広報PR担当者として、イベントを実施したら欠かさず取り組みたいのが「報告書・レポート」の作成。イベントの開催・実施に関する報告書・レポートは、イベントの成果をまとめ、関係者へ共有するための大切な資料です。書き方やポイントをしっかりと把握して、完成度の高いものを提出できるようにしましょう。
本記事では、イベント実施後の報告書・レポートの書き方を、6つのポイントやテンプレートと合わせてご紹介します。
イベントの報告書とは?ビジネスにおける重要性とレポートの役割
イベントの実施が無事に終わっても、それを「記録」として残し、次の成果につなげることは重要です。イベント報告書は、単なる開催記録ではなく、社内外に対する成果共有や、改善点の可視化、企画力の裏付けとして多様な価値を持ちます。
例えば、参加者の反応やKPIの達成状況、メディア掲載実績などをまとめておくことで、上司や他部署との情報共有がスムーズになり、次回のイベント企画・承認にも役立ちます。チームでのノウハウ蓄積やブランディングの一環としても活用できる資料です。
まずは、イベントの開催後に報告書・レポートを書く目的を押さえておきましょう。企業・団体やイベントの内容によって異なりますが、一般的な報告書・レポートの読み手は誰になるのか、どのように活用するのか、などを解説していきます。
振り返りをして次回に活かすため
イベントの報告書・レポートを書く目的は、「イベントの運営体制や内容、結果を記録」し、「費用対効果の検証」「反省点・改善点の洗い出し」を行うことです。
報告書の作成によって、イベントの運営から実施までの工程と成果を振り返り、当初の想定通りに進んだ点・進まなかった点などを分析。ネガティブ面・ポジティブ面それぞれの原因を検証することで、次回のイベントをより効果的・効率的に行えるようにします。
上司・経営層への報告のため
社内でのイベントは、しばしば部門単位やプロジェクト単位で行われますが、会社としてのリソースを使う以上、上司や経営層への説明責任があります。実施目的や成果、参加者の反応、費用対効果などを整理した報告書は、客観的かつ簡潔に情報を伝える手段となります。
特に次回の企画を提案する際には、過去イベントの結果報告が承認の判断材料となるため、的確なレポート作成が欠かせません。
パートナー企業・協賛企業に成果を共有するため
イベントの実施には、パートナー企業や協賛企業の協力が必要となることが多々あります。企画の段階や運営、集客、あるいは協賛・後援など、協力を仰いだ企業にはイベントの報告書・レポートを共有しましょう。
特にスポンサー関係にある企業には、報告書の提出が必須となります。継続的な支援につなげるためにも、イベントの報告書・レポートは、客観的かつわかりやすく作成することを心がけましょう。
ターゲットの次回参加・ファン化を促すため
イベントの報告書・レポートには、イベントのターゲット(ユーザー顧客やメディア関係者など)に、次回の参加を促す意味合いもあります。イベントに参加できなかったターゲットに報告書・レポートを見てもらい、「同様のイベントがあれば次は参加してみたい」と思ってもらったり、この会社はこんな取り組みをしている」という信頼の形成にも繋がります
以下、本記事では企業の公式資料として社内やパートナー企業に向けた「イベント報告書」を作成する場合の解説を行います。
イベントに参加できなかった人や、今後イベントに参加を検討している人に向けた「イベントレポート」の書き方については以下の記事を参照してください。
イベントの報告書で触れたい7つの内容
イベントの開催報告書には、必ず盛り込みたい7つの内容があります。次回以降のよりよいイベント運営・実施につながるよう、作成時に以下の4つの内容が盛り込まれているか確認してみてください。
イベントレポートの書き方のポイントについては、「イベントレポートの書き方7つのポイントと注意点」も参考にしてみてください。
1.イベントの基本情報
イベントの報告書を書く目的は、「イベントの運営体制や内容」、結果を記録し、「費用対効果の検証」「反省点・改善点の洗い出し」を行うこと。以下の基本構成を参考に、報告書の情報量が十分なものとなるようにしましょう。
イベントの報告書の基本構成
1.イベント概要
・タイトル
・目的
2.イベント詳細
・内容
・ターゲット
・日時
・場所
・宣伝方法
・協力企業
・予算
3.実施実績(目標に対する達成率)
・来場者数、売上金額など
4.当日の会場の様子
・全体像がわかる写真、参加者の表情がわかる写真
5.メディア掲載実績
・メディア名、掲載日、タイトル、URL
6.来場者の声/SNSでの反響
・投稿の数や内容
7.総括
