プレスリリースでお客さまの導入実績を紹介することは、広報PRだけでなく営業面でも効果的です。一方で、お客さまからなかなか掲載の許可をいただけないというお悩みの声も多く伺います。
プレスリリース配信サービス「PR TIMES」を運営する株式会社PR TIMESでは、10月30日に「BtoB企業のためのプレスリリース活用術」をテーマとしたユーザー会を実施。物流向けロボティクスソリューションを提供するラピュタロボティクス株式会社の大橋由加さんに登壇いただき、導入事例をプレスリリース配信する際のポイントや、ネタづくりの方法などについて伺いました。
当日、お話いただいた内容を元にまとめています。
ラピュタロボティクス株式会社 PR Manager
半導体メーカーで広報を担当し、広報機能の立ち上げから上場前後の広報活動に携わる。その後、商用車メーカーでマーケティング業務や大手広告代理店で広報を担当。2022年8月からは、物流向けロボティクスソリューションを提供するスタートアップ企業、ラピュタロボティクス株式会社にて広報業務全般を担当し、認知度向上および事業成長に貢献すべく、広報活動に取り組んでいる。
つながりを活かしメディアリストを整備
ラピュタロボティクスは、ロボットを活用した社会課題解決を行うスタートアップで、2014年にスリランカ出身の2名によって創業されました。現在は日本(東京・大阪)、インド(チェンナイ)、アメリカ(シカゴ)の4拠点にオフィスがあり、日本とアメリカで、物流の課題を解決する3製品を販売中です。
スタートアップ企業ということもあり、私が入社したときは広報PR専任者はおらず、プレスリリースの配信も月に1回あるかないかという状況でした。入社してさっそくプレスリリースを配信しようとしたのですが、十分なメディアリストがないという壁にぶち当たります。
最初に取り掛かったのは、メディアリストの整備です。前職の半導体業界でつながりがあった記者さんに連絡することから始めました。物流業界やロボット業界、もしくはスタートアップ関連の記者さんをご紹介いただけないか相談してみたのですが、これまでの関係性もあって、快諾してもらえたのです。ご相談の際に大切にしていたのは、ラピュタロボティクスがどんな会社であり、どんな点が面白い・新しいのか、というのをしっかりとお伝えすること。ただ単に「紹介してください」というのではなく、記者さんがどんな業界の担当者に紹介するとよいか考えやすくなるように丁寧に伝えることが重要だと思っています。
また、記者さんだけでなく広報PR仲間を頼ることもありました。今回のような「PR TIMES」のユーザー会をはじめ広報PR担当者が集まる会で出会った方など、横のつながりができていて。ぜひ、皆さんにもこのようなユーザー会での出会いを大切にしていただきたいですね。
あの手この手を使ってなんとかメディアリストができたあとは、どんどんプレスリリースを配信していきました。ロボットの導入事例や採用予定をはじめ、展示会の出展などのプレスリリースも配信。展示会には半導体会社時代にお付き合いのあった記者さんが来てくださり、有名ニュース番組の特集で紹介されたことも。結果的として、メディア掲載数は入社時の2022年比で約2倍になっています。今後はより認知度を上げる施策をやっていきたいですね。
参考:ラピュタロボティクス、東京ビッグサイトで開催される「国際物流総合展2024」に出展
プレスリリースの配信機会を創出する
プレスリリースをたくさん配信したいけれどネタがない。共通の悩みだと思います。どんなネタでもよいわけでなく、メディア掲載につながるような内容であることが必要です。そこで、私自身がプレスリリースの配信数を増やすために行った取り組みを、2つご紹介したいと思います。
1.導入事例の承諾はお客さまのメリットを伝えること
BtoB企業で非常に重要なのが、お客さまの導入事例です。当社のようなまだ広く知られていない企業にとっては最重要といえます。営業担当も同様の想いで、お客さまの導入事例をプレスリリースで配信することに、とても積極的でした。配信したプレスリリースは商談中のお客さまへの資料に反映し、営業活動にも役立てています。
