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顧客満足度(CS)を上げる6つの取り組みとは?指標や調査方法についても解説

顧客満足度(CS)の重要性は認識しているけれど、「具体的に何をするのかわからない」という方は多いのではないでしょうか。顧客満足度は、顧客の期待・要望・ニーズなどを定量的・定性的に評価し、自社の課題を改善するきっかけにつながります。

本記事では、顧客満足度とは何かを説明したうえで、重視される背景や指標、調査方法の解説から顧客満足度を向上させるためのポイントなどをまとめています。

顧客満足度とは?

顧客満足度とは、企業が提供する製品・サービス・接客が、顧客の期待にどの程度応えているかを数値的指標にしたものです。「Customer Satisfaction」(カスタマー・サティスファクション)とも呼ばれ、これを略して「CS」と表現されることも一般的です。

顧客へのアンケートやヒアリングなどを基に、価格や品質、アフターサポートやイメージとの乖離(かいり)などを客観的かつ俯瞰的な指標にします。そのうえで、統計データ化して分析する手法が一般的にとられています。

顧客満足度は、顧客が購入前に商品に対して抱く期待値と、実際の提供価値とのギャップによって決まるといわれています。その期待値は、商品・サービスの機能面で得られるのか、サポート内容で得られるのかは、提供しているサービスにより異なります。顧客満足度が高ければ、商品・サービスのリピーターになったり、別の顧客に情報を拡散したりと、企業の売り上げにも直結する可能性があります。

顧客満足度を上げることは決して容易ではありませんが、具体的にどのような施策を打てばよいのでしょうか。一つひとつ整理して見ていきましょう。

顧客満足度とNPS®の違い

顧客満足度とNPS®は混同されやすいですが、異なる指標です。顧客満足度は、顧客が商品・サービスなどを利用して満足したかどうかを調査する一方で、NPS®は顧客ロイヤリティを測るための調査です。つまり、顧客が期待していた価値を提供できたかを計測するのが顧客満足度で、顧客の商品・サービスへの継続意向・信頼度・愛着度を計測するのがNPS®です。

顧客満足度が重視されている背景

では、顧客満足度を調査することが、企業にとってなぜ重要なのでしょうか。顧客満足度が重視されている背景には、以下の点が挙げられます。

顧客満足度

競合他社との比較ができる

現代の市場において、多くの業界では市場競争が激化し、顧客獲得争いが日常的に行われています。顧客満足度は、それをひとつの指標として競合他社と比較することで、市場における自社の立ち位置が確認できます。競合他社と差別化できる点、優位性のある点を見つけられれば、自社の商品・サービスをどう魅力的に打ち出せばよいかが明らかとなります。また、競合他社が優れている点がわかれば、それを基に自社と顧客の関係性を改善するきっかけにもなります。

売り上げにつながる顧客がわかる

新規顧客の獲得は、既存顧客の数倍以上のコストが発生します。そのため、既存顧客にいかに継続的に利用してもらえるかが、効率的に利益を得るうえで大切なポイントとなります。これまでのさまざまな研究により、顧客満足度が向上すると、その企業の商品・サービスに対して抱く信頼や愛情が高まり、結果として、商品の継続的な購買やサービス利用につながることがわかっています。顧客満足度の調査は、顧客との重要なタッチポイントです。顧客が求める商品・サービスを確実に提供できれば、さらに売り上げにつながる顧客の獲得が促せます。

顧客満足度の指標

では、顧客満足度はどのように評価すればよいのでしょうか。「顧客満足」とは、そもそも人の感情に左右されるもののため、数値化しにくいものです。ここでは、客観的で俯瞰的に評価するため、実際に利用されている代表的な指標をご紹介します。

JCSI

アメリカをはじめ世界約30カ国で利用されているもので、「CSI(Customer Satisfaction Index/カスタマー・サティスファクション・インデックス)」と呼ばれるものです。

これを日本版にカスタマイズしたものが、「JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)」です。

公益財団法人 日本生産性本部」によると、JCSIは商品・サービスを購入・利用時における顧客の心の動きをモデル化し、利用前から利用後までの全体を調査・分析し、顧客が「なぜ満足したのか」「そしてどう行動するのか」といった因果関係を明らかにしようというものです。JCSIは、業界・業種にかかわらず顧客満足度を調査・計測できる点が特徴です。

C-SAT

顧客満足度(CS)の中で、もっとも使われる指標が「C-SAT(Customer Satisfaction/カスタマー・サティスファクション)」です。「満足」「普通」「不満」などを星や数字で表してもらう視覚的で簡単な評価です。C-SATは特に決まった測定方法がなく、多種多様な方法で取得され、調査タイミングも任意です。そのため、企業は自社の商品・サービスに即した方法で実施できます。代表的なやり方としては、メールアンケートで5段階の項目を取得する方法、チャットやWebFAQを使って解決したかどうかを聞く方法があります。

