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広報チームを強くする「ナレッジベース」とは?活用方法・作成方法・ポイントを紹介

属人的にもなりやすい広報業務。特にスタートアップの広報の場合は、教育の時間を長く取れないなどの理由から結果的に、各自が担当する広報業務が属人化してしまい、チームとしてうまく機能しないこともしばしば起こりえます。

広報業務を属人化させず、チームで情報を共有、引き継ぎをしていくために「ナレッジベース」を作成することがおすすめです。

本記事では、ナレッジベースを作成するメリットを解説するとともに、作成の流れや3つのポイントについても紹介しています。

そもそも「ナレッジベース」とは?

ナレッジベースとは、業務に関する知識・知見を一箇所にまとめたデータベースのこと。組織にとって有益な情報の意味を持つナレッジ(knowledge)と、データベースを表すベース(base)を組み合わせた、主にビジネスシーンで使われる用語です。

業務に関する知見が蓄積されるデータベースは、企業の知的な資産となります。公開される範囲は、全社あるいは部署内に留まります。特定の場合をのぞき、社外に公開されることはほとんどありません。

ナレッジベースは、全社員が活用できる場所であるとともに、協力して育てていくものでもあります。各社員が業務を通して得たさまざまな知識や情報、スキルを定期的に編集・更新していく体制作りも必要です。

近年では、経験や知識が属人的になり、チーム全体に貢献できていないことを改善するために、ナレッジマネジメントが注目されています。ナレッジベースを作って終わりではなく、その後の運用体制も含めて検討することが重要です。

ナレッジマネジメント

広報がナレッジベースを作成する3つのメリット・活用方法

属人的になりやすい広報業務において、広報チームの強化や成長のためには、ナレッジベースが有効的です。

では、ナレッジベースを作成するメリットは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。活法方法もあわせて参考にしてみてください。

メリット1.広報業務の脱属人化

ナレッジベースを作成することによる1つ目のメリットは、広報業務の脱属人化ができることです。業務上で得た知見をナレッジベースに蓄積できる環境を作ることで、業務に活かせる有益な知見を効率的に共有できます。

メリット2.生産性が向上する

ナレッジベースを作成することによる2つ目のメリットは、生産性の向上です。個人の暗黙知を形式知としてナレッジ化することは、広報部門の生産性を向上させることに繋がります。

特に重要なのは、誰にでもできるわけではない専門性の高い情報をナレッジ化することです。属人的な業務を文書にまとめて共有できる場を設けることで、専門的な知見を身に付けられるようになります。それにより、広報チーム全体の専門性が上がり、生産性の向上が期待できます。

メリット3.新人社員の独り立ちの手助けになる

ナレッジベースを作成することによる3つ目のメリットは、新人社員の独り立ちの手助けになることです。

多くの企業で当てはまることですが、新人社員への教育・指導でもっとも多い悩みは、じっくりと教育する時間が取れないことではないでしょうか。部署を横断し、社内外のプロジェクトに関わる機会の多い広報も例外ではありません。

自身が仕事に追われているなかでも、情報全体を俯瞰できる場所があれば、新人社員ひとりでも進められる業務が増えます。自主的に学べる環境が整うことで、新人社員も独り立ちしやすくなるでしょう。

広報部のナレッジベースを作る方法は?作成の流れ5STEP

ナレッジベースは、とにかく作ればいいというものではありません。大切なのは、ナレッジベースの構造を決定した後、どのように運用・育てていくのかです。

次に、作成の流れを5つのステップに分けて解説します。自社の広報部でナレッジベースの作成を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

SETP1.使うナレッジベースツールを決める

まずは、ナレッジベースに使用するツールを決めます。企業によっては、ナレッジベースを自社内でゼロから制作する場合もあると思いますが、まずは試験運用の意味合いも込めて、すでにあるナレッジベースツールを使うことをおすすめします。

例えば、クラウド情報整理ツールである「Tayori」は、社内のさまざまな情報を共有するナレッジツールとしても活用できます。FAQ方式で情報をストックすることで、情報の検索性を高められることがポイントです。

他にもさまざまなナレッジベースツールがあるので、自社にとって使いやすい規模、金額で、必要な機能が搭載されているサービスを探してみてください。

SETP2.ナレッジベースの構造を決定する

使用するナレッジベースツールを決めたら、実際に手を動かす前に、ナレッジベースの構造について考えましょう。広報部門だけで使うのか、将来的には全社の情報を集約するのかなどについても話し合いながら、メンバーにとって使いやすいナレッジベースの構造を決定します。

決める際、まずは普段の業務をカテゴリごとに分けると考えやすいです。あわせて業務内容も振り返り、新人時代に知りたかった情報などを整理していきましょう。

このステップで最初に決めた構造は、基本的に固定し、変動させないのがおすすめです。蓄積するナレッジの拡大が必要になった際に、サブセクションも追加する形で対応できるよう、あらかじめ検討しておきましょう。

