多数寄せられるほど好評だったんですよ。

──学長自身もすごく理解があって若手も率先して動いてくれるという、広報PRの担当者としては恵まれた環境に感じますが、一連の対応に対して反対意見などは一切起こらなかったのでしょうか。

もちろん、反対意見もありましたよ。「KSUも知られていないのにKSDをアピールするのは控えたほうがよいのではないか」という声もありましたが、今はそこを議論している場合ではないなと。なによりも「旬」が大切だから、すぐにコメントを出すように私から担当者に伝えました。

本学の卒業生がM-1で優勝するというのは、私たちにとってもめったにない機会です。タイミングを逃して翌日になってしまったら、熱が冷めておもしろくなくなってしまうので、「すぐに発信する」というのは大切なポイントだったと思います。

──そして今回は、Xでの発信がWeb記事になり、さらに認知が広まったという点が印象的でした。

Xでの発信が大きな注目を集め、Yahoo!ニュースの記事にもなりました。また、その後は朝日新聞にも取り上げていただき、再度注目していただくきっかけに。最初の段階でさっと意思決定して、スピーディーに動くことができるというのは、広報PR活動においては重要なことだと実感しましたね。

現場に任せるSNS運用の仕組み

──京都産業大学の広報室には何人くらい在籍されているのでしょうか。また、今回話題となったXの運用についても教えてください。

もともとは「入試広報」といわゆる「ブランディング広報」を分けていたのですが、現在は一体化し、専任以外にも嘱託の方も含めて全体では10人以上の体制に拡大しています。

公式Xは、SNSキャラクター「むすぶくん」が発信している体裁になっており、担当者がいわゆる「中の人」として投稿しています。「こういう内容を発信しよう」といった相談は受けていますが、基本的には担当者の裁量で自由に発信していますね。

また、学部などがそれぞれXを運営していることもあり、アカウント数は多いほうだと思います。ただ、それらを大学として一括管理しているわけではなく、学部ごとに運用方法も異なるのも特徴です。学生が発信する場合は教職員が念のため内容を確認していますが、これまでに「この発信は控えたほうがよい」と止めたことはなく、ある程度自由に発信できているのではないでしょうか。

ただし、M-1当日は夜間かつ休日だったため、急遽、部長・課長・課長補佐を含む専任スタッフのグループLINEを立ち上げ、対応に備えました。

「成果に縛られない」広報PR活動の考え方

──SNS運用がどのように売上に貢献するのか、またどのような点で評価されるのかを気にされている担当者も多いと思います。京都産業大学では効果測定の指標はありますか。

広報PR活動はもちろん重要ですが、「これに取り組んだから志願者数が増える」というような単純なものではないと考えています。そのため効果測定については、閲覧数などを参考にする程度で、厳密な評価までは行っていません。

もちろん、全体としては広報PRにかける予算があるため、年度ごとの振り返りとして「志願者ひとりあたりにどの程度のコストがかかっているか」といった大まかな分析は行いますが、達成できなかったからといって厳しく評価するようなことはないですね。

また、学部ごとのX運用では学生を巻き込んでいるケースもあり、そうした活動は学生にとっての学びの場にもなっているため、必ずしも直接大学の利益につながる必要はないと考えています。

──トップが「直接的な売上ではなくブランディングとして重要」と理解している環境は、広報PR担当者にとって、仕事もしやすいのではないかと感じました。

本学では、経営のトップは理事長、私は教学のトップとして、経営と教学の一体化を図り、連携しながら運営しています。理事長はこれまでの広報PRの在り方を見直し、従来のやり方にとらわれず新しい手法も取り入れていこうという考えを持っており、広報PRの重要性をよく理解しているため、組織全体としても以前より活性化していると感じています。

また、最終段階で承認を得るのではなく、初期段階から理事長にも加わってもらい、一緒に進めていく形に変えたことも大きいと思います。LINEなどで随時やり取りを行いながら方向性を共有し、スピーディーに意思決定を行っています。「これで進めよう」と合意したうえで共有することで、広報部の負担軽減や推進力の向上にもつながっているのかもしれません。

第二部:東京と関西の違いから学ぶメディア対応の実践ポイント

東京と地方ではメディアの特性や求められる対応スピードが大きく異なり、その違いを理解しないままでは、取材機会を逃してしまうことも少なくありません。第二部では、平田さんと永井さんのおふたりに、東京と関西それぞれのメディア対応の違いを整理しながら、メディアに取り上げられる実践ポイントを解説いただきました。

平田 恵のプロフィール画像

タメニー株式会社 コーポ―レート統括本部 経営企画部

平田 恵(Hirata Megumi)

人材・メディア業界を経て、2016年9月に株式会社パートナーエージェント(現:タメニー株式会社)へ入社。未経験から広報業務を担当し、広報基盤の構築やメディアリレーション強化に携わる。現在は社内外への情報発信を中心に、コミュニケーション活動全般を担当。2017年度には年間100本以上のプレスリリースを配信し、2018年にはYahoo!トップ掲載を獲得。2024年10月より、株式会社PR TIMES公認「プレスリリースエバンジェリスト」としても活動し、企業の広報支援や情報発信の強化に取り組んでいる。

