アークランドサービスホールディングス株式会社で広報担当マネジャーを務める鈴木さんは、誰かに広報を基礎から教わってきたわけではないそうです。では、鈴木さんが18ブランド、年間226本※1のプレスリリースを配信し、PR TIMESで指折りの今日のランキング常連となった秘訣は何でしょうか。
アークランドサービスホールディングスのプレスリリース活用術についての分科会の様子をレポートいたします。
※1 2021年4月1日~2022年3月31日配信(PR TIMES調べ)
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鈴木さんのプレスリリース活用術とは?
アークランドサービスホールディングスのプレスリリース活用術とは、鈴木さんが誰からも広報の基礎を教わらず、会社のことを想い、考えて試行錯誤して出てきたものと言えるでしょう。企業や個人によってプレスリリースの活用はさまざまであり、正解はありません。その前提で、多くの人が気になる「ランキングに入ること」「多くの配信の実現」などをレポートしていきます。
活用のために大切な基礎がある
アークランドサービスホールディングスは、企業のことや取り組みをより多くの方に知ってもらうためにプレスリリースを活用しています。認知を拡大するために、ツールの活用を考えていた際、まさに必要と感じたことがテーマになっているPR TIMES内のランキングがヒントになりました。
「メディアリストに登録している方向けだけでなく、今日、今週、今月のランキング……など生活者の目に触れる仕掛けを活かすことも含め、プレスリリース配信を重視しています」このメッセージからは、分科会のテーマである“活用術”の前提となる知識や事前把握を当たり前に行っている基礎の厚さを感じました。
真心と下心、年間226本のプレスリリース配信
年間のプレスリリース配信226本というこの数字。狙った数字でなく、振り返ってみるとこの数字になっていたそうです。新商品発表はもちろん、他社との新たな取り組みなど配信機会は広かったとのこと。ブランドWebサイトや採用サイトをリニューアルしたときは、なぜリニューアルしたのか、その背景を世の中の流れに沿って配信。気がつけば226のニュースが生まれていたそうです。配信本数を目標とせず、会社のニュースをすべて配信した結果ということだったのでしょう。
一方で、選ばれる企業や店にするということが広報に求められているひとつとのこと。第一部の成田さんの講演であった「真心と下心のコラボ」に通ずるものがありました。選ばれる企業や店にするためには知ってもらう必要があり、前述の配信本数の価値にもつながっています。
鈴木さんが考えるプレスリリース活用に大切な3つのポイント
ここからは、PR TIMESの閲覧数25倍、さらに年間取材件数約100件という結果につながった取り組みを紹介します。思わず人に言いたくなる、ファンを増やす仕掛けとはどのようなものでしょうか。
ポイント1.ランキング上位を意識
まず、選ばれる企業や店にするために知ってもらう。そのために行っているPR TIMESのランキング上位になる取り組みは、シンプルで想像以上に徹底されている内容でした。
PR TIMESで毎月配信されているプレスリリースは、約2万6千件です。メディアリストを使用した配信だけでは届けたい相手に届かない。それゆえ、ランキングを狙い、多くの方にアプローチできるよう、工夫しているのです。さらに、ランキングも旬速や新着でなく、今日、今週、今月のランキングで長い時間、多くの方にアプローチできることを意識しているそうです。
どんなに良い商品サービス、ニュースがあっても、知ってもらいたい相手に知ってもらえていないと価値が薄れてしまう、という想いからきているのでしょう。
ポイント2.素材集め、下ごしらえ、仕上げ、完成の4つの流れ
- 2週間前:素材集め(気持ちは毎日情報収集、社内を歩き直接ヒアリング)
- 1週間前:下ごしらえ
- 4営業日前:仕上げ
- 配信当日:完成
この4つの流れの中で特にこだわりを感じたひとつが情報収集です。完成した資料や決定した商品の掲示物を見てプレスリリースを書くのが苦手という鈴木さん。完成した資料や決定した商品の掲示物を見ておいしそうと感じるものの、それらの情報からプレスリリースを書くのは勝手が違うそうです。
そこで実施しているのが、毎週1回ホールディングスや事業会社の社長や部長が集まる会議と試食会に参加すること。そして、その場で質問をする際にも、商品開発や販売までの背景を具体的に聞き出す工夫がありました。
ポイント3.プレスリリースは“画像”のこだわりと“なぜ”の追求
4つの流れの下ごしらえは、実際にプレスリリースに落とし込むフェーズです。ここでのこだわりを見てみましょう。
“画像”のこだわり
一つ目のこだわりは、サムネイル画像。過去の配信実績を踏まえ、閲覧デバイスを加味した背景の色や文字の置き方などを考慮し制作。SNSでの表示を意識することで、生活者の認知やその後の拡散につながっていました。また、ポスターやWebバナーと同じデザインにすることで多くの人の目に触れ、見た人の印象に残ります。
ちなみに、その画像はプロが撮影したもの。プレスリリースのこだわりの熱意は社内に伝わり、商品部からプレスリリースに適したWebバナーを制作してもらえるようになったそうです。
“なぜ”の追求
もうひとつ大切にしているのは、「なぜ?」の突っ込みどころを残していること。メディアに対して「なぜ」の答えは必要ですが、生活者に対しては「なぜ?」の突っ込みどころを残しておくことが重要だと考えています。あえて「なぜ?」の突っ込みどころを残すことで、口コミやSNSで人から人へ伝えてもらうことを狙っています。
質疑応答|アークランドサービスホールディングス 鈴木氏
実績はもちろん、その裏にある行動や考え方に対する感想とともにたくさんの質問が挙がりました。
社内広報は広報が担当しているんでしょうか、ほかの部署が担っているんでしょうか?