簡単に調査できるため、顧客からデータを集めやすいというメリットがある一方、評価に協力的な顧客は、すでにロイヤリティの高い傾向にあるため総合的な評価を得にくいデメリットがあります。

NPS®

近年注目されているのが、顧客ロイヤリティを計測する「NPS®(Net Promoter Score/ネット・プロモーター・スコア)」です。商品・サービス・企業を友人や家族に推奨したい度合いを、11段階で評価し数値化します。長期的に企業と関係を持ってくれる生活者の割合を、継続意向や信頼度、愛着具合などで数値化します。

商品やサービスを利用した顧客に対して「あなたがこの商品やサービスを周囲の家族や友人に勧める可能性はどのくらいありますか?」などの質問を投げかけ、11段階で評価してもらいます。再購買や他者推奨というロイヤリティ行動につながる直接的な質問であるため、顧客ロイヤリティとの相関性がより強く、企業の収益向上に焦点を当てた指標といえます。

LTV

顧客が商品・サービスを利用し始めてから終わるまでの間に得られる売り上げの指標を「LTV(Life Time Value/ライフ・タイム・バリュー)」といいます。LTVが高いほど顧客ロイヤリティが高い傾向にあることから、優良顧客の割合を測る指標として活用されています。LTVの算出は、企業ごとにターゲットを設定したうえで効果的な指標を探るパターンが多くなっています。長期的なスパンで評価したい場合のLTVは大いに役立つ一方、短期的な計測が難しいため、PDCAサイクル(Plan/計画・Do/実行・Check/評価・Action/改善)を回しにくい点が難点です。

CES

NPS®と同様に注目を集めているのが、「CES(Customer Effort Score/カスタマー・エフォート・スコア)」です。NPS®が「推奨」というポジティブな側面で見るのに対して、CESは顧客が感じた負荷やストレスなどネガティブな側面を計測します。

CESが高ければ顧客の不満要素が多く、低ければロイヤリティが高いと判断されます。調査は「この手続きはどのくらい大変でしたか?」などというアンケートで行われるのが一般的です。なるべく体験後すぐに実施することが望ましいため、タイミングが重要です。

顧客満足度を調査・測定する方法

ここでは、顧客満足度を調査・測定する方法についてご紹介します。

アンケート調査の実施

既存顧客あるいは見込み顧客に対して、アンケート調査を実施する方法があります。なお、アンケート調査には定量調査と定性調査の2つがあります。それぞれご紹介します。

1. 定量調査

  • Web調査
    インターネットを活用して、対象者にアンケートを配信して調査する手法
  • 郵送調査
    紙の質問表を特定の住所に郵送し、アンケート回答後に返送してもらう手法
  • 街頭調査
    街頭に出て調査対象者をランダムに選び、その場でアンケートに回答してもらう手法
  • 会場調査(CLT)
    商品を用意した会場に対象者を集め、アンケートに回答してもらったり評価してもらう手法
  • ホームユーステスト(HUT)
    調査する商品を対象者の自宅に送付し、一定期間使用してもらった意見・感想を得る手法

2. 定性調査

  • グループインタビュー調査
    対象者を複数名のグループに分けて、座談会形式でインタビューする手法
  • デプスインタビュー調査
    調査員が対象者に1時間程度インタビューをする手法
  • 行動観察調査
    対象者の生活行動や商品・サービス購入時の行動を観察する手法

インターネットの検索結果分析

顧客は興味を持っている商品・サービスについて、インターネットで検索していることが多いものです。分析ツールを用いて検索キーワードを調査したり、どのサイトからのアクセス流入があるかなどの傾向を分析したりする手法は、顧客満足度を調査・測定するうえで有効な手立てです。

顧客満足度を向上させるための6つの具体的な取り組み

続いて、顧客満足度を向上させるための具体的な取り組みについてご紹介します。

1.カスタマーサクセスの強化

カスタマーサクセスとは、顧客が「この商品・サービスを利用してよかった」という成功体験を得られるようサポートする手法です。購入後に起こるであろう顧客の疑問・不満を事前予測。先回りして問題解決の方法を提示し、要望に応じます。

2.従業員満足度(ES)を上げる

顧客満足度とあわせて、従業員満足度(ES)に目を向けることも大切です。従業員満足度が高ければ、高いモチベーションで仕事に取り組むため、業務の質が向上します。結果として、よい商品・サービスを顧客に届けることが可能となります。

3.ダイナミックプライシング

ダイナミックプライシングとは、サービスの価格を固定するのではなく、経済環境に応じて価格を変動させることです。状況に応じて価格に対する顧客の不満を解消すれば、必然的に利用顧客が増え、顧客満足度を向上させることが可能となります。