SETP3.管理方法・管理者を決める

ナレッジベースの構造を決定したら、管理方法管理者についてもルールを設けておくと、運用後のトラブル発生を低減できます。

広報部門のメンバーが数人であれば、共通認識を持ってメンテナンスフリーでナレッジの蓄積も可能です。しかし、それでもやはり管理のルールや、メインの管理者は決めておくとベター。例えば、ナレッジ化候補を自由に投げる場所を設け、週に一度のチームミーティングの場で可否を検討するなどの運用方法が考えられます。

また、ナレッジベース全体の管理者を設定するほか、カテゴリごとに管理者を決めるのもよいでしょう。ひとりが管理する範囲を狭く設定することで、業務の負担を軽減できます。

SETP4.ナレッジベースのデータ入力を行う

使用するツールや構造、管理方法などの決定が終わったら、実際にナレッジベースへのデータ入力を行います。

業務を行ううえで必ず必要となる情報や、共通のマニュアルなどをまずは入力します。今後、ナレッジを管理・追加していく上での道標ともなるので、漏れがないように入力していきましょう。

そのほか、新人社員からよく質問されることや、会議で議題にあがる情報なども網羅します。業務を行う際に迷ったとき、ナレッジベース内で解決のヒントが得られるよう、関係する情報はきちんと紐づけておきましょう。

SETP5.追加情報の提案機能を備える

最後のステップでは、ナレッジベースに追加したい情報を自由に提案できる機能や体制を整えます。これは意外に重要です。

もしナレッジベースの管理をマネージャーなどがする場合、プレイヤーが必要だと考えている情報と、マネージャーが必要だと認識している情報に、乖離が起きる可能性があります。管理者が追加する情報を待つだけでなく、誰もが積極的に意見を持ちあえる環境を整えるだけで、新鮮な情報の入れ替えがしやすくなります。

ナレッジベースツールに提案機能を搭載するのもよいですし、管理シートを別に作るのもよいでしょう。自社にとってアクセスしやすい方法を考えてみてください。

広報がナレッジベースを作成するときの3つのポイント

作成のステップとは別に、作成時に気をつけたい3つのポイントをご紹介します。ナレッジベースの運用面にも関わってくるポイントのため、よく確認してみてくださいね。

ポイント

ポイント1.情報を検索しやすく、見やすいシステム

1つ目のポイントは、検索しやすく、見やすいシステムを採用することです。

ナレッジベースは活用されなくては意味がありません。情報の蓄積を日々行っていくには、誰が触っても簡単に編集できる簡易的なシステムが求められます。そのために必要なのは、検索機能やナレッジベースに集積した情報をもとにしたFAQの機能です。

また、膨大なナレッジを効率よく活用するために、情報をツリー構造にすることも意識しましょう。求めている情報を引き出すための知識がない場合でも、情報に辿り着きやすくするため、ナレッジに含める情報もよく検討してみてください。

ポイント2.ナレッジベースへの掲載基準を定める

2つ目のポイントは、ナレッジベースへの掲載基準を定めることです。

ナレッジは日々更新されていくべきものです。全社で共有したい事柄があれば、積極的に情報公開をするのがよいでしょう。しかし、誰でも編集が可能な状況にしておくと、収集がつかない事態になりかねません。

もしメンテナスフリー制度で運用する場合は、ナレッジベースの掲載基準を明確に設けておきましょう。例えば、カテゴリを増設しない、分岐を作りすぎない、新しいマニュアルを更新したら、古い情報をアーカイブするなど、簡易的な掲載基準でも問題ありません。

ポイント3.定期的にナレッジの棚卸しを行う

3つ目のポイントは、定期的なナレッジの棚卸しです。

ナレッジの棚卸しを行うことで、いま使える最新の情報だけを残しておけます。また、運用担当者だけでなく、チーム全員で棚卸しを行うことで、知識の共有がどこまで浸透しているかの確認にも繋がります。

同時に、ナレッジベースに今後取り入れるべき機能の検討も行うとよいでしょう。ただ情報を蓄積するだけでなく、より活用するためにはどうしたらいいのかを考えアップデートしていくことが大切です。

ナレッジベースの活用が広報チーム強化・チーム改革に繋がる

ナレッジ共有やナレッジベースの活用は、単なる業務の効率化に繋がるだけではありません。チーム全体で専門的な知識を共有することは、チームの強化・改革に繋がっていきます。チームとしての成果にも現れてくるため、ナレッジベースの活用が重要なのです。

ただでさえ、広報業務は属人化しやすい傾向があります。広報チーム内で互いの業務をサポートしあえる環境を作ることは、一人ひとりの業務負担を減らし、新たなことにチャレンジする余白も生み出します。本記事の内容を参考にして、広報チームを強くするためのナレッジベースの作成・活用を目指してみてはいかがでしょうか。

広報のナレッジベースに関するQ&A

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この記事のライター

佐藤 杏樹

佐藤 杏樹

フリーのライター・編集者。PR TIMESに新卒入社しメディア事業部にてコンテンツ編集者・SNS運用・イベントなど担当。現在も執筆業に携わりながら広報・PRの仕事もしています。広報実務を通して得た知見や実践しやすい広報ノウハウ、最初に知っておきたい広報の基礎など、みなさまに分かりやすくお伝えします。

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