本稿は、塚原沙耶氏による連載企画です。
企業と社会の間に立ち、情報を整理して伝えるという編集者にも通じるような役割を持つ広報PR。「広報PRの編集力」カテゴリーでは、塚原沙耶さん取材・執筆による、ステークホルダーとよい関係を構築している企業の広報PR担当インタビューを紹介していきます。
初回にご登場いただくのは、株式会社クラシコムの馬居優子さんです。クラシコムは「北欧、暮らしの道具店」を運営し、商品やコンテンツの持つ「心地よさ」が多くのファンに愛され続けています。馬居さんはクラシコムの「ひとり広報」としてスタートし、「広報PRとは何か」「本当に必要なのか」を考えながら自分で仕事を作り上げてきました。その思考と実践の道のりは、学びにあふれています。馬居さんのお話を通して、まずは「広報PRとは何か」を考えるところからスタートしたいと思います。
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クラシコム株式会社 広報・プロデューサー
馬居 優子学生時代に韓国へ語学留学したことをきっかけに、韓国のオンラインゲーム会社にてWebマーケティングに従事。その後、2007年より、国内のIT企業にて、ブログやコミュニティ、電子書籍など多様なサービスを担当。のちにフリーランスとして、ライターやアーティストのWeb支援に携わる。2016年からはクラシコムのコーポレートメディアの編集に従事し、2021年に同社へ入社。同年末より広報を担当し、ステークホルダーとのリレーション構築に取り組んでいる。
はじめに:連載企画「広報PRの編集力」について
「広報PR」とはなんだろう。昨年、PR TIMESカレッジで講演を行うことになり、まずその問いが浮かんだ。
言葉の意味としては、「PR」とは「パブリック・リレーションズ」で、企業と社会との間で望ましい関係を築くこと。「広報」はその一部で、情報発信を通じてステークホルダーと信頼関係を構築する役割だ。
思えばこれまで、編集者やライターとして広報PRの方々と接するとき、その役割をなんとなく「プロモーション」のように捉えていた。「関係構築」として見つめ直してみると、その仕事は、日頃、自分が取材者として向き合っていることと似ている。
誰かにインタビューするとき、その人と届けたい先の人たちの間に入ってみる。取材対象者、媒体、読者、社会、それぞれのことを考えながら、ふさわしい内容や表現を探っていく。翻訳のようでもあり、慎重に均衡を保つような作業になることもある。正解はないため、これでよかったのだろうかといつも悩む。
企業を背負い、自分が“中の人”として世間と向き合うとしたら、どう関係を築いていくだろう。網の目の中で身動きが取れず、どう泳いでいいかわからなくなるかもしれない。
そこで、気持ちのよい関係を築いている広報PRの方々にお会いしてみたいと思った。いざ数名の方にお話を伺ってみると、各所との関係をしなやかにつなぎながら、創意工夫を重ねてアウトプットする、すばらしい“編集者”ばかり。企業、メディア、生活者の間を行き来し、文脈を生み出している。その仕事を丁寧に伺ううち、生活文化や社会の様相も浮かび上がると思った。一人ひとりのお仕事をこれからご紹介していきたい。
日々、働くなかで思うようにならないことがたくさんある。迷いながらも歩みを進めたこと、誰かが手を差し伸べてくれたこと、そうした一つひとつのエピソードは、きっと助けや励みになると思う。連載を通して、人や社会とどう関係を築いていけばいいのか模索したい。それは、自分自身の生き方を考えることにもつながる気がしている。
「本当に必要?」 探りながら進めた「ひとり広報」
「北欧、暮らしの道具店」で広く知られるクラシコムは、商品やコンテンツの魅力だけでなく、ビジネス面でも注目される企業だ。2006年の創業以来、連続成長を遂げ、残業を当たり前にしない働き方も実現している。創業当初から広報PRも行ってきたのかと思いきや、本格的に始めたのは2021年のことだという。
馬居さんは2016年からクラシコムに関わり始め、2021年に入社した。もともと広報PRの職歴はない。広報PR担当がいなかったクラシコムで未経験の馬居さんが「ひとり広報」になったのは、どんないきさつだったのだろうか。
