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ニューノーマルとは?新しい時代に求められる個人の働き方と組織のあり方

新型コロナウイルス感染症が世界的に猛威を振るった影響でニューノーマルという言葉を頻繁に耳にするようになりました。ニューノーマル時代では、企業はもちろん個人に求められる働き方も大きく変化しています。しかし、実際のところ企業内において、どのような対応をしていくべきかわからない方は多いのではないでしょうか。

今回はニューノーマル時代の到来とともに必要となる企業の変化や解決すべき課題など、事例を用いて詳しくご紹介します。

ニューノーマルの意味

ニューノーマルは、「New(新しい)」と「Normal(常態)」を掛け合わせた言葉です。「新しい生活様式」とも言われています。これまでの経済様式や、ビジネスモデルが通じなくなるほどに、時代が大きく変化した際に使用されます。

現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響とともに利用される言葉ですが、「ニューノーマル」という言葉自体は、2000年代初頭より使われています。インターネットが普及し世の中が大きく変化した際や、リーマンショック直後の社会情勢を受け、ニューノーマルという言葉が多用されるなど、時代の大きな変化とともにある言葉と言えます。

ニューノーマル時代の働き方の特徴

では、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた現在のニューノーマル下の働き方はどのように変化しているのでしょうか。ニューノーマル時代の特徴ともいえる働き方を、3つほどご紹介します。

ニューノーマル時代の働き方

特徴1.多様な場所で働く選択肢が広がる

最も大きな特徴は、多様な場所で働く選択肢が広がることです

新型コロナウイルス感染症は「密になること」が感染の原因とされたため、多くの人々がリモートワークへの切り替えを余儀なくされました。結果、これまでリモートワークを認めていなかった企業にも急速に普及し、自宅で仕事をすることが瞬く間に一般化しました。

また、これまでは勤務先まで通勤可能な範囲での居住が必要でしたが、リモートワークの普及とともに居住地の制限も撤廃されはじめています。現に既に遠方居住での勤務を認める企業が増えており、働く人の権利として遠方居住が浸透しています。

そうした社会的状況を背景に、家賃が安い地方へ移り住み、悠々自適に暮らしている人が増えています。

特徴2.オンラインで業務を完結できる

リモートワークの普及により、対面でのコミュニケーション機会が減少しました。さらに出社の機会も減ったため、これまで書面でやり取りしていた内容をオンライン上で完結させる流れが加速しました

代表的な例として挙げられるのがハンコです。書面に捺印する場合、出社や対面での書面のやり取りが必須でした。そこで、捺印のオンライン化を行うサービスなどを用いることで、実際に書面に捺印する機会が大きく減っています。

また、客先への訪問もオンラインで完結させるようになってきています。ZoomなどのWeb会議サービスが普及したことで、距離や時間に関係なく、オンライン上で手軽にコミュニケーションが取れるようになりました。

このように、さまざまな業務がオンラインで完結できるようになってきているのです。

特徴3.オンラインサービスの活用

ニューノーマル時代の進展により、少し前では考えられなかったようなオンラインサービスが多数登場しています。

例えば、バーチャルオフィスです。感染対策のため実際には出社ができないものの、オンライン上の同じ空間に集まることで、社員同士の偶発的なコミュニケーションや、チャットではない直接的なコミュニケーションができるという点にメリットを見いだして利用する企業が増えました

また、先ほどご紹介したハンコだけではなく契約のほか、請求書発行から処理までもがオンラインサービスで完結できるケースも少なくありません。

自社内で完結する業務はもちろん、お客さまなどとのやり取りについても、便利に利用できるオンラインサービスが多数登場しています。

ニューノーマル時代に活躍するために重要となる5つのスキル

では、ニューノーマル時代に活躍するためには、個人としてどのようなスキルが必要となるのでしょうか。特に重要となる、5つのスキルをご紹介します。

PC手元

1.オンラインでのコミュニケーション力

ニューノーマル時代に必須となるのは、オンラインでのコミュニケーション力です。

オンラインのコミュニケーションはと対面でのコミュニケーションとでは、求められるスキルが異なります。

従来のオフィスでの勤務のように同じ空間にいない中で勤務するリモートワークでは、ささやかな情報であっても上司や周囲のメンバーに共有するといった報・連・相が重要となります。また、周囲のメンバーの状態把握がしにくいため、チャットやメール、電話などを駆使して定期的にコミュニケーションを取ることが対面ではないからこそ必要です。

このように、これまでの常識にとらわれず、コミュニケーションを通じて周囲との関係性を構築できる力が求められています。

2.セルフマネジメント力

従来の勤務形態においては、周囲にも業務に従事する人がいる環境の中で自らも業務を行うことができました。そのため、脳内を仕事モードに切り替え、業務に集中することは比較的容易だったと言えます。

