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Webメディアに取り上げてもらうポイントをITmedia編集者が解説

広報PR活動のひとつの指標となるメディア掲載。広報PR担当者は、メディアに取り上げてもらうための情報収集を常に行っているのではないでしょうか。

プレスリリース配信サービスを運営するPR TIMESでは、2023年9月8日にユーザー会を開催。ITmedia ビジネスオンライン編集部で編集記者を務める上間貴大さんをゲストに迎え、「メディア編集者のことを理解する」をテーマに、Webメディアに取り上げてもらうためのポイントを伺いました。

編集者がどのように情報を収集して、どのような点に着目しているのか。編集者との関係性が一方通行にならないために、広報PR担当者として意識すべき視点をご紹介します。

アイティメディア株式会社 プロフェッショナル・メディア事業本部 編集局 NB編集統括部 企画制作部 兼 ITmedia ビジネスオンライン編集部 編集記者

上間貴大(Uema Takahiro)

2014年、琉球朝日放送(テレビ朝日系列)に入社。報道記者として4年間勤務後、東京支社営業部に異動。2020年、アイティメディア入社。ITmedia ビジネスオンライン編集部に配属。主にアパレル、小売業などを中心に取材。2022年よりNB企画制作部兼務となり、タイアップ記事の企画・制作を手掛ける。https://www.itmedia.co.jp/business/

毎月6,000本以上の記事を公開する「ITmedia」

国内最大級のインターネット専業メディア

──まず、「ITmedia(アイティメディア)」について、どのようなメディアか簡単に教えていただけますか。

「ITmedia」は、アイティメディア株式会社が運営するインターネット専業メディアです。IT関連を主軸に、ビジネスやエンジニアリング、テクノロジー、コンシューマ領域等のWebメディアを20以上展開しています。

──上間さんが所属しているメディアのひとつ『ITmedia ビジネスオンライン』はどのような記事を公開しているのでしょうか。

ビジネスオンラインは、「純度100%のビジネス誌」を目指していて、ビジネス以外のネタは扱わず、企業戦略に特化した記事を掲載しています。

主要な記事の種類は大きく分けて「短信記事」「連載・特集・レポート」「寄稿・転載」の3つです。

  • 短信記事:プレスリリースをもとにした500文字程度の記事で、即日掲載のものが多い。
  • 連載記事・特集・レポート:3,500〜4,000文字程度の長文記事で、取材から1週間前後で公開。編集記者が注力している業界や領域の動向を自ら取材しまとめる場合と、有識者や外部ライターが執筆する場合がある。多くが署名記事で、短信記事よりも読み応えがあることを意識。
  • 寄稿・転載:提供してもらった記事やほかの書籍などからの転載記事。

Webに特化したメディアの特徴

──Webに特化したメディアならではの特徴はありますか。

|他メディアより少人数運営

まず特徴のひとつとして、少人数で運営していることが挙げられます。『ITmedia ビジネスオンライン』の場合は編集部員が約10名、ほかの媒体でも平均して5名ほどで、発表会などの取材には、契約している外部ライターを派遣することも。当社では、編集部員は「編集記者」という肩書きを名乗っていて、編集と取材の両方に対応します。

|掲載スピードを重視

2つ目の特徴は、掲載までのスピードを重視することです。『ITmedia ビジネスオンライン』では、1日あたり平均して30本の記事を公開しているので、編集記者1人で約3本の記事を毎日執筆することになります。読者の方に読んでほしい情報がたくさんあるときには、1人で1日10本以上の記事を書くこともあるんですよ。

記事作成から公開までの目安としては以下の通りです。

掲載内容記事作成から公開までの目安
ニュースリリースの要約があれば1時間ほど
連載・特集・取材   1週間前後
発表会(リアルタイムで情報公開したいとき)会場からリアルタイム

公開後に、読者の反響がよければ追加取材をしたり、深掘り連載になったりすることがあります。

|記事ごとに検討される公開タイミング

即効性が求められる記事は短時間で仕上げ、いつでも公開できるように準備しておき、読者に見てもらいたいタイミングで掲載します。特集記事や取材記事など、しっかり読んでほしい記事は、朝の通勤時間前までに公開。通勤時間や昼休みはPVが上がる傾向があるため、その時間に読んでもらうことを意識しています。また、昼休みや休日は仕事のことを考えたくない方も多いと思いますので、ビジネス視点ではあるものの導入部分が柔らかいネタの記事をアップすることが多いです。

ユーザー会 ITmedia01

情報収集にプレスリリースを活用

──1日に平均して30本以上の記事を公開している中で支えるネタ探しはどのようにして行われているのでしょうか。

基本の情報収集はプレスリリースです。毎日10時、13時、15時にチェックしています。

プレスリリースの背景を重視

個人的に関心のある企業をフォローしていますが、基本的には新着のプレスリリースから見ていくことが多いです。また、キーワード検索で探すことも多く、ビジネスオンラインでは「働き方」「DX(Digital Transformation)」などの検索で引っかかったものは、詳細を見るようにしています。

