本稿は、鈴木恵美氏による寄稿です。
企業・団体が発表する公式文書、プレスリリース。配信サービスの活用でメディアだけでなく生活者にも届くようになりましたが情報量も多く、例えばPR TIMESでは月に34,000件も配信されており、その内のひとつを見てもらうのは簡単ではありません。
では、プレスリリースを見てもらうために何ができるのか、筆者の体験を交えて本記事でお伝えいたします。
ブックオフグループホールディングス株式会社 広報・SDGs推進室/アークランドサービスホールディングス株式会社 社長室 広報
食に興味があり、学生時代に栄養士免許を取得。新卒で入社した弁当・惣菜チェーンでは、10年の店舗運営を経て社長秘書と能動的な広報の立ち上げを担う。2019年8月アークランドサービスホールディングスに入社し、プレスリリース配信やユーザー視点のウェブサイトリニューアルなど、企業やブランド認知向上に努める。これまで経験してきた食に関わる業界はもちろん、新たに広報として貢献できる場所を開拓するために2024年3月よりブックオフグループホールディングスの広報を、副業でアークランドサービスホールディングスの広報として世の中に必要とされる企業を目指し、ブランドロイヤルティを高める役割として奮闘中。
(この記事を読んでいただく方へ)
お世話になっているパートさんやアルバイトさん、支えてくれている方々が「自信をもって人に話せるような職場にしたい」と考え、広報という職種を知り今に至ります。
想いを紡いだ文章が思わず人に言いたくなる情報となり、人の心を動かす可能性を秘めている。そんなプレスリリースの存在を知った時に「これだ!」と胸が高まりました。
プレスリリースを活用し、相手の立場になった「伝わる」コミュニケーションの実現を目指してプレスリリースエバンジェリストとして活動しています。ただし、プレスリリースは選択肢のひとつです。あらゆる手段の中から、最適を追求したコミュニケーションの選択で会社に貢献できる存在を目指します。
直接だけじゃないプレスリリースの届け方
企業・団体が、プレスリリースを配信する目的は何でしょうか。相手がメディアでも生活者でも見てもらえなければ役割を果たせません。見てもらえなければ存在していないのも同じで、見られて初めて自分に関係あるものかどうかを判断してもらえます。
となると、数あるプレスリリースの中から選ばれ、見てもらうきっかけが必要になります。それでは、プレスリリース作成時にできるきっかけづくりのポイントを2つご紹介します。
- 思わず人に話したくなるタイトル
- シェアしたときに目を惹く画像
1.思わず人に話したくなるタイトル
日常生活において、テレビやWebなどで見聞きしたことを思わず人に話したくなるときがありませんか。きっかけは、価値ある情報であったり、新しい発見や新鮮さだったり、驚きなどの感情が揺さぶられることが思い当たります。
プレスリリースも、そんな感情が揺さぶられる要素を含んでいたら人から人に伝播すると仮説を立てています。
ただし、プレスリリースは企業・団体が発表する公式文書という前提を忘れてはいけません。5W2Hを含むなど基本的な構成に沿うことで役割を果たします。
前提条件を満たしたうえで、本文を見てもらうきっかけになるタイトルに感情が揺さぶられる要素を盛り込みましょう。
ここでは、タイトルを考える際にやらないことを2つ紹介します。
- 企業名や店舗名など固有名詞を頭に持ってこない
- 括弧(かっこ)が続かないようにする
なぜ、やらないかというと自分の行動を振り返って決めました。
Webで検索した結果を閲覧する際に、タイトルの見えている部分や読みやすさでクリックするかを判断します。そこで検索していたキーワードが表示されていなくて読みにくければ飛ばすことが多いからです。目に留まるタイトルを考えるときは、Web媒体の記事タイトルを参考にしています。
2.シェアしたときに目を惹く画像
前述の通りWeb媒体の記事を読むか読まないかの判断材料になっているのがOGP(Open Graph Protcol)です。タイトルだけではなく、画像も詳細を見るか読み流すか道を分ける重要な役割を果たしています。
飲食店の広報を担当していたときは、店頭販促物や折込チラシのデザインをWeb用画像に展開してもらうことで、通りがかって実際に目にすることもあればWebで表示される情報など複数回接触し、記憶に残すことを狙っていました。
参考:アークランドサービスホールディングス株式会社のプレスリリース