「私は10年ほど、Webサービスの企画やディレクター、マーケティングに携わっていて、2016年にフリーになりました。これからどうしようかなと思っていたところに、つながりのあったメディアの方に『ライターをやってみる?』とお声がけいただいて。それで前職からの知り合いでもあったクラシコムの佐藤(友子/取締役副社長・『北欧、暮らしの道具店』店長)のインタビューをする機会もありました。その頃、クラシコムでは、企業の商品やサービスを『北欧暮らしの道具店』の中でPRするといったブランドソリューションを始めようとしていたのです。そんななかで、青木(耕平/代表取締役社長)と佐藤に『ビジネス視点でメディアを作れないか』と声をかけてもらい、フリーランスとして『クラシコムジャーナル』というメディアを立ち上げました」
さまざまな方の仕事や働き方を取材した発信は好評だった。クラシコムではさらに「自分たちのことをもっと伝えよう」という動きが生まれ、人事とともに社史を作ることに。当時50人ほどだった社員やこれから入ってくる人たちに向けて、経営陣の思いや会社の歴史をまとめた。
その後、馬居さんは子育てが少し落ち着いたタイミングで入社。ちょうど「北欧、暮らしの道具店」初の映画『青葉家のテーブル』が公開を迎える頃で、自然な成り行きでこのPRを担当する。それが一段落つくと、今度は会社が上場を控えていた。そこで、「じゃあ、次は広報をやってみようか」という話になり、2021年の終わり、担当になった。
「前職でWebサービスをやっていた頃にSNS運用でもなんでもやっていたので、今やっているような仕事の基礎はあったのかもしれません。でも、広報PRの勉強をしたことはまったくなく、本当にわかりませんでした。そこで、まずは経営陣が広報PRの先生を連れてきてくれて、マンツーマンで勉強していったのです」
クラシコムではしばしば、専門家を招いて社員が一対一で学ぶことで、社内に知見を増やしていくという。上場に向けて半年ほど、馬居さんは基礎から学んでいった。
「広報PRとはこういう考え方で、こういうことをするんですよ、というところからスタートしました。何を発信すればいいのかということや、プレスリリースの書き方、タイミングなども一緒に考えてもらい、文案も真っ赤に直してもらって。基本的に週1回、定例ミーティングをして、日々Slackでやりとりし、リリースなどが書き上がったらその都度見てもらうという感じでした」
学ぶなかで、クラシコムにおける広報PRを形作っていった。
「会社の発信をあらためて見直すと、『北欧、暮らしの道具店』に関する発信はすでに十分できていると思いました。だから、自分はお客様に向けての発信は考えず、コーポレートに集中しようと。青木と話して、広報PRとしてやるべき仕事を『経営陣とステークホルダーの間のコミュニケーション』と定義づけました。お客様、社員、株主の方々、メディアの方々。それから、クラシコムには協力してくださる人たちがたくさんいます。たとえば、オリジナル商品を作るときには、各種企業さんや工場の方々など。これから世の中でクラシコムとご一緒してくれそうな方たち、ステークホルダーになる可能性のある方たちに、経営陣の思いを伝える役割はすべて広報が担おうと思いました」

未来のステークホルダーとのコミュニケーションは、どのようにとっていくのだろうか。
「われわれがなんなのか、あの手この手で自己紹介をしていくことだと思いました。『私たちってこういう者です』『こういうふうに捉えていらっしゃると思いますが、実はこうなんです』『新しくこういうことができるようになっています』……。事業はECでもメディアでもありと多様で、変化もしていきます。そのなかで、今われわれがどういう状態なのかを等身大でお伝えし、仲間を増やしていこうと思ったのです」
ミッション、サービス説明、経営陣の紹介や沿革などをまとめたファクトブックを作成。数社の記者に展開し、対話を通して自分たちの輪郭を明確にしながら、メディアとの関係も築いていった。
「取材対応もそれまで青木や佐藤が対応していましたが、広報PRが窓口になるようにしました。そうやって、一般的に広報PRの方がやる仕事を一つひとつ身につけていったという感じですね」
最初の1年は、本当に広報PRが必要なのか、探りながら進めていったという。