重視しているのは、タイトルよりも中身。文章が読みやすいことはもちろん、なぜこのタイミングでプレスリリースを配信しているのか、そのプロダクトが生まれた背景や、社会動向をどう読み取っているのかが伝わるものは、記事化のイメージがしやすいです。

また、使用できる画像や担当者の連絡先をプレスリリースに載せていただけると記事にしやすいですね。編集者はリリースの中身のその先を知りたいと思っているため、可能な限り質問に対応していただけるとうれしいものです。

導入事例に注目

プレスリリース以外にも、情報収集のために課題解決型のセミナーに参加したり、書籍を読んでインタビューしたい人を探したりしています。特定の情報が必要なときには、社内の他メディアの記事をチェックしたり、SNSやオウンドメディアで取材先やおもしろい取り組みをしている企業を探したりすることもあります。最近は企業のオウンドメディアも増えてきていますが、その中でも導入事例を取り上げているものは、気になってチェックすることが多いですね。

ユーザー会 ITmedia02

編集記事とタイアップ記事の有効な使い分け

──「編集記事」と「タイアップ記事」の違いや使い分けについて教えていただけますか。

編集記事とタイアップ記事の違い

|編集記事:有益な情報発信が目的

編集記事は、読者に有益な情報を発信することを目的としています。私たち編集記者の目線の先には必ず読者がいて、記事の内容によっては企業側にとってマイナスになることもありますが、すべての権限は編集部にあり、基本的に公開前の事前確認はできません。

|タイアップ記事:企業の認知拡大が目的

一方、タイアップ記事は企業の認知拡大を目的としています。タイアップといっても編集部が作成するのでクオリティや体裁は取材記事とは変わりません。クライアントの了承を得たうえで公開となるのが一般的です。

編集記事とタイアップ記事の使い分け方

|編集記事:編集部の判断によって決定

編集記事は編集部の領域で判断するため、「タイアップ記事にするから編集記事にも載せて」ということは原則としてありません。ただし、別物と考えてください。使い分けの例としては、編集記事を掲載した後に社内外の反響がよかったとのことで、タイアップ記事の依頼を頂くケースがあります。

|タイアップ記事:訴求層へ的確に発信したいとき

タイアップ記事は営業部がクライアントに提案し、営業部から編集部に記事作成を発注します。注力しているサービスがある場合や、時期を決めて記事を掲載したいときには、タイアップ記事のほうが的確に訴求層へ発信することが可能です。

メディアに編集記事とタイアップ記事の両方が掲載されることによって、読者の目に入りやすくなるため、双方を展開していくことで大きなメリットを得られるでしょう。

編集記事として取り上げてもらうポイント

──編集部の権限によって取材対象が決まる編集記事。取り上げてもらうためにはどうしたらよいのでしょうか。

メディアとの親和性を考える

企業から送られてくる、記者発表会や新商品紹介の案内や、代表インタビューの依頼の中には「どうしてうちのメディアに声をかけたのだろう」というものも少なくありません。そういうものは編集記事として取り上げることは難しいです。

例えば、ビジネスオンラインではCxO(Chief x Officer)や経営層向けの記事のほかに、総務・人事向けの特集やリテールなどの特集をしているので、そこに合致したものやメディアとの親和性の高いものが理想的です。単に今流行しているからという理由ではなく、企業の課題にどうアプローチできるのかという部分を特に知りたいですね。

双方向のコミュニケーションを大切に

編集記者は、どういう商品を発表するのか、どんな発表会が開催されるのか、という部分だけでなく、「なぜその商品を展開するのか」「その背景にはどんな市場があるのか」という、リリースには載っていない担当者の本音的な部分を知りたいと思っています。

実際に記事化できるかどうかは別として、まずは可能な限り情報交換をする時間を取っていただければ、記事化を検討するきっかけになるはずです。

ただ単に「取材してください」というのではなく、世の中のさまざまな統計や自社売り上げ、製品導入率といった数字など、「こういうネタがありますが、どういうふうにおもしろくできますか」というコミュニケーションを取っていただき、企業と編集部とで良好な関係が構築できればと思います。

ユーザー会 ITmedia03

まとめ

今回のユーザー会は、上間さんにWeb特化型メディアに取り上げてもらうポイントについて語っていただきました。

Webに特化したメディアの編集記者がどのようにして情報収集をしているのか、どのように記事を作っているのか、記者目線(読者目線)を意識した広報PR施策で、メディア掲載を目指しましょう。

  • 訴求したいターゲットが明確な場合、決まった時期に掲載したい場合は、タイアップ記事を選択肢に加える
  • プレスリリース、オウンドメディア、SNSの情報に導入事例を掲載し、編集記者の目に留まる可能性を高める
  • メディアとの親和性や特集との合致性を意識した情報提供をする
  • 一方的な取材依頼ではなく、双方向のコミュニケーションを深める

広報PR活動を行ううえで、新たなアプローチのヒントとなれば幸いです。

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