しかしニューノーマル下では、通勤時間がなくなる一方で、自宅でのリモートワークが求められるようになりました。一見すると時間効率が良く、生産性が上がるように感じますが、準備の時間を短縮できるからと生活リズムが乱れるなど、不摂生な生活を送る人が少なくありません。また、脳内を仕事モードに切り替えることができず、だらだらと仕事をしてしまう人も増えています。

リモートワークだからこそ自分で仕事のリズムを掴み、適切に業務に向き合い、コンディションを整える力としてセルフマネジメント力が必要となっています。

3.チームマネジメント力

セルフマネジメント力だけではなく、チームマネジメント力も重要なスキルです。

リモートワークが普及し出社が少なくなることで、周囲の人との関係性が希薄になっていきます。その結果、チームや部署、自社への帰属意識が次第に薄れていき、チームとして価値を発揮することが難しくなっています。そこで重要となるのが、チームマネジメント力です。

チームとして最大限の力を発揮するために、個々のマネジメントはもちろん、チームとして目標や成果を出す土壌を整える必要があります。対面ではなくオンラインを前提とした際に、どのようにチームメンバーの連携を深め、円滑な業務遂行につなげていくのかはマネジメント力次第と言えます。

4.タスク遂行力

リモートワークの環境下では、周囲に関係者がいない状態でタスクを進めることになります。だらだらとタスクを進めることはもちろん可能ですが、自らの意思を強く持ち、スムーズにタスクを消化していくことが必要となります。

過去に経験があるタスクや、慣れているタスクは一人でも進めることができますが、経験が少ないタスクやはじめて取り組むタスクは、自身がスムーズにタスクを消化できるよう、準備をすることもスキルのひとつといえるでしょう。

知識がある人に事前に不明点や不安点を確認しておく、誰かに同席してもらうなど、自身のタスクを消化するために必要な準備はニューノーマル時代に必要なタスク遂行力と言えます。

5.情報収集能力

世の中のトレンドや自身が関わるサービスに関する情報をはじめ、社内の他部署の情報などを積極的に収集する能力もニューノーマル時代では必須と言えます。

経営における4資源は、ヒト・モノ・カネ・情報とも言われますが、情報は経営層だけではなく、ニューノーマル時代に活躍する人材にとっても重要な資源です。リモートワーク下では、これまでオフィスで安易に手に入れられていた情報を得るだけでも難しくなり、情報収集のハードルが上がっています。

これまではスキルとして認識されなかった情報収集力が、ニューノーマル時代においてはスキルとしてとらえられ、磨いていくことが求められています。

企業がニューノーマルな時代に合わせて変化したい5つのこと

では、個人ではなく、企業にはニューノーマル時代にどのような対応が必要となるのでしょうか。ニューノーマル時代に合わせて変化が必要となる、5つの項目についてご紹介します。

1.安心できるBCP対応

ニューノーマル時代においては、事業継続計画(BCP)が非常に重要です。企業にとって危機的な状態を想定し、事業を継続しながら可能な限り早い段階で通常通りの復旧を図るという観点で、BCP対応はこれまでも検討されてきました。

しかし、議論の主軸となっていたのは地震などの自然災害のほか、大規模なシステム障害などです。今回のような未曽有のウイルスが広がり、出社しにくくなるという状態を想定できていなかった企業も少なくないでしょう。

ニューノーマル時代の到来は、不測の事態はいつ起きてもおかしくないということを強く知らしめました。事業継続はもちろん、社員の安全に配慮した、誰もが安心できるBCPへアップデートすることが必要となっています。

2.社内のDX化推進

社員が円滑に業務を進めていくために、社内のDX化推進も急務となっています。

一言にDXと言っても、ただ業務をオンライン化できるサービスを導入するだけでは意味がありません。真にDX化を推進するためには、導入するサービスなどに沿って業務フローを再検討したり、関係者やこれまでのルールを見直したりするなど、時代に合わせる形で最適な業務内容やフローを構築していくことが必要です。

ひとつの部署やひとつの業務で考えるのではなく、社内の業務を広く見渡し、全社で必要なDX化を見極めていくことも重要となります。これまでのやり方にとらわれるのではなく、柔軟な発想でDX化を進めていきましょう。

3.対面にこだわらないコミュニケーション

これまで対面でのコミュニケーションを重視していた人や世代ほど、特定の業務は対面でないとならないなど、無意識にさまざまな制約を課してしまっているのではないでしょうか。もちろん、対面でなければ生まれないコミュニケーションはありますが、オンラインで置き換えられるものも少なくありません。