「もともと担当を置いていなかったのは、『北欧、暮らしの道具店』でお客様とつながっていれば大丈夫だと思っていたからです。でも、いざ取り組んでいくなかで、私たちのまわりには大事な人たちがたくさんいて、伝えていかなければならないことがさまざまあることに気づきました。広報PRが大事な機能であることを実感していったのです」
そうして、2024年にふたり目の広報PRを募集することになった。
「業務量が増えたから人を増やしたわけではありません。広報PRが必要だという確信を得られたので、ちゃんとやるために次はチームにしてみようと。ひとり増やしてより充実させることで、新しい人たちとつながり、新しいビジネスや可能性が生まれていくと考えました」
クラシコムでは、こんなふうに「小さく始めてみる」ことが多いと馬居さんは言う。
「『北欧、暮らしの道具店』のYouTubeも今はチャンネル登録者数が100万人以上になっていますが、最初の頃はまったく動画をやったことのない社員がiPadひとつを渡され、『何か動画を作ってみよう』と言われて試行錯誤したりしていました。青木にいつも言われるのが、『上手にやらなくてもいいから、まずは出す』ということ。出してみて、いい兆しがあるかを見る。いい兆しがあれば、そこに力を費やします。2011年にアカウントを作ったYouTubeが跳ねたのは、2019年。その間、ちょこちょことトライをしているんです。もし反応がなかったら、『今じゃないね』と切り上げてほかのことをしたりする。社員もそういった環境には慣れています」

Podcastの『チャポンと行こう!』も、「ラジオをやってみたいね」という声から気軽にスタートした。まだPodcastがそこまで広まっていない頃だった。
「お客様が楽しんで聞いてくださって、だんだん盛り上がってきて。そうなると、『このPodcastが今、われわれにとって大事なコンテンツなんです』ということを発信しよう、と。それで、プレスリリースを作成しました。そういうことがすべて自己紹介として積み重なって、今に至るという感じです」
「自分たちは何者か」日々のヒアリングで考える
クラシコムの広報PRは、「自分たちが何者か」を考え、自己紹介を続けていくこと。その仕事を進めるなかで、馬居さんはどんなことを実践しているのか。
まず、経営陣の考えをどうヒアリングしているのかを聞いてみた。
「週に一度、朝、青木と一対一で話をしています。クラシコムでは『ザッソウ』と呼んでいる雑談、相談の時間があるんです。何もトピックがなくてもとにかく話す。『経営陣のなかでこういう話が上がって、どこかのタイミングで発信したいんだよね』とか『昨日こういうことが世間で話題だったけれど、うちはどうなっているんだっけ?』とか、細かくすり合わせていますね。隔週で社員全員が集まるオンラインの全体会議もあります。経営陣が今考えていることを話したり、各部署の社員が状況や気づいたことを話したり。これもインプットの機会になっています」
経営陣とも社員とも、何かあればSlackでやりとりする。クラシコムでは基本的にSlackのDMを使わないという。
「『広報相談』というチャンネルがあって、私が社員のみんなに何か聞きたいとき、そのチャンネルに招待して聞かせてもらっています。経営陣は各チャンネルを巡回しているので、おそらくやりとりを見て、今こんなことをしようとしているんだな、ということは把握していると思いますね」
発信すべきトピックはどのように探しているのだろうか。
「まず、人事やブランドソリューションなど、広報PRとして役に立てることが多い部署とは定例ミーティングを設けています。何か手伝えることがないか、というスタンスですね。たとえば、人事が採用に向けて、該当部署の取り組みについて発信したいという場合には、『じゃあ一緒にインタビューしようか』とか、『イベントをやってみちゃう?』まで広げたりもします」
定例ミーティングの頻度は部署によって異なるが、情報共有の習慣を作っている。馬居さんが気をつけているのは、必要以上に時間をとらないことだ。
「みんな忙しいので、広報PRのためにあまり多くの時間を割いてもらうのは避けたいと思っています。話は面白いので聞こうと思えばいくらでも聞けてしまうのですが。ほかの部署のSlackを巡回したり検索したりして、ある程度自分で調べてから聞いています」
取材や発信を通して知る「自分たちの輪郭」
