「ジャージー牛乳プリン」誕生秘話

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2020年5月19日 10時30分 オハヨー乳業株式会社

オハヨー乳業のジャージー牛乳プリンは、1999年発売のロングセラー商品です。すでに20年以上の歴史がある看板商品のひとつですが、その道のりは平坦ではありませんでした。

鍵になるのは、おいしいデザートをつくるため諦めない粘り強さと工夫の積み重ね。それが今のヒットにつながっています。


今回は、そんなジャージー牛乳プリンの生みの親ともいえる、古川顧問とデザート開発課の戸田さんのおふたりに、開発当時のお話をお聞きしました。


(左)オハヨー乳業株式会社 顧問 古川廣志

(右)オハヨー乳業株式会社 研究開発本部 デザート開発課 戸田啓伸


素材との出会い


―― 「ジャージー牛乳プリン」は、いまではオハヨー乳業の看板商品のひとつですが、使用しているジャージー乳は非常に希少で、それまでのオハヨー乳業でもあまり使用していなかったと思います。まずは当時の状況を教えていただけますか?


古川 ジャージー牛は飼養頭数も少なく、いまも市販品として全国に流通しているものはほとんど見かけません。ただ、その味わいは豊かなミルクの風味があっておいしい。岡山県は、県北の蒜山高原を中心に全国に先駆けてジャージー牛を使った酪農に取り組んでいましたので、乳製品を手掛ける会社として地元ならではの商品を作りたい、という思いはありました。そこで、弊社では1993年にジャージー乳を使用したヨーグルト、アイスを発売。以来、四半世紀以上に渡ってジャージー乳の魅力を活かした商品づくりを行っています。


戸田 ジャージー牛は、一般的な乳牛であるホルスタインと比べても乳脂肪が高く、まろやかなおいしさがあります。ミルク特有の甘く優しい香りもある。「ジャージー乳を使ったデザートをつくるなら、この特徴を活かした味づくりをしよう」と考えたことを思い出しますね。


古川 ただし、ジャージー乳を使用するのであれば、通常のホルスタインの生乳とは分けて管理する必要があります。独立した受乳タンク※1も必要で、設備投資が不可欠です。それでも「おいしいデザートを作るためなら」と判断し、工場の増強を行いました。ジャージー乳は、それくらい魅力のあるミルクだと思っています。

※1:受乳タンク…毎日届く生乳を、商品の製造前に一時的に保管する大型のタンクのこと。


発売中のジャージー牛乳プリン(2020年現在)


2層タイプへの挑戦


―― さて、ジャージー牛乳プリンといえば、上部にクリームがのった2層タイプが特長ですが、最初からこのようなカタチをイメージしていたんでしょうか?


古川 実は、オハヨー乳業のデザートの歴史は、1992年の焼プリン、そして1999年のジャージー牛乳プリンを発売するまで、かなり紆余曲折を経ていました。一般的なプリンのほかに、和風デザートやフルーツを使ったゼリーなど新規性のある商品を開発・発売していましたが、売上はいまひとつでした。

しかし13年越しの試行錯誤が実を結んだ「焼プリン」の誕生によって、オハヨー乳業のデザートは一躍市場の脚光を浴びます。日本で初めて「こんがりとした焼き目」を付けたオハヨー乳業の焼プリンは大ヒットしましたが、その次はどうするのか?と。

そこで焼プリンの立ち上げが落ち着いた1998年ごろ、次の柱となるデザートの開発がスタートしたのです。


戸田 焼プリンがヒットする前の弊社のデザートは、大手メーカーの隙を突くような、どこか奇をてらった商品が多くありました。しかし、デザートの柱とするならば、もっと本質を突いた王道の商品じゃないといけない。

そこで考えたのが、乳業メーカーならではのプリンづくりです。地元ということもあり、希少なジャージー乳を安定して供給していただくことができていたので、そのミルクを使ったデザートの開発に着手しました。


―― 開発は難しかったのでしょうか?