これまでは多くの企業が対面でのコミュニケーションに重きをおいていましたが、ニューノーマル時代の到来を契機に、本当に対面が必要なのか見直してみるのがよいかもしれません。

また、お客さま先にも直接の訪問や出張などを行っていましたが、改めて必要性を議論してみるのもよいでしょう。これまでのコミュニケーションの形式にとらわれず、費用対効果を意識した形への変更を検討してみましょう

4.社員の健康に対する制度

ニューノーマル時代においては、社員の健康に対する制度が重要視されています。健康と言っても2種類あり、体の健康と心の健康、双方への配慮が必要です。

体の健康については、コロナ禍における自粛生活やリモートワークが相まって、家の外に出る、歩くといった機会が減ったことにより、社員の免疫力が低下する傾向があります。また急激に太る・痩せるなど、体型のコントロールもしにくくなっています。企業としてジムの契約や運動を推奨するなど、具体的な施策の検討が必要です。

また、家にこもって仕事を続けていると、どんどん気が滅入ってしまい、鬱のような症状を発する人も少なくありません。定期的に顔を見て話す、意識してコミュニケーションの時間を取るなど、これまで以上に心の健康への配慮が重要となっています。

5.自律的な業務遂行を目指した社員教育

リモートワークが普及すると、上司やメンバーに囲まれて仕事をするという機会が減ります。そのため社員自身が自律的に自身の業務をコントロールしていく必要があります。

これまでは上司が近くでマネジメントするなどをしていたため、社員は意識せずとも徐々に自律的に業務を遂行できるようになっていました。しかしそのような機会が減少したため、企業は自律的な業務遂行ができるように社員を教育していく必要があります

階層別の研修導入や、新人研修のプログラム強化など、これまでの社員教育をこのタイミングで進化させてみるのもよいかもしれません。

企業がニューノーマルな働き方に変化させるときの課題

企業がニューノーマル時代に合わせて変化していこうとする際、これまでと勝手が異なることも多く、運用がうまくいかなかったり、社員の反発があったりすることも想定されます。

社員にとって最適な働き方を模索していく中で、課題として生じる可能性がある点を見ていきましょう。

1.働きやすい環境づくり

まず課題となるのは、働きやすい環境づくりです。

企業においては、出社して打ち合わせやほかの業務をすることを想定してオフィスが設計されているため、オンラインでそうした仕事を簡潔させるのが一般化すると、場所の確保やネットワークの安定が重要となります。ただし、完全にオンラインに移行した場合を除いては、リアルとオンラインのハイブリッド勤務ができる環境整備が必須となります

これまではただ仕事をする場所だったオフィスは、「集中する場所」「コミュニケーションをする場所」など、用途が明確化しています。自社のニーズを適切に捉えた環境整備が重要です。

また、オフィスに限らず制度や仕組みで環境を整える必要があります。リモートワーク手当として通信費を支給したり、遠方に居住できる制度をつくったりするなど、これまでの常識に縛られない「働きやすさ」を考える必要があります。

2.帰属意識の醸成

オフィスに出社しないことを前提とした働き方が普及すると、企業に属しているという意識が希薄になります。チームや部署、サービスなど、企業ほど大きくない単位の場所やものへの帰属意識が強まることで、企業としての一体感を醸成することが難しくなることが懸念されます。

自社への帰属意識が希薄化すると、部署の垣根を越えた横のつながりを持ちにくくなり、有効なナレッジの共有などがされにくくなります。

帰属意識の醸成は、社内での連帯感や連動感につながりやすく、長期的な目線に立つと安定的な経営や、人材の安定雇用などに関わってくるため、重視すべき点といえるでしょう

3.適切な評価体制の構築

対面で顔を合わせる機会が減ると、部下の仕事の様子が見えにくくなります。成果を決めて、成果が達成できていれば評価しやすいという考え方はありますが、働き方が大きく変化した今、社員の誰もが成果を出すということは考えにくいといえます。

評価基準や評価方法の見直しなど、対面でのコミュニケーションが減ることを前提とした中で適切な評価ができる方法を検討していく必要があります

評価に対する納得感は、その後の業務パフォーマンスに直結します。社員が納得できる形の評価体制かつ上司に負担がかからない形を、丁寧に模索することが重要です。

4.セキュリティ対策

リモートワークの機会が増えると、パソコンや携帯などを持ち出す機会が増えます。また、自宅のWi-Fi環境を活用して業務を行う人は少なくありません。出社時とは異なるネットワーク状態の中で、いかに自社のセキュリティを担保するのかは重要な課題です。