大きな声で言えませんが、社内広報はこれということはあまりできていません。今、アークランドサービスホールディングスには社内報がないため、やりたいことリストに入れています。自身の時間と周りの人を巻き込むことを考えると、今年度掲げてたのを取り下げて来年度以降にしようと考えているところです。
プレスリリースの本数が増えると本当に伝えたいニュースが薄まってしまうのでは。どのような意識を持って取り組まれているのかお聞きしたいです。
確かに、1日に何本もリリースを出すときは私も感じていて、できる限りずらしています。本当に目についてほしいっていうものは、単独、もしくは2本までに入るようにしていますね。ただ、ほかの会社から多くのリリースが出ていることを考えると、然程変わりないので、その日気がついてほしいリリースは1本ないし2本にする配慮くらいです。
ホームページに掲載する新着リリースについて。今週出したリリースの中でもっとも見てほしいものを目立たせる工夫があれば教えてください。
ブランドサイトには全部出しますが、コーポレートサイトには本当にこれ!というプレスリリースしか出していません。コーポレートサイトは新商品は出さず、初の取り組みや新業態の新店舗のみ出す、など決めています。そのため、全体で226本リリースしても、コーポレートのトップにお知らせとして載るものは5件以内に収まるよう優先順位をつけています。
他者が突っ込めるような突っ込みどころを作るというお話が印象に残っています。Web上で話題になるような商品企画をどのように担当部署の方が作っているのかということをお伺いしたいです。
食べ物の商品は届けたい方にとっての満足が軸で、実は見た目で話題になりすぎないよう気を付けています。でも年に2回くらいは、ビジュアル重視でリリースを出してもいいよねっていう話をしているんです。
そして、取材を受けたものは、社内シェアするようにしています。そのほか、記事にしていただいたものは周りの人が教えてくれることもあります。広報からは週次の際に取り上げてもらったメディア情報をまとめ、改めてシェアするようにしていますそのほか、記事にしていただいたものは周りの人が教えてくれることもあります。広報からは取り上げてもらったメディア情報を周りの人から教えてもらった情報もまとめ、改めてシェアするようにしています。
PR TIMESのランキングは、私が伝える前に商品部の部長が「載ってるよ」「今は何位だよ」など伝えてくれたりしますね。
広報のKPIについて迷っていて、PV数などここは外せない、ことがあれば教えてもらえますか。
そうですね、見てもらいたくて出しているので、リリースを閲覧しているUU数は見ています。リリースのPV数とUU数は週時で毎週報告しています。
PR TIMESから自社サイトに訪問してる新規率を計測していますか。質問の意図は、新規層、既存層の流入割合で常識的に言われている、画像にあまりテキストを入れないほうがいい、というのは実際どうなのかを知りたく聞かせていただきました。
まず、画像ですが、デザインしている画像はメイン画像のみに使用し、デザインしてない素材の画像はリリース内に使用・登録しています。高級なレストランがかつやと同じバナーを使わないと思うんですね。イメージがあるので。そのため、登録はしていて、メイン画像のみテキストが入っているデザイン、そしてテキストが入っていない画像も用意しています。
そして実は、PR TIMESから新規のブランドサイト訪問者の計測は行っていません。ブランドサイトの訪問者、その新規ユーザー数を見ています。サイトからリリースに行く、またリリースからサイトに行くという道も作っており、相互に行ったり来たりできるようにはしています。
ブランドが多数ある中、新商品のタイミングがいくつものブランドの担当者から重なった場合、リリースを出す出さないの判断をして、商品部に対して断り方など気を付けていることや意識されていることはありますか。
私からリリースを書かないと断ったことはなくて、販売スケジュールに入っているものはすべて書くつもりでいます。だから役に立つ断り方についてはわからなくて申し訳ありません。ただ、出すタイミングをずらすっていう交渉はしてもいいのかなと思います。
分科会まとめ|アークランドサービスホールディングス 鈴木氏
誰かに広報を基礎から教わってきたわけではなく、何をすれば会社に貢献できるのか、今何をすべきなのかということを常に考え、広報活動に取り組んできた鈴木さん。「基礎をきちんと学んでいるかたにとっては、ちょっと違和感がある話もあるかもしれません」と遠慮気味にスタートした分科会でしたが、多くの方がこの徹底ぶりに驚いたのではないでしょうか。
目標設定にPV数や取材数を置いているわけではなく、届いてほしい相手に、どう受け取ってもらうか。そんな考えが、結果にとらわれずにやれることをやれるだけやるために、やることやらないこと優先順位をつけて選ぶ、という行動につながっているのかもしれません。
選ばれる企業と店にするということを誰にも制限されず自ら考えていけることは、やりがいがありおもしろく、全社で取り組み成果を最大化できる役割として臨んでいる。そう語る鈴木さんにとっての広報PRはこれからも広がり、参加者の意識と行動ともに影響を与えたのではないでしょうか。
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