戸田 ミルクを使ったデザートといえば、古くから寒天で固めた「牛乳かん」があります。しかし、それではミルクの持つ優しい風味を生かすことができない。そう考えて、試行錯誤のうえにたどり着いたのが、食感はとろけるようになめらかで、さらに上部にクリームをのせたプリンです。このプリンの形状は、発売当時から今も変わらないジャージー牛乳プリンの大きな特徴になっています。



―― そういえば、以前「上部にクリームをのせた2層タイプのプリン」は日本初なのでは?という話も聞いたことがあります。


古川 それを明確に裏付ける資料はないですが…当時の記憶をたどってみても、少なくとも市販品としてはほとんどなかったと思います。


戸田 ほかのプリンとは一味違う、リッチなおいしさのプリンを作りたかったんですね。ミルクプリンだけの単層だと、味が単調で食べている途中で飽きてしまう。そこにクリームをのせることで、味が複雑になり、プリン部分ともメリハリがついておいしさを引き立ててくれる。それは、今も受け継がれているジャージー牛乳プリンならではの特長です。


社内の猛反発


―― ところで、ジャージー牛乳プリンの開発期間はどのくらいだったのでしょうか?


戸田 だいたい、1年くらいですね。それまでも様々なデザートを開発してきましたので、ノウハウ等の蓄積はありました。ただ、ジャージー乳を使ったデザートをつくるならば、その特徴を最大限引き出したい。そこで考えたのが「上部にクリームをのせること」と「極限までやわらかい食感」ですが、どちらも大きなハードルがありました。


古川 そもそも、クリームを扱うのは品質管理面で非常にハードルが高いんです。クリームは固形分も多く、管理を間違えればすぐに雑菌が繁殖してしまいます。そのため、当時の品質管理部門からは大反対されました。何かあったらどうするのか、と。しかし、2層タイプのプリンは他にないおいしさがあります。そこで、原料メーカーにもご協力いただき、数々の試作を経て最適なクリームを用意することができました。さらに、自社工場も製造工程の改良を重ねて、味わいも品質も納得のいくものを作ることができるようになったのです。


戸田 クリームをのせた2層タイプのプリンを作るのは、衛生面以外にも非常に難しいんです。オハヨー乳業のジャージー牛乳プリンは、下のプリンを固めたうえでクリームを流してのせるのではなく、独自の製法で固まる前のプリンの素(もと)の上にクリームをのせています。このクリームを注ぐ技術の開発が一番難しかったかもしれません。満足のいくプリンを作るため発売後も試作を繰り返し、テストした充填ノズルは20種類以上になったと思います。



―― やわらかさも、実現のハードルが高かったそうですね。


戸田 発売前に、全国の営業拠点の協力を得て物流テストをしました。その結果は、惨憺たるもの。やわらかいプリンが崩れてしまい、見た目も悪くなっていたのです。おいしいプリンだけど、これではお客様に満足してもらうことはできないと、今度は営業から猛反発されました。しかしとろけるような食感は商品の大きな魅力です。そこで改めて製造工程を見直し、テストを繰り返すことで最適なポイントを見つけ、何とか発売することができました。


発売後も続く、苦労の歴史


―― ちなみに、発売後は順調だったのでしょうか?焼プリンの時は、発売直後から大ヒットになったと聞いています。


戸田 それが思ったほどは売れませんでした。1999年の秋に「ジャージー牛乳プリン(ミルク)」を発売、その直後は良かったのですが、だんだんと販売数量も落ちてきて、2000年1月に急遽コーヒー味を追加投入しました。


古川 ジャージー牛乳プリンの製造・販売にはジャージー乳の安定した調達が不可欠ですが、裏を返せば、常に一定量の生乳が毎日工場に届くわけです。そのため、販売数量が低迷すると貴重なジャージー乳を余らせてしまう。牛に「今日は搾乳しないよ」と言うわけにはいきませんからね。希少なジャージー乳を大切に使う、と言うのは簡単ですが、需給のバランスには非常に気を使います。我々乳業メーカーは、酪農家の皆さんと密接につながっていますから。


戸田 だからこそ、発売後も常にブラッシュアップを続けていました。中身である可食部は大きくいじっていませんが、その魅力を伝えるために、商品のネーミングやパッケージデザインは繰り返しトライ&エラーを続けていました。


―― その試行錯誤の積み重ねが、おいしさとなり、そして2016年のヒットにつながったんですね。今日はありがとうございました!



参考プレスリリース

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