タメニー株式会社:最新プレスリリースはこちら

永井 玲子のプロフィール画像

THE DAY代表/株式会社pen. 代表取締役

永井 玲子(Nagai Reiko)

京都産業大学卒業後、食品メーカーで営業職としてキャリアをスタート。2012年「小さなお葬式」を運営する株式会社ユニクエストに営業として入社し、その後広報へ転身。未経験で広報部門を立ち上げ、年間60回以上のメディア露出を実現し、受注件数の増加に寄与。2021年に独立し、大阪を拠点にフリーランス広報として地方企業を支援。初心者向け広報オンラインサロン「広報食堂」と、広報勉強会「テラスク」を広報仲間と共に運営中。2025年2月から大阪本町で大人向けペン字教室「pen.(ペン)」を運営する株式会社pen.を起業し、自身の事業でも広報PRを実践。10ヶ月で25媒体への露出を実現する。2024年10月より、株式会社PR TIMES公認「プレスリリースエバンジェリスト」としても活動。

「即レス」「即答力」「調理力」で自社情報を全国へ

平田さん(以下、敬称略):当社はサービスの特性上報道番組からの取材が多いのですが、東京の番組は「明日、あるいは今日中に放送したい」という場面も多く、取材対応は即日がとなるケースがほとんどです。そのため、スピードがなにより重要で、私は原則15分以内、遅くとも1時間以内の返信を心がけています。メディアは自社以外にも同時に声をかけていることが多く、早く対応できた企業が取材につなげられるからです。一方、大阪の番組は1〜2週間後の放送を前提とした問い合わせが多く、日程調整の余地がある印象です。ただし、現地での撮影が重視されるため、支店がない企業は不利になるケースも少なくありません。

また、テレビ取材は「提供できる情報を常に整理しておくこと」も大切なポイントのひとつです。新聞の取材の場合は比較的余裕がありますが、テレビは問い合わせからそのまま電話取材に移行することも多いものです。あらかじめデータを整理し、「確認します」という返答を減らせるよう準備をしておくとスムーズに進むことが多いと感じています。

永井さん(以下、敬称略):社内で細かな確認が必要になることで、結果的にメディア対応が遅れてしまい取材機会を逃してしまうケースもあります。そうした事態を防ぐためには、過去に受けた質問や回答内容、どこまでの数値を開示できるのか、積極的に出せる情報と慎重に扱うべき情報などをあらかじめ整理しておくことも大切。そうした準備があれば、都度上長の判断を仰がなくても、迅速な対応が可能になってきます。

ちなみに、関西の企業の中には「東京のメディアに取り上げられたことがない」という方も多いと思いますが、自社に合ったテーマを狙うだけでなく、メディア側の企画に合わせて自社の素材を提供することも重要なポイントです。入社式や母の日など、メディアには「毎年扱うテーマ」があるため、そこに自社の文脈を掛け合わせて提供することで、地方からでも東京のメディアと接点をつくることができると思います。

平田:そうですよね。広報PRの役割は、情報をそのまま出すことではなく、メディアにとって価値ある形に「調理して」届けることです。メディアにあったテーマに自社の情報を合わせて展開する必要があります。

また、メディアリレーションで大切なのは「困ったときに思い出してもらえる存在になること」です。もちろん、自ら情報を売り込んで取り上げてもらうこともありますが、それ以上に「この枠が急に空いてしまったとき、あの人に聞けば何か出てくる」と思ってもらえるかどうかが重要なことだと考えています。これはメディアとの関係だけでなく、広報PR担当者同士の関係にも言えることです。自社で対応できない場合でも、適した情報を持つ他社を紹介するなど、横のつながりを活かすことも求められますね。

あとは、「まずは発信しなければ理解は得られない」ということ。社内から理解されないから発信できない、という声もあるかと思いますが、そこは乗り越えていく姿勢も大切かもしれません。発信を重ねることで、徐々に社内の理解は進んでいくものです。取材後の反響を社内にフィードバックしたり、どのメディアに掲載されたのか、取り上げられた時間や対応者、問い合わせ数などを共有したりすることで、広報PR活動の価値も伝わりやすくなるのではないでしょうか。

【質疑応答】参加者からの質問に平田さんと永井さんが回答

ここからは、当日セミナー会場で寄せられた質問の一部を抜粋し、おふたりの回答とあわせて紹介します。

──関西に本社を構える企業の場合、東京のメディアに取り上げてもらうためにはどのようなアクションが必要なのでしょうか。

永井:広報PR同士の横のつながりを築くことがひとつですね。広報の担当者は日々メディアと接点を持っているため、自社の取り組みやサービスを他社の広報担当に知ってもらうこと自体が大きなアドバンテージになると考えています。