特に重要な「実施実績」では、実績を数値で客観的に評価したいところ。下記の記事を参考に、指標となる数値を盛り込んでみてください。
2.KPTなどのフレームワークを使った振り返り
基本情報を網羅できたら、イベント全体の振り返りを行い、よかった点、改善すべき点などを明確に記します。次回の開催が決まったら参考にできるよう、改善策まで具体的に検討するとよいでしょう。
振り返りのフレームワークとしておすすめなのが「KPT」法です。
具体的には振り返りを下記の3要素に分けて行うというもので、日本ではもともとソフトウェア開発の手法として広まっていたそう。
- What we should keep.(続けるべきこと)
- Where we are having ongoing problems. (問題を抱えていること)
- What we want to try in the next time period.(改善のため次回行いたいこと)
上記のように、振り返りの内容を「Keep」「Problem」「Try」の観点で整理すると、理解しやすい形でまとめられます。
挙げられた問題点(Problem)に対して出た解決策(Try)については、「いつ」「誰が」実施するかまで具体化して決められるようにしましょう。
3.目標と実績を示す成果データ
イベントの効果を測るには、事前に設定したKPIに対する達成状況を数値で把握することが大切です。たとえば、申込者数・来場率・アンケートでの満足度・SNSでの反応数などが代表的な指標です。
これらのデータは、次回以降の施策判断の根拠となるだけでなく、成果を客観的に示すことで上司や関係者の理解と納得を得やすくなります。グラフや図を使って視覚的に示すと、さらに効果的です。
4.イベント熱量の伝わる写真・動画
報告書には写真もぜひ掲載したいところです。イベントが実施された会場の雰囲気、参加者の様子が伝わる写真を載せられるよう、当日は忘れず写真撮影を行いましょう。
広報PR担当者が押さえておきたい写真撮影のコツについて、こちらの記事で紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。
広報PR担当者だけですべての写真を撮ってまわるのが難しいときは、社内メンバーに適宜写真を撮るようお願いしておきましょう。
可能であれば動画も撮影しておくのがおすすめ。紙の報告書を作成する場合はオンラインストレージなどに動画をアップロードしておき、QRコードなどを添付します。YouTubeで後日配信することも可能になります。
なお、肖像権には細心の注意を払ってください。不特定多数の参加者が写真・動画に含まれる場合には、イベントのパンフレットに記載したり、当日会場でアナウンスしたりする必要があります。
5.メディア掲載・SNS反響など外部露出
イベント当日のメディア掲載や、SNS上でのシェア・コメントなどの反響も、報告書に記録しておくべき重要な情報です。露出件数やエンゲージメント数を整理しておくことで、広報施策としての成果を可視化できます。
特に企業ブランディングやプロモーションを目的としたイベントの場合、外部への波及効果を明確にすることで、今後の広報活動にも活かせるデータになります。
6.参加者アンケートやコメントなどの感想の声
イベントの実績として、数値による定量的な評価だけではなく参加者の声など定性的な評価を盛り込むのもおすすめです。
参加者の感想を知る具体的な手法としては、「アンケートに回答してもらう」「SNSでイベントに関する投稿を調査する」などがあります。
ポイントは、イベント終了後なるべく早い段階のリアクションを集めること。イベントから時間が経つと印象が薄れてしまいます。忌憚ない意見を聞くためにも、あらかじめアンケートやSNSで検索しやすいキーワードなどを準備しておき、なるべくリアルなリアクションを集められるようにしましょう。
7.次回に向けた提案・改善ポイント
イベントの振り返りは、単なる反省にとどまらず、次回の成功に向けた提案を盛り込むことで価値が高まります。たとえば、参加者の声や当日のトラブル、反響の大きかったコンテンツを分析し、改善策や新しい企画の方向性を明示すると、報告書が単なる「記録」から「提案書」へと進化します。
報告書の末尾に簡潔な「次回の提案」セクションを設けておくと、上司や関係部署との共有時に非常に有効です。
イベント報告書作成の6つのポイント
報告書の基本構成や書くべき内容を把握できたら、実際に書き進めていきましょう。ここでは、イベント報告書の作成に関する6つのポイントをご紹介します。

ポイント1.報告書を作成する目的、読み手を明確にする
