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建設業界が広報PRにつなげる3つのポイント|プレスリリースを配信するメリットと事例3選

約73兆円(※)の市場規模を誇る建設業界は、住宅建設や土木工事、不動産、設計など、さまざまな業種から構成されています。業界問わず物価高騰、人材不足の影響が大きくなっていますが、建設業界も例外ではありません。そこで、広報PR活動を通じ、広く情報を届ける必要があります。

本記事では、ビル・戸建ての建設工事や建築メーカーに携わる建設業界の皆さまに向けて、広報PRのポイントやプレスリリースを配信することのメリット、参考となる事例を紹介します。

建設業界が広報PRにつなげる3つのポイント

建設業界の広報PRの企画立案時に役立つポイントを紹介します。顧客目線、チーム目線、社会目線の3パターンから企画を考え、広報PRにつなげていきましょう。

ポイント

ポイント1.施工プロセスの提示(顧客目線)

建設業界におけるPR企画として、社外向けには生活者に向けて施工プロセスの情報を伝えるのも有効です。また、施工風景を発信することで、施工技術や安全対策への取り組みを伝えることができます。さらに、施主(建築依頼主)の許可を得たうえで、打ち合わせから完成までの様子をブログや動画で発信するのも効果的なPR施策です。

施工技術にこだわっている、施工時に最新管理ツールや変わった建材を取り入れている場合のPRはもちろん、設計通りに工事が進まない場合の工夫を伝えることで、柔軟性や技術力も訴求できます。丁寧な発信は社内外だけでなく、社会からも注目を集め、信頼性が高まる一手となります。

ポイント2.セクションごとの情報連携(チーム目線)

建設業界では、プロジェクトごとに設計、施工、電気、設備、内装など多数の専門業種が連携して工事を進めます。建設業法上の業種区分だけでも29に及び、プロジェクトの成功にはセクション間の情報共有が不可欠です。

トラブルを未然に防ぐ設計段階からの擦り合わせ項目のアップデート、責任範囲の齟齬をなくしたり最新情報を共有するためのツールの導入など、施工効率が向上した取り組みなどは、社内外に向けて発信できる広報ネタになります。

また、「共通の現場ルールブックを全セクションで共有している」「定例会議の前に5分間の価値観共有タイムを設けている」といった、企業文化を浸透させる工夫も、職場環境を知ってもらうのに有効です。こうした内部連携の姿勢や工夫を言語化し、社外に発信することで信頼性や品質への取り組みを訴求することができます。

ポイント3.業界課題への取り組みを言語化(社会目線)

建設業界には廃棄物処理やジェンダーギャップ、下請け構造など、長年の業界課題があります。これらの課題について講演で発信したり、ワークショップを開催したりすることは、社会貢献としても意義があります

また、ユニバーサル建築やスマートホームといった新技術の導入、施工管理ツールといったシステムの導入をPRすることで、顧客からの信頼獲得につながるでしょう。建設は時間を要する分、新技術の導入後すぐの発信が重要です。

建設業界の3つのPR施策

建設業界における課題には、人材獲得、従業員エンゲージメントの向上、ブランド認知が挙げられます。これらの目的に応じて、適切なPR施策が必要です。ここでは、3つの観点から具体的な施策を紹介します。

1.人材獲得につながるPR施策

高齢化が進む現代社会の中でも、若手の入職率が低く人手不足が加速していることが課題とされている建設業界。人材獲得につなげるためには、性別や年齢、国籍を問わず、多くの人の関心を寄せるアプローチが必要になります。

人材獲得に向けたPRでは、環境保全や地域貢献といった社会的取り組みを積極的に発信することが有効。たとえば、廃材の再利用やSDGsに沿った活動などをPRすることで、企業理念に共感する求職者との接点を作れます。

2.エンゲージメント向上につながるPR施策

従業員のエンゲージメント向上には、社内広報が効果的です。特に社内報は、経営者のメッセージを届け、企業理念の浸透を促すとともに、従業員同士の理解や連携を深める役割を果たします。建設業界では部署や職種が多岐にわたるため、他セクションへの理解を深める情報発信が円滑なプロジェクト推進につながります

また、法改正や建築基準法の変更など、業務に関連する最新情報も共有すべき重要な内容です。お互いの職種、仕事内容への理解を深めることで円滑なプロジェクト進行や経営につながります。

オープンな建設会社をめざした三和建設株式会社では、社員の離職防止を目的とした社員寮建設「HuePLUS」という新ブランドのお知らせや、高校生新卒採用の初任給引き上げについてのプレスリリースを配信。こうした社内の取り組みを発信しメディアに取り上げられたことから、企業自体の認知度が高まり、エンゲージメント向上につながった事例です。

3.ブランド認知を向上させるPR施策

ブランド認知を向上させるには、企業の社会的な価値や取り組みを効果的に伝えることが求められます。たとえば、化学物質を含む建材や工事中の排水・排煙による環境への影響といった課題に真摯に取り組む姿勢は、企業の信頼性を高める要素となります。建築士や設計士を招いた講演会、イベントの共催なども注目を集めるPR手段です。

施工プロセスの改善や廃材活用プロジェクト、CSR活動は積極的に発信すべきですが、透明性と誠実な姿勢が必要です。

建設業界でPR施策を行う際の注意点

建設業界のPR活動では、企業の信頼性を高めるとともに、地域社会との良好な関係構築を意識することが大切です。ここでは、建設業界のPR施策を行う際の注意点を3つ紹介します。

