2020年5月に6,300万MAUを突破し、ユーザー数を伸ばし続けている「note」。誰でも創作を始められるメディアプラットフォームには、73歳の寿司職人や現役アイドルなど、類を見ない顔ぶれのクリエイターが集まっています。
そんな急成長するnote社に、2019年4月末に入社した森本愛さんは、約7カ月間ひとりで広報・PRを担当していました。目が回るほど忙しい時間を過ごすこと約1年3カ月、いまではPRチームのメンバーは5名に。
ひとり広報・PRをへて、1年でチーム化するスピード感の裏には、どんな活動があったのでしょうか? 森本さんにうかがってみると、「とにかく友だちを増やしました」という意外な答えが返ってきました。
※会社名を「note社」、サービス名を「note」と表記しています。
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「広報は必要だろうか?」そうしてスタートを切ったnoteでの毎日
──note社コーポレートサイトのプレスルームを拝見したところ、2020年7月だけで16本のコンテンツが掲載されていました。かなりのリリース量だと思うのですが、どんな体制のチームを組まれているんですか?
現在のPRチームは、わたしを含めて正社員が3名、アルバイトスタッフが2名の計5名体制です。
正社員は、コンテンツの作成・品質チェックやイベント企画、SNSの更新など、いわゆる広報・PR業務の担当が2名、1名はユーザーコミュニケーションを中心に担当しています。アルバイトスタッフには、掲載された記事のクリッピングなど定型業務を切り出してお願いしていますね。
──いまでは5名のPRチームをまとめる森本さんも、最初はひとりだったんですよね。
そうです。前職で広報の経験を積んでいたのですが、note社は畑が違いすぎて、何をするべきかわからない状態からスタートしました。
というのもnote社は、経営者をはじめ、SNSでフォロワーを多く抱えている社員が何人もいて、ユーザーに情報を直接届けられている印象があったんです。クリエイターもnoteのお知らせを積極的にキャッチアップして、拡散してくれている。正直、入社する前は「広報として何かやる余地はあるのだろうか?」とさえ思っていました。
──広報は必要ないかもしれないと感じていた、と。
はい。そんなわたしがいまのポジションを確立できたのは、CXOの深津さんから言われた「とにかく友だちを増やしてください」という言葉の影響が大きかったと思います。
わたしに求められていたのはPublic Relations。関係性構築の先にあるものとは
──「友だちを増やす」……ですか?
最初は、わたしも「え? ビジネスの場面で、友だち……?」となりました(笑)。
深津さんのいう友だちとは「noteが好き」「noteと一緒に何かしたい」と思ってくれる人。「noteと親しくしてくれる友だちを、社外にたくさん作ってください」と言われたことで、広報として何ができるかわからなかった状態から「note社では、広報ではなくPRをやるべき」と気付けたんです。
──と言いますと?
前職での役割は、自社を広く知ってもらうために活動する「広報」でした。一方、note社で求められていたのは「Public(大衆) Relations(つながり)」。つまり、あらゆるステークホルダーと良好な関係を構築する「PR」だったんです。
こうして自分の役割を見いだせてからは、noteに興味をもってくださっている方とSNSで交流したり、他社と話すときも一緒になにか企画ができないか考えたり、あらゆる相手と関係を築きました。いまでは、Public Relationsを体現していかないと、仕事が成立しない感覚すらあります。
──なぜnote社は、広報ではなくPRを重視されているのでしょうか?
