PR TIMES MAGAZINEでは、広報PR活動に課題を感じている企業・団体向けに、日本全国の地域ごとにサービス導入の成功事例を紹介するインタビューを実施。
本記事では、北海道に本社を置く株式会社イーストンの広報PR担当、近田慈美さんに広報PRの課題とこれから、PR TIMESの導入背景などについてお聞きしました。
株式会社イーストン(北海道札幌市):最新のプレスリリースはこちら
株式会社イーストン営業企画部マネジャー
美味しいものが大好きで人を笑顔にする飲食業界で働きたいと、2002年にアルバイトとして株式会社イーストンに入社、2005年から正社員に。現在は営業企画部マネジャーに所属する「ひとり広報」としてプレスリリースの発信、SNSアカウントの運営、LINEアカウントの運営、メニューなどのクリエイティブ制作、メニュー撮影、MEO対策、グルメ媒体管理などを担当する。
北海道産食材の魅力をひとりでも多くの方に広めたい
──イーストンは北海道発の飲食店として、主に北海道ならではの新鮮な食材を使用したメニューを提供していますね。
イーストンは1986年に札幌でオープンした「アルズ・バー」から始まり、今年で創業37年を迎えます。現在は創業の地である北海道を中心に、東北や関東圏にも出店。「北海道イタリアン Mia Bocca(ミア・ボッカ)」、「北海道焼鳥いただきコッコちゃん」や北海道小麦の生パスタ専門店「麦と卵」をはじめとした、北海道産食材をふんだんに使用した飲食店を計51店舗展開しています。
北海道にお住まいの方々はもちろん、全国の皆さまにも北海道食材の美味しさと食文化を楽しんでいただきたいという想いから、北海道産にこだわったメニューをお届けしています。「魅力あふれる北海道産の食材で、笑顔と元気を届けたい」との思いが強いですね。
関東圏への進出きっかけでプレスリリース配信を導入
──近田さんは「ひとり広報」とのことですが、普段はどのような業務を担当されているのでしょうか?広報PRの体制についても教えてください。
私は営業企画部に所属していて、クリエイティブやサポートをしてくれている契約社員のアシスタントの方1名と広報PR業務を担当しています。部署内の社員は私だけなので、実質「ひとり広報」ですね。メイン業務としては、プレスリリース発信やメディアリレーションズのほか、メニューなどのクリエイティブの制作、ディレクション、SNS運用やホームページ管理、MEOとSEOの対策、Web広告や予算管理など、幅広く担当しています。
──最初のプレスリリース配信のきっかけは何だったのでしょうか?
関東圏への出店をきっかけに、このエリアでメディアリレーションズを円滑に行う必要がありました。当社は北海道で創業し、道内にも数多くの店舗があるため、地元では多くの方に知っていただいています。しかし関東圏で行った街頭アンケートで、「Mia Bocca(ミア・ボッカ)」や「いただきコッコちゃん」などの店名を出しても、非常に認知度が低いことが分かったんです。関東圏での認知度アップを狙い、全国的に見てもらいやすいプレスリリース配信を手段にすることにしました。
従来は、プレスリリースを出すことはほとんどなかったうえ、新しい情報がある際は、付き合いのあるテレビ局の担当者に電話で情報を伝えていました。北海道や仙台市などの都市では同様の方法で何とか発信できていたものの、関東圏では連絡先がないことに気がついて。
そのため、プレスリリース配信を積極的に行うとともに、効果的な配信方法や作成方法を考えるようになりました。PR TIMESを利用し始めたのは、「メディアへの転載数が多い」と他社の広報担当者に勧めてもらったからです。以前は別の配信サービスを利用していたのですが、PR TIMESを利用し始めてから露出の数は約3倍以上に増えました。
お客様、従業員、取引先へと感動の輪を広げる広報・PR
──広報・PRの成果を最大化するために心がけていることはありますか?