上述のように、イベントの報告書を書く目的は、「イベントの運営体制や内容、結果を記録」し、「費用対効果の検証」「反省点・改善点の洗い出し」を行うこと。そのさらに先には「次回以降のイベントの品質アップ」という目標があります。
そのための手段として報告書をどのように書けばよいか、逆算して考えていくことが重要となります。次回以降のイベントに向けて改善したい点と、改善策を実行するために必要な内容を明示することを意識して作成しましょう。
ポイント2.伝えるポイントの優先順位を整理する
報告書で伝えたいポイントの優先順位を決めることで、よりわかりやすい報告書になります。「できる限り詳しく情報を記録する」という場合は構いませんが、「スポンサー企業にイベントの成果を報告する」という場合であれば、イベントの成果に関する記載を優先して伝えるべきでしょう。
このように目的に応じた情報の優先順位を意識し、ボリュームや表現に強弱をつけるようにしましょう。
ポイント3.主観と客観的な事実は区別して報告する
報告書は次回以降のイベント開催の可否を左右する重要な資料です。できる限り数値を用い、主観を排して記載することが望ましいといえます。
一方で、イベントの実行を担った当事者による分析や考察、意見は非常に重要な情報でもあります。主観を含む内容は「分析」「考察」「所感」といった項目を設けて記載しましょう。
ポイント4.図表・写真を使い、ひと目で理解できるレイアウトにする
文字だけの報告書は読まれにくく、伝わりづらい傾向があります。写真や図表、アイコンなどを適度に取り入れ、視覚的に理解しやすいレイアウトにすることで、読む側の負担を軽減できます。
特に、グラフやKPIの可視化、イベント当日の写真などは、雰囲気や成果を瞬時に伝える有効な手段です。読み手の目線に立ち、「短時間で概要を把握できる」構成を心がけましょう。
ポイント5.必要な情報に絞り、ボリュームをコントロールする
イベントの報告書を作成する目的にもよりますが、枚数が多くなりすぎないように注意しましょう。ポイント2で紹介したように、読み手に何を伝えたいかを整理することが大切です。まずは必要最低限の内容で作成し、そのあとに必要に応じて情報を追加していくとよいでしょう。
具体的な分量としては、A4サイズで1~2枚、もしくは「概要1枚+詳細2〜3枚」程度のボリュームが目安となります。
ポイント6.社内共有だけで終わらせず、対外発信も視野に入れる
イベントの報告書とは別に、参加できなかったメディア関係者や生活者に向けて、イベントのレポートを作成・公開することをおすすめします。オウンドメディアに記事として掲載したり、プレスリリースとして配信したりすることで、より多くの人にイベントを知ってもらえる・興味を持ってもらえるチャンスが広がります。
イベントで実施するプログラムなどが確定した段階でレポートの内容を概ね書き進めておき、当日のエピソードや参加者のリアクションのみを当日・翌日に加筆するという形式を取れば、リアルタイムに近い状態でレポートを発信することができます。
イベントの報告書の無料テンプレート

上記の項目を押さえたイベント報告書のテンプレート(Wordファイル)を以下からダウンロードできます。
※クリックをすると、すぐにダウンロードが開始されます。
プレゼンテーションなどを行う場合はスライドのほうが適していますが、スライドを作成する前にまずはドキュメント1~2枚でまとめるのがおすすめです。できる限り簡潔にまとめることで情報が整理され、内容や重要な点を誰でもひと目で確認できます。
イベント報告書を活かした次回企画・広報PRへの展開
イベント報告書は、「終わったイベントの記録」を残すためだけの資料ではありません。実施背景やターゲット、集客施策、当日の運営、成果データ、参加者の声までをひとまとまりで振り返れるため、次回企画や広報戦略の“土台データ”として非常に有用な情報資産になります。作成して提出して終わらせてしまうのではなく、「次のイベントをどう良くするか」「どのように社外発信へつなぐか」を考えながら構成していくと、同じ工数でも活用度合いが大きく変わります。
また、イベント担当者が異動したり、外部パートナーが入れ替わったりしても、報告書がしっかり残っていれば、背景や判断の経緯を後からたどることができます。属人化しがちなイベント運営のノウハウを、チームや組織全体の資産に変えるためにも、「読み返してそのまま企画・稟議や広報PRに転用できるレベル」を目指して作成する姿勢が重要になります。結果として、承認プロセスのスピードアップや、企画の説得力向上にもつながっていきます。
次回イベント企画書・稟議書への活用方法