セキュリティに対応できる部署が既にある場合には、多くの社員がリモートワークやオンライン会議などを行うことを前提に、ある程度ネットワークに負荷がかかっても安心な状態を構築する必要があります。

また、カフェや社外のミーティングスペースでの打ち合わせなどを許可している場合、情報が漏洩しないための社員教育などが併せて必要となります。

ニューノーマルな時代に合わせて変化している企業事例

ここまでさまざまなスキルや課題を、ニューノーマル時代に合わせる形で紹介してきましたが、既に十分な対応を行っている企業は少なくありません。

さまざまな施策を積極的に実施することで、ニューノーマル時代に対応している企業の例をご紹介します。

事例1.富士通

ニューノーマル時代に積極的に対応している企業の代表例と言えば、富士通です。

ニューノーマル時代における新たな働き方のコンセプトを「Work Life Shift」として、働くことだけではなく、仕事と生活をトータル的にシフトしWell-beingを実現することを推奨しています。具体的な内容としては3本の柱が掲げられており、最適な働き方を実現するSmart Working、働く場所を自由に選択できるBorderless Office、新たな企業文化を創るCulture Changeといった内容で構成されています。

DX企業を目指しているという事情も相まって、社員の声を積極的に反映しながら、ニューノーマル時代にスピーディーに対応しています。

事例2.ソフトバンク

続いてご紹介するのはソフトバンクです。通信を商材としているため、ニューノーマル時代の働き方とは親和性が高いことから、テレワーク導入のソリューションを提供しています。そのため、ソフトバンク自身も積極的に新しい働き方に取り組んでいます。

テレワークにより無駄な業務を削減し、創出された時間を新規事業や自己成長に利用する「Smart & Fun!」な働き方改革が実施され、全社的にコアタイムを設けないスーパーフレックスタイムが採用されています。

さまざまなグループウェアやチャットツール、社内SNSなどを積極的に活用することで、企業文化を維持しながら個々が自律的に働くことができる環境が整っている例と言えます。

事例3.ヤフー

約9割の社員がリモートワークを行うヤフーでは、時間と場所にとらわれない新しい働き方を推進しています。

オフィスにはABW環境を採用し、目的に応じて働く場所を変化させる仕組みを導入しています。また、コラボレーションスペースでは、社員がリモートワークで感じた課題に基づき、設計した家具を自身で組み立てをできるサービスなどを開始し、企業として社員の働きやすさに向き合っている様子がわかります。

また、積極的なオンラインイベント開催により、社員間のつながりを醸成しているほか、オンライン前提の働き方の中で、採用すべき人物像などの見直しも行っています。

社員に寄り添いながら、さまざまな取り組みを継続的に実践している例と言えます。

事例4.メルカリ

メルカリでは、多様な働き方を尊重した 「メルカリ・ニューノーマル・ワークスタイル “YOUR CHOICE”」が導入されています。働く場所やワークスタイルを社員それぞれが選択することができるため、個々人がメリット・デメリットと感じる内容を尊重できます。

なお、制度内容は事前にグループ会社で効果検証が行われており、社員の声を反映する形で必要な内容が施策化されています。

社員自身が選択できることで、個人や組織のパフォーマンスやバリュー発揮がさらに大きくなることが期待されています。

フルリモートワークであっても、評価の際に不公平な扱いとならないことが保証されており、社員それぞれが望む環境で最大限に価値を発揮できる制度設計となっています。

ニューノーマルに対応して、社内外から認められる企業へ

ニューノーマルへの対応は、一見すると企業にとって負荷が高いように感じます。しかし新型コロナウイルス感染症が完全に収まったとしても、リモートワークが普及した現在の働き方が以前のように戻ることはないでしょう。変化を元に戻すことを考えるのではなく、進化するきっかけとすることが企業には求められています。

事前に課題が見えていれば、対応策を考えながらニューノーマル時代に対応していくことも可能です。また、他社の事例を知ることで、自社に本当に必要な要素が見えやすくなります。既に施策として検証され、効果が実証されている内容であれば、自社に取り入れるハードルは多少低くなるかもしれません。

既にある情報を有効に活用しながらニューノーマルに対応することで、時代に積極的に適応できる企業としての地位を確立してみてはいかがでしょうか。

ニューノーマルに関するQ&A

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この記事のライター

中川真利奈

中川真利奈

現役広報ライター。通信系IT企業にて広報や採用を中心とした人事、総務などを担当。<br> 2019年よりジャンルを問わず執筆する、副業ライターとして活動中。<br> ライティングを通じて新たなジャンルを開拓し、知識を蓄えていくのが好きです。<br> 悩み多きひとり広報時代を救ってもらった記事のような、お役に立てる記事をお届けします。

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