企業の広報PR活動の中でも重要な役割を担う、社内報の発行。社内の情報共有を円滑にしたり、コミュニケーションを促進したりと、社内報は企業活動を行うための土台を形作るためのツールです。そんな社内報の意味と効果を最大化するための、7つの作成ステップとコツをご紹介します。
社内報とは?社内報の役割と目的
多くの企業が発行に取り組む社内報ですが、そもそもなぜ重要視されているのでしょうか。目的を理解せずに社内報を作ると、思ったような効果を生み出さないばかりか、無駄なコストが発生しかねません。狙い通りの効果を出せるよう、社内報の役割と目的を知り、必要な理由を理解しましょう。
役割と目的1.社内情報の共有
目的の1つ目は、「社内への正確な情報共有」です。一口に社内の情報といっても内容は様々で、経営戦略や企業理念のほかにも、経営者インタビューや社員紹介、業務紹介など多様な情報が含まれます。
一般的に、企業の規模が大きくなるほど情報伝達の速度や正確性が落ちるという課題が生じます。それを補い、情報伝達の速度と正確性を向上させるのも社内報の役割です。
また、社内報を定期的に発行することで情報がストックされ、会社の歴史を残す役割も果たしてくれるようになります。新しく入社した社員がいつでも会社の歴史に触れられますし、いつか社史の編纂にも役立つかもしれません。
役割と目的2.社内コミュニケーションの促進
目的の2つ目は、「社内のコミュニケーション促進」です。企業の規模が大きくなり社員が増えると、どうしても社員同士の距離が遠くなったり、同じ人としかコミュニケーションをとれなくなったりします。
そんな時、社内報で「共通の話題」を見つけてもらえばコミュニケーションを促進できるのです。社内報をきっかけに社員同士の理解が深まり、コミュニケーション活性につながります。
また、「社員の家族向けの情報提供」としての機能も果たすことがあります。どんな企業なのか、どんな人が働いているのかを伝え、時には本人の活躍を伝えるツールにもなります。家族に会社のことを理解してもらうことで、社員自身も安心して働き続けることができるでしょう。
結果的に離職率の低下につながるかもしれません。
社内報の作り方は?7つの作成ステップ
2つの大切な役割を持つ社内報ですが、作成にはどんなステップが必要なのでしょうか。ここでは、企画から発行までの流れを7つのステップに分けてご紹介します。手順をしっかり確認して、完成度の高い社内報作成にチャレンジしましょう。
STEP1.企画を検討する
社内報作成の最初の一歩は、企画の検討です。社内にある情報をただ漫然とまとめて発信するだけでは、社員の目に留まる社内報にはなりません。
社内報のコンセプトや企画の柱となるもっとも大切な要素が「5W2H」。目的やターゲットを検討するためのフレームワークとして活用してみてください。
【企画の5W2H】
- 目的(Why):社内報作成の目的
- 内容(What):社内報の内容
- 場所(Where):社内報の発信場所(壁新聞、イントラネット、メール、チャットツールなど)
- 時期(When):社内報の発信タイミング・頻度
- 対象(Who):社内報を読んでほしい対象者
- コスト(How much):社内報に掛けるコスト
- 方法(How):社内報に掲載するコンテンツの作成方法
5W2Hに加えて、企業の展望も意識して企画するとよいでしょう。
STEP2.スケジュール・担当者を立てる
企画を検討したら、企画実現のために必要なリソースを整理しましょう。取材に掛かる時間、編集に掛かる時間など、コンテンツに合わせて見積もりを出しておくことが重要です。
担当者を選ぶ際は、社内報全体に対して配置するか、コンテンツごとに配置するかによって必要な人数が異なります。コンテンツの特性と担当者の適性を意識しながら配置を決めると良いかもしれません。
STEP3.おおまかなレイアウトを完成させる
社内報は、多くの場合テキストだけでなく画像も含むコンテンツになります。「どのコンテンツをどのように見せるか」、つまりレイアウトの検討が必要です。
どんな媒体を使って発信するかにもよりますが、もっとも注目してほしいコンテンツを目立たせるなど、どんな社員にとっても読みやすいレイアウトになるよう工夫できると良いですね。レイアウトの経験がない場合は、雑誌やWebサイトのレイアウトを参考にしてみましょう。
STEP4.コンテンツごとに取材・執筆を行う
続いて、先に決めたスケジュールに則って取材・執筆を行いましょう。
取材では音声レコーダーや撮影機材が必要な場合もあります。コンテンツの内容を鑑みながら、必要な備品を事前に揃えておきましょう。
また、コンテンツによって写真撮影や画像編集が必要なことがあります。写真撮影では下の記事をご覧ください。
画像編集ツール選びでは下記も参考にしてみてください。
STEP5.デザインを完成させる
取材・執筆が完了してコンテンツ作成に必要な素材が整ったら、先に決めたレイアウトに基づいてデザインを完成させます。
デザインの経験がないと戸惑ってしまうかもしれませんが、まずはチャレンジしてみることが大切。レイアウトと同様に雑誌などを参考にしつつ、社員に「読んでもらえる」工夫をちりばめましょう。コーポレートカラーやサービスカラーを取り入れて、統一感を出すのもおすすめです。
STEP6.入稿する
すべてのデザインが完成したら、続いては入稿です。印刷所に依頼する場合もあれば、社内で印刷する場合もあります。また、紙媒体ではなくWebで公開する場合には、ブログプラットフォームやイントラネットで入稿(投稿予約)する場合もあるかもしれません。
いずれの場合でも、配布・公開の日時から逆算して遅れが出ないよう、スケジュール通りの作業を心がけましょう。
STEP7.配布・公開する
最後は、いよいよ社内報の配布・公開です。企画時に定めたターゲットがきちんと手にとってくれるよう、配布・公開がスタートしたことや掲載されているコンテンツのサマリーを社内のチャットツールなどで周知するのがおすすめです。会社の規模が大きく広報PR担当者だけでは周知するのが難しい場合は、各部の部長やリーダーに周知を依頼するのも良いですね。
社内報のコンテンツの例
社内報のコンテンツをゼロから考えるのは難しいもの。そこで、おすすめのコンテンツをご紹介します。
- 会社の動きに関するネタ:社内報の「情報共有」という役割をもっとも効果的に果たせる
- 部署・社員に関するネタ:社員同士の共通点が見つかりコミュニケーションを促進できる
- アンケートや意見:意見箱のようなものから、ビジネスアイデアの募集まで目的に応じてカスタマイズできる
- 季節やトレンドに関するネタ:箸休め的な役割として、テーマにそってどの時期でも活用できる
- エンタメ性の高い企画やお役立ち情報:4と同じく箸休めに使いやすい
詳しくは、社内報におすすめのネタ50選を参考にしてみてください。
読まれる社内報にする5つのコツ、読まれない社内報との違いとは?