次回企画や稟議書を作成する際は、ゼロベースでアイデアを考える前に、前回イベントの報告書を必ず読み込むようにしましょう。目的・ターゲット・KPI・実績値・参加者の声・KPTなどが整理されていれば、「何がうまく機能したのか」「どこにボトルネックがあったのか」が一目で把握できます。新しい企画書には、報告書から抜き出した定量指標(来場者数、申込数、満足度など)と、定性的な振り返り(好評だったコンテンツ、改善が必要な導線など)を引用しながら、「今回のイベントは前回のここを踏まえて、こう改善する」というストーリーを明示すると説得力が高まります。
稟議書においても、予算の根拠として過去イベントの費用対効果を提示できると、承認側が判断しやすくなります。例えば「前回は広告費○円で申込○件、商談化○件だったため、今回はこのチャネルを強化したい」といった形で、報告書のグラフや数表をそのまま添付してもよいでしょう。同じフォーマットでイベントごとの実績を蓄積しておくと、年次で横比較できるようになり、中長期のイベント戦略や広報予算の議論にも活かしやすくなります。
プレスリリース・オウンドメディア記事として二次活用する
イベント報告書で整理した内容は、そのまま社外向けコンテンツの“素材”にもなります。例えば、報告書にまとめた開催目的や背景、当日の様子、参加者の声、成果データなどを再編集すれば、「イベントレポート」としてプレスリリース配信やオウンドメディア記事の公開が可能です。事前の告知リリースとセットでレポートを発信することで、イベントの認知を事後的にも広げられ、次回開催時の参加意欲を高める効果も期待できます。
社外向けに公開する際は、報告書に比べて「読み手の関心」をより意識した情報選択が重要になります。社内向けでは詳細なKPIや運営上の反省点まで残して問題ありませんが、外部向けレポートでは、ブランドイメージや読者メリットを踏まえた見せ方が求められます。そのため、報告書から「社会的な意義」「参加者が得られた価値」「数字で示せる成果」などを抽出し、写真やグラフと組み合わせてわかりやすく再構成するとよいでしょう。こうした二次利用を前提に報告書を整理しておくと、広報PRコンテンツの制作コスト削減にもつながります。
社内ナレッジとして蓄積し、属人化を防ぐ
イベント報告書は、一度作って提出して終わらせるのではなく、社内の「イベントナレッジベース」として継続的に蓄積していくことが望ましい資料です。例えば、社内共有フォルダやナレッジ管理ツール上に「イベント報告書ライブラリ」を用意し、開催テーマやターゲット、規模、オンライン/オフラインなどでタグ付けしておくと、他部署のメンバーも必要なときに検索・参照しやすくなります。新任の広報担当者やマーケティング担当者が過去の成功・失敗例を短時間で学べるため、教育コストの削減にも寄与します。
また、毎回担当者が変わるイベントでも、報告書が整っていれば、「なぜこの会場を選んだのか」「この集客チャネルが合っていた理由は何か」「運営上どこにリスクがあったのか」といった背景情報まで引き継げます。口頭説明だけでは抜け落ちがちな情報も、文書として残しておくことで、判断や工夫が属人化しにくくなる点も大きなメリットです。組織としてイベントの質を継続的に高めるためには、報告書を単なる事後報告ではなく、「学びを共有するナレッジドキュメント」と位置づける視点が欠かせません。
イベント報告書・レポートの書き方に関するQ&A
イベント報告書の作成は頻度が高い業務である一方、形式やボリューム、掲載内容に迷うケースも少なくありません。最後に、広報・マーケティング担当者から特に質問の多いポイントを整理し、実務で即活用できる形で回答します。制作時の判断に迷ったときの基準として、ぜひ役立ててください。

Q1.イベント報告書はどのくらいの分量が適切?
報告書の分量は、目的や読み手によって変わりますが、社内向けの標準的な目安としては「概要を1枚、詳細を1〜2枚」の合計2〜3枚程度を想定するとバランスが取りやすくなります。
概要部分には、目的・開催概要・主要KPI・総括を簡潔にまとめ、詳細パートでKPTや参加者の声、個別施策ごとの結果を整理する構成がよく用いられます。スポンサー企業や経営層向けであれば、さらに数枚分の補足資料を添付する場合もありますが、「一読して全体像がつかめるかどうか」を基準に、むやみにページ数を増やしすぎないことが重要です。
また、オンライン共有が前提の場合は、長文テキストを詰め込むよりも、1ページ内の情報量を絞り、図表やグラフを併用するほうが伝わりやすくなります。詳細な生データや個別アンケート結果などは、別ファイルとして添付し、本編の報告書にはサマリーだけを掲載する運用も有効です。読み手が限られた時間で要点を把握できるかどうかを意識し、分量だけでなく「密度」と「構成」の両方を調整していきましょう。
Q2.オンラインイベント・ウェビナーの場合、報告書で意識すべき点は?