商品ではなく取り組みを発表するプレスリリースでは、何に取り組んだのかが一目でわかる画像を手持ちのスマートフォンで撮影した画像を交えながらCanvaで作成することもあります。
例えば調査リリースの場合、自社の印象よりもインパクトのあるグラフや数字を用いた画像だと何のことだか気になり読みたくなるなど、内容に応じて最適な画像を用意します。
プレスリリースは配信してからがスタート
皆さまご認識の通り、プレスリリースは配信したら取材が来る魔法ではありません。そう、配信してからがスタートです。
それでは配信後、プレスリリースを見てもらうためにしていること5つをご紹介します。
- 公式アカウントの投稿
- Webサイト新着情報
- Webサイト画像
- 店舗情報の新着情報
- エゴサーチ
1.公式アカウントの投稿
近年、外部リンクの投稿はインプレッション数が上がらないため未実施の方もいるかもしれません。しかし、日頃からユーザーとアカウントの関係性を構築し、会話をしているような投稿文にすると必要な情報として人から人へ伝播するきっかけになります。
また、公式アカウントを開設していても、見てもらえなければ役割を果たせていないので広告を活用することもあります。
参考(広告未使用例):全力飯。かつや【公式】🥢 (@katsuya__corp) / X
参考(広告使用例):からやま【公式】🥢 (@karayama_fan) / X
2.Webサイト新着情報、3.Webサイト画像、4.店舗情報の新着情報
この3つに共通することは、自社に興味を持っている人が閲覧している場所だということです。興味を持っている方に対して、導線を設けるのは大前提と捉えております。
参考(Webサイト新着情報、画像):とんかつ・カツ丼「かつや」公式サイト
参考(店舗情報の新着情報):かつや 相模大野店 | 【公式】店舗情報
5.エゴサーチ
主に公式アカウントで実施し、プレスリリースに限らず自社について言及してくれている投稿をエゴサして、いいねをします。もし、いいねをきっかけにアカウントに興味を持ちプロフィールを訪問してくれるとどうなるでしょう。投稿やプロフィールリンクからプレスリリースを閲覧してもらえる可能性が高まりますよね。大事なのは、1〜4を実施してからエゴサする順番を守ることです。
これら5つに取り組むと、PR TIMESであれば旬速や今話題ランキングで上位になることも視野に入ります。配信サービスサイトも活用すれば、さらに見てもらう機会を創出できます。
プレスリリースは見てもらうのがゴールじゃない
さて、プレスリリースを配信し見てもらったら、その先は何を目指せばよいのでしょう。
組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である。
日本広報学会
このように定義された広報の役割を果たすために、プレスリリースをきっかけにステークホルダーの認識を深め、行動変容を促し、社会的に望ましい関係を構築・維持して企業に貢献するところまで想定してみましょう。
プレスリリースを書いて配信し、見てもらうところまでを描いていたときとその先を想定した場合では、目的や情報収集段階から取り組み方が変わるかもしれません。
その他にも、社内の方から「プレスリリースを配信してほしい」と相談をされた際も、どこまで想定しているのか認識をすり合わせてから対応すると、プレスリリースに対する期待値調整や本当に手段はプレスリリースなのか、他の手段が最適なのではないか、と考えを深める機会にもなります。
まとめ:プレスリリースを配信した先を想定し、効果を最大化しよう
「プレスリリースを書いてほしい」と依頼があった際に、配信の先に何を描いているのか共通認識にしていますか。
まるで魔法のように、プレスリリース配信という手段がひとり歩きをして期待値調整ができていないと「あんなに協力したのに、意味ないじゃん」とがっかりされてしまう結果になりかねません。
効果的なプレスリリースに仕立てるために必要なのは、情報収集から始まりプレスリリースを配信したその先を想定すること。さらに、自分だけではなく関わる人にも同じ景色を見てもらえるように共通認識にすることが重要ですし、広報の領域を超える手段に取り組むきっかけになります。
本記事が、プレスリリースの効果を高めるお役に立てれば幸いです。
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