社内報をしっかりと社員に読んでもらうには、工夫が必要です。これからご紹介する5つのコツを押さえて、「読まれる社内報」を作成しましょう。
1.発行の目的・ターゲット・コンセプトを明確にする
社内報の作り方の7つのステップでもご紹介したように、読まれる社内報を作るためには目的やターゲット、コンセプトの明確化が重要です。誰に、何を、どのように伝えるための社内報なのかを常に意識しながら作成しましょう。
「5W2H」の各要素が明確になっていないと、読み手に刺さらないコンテンツばかりになってしまう可能性があります。また、社内報の紙面には限りがあるので、当然掲載できる情報量にも限りがあります。社内報で紹介する情報の取捨選択が必要な時、目的やコンセプトはその判断基準になります。
2.デザイン・写真にこだわる
社内報では、デザインや写真を活用した視覚的な訴求も重要です。ジャンルを問わず多量の情報があふれる中で、情報が整理されていない媒体は避けられがち。テキストばかりの紙面やレイアウト・デザインに工夫のない雑多な紙面では、社員に「読みたい」と思ってもらえません。
また、写真や図は情報を正確に伝えるためにも大切な要素です。誰もが誤解なく情報を得られるように、テキストだけでは伝わりにくい情報は写真や図を添えることが有効です。
3.実務に役立つ情報を入れる
社長インタビューや社員紹介などのコンテンツも大切ですが、実務に役立つハウツーを組み込むのも「読まれる」ための工夫のひとつ。社内報を自分にとって役に立つものだと認識してもらえれば、社員自ら社内報に手を伸ばしてくれるはずです。
4.お昼休みなど目にしやすい時間に公開・配布する
社内報を公開・配布するタイミングも、工夫したいポイントです。例えば通勤時間帯や休憩時間を狙って配信されるメールマガジンが多いように、社内報も社員が目を通しやすい時間に公開・配布すると良いでしょう。始業前後や昼休み、その他の休憩時間等を狙ってみてください。
5.社内報作成メンバーを公募してみる
社内報を「自分ごと」として捉えてもらうために、思い切って社内報作成メンバーを公募してみるのもひとつの手です。
編集部員として企画、取材、編集などを実践してもらえば、社内報への愛着が湧きます。広報PR担当者にとっては、社内報チームのメンバーが増えることで、コンテンツ案の質と量を確保できるメリットもあります。
社内報を発行する意味はある?社内報が必要な会社とは?
社内報の作成は、リソース、費用対効果を考慮する必要があります。
前述の通り、社内報は情報伝達やコミュニケーション促進に課題のある企業が取り組む手段です。社員数がそこまで多くなく、情報伝達やコミュニケーションに課題がないフェーズであれば社内報の必要性は低いでしょう。
以下の整理も参考にして、社内報の必要性を検討してみてください。
社内報が必要な会社
- 社員数が多く、情報伝達の速度や正確性に課題がある
- 部署間のコミュニケーションが稀薄である
- 定期的な異動があり、他部署の業務内容を把握しておくメリットがある
- 多くのプロジェクトがあり、関与する人を広げていきたいと思っている
- 自社の事業と社内報作成業務にシナジーがある
社内報の必要性が低い会社
- 社員数が少なく、情報伝達の速度や正確性に課題がない
- オープンな社風で部署間のやり取りが頻繁に行われている
- 情報共有の場として社内SNSやイントラネットが機能している
- 社内報作成にあてるリソースを確保できない
役割と目的にあわせた社内報を作成しよう
本記事では、社内報について、作成のステップと作成する際のコツを解説しました。
最初の一歩となる企画については、役割と目的を明確にしたうえで、5W2Hに沿って考えることが大切。しかし、まったくのゼロの状態から検討するのは大変だと思いますので、記事内で紹介している社内報のネタを足掛かりにしてみてくださいね。
役割と目的を常に意識し、「社内への正確な情報共有」「社内コミュニケーションの促進」を実現していきましょう。
<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>
社内報作成に関するQ&A
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