北海道産食材の生産者さまについて、積極的に発信することです。プレスリリース作成時には、メニューの開発者やバイヤーにヒアリングする時間を設け、なるべく生産者さまの情報や想いを掲載するよう心がけています。先日配信した「いただきコッコちゃん」のプレスリリースでも、函館産アスパラガス「海の神」の生産者情報や顔写真を掲載しました。やはり生産者の顔が見える食材を使用することは、お客様にとって非常に大きな安心につながるのではないでしょうか。また、北海道食材の魅力が広まるきっかけにもなるのではと考えています。
例えば「北海道で農業を営むAさん」の野菜を使用していることを発信するとします。お客様は、お店で料理を楽しんだ後、生産者さまに興味がわいて、Aさんの野菜を購入するかもしれません。店舗での食事を通して北海道産食材のクオリティの高さを知っていただいたうえで、より興味を持っていただけたら嬉しいなとリリース内容を考えています。
当社の経営理念は「お客様・従業員・お取引先と、感動を共有できる企業創り」。生産に関するストーリーを共有することで、生産者から従業員、お客様へと感動をつなげていきたい、との一心で発信しています。
──そのほかに、広報・PRに関する工夫があれば教えてください。
メディアの掲載情報やプレスリリースの内容はスタッフを含め全社員に共有しています。具体的には、チャットツール「TUNAG」の社内チャットに「社外プレスリリース」というタブを作り、「〇〇がテレビに取り上げられました」「新しいプレスリリースを配信しました」などと発信する形です。内容は約900人の全社員が読めるようになっていて、読むと「いいね」などのスタンプを押してくれる人もたくさんいます。社内から広報PR活動への反応を貰えるのは、うれしいですね。
社内広報に力を入れている理由は、お客様とのコミュニケーションを大切にしてもらうためです。例えば、当社が運営している店舗がテレビで紹介され、「そういえば、テレビ見たよ」とお客様に声をかけられたとします。スタッフが情報を把握しないまま接客をしたら、お客様をがっかりさせてしまいますよね。
加えて、情報共有を徹底することで、メディア掲載後の店舗側の準備もしやすくなるというメリットも。テレビに取り上げられた直後は、来店者数が大幅に増えて品切れとなることもあります。普段よりも多めに食材を仕入れたり、スタッフの数を増やしたりといった準備が必要です。取材を受けた1店舗だけでなく近隣の店舗にも大きな影響が出るため、事前の情報共有は重要です。メディア出演のチャンスをスムーズに売り上げにつなげるためにも、今後も取り組み続けていきたいです。
配信の効果を実感したプレスリリース
──配信して効果があったと感じるプレスリリースを教えてください。
事例1.期間限定メニューがキー局のテレビ番組で紹介され、グルメサイトのPVが5倍に
参考:【北海道には美味しいウニがある!】今年もやります!累計26万食突破!『北海道産塩水ウニの冷製スパゲティ』今年は6/8(水)~スタート!
北海道産塩水ウニの冷製スパゲティは、毎年お客様から開始時期についてのお問い合わせをいただく「Mia Bocca(ミア・ボッカ)」の期間限定大人気メニュー。プレスリリースではメニューの提供期間をお知らせするとともに、赤潮の影響でウニの水揚げ量が著しく減少していた背景や美味しさの工夫などについての情報も、あえて盛り込みました。
北海道の企業だからこそ、市場におけるウニの供給が少ない状況でも、お取引先さまの協力とバイヤーの努力でこの値段で提供できることを知っていただきたくて。水揚げ量など、生産地のトピックがそのためには必要でした。このリリースを配信した2022年はウニの価格が乱高下していました。北海道で30年以上経営を続けてきた仕入れ力を活かし、例年と同じ価格で提供することができたのです。その点をアピールできればと思い、プレスリリース内で強調しました。
またウニスパの美味しさの秘密を知っていただくために、使用している出汁の種類まで細かく記載しています。結果として日本テレビ系列の「シューイチ」で取り上げていただくことができ、本当にうれしかったです。
──テレビ番組での紹介による効果は、どのように波及しましたか?
メニューそのものや「Mia Bocca(ミア・ボッカ)」の認知度が、大きくアップしたと感じています。当社ではこちらのメニューの販売期間に「#ウニスパ」のハッシュタグとともにSNSで積極的に発信しています。番組放映後は「#ウニスパ」のハッシュタグの使用数が通常の4倍近くに跳ね上がり、大変驚きました。
またHOT PEPPERグルメや食べログ、ぐるなびなどのグルメサイトのPVが伸びたのもうれしい成果です。最もPVが増えた店舗では、通常の5倍以上に跳ね上がりました。グルメサイトだけでなく、当社のホームページのPVも一時的に上がったため、テレビ放映の影響力の大きさを感じています。
事例2.「ひとりブレスト会議」で生み出した道産さんまのスパゲティのプレスリリースが露出につながる
参考:秋の味覚「さんま」で健康と美容をプラス!贅沢に北海道産さんまを丸ごと一本乗せちゃいました!