オンラインイベントやウェビナーでは、オフラインイベントとは異なる指標や視点を報告書に盛り込む必要があります。例えば、申込者数や視聴者数だけでなく、視聴維持率、途中離脱率、チャットやQ&Aの投稿数、アンケート回答率など、オンラインならではの行動データが重要な評価軸になります。アーカイブ配信を行った場合は、ライブ配信とアーカイブ視聴を分けて記載すると、施策ごとの効果が分析しやすくなります。
また、当日の雰囲気が伝わりにくいというオンライン特有の課題もあるため、報告書には配信画面のスクリーンショットやチャット欄の雰囲気がわかるキャプチャを添付すると、社内メンバーにもイメージが共有しやすくなります。
さらに、技術トラブルや接続環境の問題なども、次回に同じ課題を繰り返さないための重要な振り返り項目です。オンラインならではの制約とメリットの両方を整理し、「なぜオンラインを選んだのか」「次回はどう改善するのか」まで記載することで、報告書の価値が一段高まります。
Q3.社内向けと社外向けでフォーマットを分けるべき?
基本的なデータや構成要素自体は共通でも、社内向け・社外向けでフォーマットや見せ方を分けることをおすすめします。社内向け報告書では、予算・コスト構造、運営上の課題、トラブル対応の経緯など、踏み込んだ情報まで記載できる一方で、社外向けのレポートでは開示範囲を慎重にコントロールする必要があります。そのため、まずは社内向けの「フル版」を作成し、そこから社外公開に適した要素だけを抽出・再構成する運用が現実的です。
また、読み手の期待も異なります。上司や経営層は「投下したリソースに対してどのような成果が得られたか」に注目しがちですが、生活者や顧客は「どんな価値が提供されたのか」「どのような雰囲気のイベントだったのか」に関心を持ちます。コアとなる事実や数字は共通のものを使いつつ、強調するポイントや文体、ビジュアルの使い方を読み手に合わせて調整する、という考え方でフォーマットを使い分けるとよいでしょう。
Q4.数値目標を達成できなかったイベントも報告書にするべき?
目標を下回ったイベントこそ、報告書としてきちんと形に残しておく価値があります。なぜ目標に届かなかったのかを丁寧に振り返ることで、施策のどこに課題があったのか、前提の置き方に無理がなかったか、といった論点が可視化されます。単に「未達だった」とだけ記載するのではなく、「目標」「実績」「ギャップの要因」「次回の改善案」という構成で整理すると、ネガティブな結果も建設的な学びに変えやすくなります。
報告書を作るうえで重要なのは、結果を良く見せることではなく、「意思決定の材料として使える情報を残すこと」です。数値が思うように出なかった場合も、ターゲット設定や告知時期、コンテンツ内容、当日の運営体制など、要因を分解し、次回への具体的な打ち手まで記載しておくと、むしろ組織としての改善力を示す資料になります。責任追及ではなく、再現性のある学びのために報告書を活用する姿勢をチーム内で共有しておくとよいでしょう。
Q5.写真や参加者の声を報告書に掲載する際の注意点は?
写真や参加者のコメントは、イベントの熱量や手応えを伝えるうえで非常に有効な素材ですが、肖像権や著作権への配慮が欠かせません。まず、顔がはっきり写っている写真を利用する場合は、事前に参加規約や会場内の掲示などで「撮影および報告書・広報物への掲載の可能性」について同意を得ておくことが望ましいといえます。クローズドな社内共有であっても、社外パートナーや顧客が映り込んでいる場合は、掲載範囲や共有先に注意を払う必要があります。
また、アンケートの自由記述やSNS投稿を引用する際は、個人が特定されない形で紹介する配慮が重要です。名前を伏せる、アカウントIDをそのまま掲載しない、文言を一部要約するなどの工夫を行いましょう。第三者が撮影した写真や、外部サイトから取得した画像を使用する場合には、著作権者の許諾や利用規約の確認も必須になります。イベント報告書は、多くの関係者が目にする前提で作成される資料だからこそ、「権利の扱いに問題がないか」をチェック項目として組み込んでおくと安心です。
イベントは「やって終わり」にせず、報告書として形に残そう
広報PR担当者として、イベントの開催終了後はしっかりと報告書の作成に取り組みましょう。
イベントの報告書は、「イベントの運営体制や内容、結果の記録」「費用対効果の検証」「反省点・改善点の洗い出し」といった点で非常に重要な資料です。社内だけでなく、パートナー企業やターゲットに向けて情報を共有する役割もあります。
報告書を作成する目的に立ち返って情報の優先順位を整理し、主観と客観を区別したうえで、枚数を絞って端的かつわかりやすい報告書を作成しましょう。
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<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>
イベント報告書・レポートの書き方に関するQ&A
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