伝えるべき内容を理解したら、どう発信していくのか。クラシコムでは、プレスリリースのほかにYouTubeもあればPodcast、noteもあり、各メディアから発信することもある。発信先や手法をどのように使い分けているのだろうか。
「ステークホルダーのどなたに向けた発信なのかを具体的に考えて、その人たちに一番伝わる発信先、手法を選んでいますね。メディアの方々に伝えるのであれば、プレスリリースをPR TIMESさんで配信します。社会性や新規性が薄いとメディアの方々は取り上げにくいだろうけれど、『エンジニアさんには届けたいね』という情報もあって、その場合はnoteに書いてみたりします。手法はその都度考えますが、『北欧、暮らしの道具店』にとって今や動画やPodcastは欠かせないものです。常に新しい手法が出てくるので、その時点ではまだ最適ではなかったとしても、練習として試してみることもあります」

新しい手法を学んで取り入れていくのは、クラシコムの特徴でもある。
「自分たちの組織のなかでできるようにすることを大事にしています。たとえば広報で動画を作ろうとなった際も、最初はプロの方にお願いして、一緒に取り組みながら覚えていく。調べるのか先生を見つけるのか、方法はそのときどきですが、会社のなかで新しくできることを増やしていきます」
「インプットを大事に」と青木さんから常々言われているという。
「自己紹介をするためには、自分たちがなんなのかを知らなければいけません。何か新しいこと、イベントなどに取り組んだときに、どんな反応が起こるか。こういう反応が起きたということはこう見られているんだな、とインプットができます。そうやって私たちの輪郭を常に広報PRが調べて、経営陣に伝える。経営陣でも社員でも、誰かにとってのインプットになるのだったら、広報PRが動くようにしています」
輪郭を知るうえで、メディアの取材を受けることも有効だ。
「いろいろなものを見ていらっしゃる外の方がわれわれに対してどういう興味を持って、どういうふうに解釈して質問してくださるのか。それによって、自分たちのことがわかります。社員も『自分の言葉で話すと気づきがある』と言ってくれるので、その取材が気づきのあるものになるかを考えて、受けるかどうかを判断していますね」
社員が取材を受けるとき、馬居さんはどのようにサポートしているのだろうか。
「私たちは会社のなかでとにかくよくしゃべるんです。『北欧、暮らしの道具店』自体が、『私たちってなんだろう?』とか『私たちは何がほしいんだろう?』とか、スタッフが自分の主観を大切に掘り下げていくメディアですし、ふだんからコミュニケーションを重視していて、みんな話し慣れています。ただ、メディアの方々など、お客様以外の人に話す機会はあまりないので、緊張することもある。『盛らないでいいよ』『いつも通りにしゃべれば大丈夫』『もし大丈夫じゃなかったら、ちゃんと私が言うから安心して』などと声をかけていますね。広報PRが取材に同席し、みんながいつも通りに話せるようにサポートして、あとは原稿を確認します」
あらゆる発信において大事にしているのは、正直であることだ。
「嘘だとわかった瞬間、飾り立てていると感じた瞬間につまらなくなると思います。だから嘘はつかず、本当のことを伝える。それで、取材の際にも『盛らないでいいよ』と社員に伝えているんです。社員が正直に発信できるようにサポートするのも広報PRの仕事だと思っていますね」

自分たちを深く掘り下げ、世界観を作り上げると、いつの間にか「クローズド」「内輪」に見えてしまう恐れもある。この点についても、発信にあたって気をつけているという。
「近くで見ること、俯瞰して見ること、その両方を行き来しようといつも話しています。発信を見たときに何か違和感があれば、『この言い方、ちょっと引っかかるね』みたいに、率直に言い合っていますね。『バランス』という言葉が社内でよく出ます」
何かを発信すれば見た人の反応が気になってしまいがちだが、一喜一憂はしていない。
「自分たちがいいなと思っても、実は反響がないことのほうが多いんです。私たちのお客様は、けっこう静かに買ってくださる印象があって、どういう発信を見て行動に至ったのかはわからなかったりもします。ですから、目に見える反応がすべてだとは思っていません」
広報PRの「花が咲いた」新オフィス紹介
広報PRを担当して5年。社員一人ひとりが関係を広げ、ステークホルダーが増えていることを実感しているという。しかし馬居さんは「まだまだできる」と思っている。