4.CRMやSFAの活用

CRM(顧客管理システム)や SFA(営業支援システム)などのツールを活用して、顧客の事前期待を把握することも有効な手立てです。事前期待を把握できれば、それらの結果を自社商品・サービスの開発や改善に反映できます。近年では、CRMとSFAの両方の役割を果たすツールを導入する企業も増えています。

5.シンプル化

煩雑な情報をシンプルにして、商品・サービスを初めて目にする顧客にも手に取りやすいものにします。一部の上級者に合わせたサービスよりも、初心者レベルまで引き下げられた商品・サービスのほうがより多くの顧客の共感を得て、満足度を向上させることが可能です。

6.コミュニティ形成

商品・サービスを通じたコミュニティ形成も、顧客満足度向上に効果的です。

以下2点ご紹介します。

 6-1. 顧客同士のコミュニティ

顧客同士がつながる独自のコミュニティを形成することで、帰属意識を育みます。帰属意識は、その商品・サービスの発展を目的としたポジティブな行動や、コミュニティに発展をもたらし、サービスの価値向上にもつながります。性別や年齢を超えた交流が生まれることで、顧客にとっても商品・サービス以外の付加価値を得ることができます。

6-2.  企業が介するコミュニティ

FacebookやSlack、Chatworkなどのコミュニティツールを通じて、顧客と接点を持つ企業が増えています。コミュニティを通じて、商品開発に関するフィードバックを得たり、企業が見落としていた思わぬ利用方法、課題の発見を得られることもあります。コミュニティのメンバーとしても、企業と接点を持つことで商品やサービスの愛着がより高まり、サービスの継続利用につながります。

顧客満足度を向上させるポイントの4つのSTEP

ここまで、顧客満足度の概要・指標・調査方法などを説明してきました。そこから導き出された結果を基に、いかに顧客満足度を向上させるかどうかが重要です。この章では、顧客満足度を向上させるためのポイントをSTEPごとに解説します。

STEP1. 顧客満足度の定義を統一する

顧客満足度の調査を実施する前に、何を持って顧客満足度とするかの「定義」を社内で統一させる必要があります。導き出したいことが明確でないと、認識の齟齬(そご)が生まれてきちんとした調査ができません。実りのある調査を実施するためにも、プロダクトや顧客に直接関わりのある部門だけでなく、ある程度は組織全体で意識を統一する必要があります。そうすることで、顧客満足度調査によるサービスの価値向上や一貫性がより生まれやすくなります。

STEP2. 現状の課題を把握する

次に大切なポイントとして、現状の課題を把握することです。ここでは2点ご紹介します。

2-1. 現状の顧客満足度を把握する

調査をするうえで重要なのは、顧客が現状で抱えている不満やニーズを把握することです。これは顧客が持つ事前期待値だけでなく、潜在的に抱えているニーズを知ることにもつながります。顧客満足を得るためには、最初に現状の期待値を把握し、課題を明らかにすることが大切です。

2-2. 衛生要因と動機づけ要因を把握する

「衛生要因」とは、満たされないと満足度が下がるが、満たされても満足度は上がらないもの。「動機づけ要因」とは、満たされると満足度が上がるが、満たされなくても満足度は下がらないものをいいます。これらは密接に関連しており、衛生要因が満たされない状態で動機づけ要因の対策を講じても顧客満足度は上がりませんし、その逆もしかりです。自社の商品・サービスにおける、衛生要因と動機づけ要因を正確に把握することが大切です。

STEP3. 具体的な数値目標を設定する

顧客満足度を向上させるための、具体的な数値目標を設定しましょう。顧客満足度を測る指標は前述の通りいくつかありますが、今回の調査では何を基に計測するかを明らかにし、その指標における具体的な数値目標を設定します。

顧客満足度は人の感情に左右されるため、数値化しにくいものです。漠然と調査を実行してしまい、その成果が明確にわからなかったというケースもしばしば見受けられます。しかしそれでは、次の改善アクションにはつながりません。明確な数値目標を設定することが非常に重要です。

STEP4. 評価と改善を行う

顧客満足度調査を基に施策を行ったら、PDCAサイクルに基づき、継続的な業務改善を行いましょう。評価と改善を繰り返すことで、商品・サービスの質が飛躍的に向上していくでしょう。

顧客満足度を向上させて、企業の成長を促進しよう

顧客満足度とは何か、重視される背景や指標の方法、向上させるための具体的な取り組みなどを解説しました。顧客満足度は、顧客の期待にどの程度応えられているかの指標であり、顧客満足度の改善によって、もたらされる効果は非常に高いといえます。

顧客満足度の調査結果を踏まえて、顧客の期待を超える施策を立案・実施して追求することは、商品・サービスの提供価値の向上、ひいては企業の成長につながるでしょう。目的やタイミングなどに応じて適切な施策を実施して、企業の売り上げ・利益向上に貢献しましょう。

顧客満足度に関するQ&A

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この記事のライター

PR TIMES MAGAZINE編集部

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