注意点1.災害時や事件に関する情報発信のタイミング

建設業界は、人々の暮らしに直結する業界であるため、災害や事件などの社会的事象に対して敏感になる必要があります。災害直後のPR発信が「不謹慎」と捉えられ、炎上するケースもあるため、発信のタイミングと内容には細心の注意を払うべきです。

プレスリリースなどで情報を発信する前に、自社の製品やサービスの広告色が強すぎないか、恐怖をあおる表現がないかを、複数部署で確認する体制を整えましょう。

注意点2.案件に携わるすべての関係者に確認

建築関連の法律や技術は日々更新されているため、発信する情報が最新かつ正確であることを確認する必要があります。国や自治体の政策も随時チェックし、誇張や誤解を招く表現がないように注意しましょう。

また、施工事例の広報に際しては、関係者との合意形成が重要です。プロジェクトに関係会社・部署など複数の企業や人が関与するため、事前に発信内容の確認と承諾を得る体制を整えることが望まれます。

さらに、プレスリリースを発表した後に想定される問い合わせに対するFAQの準備や、取材を依頼された際の回答者の選定なども考慮するとよいでしょう。

注意点3.建設地の地域に対する配慮

建設プロジェクトを進めるうえで、地元住民や行政との連携は欠かせません。住民説明会を定期的に開き、工事の内容や進捗、安全対策についてわかりやすく伝えることは、信頼構築に直結します。

また、意見交換会を開催し、地元住民の声を積極的に取り入れる姿勢を示すことで、プロジェクトに対する理解と共感を得られます。

建設業界がプレスリリースを配信するメリットと事例3選

建設業界において、プレスリリースは企業の取り組みや技術革新を広く伝える有効な手段です。以下に、プレスリリースを配信する主なメリットと、3つの事例を紹介します。

メリット

メリット1. 環境・業界課題への取り組みが可視化できる

環境配慮型建築や最新技術の導入など、業界課題への取り組みをプレスリリースで配信することで、企業の姿勢や実績をステークホルダーに伝えることができます。

以下に、環境・業界課題への取り組みがわかりやすい2つの事例をご紹介します。

既存マンションのリノベーションで、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準化を実現し、脱炭素社会への貢献をめざす取り組みを発表しています。
参考:奥村組、積水化学、リノべるの3社協業で築48年の築古ストックを“一棟全戸ZEH水準化”

静岡県浜松市で全土にスマートホームを標準搭載した新築分譲マンションを完成・IoT技術による快適な住環境を提供しています。
参考:全戸に“スマートホーム”を標準搭載した新築分譲マンションが浜松市に完成ホームIoTプラットフォームとして 静岡県内初

メリット2.地域課題への取り組みに参加することで企業の信頼性が向上できる

地域課題への取り組みや自治体との連携をプレスリリースで発信することで、企業の社会的責任や信頼性を高めることができます。

たとえば、公共工事や施設の建設に携わる場合、または地域が抱える空き家問題やまちづくりを協働で取り組む活動がある場合は、情報発信のチャンスです。公共工事実績、実証実験、地域連携や協働事業の実績を紹介することで、長期的に社会的責任を果たす姿勢や実績などを伝えることができます。

以下は、空き家問題の解決を図る事例です。

秋田県大館市と連携し、空き家の除却促進に係る協定を締結。地域の空き家問題解決に向けた取り組みです。
参考:秋田県内初、建設テックのクラッソーネと大館市が「空家等の除却促進に係る連携協定」を締結

メリット3.独自の取り組みで求職者の興味を引き付ける

ユニークな取り組みや働きやすい環境をプレスリリースで配信することで、求職者に企業の魅力を伝えることができます。

たとえば、求職者向けのイベントや入社式、変わった福利厚生がある場合や建築家・設計事務所などの受賞歴がある場合、入社後の成長や働きやすさをイメージできる情報としてプレスリリースを通じて発信します。福利厚生やイベント関連情報であれば、建設業界と直接関係のないメディアにも連絡をしましょう。そのメディアに、取り上げられれば、普段アプローチできない優秀な人材にリーチできるきっかけにもなります。

以下のプレスリリースでは、環境に配慮した取り組みについて発信しています。

建設会社である株式会社ゼロアクション アーキテクトは、EV導入で環境に配慮したキッチンカー「KID-e」を発表。移動・開店が手軽で、騒音レス・ポータブル電源不要の特徴を持ちます。
参考:建築会社が生んだ新発想!手軽に移動・開店できる環境配慮型キッチンカー

建設業界ならではの情報発信のタイミングに気を付けてPR活動を

建築業界の情報発信においては、自社の課題や対策、取り組み、技術革新を伝えることが広報PRの大きな役割といえるでしょう。

ほかの業界と比べても、建築業界は高額商品の取り扱いが多く、取引や購入に至るまでの意思決定は、価格以外に「信頼」が重要となります。こうした信頼を築くためにも、表面上のことだけでなく、企業にとっての価値を伝えるのに広報PRはカギに。企業の社会的な意義を多くの人に届け、ポジティブな共感を得られる可能性が広がり、従業員のエンゲージメントの向上にもつながります。

ただ、売り上げだけがゴールではなく、PR施策を講じることで、あらためて企業内で価値観を共有する大切な機会にもなるでしょう。

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この記事のライター

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『PR TIMES MAGAZINE』は、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」等を運営する株式会社 PR TIMESのオウンドメディアです。日々多数のプレスリリースを目にし、広報・PR担当者と密に関わっている編集部メンバーが監修、編集、執筆を担当しています。

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