東京のメディアさんと接点を持ちたい、でもツテがないという関西の方にとって、関東の広報PR担当者との関係を築くことも有効だと思います。大阪での露出を強化したいと考えている東京の企業も多く、お互いに持っているメディアを紹介したり、情報交換をしたりできると思います。

平田:発信する数もやはり重要です。以前、関西テレビの番組で取材を受け、その内容がYahoo!ニュースのトップに掲載されたことがありました。実はそのサービス自体は大阪にも同業者は多数いたため、必ずしも当社である必要はなかったと思います。

それでも当社が選ばれた理由として、「調べても他社の情報が見つからなかった」と。つまり、当社の発信量が他社を上回っていたのかもしれません。メディアはまず情報を検索し、上位に表示された企業から順にコンタクトを取る傾向があるように思います。だからこそ、どれだけ情報をWeb上に蓄積しておけるかもポイントです。メディアに「見つけてもらえる状態」をつくることが、今の時代の広報PRには大切だと思います。

──無形商材を扱っている場合、自社の魅力をどのように伝えていくべきでしょうか。

永井:無形商材やBtoBの場合は、実際にサービスを利用している顧客の事例を発信するのがポイントです。最初から全国メディアを狙うのではなく、まずは地方紙への掲載を目指すことも有効だと思います。

平田:当社では、自治体の婚活支援にシステムを導入し、自治体と連携した発信を行っていますが、自社だけでなく自治体側からも発信してもらうことでより広がりが生まれました。

こうした取り組みも、ひとつの事例を継続的にプレスリリースで発信することで、他の自治体からの問い合わせにつながっています。無形商材の場合は、パートナーや第三者を巻き込むことも、有効なアプローチのひとつだと考えていますね。メディアは必ずしも東京の事例だけを求めているわけではなく、強い企画があれば地域を問わず取材対象になります。そのため、各地で実績や事例を積み重ねておくことも大切だと考えているのです。

──大阪発のBtoB SaaS企業で訪問看護向けの電子カルテなどを提供しています。専門性の高い領域のプレスリリースを、業界外のメディアや生活者に届けるためには、どのような切り口やタイミングの工夫が必要でしょうか。

永井:近しい業界のニュースやトピックに自社の文脈を置き換えて発信することが有効だと思います。また、業界の動きやデータ、業界での有識者候補の情報までを組み合わせて、ひとつの企画としてパッケージ化して提案する方法もあります。

平田:婚活も、今でこそ一般的な言葉ですが、10年前はまだ認知が低い領域でした。当社では2018年に「AI婚活」という言葉を用いたプレスリリースを出し、自治体との取り組みとして発信。当初はすぐに大きな反響があったわけではありませんが、翌年以降にメディアからの問い合わせが増え、注目が集まるようになりました。

注目されているテーマだけでなく、これから広がる領域に対して「言葉」や「切り口」をつくり、継続的に発信していくこともおすすめです。ニッチな分野であればあるほど、その領域の価値を定義していくチャンスがあるのではないでしょうか。

──当社は有形商材のメーカーですが、製造工程を外部に委託しているため、取材時に「絵になる」素材が用意できないことに課題を感じています。このような場合、どのような工夫が考えられるでしょうか。

永井:以前担当したメーカーさまも同様に製造を外部に委託していましたが、自社で行っている検品工程で、職人が作業している様子を撮影することで対応しました。

また、他社の露出事例を参考にし、「放送中でどのような画が使われているか」「自分たちならどんな見せ方ができるか」を考えることも有効です。必ずしも同業でなくても、近い方向性の事例からヒントを得ることができるのではないでしょうか。

平田:素材に関しては、メディアからの要望に応えられない場合もあります。その際は発想を変え、自社で用意できる「画」を起点に企画を提案することも重要です。「この見せ方なら提供できる」という形で発信し、自社ならではの切り口をつくってみてはいかがでしょうか。

まとめ:工夫と積み重ねが、広報PRの可能性を広げる

今回のユーザー会では、大学広報の実践事例から企業のメディア対応、質疑応答までを通して、地域や組織の枠を超えて情報を届けるためのヒントが共有されました。

話題化の瞬間を逃さないスピードある判断、現場に裁量を持たせる運用体制、メディアにとって価値ある形に情報を届ける工夫、そして横のつながりを生かした関係構築。こうした一つひとつの積み重ねが、広報PRの成果につながっていくことが印象的でした。

自社らしい切り口を見つけ、発信を続けることで、情報が届く可能性は広がっていきます。今回共有された実践の数々は、日々広報に向き合う方にとって、多くの示唆を与えてくれる内容だったのではないでしょうか。

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この記事のライター

PR TIMES MAGAZINE執筆担当

PR TIMES MAGAZINE執筆担当

『PR TIMES MAGAZINE』は、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」等を運営する株式会社 PR TIMESのオウンドメディアです。日々多数のプレスリリースを目にし、広報・PR担当者と密に関わっている編集部メンバーが監修、編集、執筆を担当しています。

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