ただ、導入実績を事例として紹介したくても、お客さまの承諾を得るのは難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。当社もすべてのお客さまにご快諾いただけるわけではありませんが、「PR TIMES」でプレスリリースを配信することで、どれくらいのユーザーにリーチするのかといった数値をご紹介したり、プレスリリースを見たメディアから取材される可能性についてご説明したりして、いかにメリットがあるのかを伝えるように努めています。特に認知度を高めたいお客さまや、社内に対して導入の成果を報告したいお客さまなどは、前向きに検討してくださることがほとんどです。
導入事例のプレスリリースは、お客さまのコメントが入る想定でドラフトを作り、お客さま自身にコメントをいただいたり、当社でコメントをまとめたものを確認いただいたりしています。大切にしているのは、導入による具体的な効果を数値で紹介すること。どれくらい作業時間を削減できたか、稼働人数はどれだけ減らせたかなど、目に見える成果として記載します。同時にお客さまが課題解決に積極的であることも記すなど、お客さまにとっても広報PRとなるような書き方を心がけています。
参考:日本出版販売株式会社の物流新拠点「N-PORT新座」が開所し、ラピュタロボティクスの自在型自動倉庫「ラピュタASRS」が稼働開始。
2.アワード応募で信頼を高めるプレスリリースに
権威ある賞をいただき、それをプレスリリースで配信することで、製品への信頼度が高まると考え、アワードへの応募も行いました。グッドデザイン賞、経産省などの公的機関が開催するアワード、スタートアップ関連の表彰など、調べてみると応募できそうなものはたくさんあります。今年は「第11回ロボット大賞」にて「日本機械工業連合会会長賞」、そして「2024年度グッドデザイン・ベスト100」および「経済産業大臣賞(グッドデザイン金賞)」をいただくことができました。プレスリリースのネタになるだけではなく、営業活動にも活用できます。ただ、応募には手間と時間がかかるので、少し手が空いたときなどに行うのがおすすめです。
参考:ラピュタロボティクスの協働型ピッキングアシストロボット「ラピュタPA-AMR」が、第11回ロボット大賞にて日本機械工業連合会会長賞を受賞
参考:ラピュタロボティクスの自在型自動倉庫「ラピュタASRS」が2024年度グッドデザイン・ベスト100および経済産業大臣賞(グッドデザイン金賞)を受賞
プレスリリースの効果を最大化するデモ会
プレスリリースの効果を最大限に高めるために行ったのが、デモ会の実施です。扱う製品が専門的すぎて特徴が伝わりづらいというケースもあるかと思います。当社の物流倉庫ロボットも、説明が難しいと感じていました。そのため、大きな機能追加などがあったときにはメディア関係者を招待し、実物を見ていただく機会を設けるようにしています。製品の良さもしっかり伝えられますし、物流展などの大規模な展示会を控えているときに記事にしていただけるとブースへの来客の増加も期待できます。実際に開催するとなると準備が大変ですが、効果の高さを考えるとおすすめの方法です。
また、今年は地方への広報PR活動として、広島でデモ会を実施してみました。地元の記者クラブへお電話したところ、20社ほどのご連絡先をいただけることに。記者クラブは今もアナログなところが多く、地道に全社ファックスでご連絡しました。残念ながらこのときは掲載には至らなかったのですが、地方新聞社の記者さんと地元テレビ局のディレクターさんが連絡をくださり、つながりを持てたのはよかったです。
参考:ラピュタロボティクス、自動フォークリフト「ラピュタAFL」に「トラック積み下ろし」機能や倉庫内における自動荷役の幅を拡張する機能を追加
まとめ:信頼されるプレスリリースは営業支援
メディア掲載につなげるために、できることはすべてやろうというスタンスの大橋さん。最後に「メディアに取り上げてもらえることはもちろん大事ですが、営業担当者のプレゼン資料に説得力を高めるサポートができているのが嬉しい」と語りました。
ラピュタロボティクス株式会社の広報PR施策から学ぶポイントは以下の3点です。
- 導入事例のプレスリリースを配信する際は、お客さまのメリットを訴求すること
- プレスリリースは営業活動の最大の後方支援
- アワードは、信頼性の高いプレスリリースのネタづくり
創業して間もない企業、BtoBの事業を行う企業の広報PR担当者は、ぜひ参考にしてみてください。
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