「コンテンツはどれもこれも、もっと広がるべきものだと思っています。もっと読まれてもいいのにな、もっとできるはず、と。『クラシコムは面白い』ともっと言えるはずなのに、自分が理解できていなかったり力不足だったりして伝え切れていないという気持ちが常にあります」
広報PRの仕事は、到達点を見いだしづらいものなのかもしれない。
「ずっと種を蒔いている感じです。種を蒔いて水をやり、芽が出て伸ばしていけるものであれば、ほかの部署にバトンを渡すことも多い。だから目の前はずっと土で、後ろを向いたら少し花が咲いていた、みたいな感覚なんです」
近年、「花が咲いた」を実感した事例を聞いてみると、新しいオフィスのことを挙げた。2024年3月、「nonowa 国立 SOUTH」内に新オフィスを開設。国立のなかで6度目の引っ越しだ。
「このオフィスがなんなのか、担当スタッフにヒアリングしながら研究して、何回も何回もプレスリリースを打ちました。そのたびに、いろいろな方に『オフィスに行きたいです』と声をかけていただいて。クラシコムはリアルなお店がないので、ステークホルダーのみなさんがオフィスというリアルな場所に行きたいと思ってくれるといいなと考えていたんです。その思いが実現した気がして、満足感がありましたね。こうして一つひとつ積み重ねて、価値を伝えていくことが、自分たちらしい広報PRという気がします」

オフィスを馬居さんに案内してもらった。会社のミッションである「フィットする暮らし、つくろう。」を体現する空間で、天井高4メートルの開放的な木造建築だ。
とくに印象に残ったのは、ところどころにアート作品が展示されていることだった。青木さんが今後の事業につながることはないかと個人的に集めている作品だそうで、それぞれが「心に留まった作品、好きな作品なのだろうな」と感じた。眺めていると、友人の家を訪ねているような感覚にもなる。機能的で働きやすそうなオフィスでありながら、「暮らし」の佇まいがあった。

オフィスに入ってすぐのところには、沓沢佐知子さんによる3体の鹿の立体作品が並ぶ。経営方針である「自由・平和・希望」をイメージして作られたという。
青木さんはホームページで、それぞれの意味についてこう書いている。
「自由」:契約関係、取引関係、資本関係によって他者から支配されず、自分たちがよかれと思うことができる自由を獲得する力。
「平和」:ユニークなポジションを作り出し、無用な競争に巻き込まれない平和を維持する力。
「希望」:今日より明日、今年より来年がきっとよくなっていると思いながら日々の仕事ができるようにするための希望の裏付けを生み出し続ける力。
オフィスを歩けば、クラシコムの世界観を体感でき、企業理解も深まる。ステークホルダーに訪問してもらうこと、ここで働く姿を発信することが、広報PR活動に直結しているのだ。
普通に暮らし、自分を観察する
インタビューの終わりに、馬居さん自身が日々働くうえで大切にしていることを尋ねてみた。
「普通に暮らすことが大事だなと思っています。今、日本に住むひとりの女性として日々インプットする。流行っているものがあればチェックしますし、もし気が進まないなと思ったら、気が進まないという感情を意識する。去年は見たかったのに今は見たくないなと思っているとか、以前はこういう記事を見ても嫌な気持ちにならなかったのに、今はなるんだな、とか。そうやって自分を観察していますね。私が変わったということは、周りの人も変わっているかもしれない。そのときどきの感情を社員や青木に共有して、どういうことだろうと話したりもしていますね。狭い範囲だけれど、細かいことに敏感であり続けようと心がけています」
企業の自己紹介と自分を観察することは通底していると思う。「自分は何者か」を問うことだろう。
企業は社会にビジョンを示し、新しい価値を生み出す。馬居さんのお話を伺って、広報PRはその車輪を回す存在だと思った。壮大に思える未来図も、一日一日の積み重ねで実現に向かう。馬居さんは自転車を漕ぐように、自分の力で軽やかに前へ進んでいるように見えた。
個人の暮らしと企業の取り組み、社会のあり方は、当たり前に地続きなのだと感じる取材だった。
(取材・文/塚原沙耶)
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