フリーランスに立ちはだかる「常駐」の壁。慣例を打ち壊し、“テレワーク”案件3割→8割へと成長を遂げた「クラウドテック」の軌跡

誕生秘話

2021年3月4日 10時34分株式会社クラウドワークス

企業とフリーランスのマッチングを支援するエージェントサービス「クラウドテック」は、2021年4月で事業開始から丸6年を迎えます。登録するフリーランスの多くは、WebエンジニアやWebデザイナー。高いスキルを持った方々に多くご登録頂いています。

クラウドテックの強みは「リモート案件（※）」。2020年12月にはリモート案件の割合が8割を占めており、クラウドワークスのビジョンである「働き方革命」を推し進める一翼を担っています。

※リモートワーク（テレワーク）での勤務が可能な案件

2020年には、登録して頂いているフリーランスの方々の年間実態について調査を実施。居住地の構成比率を2019年と比較すると東京都が最も減少しており、東京一極集中からの変化の兆しが見られました。このように、クラウドテックの中ではフリーランスと「場所にとらわれない自由な働き方」が実際に結びつきつつあります。

テレワークの一般化により、11月にはテレワーク可能案件83.7%へと増加。2021年、フリーランスのトレンドは「移住＆テレワーク」と予測

PR TIMES

しかし、4年前の2017年に現在の事業責任者である中山がクラウドテックに携わり始めた当初、クラウドテックは“フリーランスが常駐（クライアントのオフィスで業務にあたる）するのは当たり前”という業界慣例の中で苦しんでいました。当時の苦しみやその中で差し込んだ一筋の光と拡大までの過程、そして今考えている未来について、今回中山本人に尋ねました。

執行役員　兼　クラウドテック本部長　中山　恵太

■会社に縛られない“フリーランス”が働く環境は“常駐”。事業が苦しんだ壁

私がクラウドワークスにジョインしたのは、2015年2月。クラウドソーシングのエンタープライズ向け事業のセールス組織のマネジメントなどに従事した後、2017年9月にクラウドテックに参画しました。

当時のクラウドテックは、事業として軌道に乗っていたものの少しずつ成長が鈍化していたタイミングでした。さらに、事業開始当時からコンセプトにあったリモート案件の比率は約3割。たびたびリモート案件拡大に向けた施策に取り組んだものの、思うような成果に結びつかず、伸び悩んでいました。

クラウドテックの事業開始から私たちが戦っている壁は、フリーランスの働き方は常駐であるという業界慣例です。そもそも現在のように「リモートワーク（テレワーク）」という働き方が一般的ではなかった当時、セキュリティの問題などが大きくのしかかっていました。何よりも、クラウドテックが対峙している業界が数十年前から存在することも手伝い、「傍にいてくれないと仕事にならない」というバイアスが業界や導入企業全体を覆っていました。

さらに追い打ちをかけるかのように首都圏における競合間での競争は激化していました。そんな厳しい環境下では「企業に聞いた条件に当てはまる人材をマッチングする」営業が精一杯で、リモートワークの話を始めることもできず、提唱するリモートワークは企業から理解されず、ただただ競合他社と比べられていました。当時首都圏の企業にフリーランス提案をしていた営業メンバーは「これからの新しい働き方を提案したいのにできない」と、クラウドワークスが掲げている「働き方革命」と実態のギャップに日夜苦しんでいました。

■業界慣例の壁に苦しむ中差し込んだ、一筋の光

同じ頃、クラウドテック西日本では一筋の光が差し込んでいました。営業メンバーがリモート案件を決め始めていたんです。

クラウドテックの母体であるクラウドワークスには、クラウドソーシングだからこそ、全国の多彩なWebエンジニアが登録していました。この強みを使って西日本の企業に対し、リモートワークで働く人材（リモート人材）の活用の提案をしていたんです。

企業にとっても、リモート人材について知ることで人材の選択肢が増え、結果として企業自身が求める良い人に出会えると実感し始めたようでした。

さらに私自身も、業界の同業他社を研究し続けていました。知れば知るほど痛感したのは「常駐するからこそ価値が生まれる」という業界内の固定観念。

自分たち・顧客・そして業界。全ての情報が揃った時に、クラウドテックのアイデンティティは「リモートワークを始めとする自由な働き方」であり、それを推し進めることがクラウドテックのミッションだと実感するようになりました。

■兆しは成果へ、リモート案件8割までの軌跡

西日本で起きていた兆しは、2018年には営業所を跨いだリモート案件拡大へと取り組む自発的なプロジェクトへと進化しました。このプロジェクトは「自由に進めることで成果が生まれるかもしれない」と考えたことから、私を始めマネジメントは一切参加せず、メンバー自身が企画し、クラウドテック全メンバーへ報告・共有しています。そうすることで全メンバーの意識に変化が起き始め、「企業の言った人材をマッチングする」営業から「企業の本質的な課題を最も効果的に解決する人材としてリモート人材を提案する」営業へとスタイルの変化が見られるようになりました。それと同時に、リモート案件事例も少しずつ増えてきたんです。

そして2020年の緊急事態宣言に伴う、在宅勤務移行の波。クラウドテックでは全クライアントに対し、それまでに培ったリモート案件事例やクラウドテックで自分たち自身が体験したリモートワークの知見をお話し、常駐案件をリモート案件へ切り替える提案をし続けました。他にも、3月には社内の様々な部署やクラウドテックのお取引企業を巻き込み「リモートワークでも事業の成長スピードを落とさないための勉強会」をオンライン開催し、世の中へも発信するなど、地道に取組を続けました。

「リモートワークでも事業の成長スピードを落とさないための勉強会」様子。

リモートワークについてまだ理解の浅かった当時、

既に提案し、自身も体感するからこそ得ていた知見をお話しました。

そういった積み重ねの結果、2020年12月にはリモート案件は80%まで拡大。さらに、アフターコロナにおいても、企業は変わらずリモート案件を継続する意向は強いです。あの時、メンバーの自主性を信じたからこそ生まれた成果だと感じますし、クラウドテックのアイデンティティである「リモートワークを始めとする自由な働き方」は受け入れられつつあると感じています。

■クラウドテックはこれからも「バイアスを取り除く」

これからの日本では、フレキシブルな働き方がスタンダードになって欲しいです。もっと言うと、週5日働くことも週3,4日働くことも、正社員もフリーランスも、全てが働く選択肢になり、誰もが働き方を選ぶことができる世の中にしたいです。これは企業にとっても同じで、不確実性が高く、変化の早い環境下で、正社員に並ぶような人材を獲得する手段としてリモート案件が認識されたらと思っています。

「仕事は会社に出社し、週5日行うものだ」というのは、日本の働き方におけるバイアス。そんなバイアスを取り除き、選択肢を最大化することで、働く中で誰もが最善だと感じられる環境を創っていきたいですね。