わたしたちがPRを重視しているのは、全人類がnoteのクリエイターになりうるから。友だちになったその人は、将来、noteのクリエイターになってくれる可能性があるのです。
また、クリエイターではなくても、noteの応援団になってくれるかもしれないし、同じ船に乗る仲間になってくれるかもしれません。noteとご縁がある人を少しでも増やしていきたいので、さまざまな人との関係性構築に努めています。
なかでも、関係性が特徴的なのは「メディア」です。
──メディアとの関係性ですか。一般的には、報じる側(メディア)と報じられる側(企業)だと思います。
note社にとってメディアは、自社のことを報道してくれる存在だけではありません。メディアとしてnoteを使う「クリエイター」にもなりうるし、noteのクリエイターに書き手としての活躍の機会を提供する「パートナー」にもなりうるんです。
関わり方の可能性の幅が広いので、「note社の思いや挑戦」「メディアのnote活用事例」「noteのクリエイター紹介」など、コミュニケーションの切り口はたくさんあります。広報・PRの枠にとらわれず、「どんな話をすれば、このメディアさんと良い関係になれるだろう」と考えながら関わることで、つながりをより深められていますね。
メッセージ数は、約1年で3万通。コミュニケーションで築く社内の信頼関係
──「友だちを増やす」というミッションのもと、社外でPublic Relationsを進められてきた森本さんですが、社内の関係性構築はどう進められていましたか?
いままで社内にいなかったポジションだったので、「何をする人なのか」を知ってもらうべく、メンバーと積極的にコミュニケーションをとるようにしました。信頼を獲得して「相談しよう」と思ってもらえる関係を作ることで、情報が自然にわたしに集まるようになったらいいなと願いも込めて。
──具体的には、どんなコミュニケーションをとられていたのでしょうか?
Slackのいろんなチャンネルに顔を出しまくりましたね。わたしがどこにでも出没するものだから、メンバーに「森本さん、いったい何人いるんですか」と言われたほどです(笑)。声をかけ、ねぎらい、褒める。1年ほどたって自分が送ったメッセージ数を数えてみたら、3万通くらいありました。
そうして、日々コツコツとコミュニケーションを重ねていくうちに、メンバーから「この情報ってプレスリリースになりますか?」と声をかけてもらえるようになってきたんです。ひとりで情報を集めるのは限界があるので、メンバーからPR活動の材料が集まるようになり、note社としての発信が加速しました。
今日からPublic Relationsを叶えるなら。場所や時間を問わないデジタルの世界で
──森本さんの話を聞いて、PRとはやはりさまざまなステークホルダーとの関係性構築なんだな、と改めて感じました。
わたし自身、PRのあり方を身をもって実感してきた1年間3カ月だったと思います。社外でも社内でも友だち作りを進めていくうちに、やることがどんどん増えていき、気付いたらチームが大きくなっていました。
──最初からチームを作ろうとしていたのではなく、やるべきことをやっていた結果、チーム化していたんですね。ひとり広報として奮闘する人に向けて、「これはしておいたほうがいい」というアドバイスはありますか?
今日から始められることでおすすめしたいのが、SNSやブログでの発信です。いまは誰でも発信できる時代なので、広報・PRパーソンはぜひ発信する癖をつけてみてください。
わたしが今のキャリアを得られたのも、日頃からSNSで自分の仕事を発信していたから。今回の取材も、noteに広報・PRのことを書いたのがきっかけでお声がけいただきました。
内容は、会社のことでも、自分が働く原体験でも、仕事で得た気づきでも、プライベートなことでもいいと思います。つながって、相手の考えや思いを知り、自分についても知ってもらう。SNSは、スマホというデジタルの世界で、場所や時間を問わずPublic Relationsを叶えられる場所です。
あとは、自分がハブとなって、仲間を増やす意識を常に持つことも大切です。上から情報が降りてくるのを待つのではなく、誰かが声をかけてくれるのを待つのでもない。広報・PRとは、「友だちになろう!」と自ら関係性を構築していける、コミュニケーションのプロではないでしょうか。
大人になったいまだからこそ、もう一度友だち作りを
noteのPRチームの原点は、約1年3カ月前に森本さんが入社したこと。森本さんがPublic Relationsを体現していくうちに、社内外で輪が広がっていき、いつしか5名の仲間が集まりました。
ここまで読んでいただいた方のなかには「ひとり広報・PRをしているけれど、どう活動していくべきかわからない」と悩む方もいるでしょう。お互いが関わることでプラスになる“友だち”の関係性は、あなたを次のステージに導いてくれるかもしれません。
(撮影:原 哲也)
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