そのほかにも、テレビ番組でメニューが紹介されるきっかけとなった配信があります。こちらは「Mia Bocca(ミア・ボッカ)」の期間限定メニュー「北海道産さんまを丸ごと一本使った贅沢スパゲティ タプナードソース」について紹介したプレスリリースです。フジテレビ系列の「めざましテレビ」で取り上げてもらいました。
──さんまに含まれる成分の健康・美容効果についても紹介しているのが特徴的なプレスリリースです。企画立案の背景を教えてください。
プレスリリースを作成するとき、「ひとりブレスト会議」をよくするんです。ブレスト会議は通常、複数人でアイデアを出し合うものですが、当社の広報担当は私ひとり。メニューの魅力を客観的に見つめ直すため、頭の中に別人格のペルソナを作り、ひとりでブレスト会議をやってみました。
このメニューについては、毎年販売の時期に合わせてプレスリリースを出すものの、反響が少なく悩んでいました。正直、北海道出身の私としてはさんまが美味しいのは当たり前で、改めて魅力を感じることは少なかったのかもしれません。
しかしこのメニューは、全国の方に道産さんまの美味しさを感じていただくもの。「ほかの地域の方がさんまに感じる魅力は何だろう」と考えました。東京のスーパーでいくらなのか調べて、私と同じ女性がさんまを食べたくなるシチュエーションって何だろうと想像して。「さんま 美容」などのキーワードの検索件数も調べて、タイトルにも「美容」を盛り込みました。
──どのような反響がありましたか。
このようにリサーチして発信した結果、女性をターゲットにしていることと、さんまという秋限定のキーワードがうまく掛合わさっていることから、「めざましテレビ」で紹介いただくことができました。またメニューに「テレビで紹介されました」との表記を付け加えることで、お客様にとっての付加価値となり、ファンの増加にもつながったと感じています。
事例3.サンリオキャラクターとのコラボ商品に関するプレスリリースが過去最高の月2万3,000PVを記録
参考:【サンリオキャラクターと初のコラボレーションぷりん発売!】限定5000個!特別ステッカープレゼント!北海道素材だけでつくる『えっぐぷりん』がシナモロール・クロミ・ポムポムプリンとコラボレーション!
当社が製造・販売している「あべ養鶏場『えっぐぷりん』」がサンリオキャラクターとコラボレーションした際のプレスリリースです。サンリオのキャラクターグッズなどを制作する「あすなろ舎」さまと北海道物産展にて知り合い、コラボが実現。サンリオキャラクターが描かれた限定プリン5,000個の販売と合わせ、キャラクターのレアステッカーも配布しました。同リリースには、コラボレーションの背景や商品詳細、各キャラクターの紹介などを記載しています。
──反響はいかがでしたか?
配信から約1ヵ月で、約2万3,000PVを記録しました。この数字は当社がPR TIMESで配信したプレスリリースで最大です。残念ながら、テレビなどの大きなメディアに取り上げてもらう機会はありませんでしたが、プリンの売れ行きは絶好調。最終的には、サンリオキャラクターとの次のコラボレーションが決まりました。
今後の広報PRの目標
──今後の広報における目標を教えてください。
今年度は、テレビを含む知名度の高いメディアのパブリシティを100本獲得することを目指しています。前年度獲得できた大きめのパブリシティは、今年度の目標本数の半分くらいでした。今は大きく背伸びをしないと届かない目標に、日々向かっている状況ですね。
まだプレスリリースに書けていないネタもたくさんあるので、まずはプレスリリースの作成本数を増やすところから取り組みたいです。幸い、今年度からはメニュー決定が早くなり、企画から販売までのスパンが長くなったことにより、プレスリリースを書く時間を確保しやすくなりました。従来は販売開始時期ギリギリの配信になってしまうことも多かったため、もっと余裕を持って投稿したいとも考えています。今後もより多くの方に、メニューや商品の魅力を感じていただけるプレスリリースを作成していきたいです。
今回の事例ポイント
関東圏への出店をきっかけに認知度向上の必要性を感じ、積極的な広報PR活動のために奔走する株式会社イーストンの近田さん。「ひとり広報」として日々さまざまな施策を行う中にも、以下のような企画への工夫がありました。
- 地域の生産者の顔、産地の現状が伝わるプレスリリースでファンを増やす
- 物産展などでコラボレーションの機会を探り、発売に先がけて発信
- 「ひとりブレスト」で他地域のペルソナを取り入れて企画を考える
「お客様に当店を知っていただき、来店していただくことはもちろん、スタッフがお店で最高のパフォーマンスを発揮できるようにすることも広報の仕事です」。そう話す近田さんは、食を通じて多くの生活者に感動を届けています。プレスリリースの書き方を工夫しながら、ひとりであっても配信を効率化する前向きな姿勢が、テレビをはじめとした数多くのメディアやSNSへの掲載、会社全体の認知度の向上につながっているのではないでしょうか。
PR TIMES MAGAZINEでは、顧客に寄り添った発信を行うノウハウやペルソナなどについての記事も公開しています。こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。
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