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ビジネスにおけるラウンドテーブルとは?目的・効果・成功する進行・活用アイデアを徹底解説

人と人との信頼関係がビジネスの成果に直結する今、双方向の対話を深められる「ラウンドテーブル」は、社内外を問わずさまざまな場面で注目を集めています。少人数で意見を交わすこの形式は、単なる情報共有にとどまらず、相互理解や関係性の強化、ひいては共創につながるきっかけにもなり得ます。

企業の広報・マーケティング活動においてはもちろん、メディアとの関係構築、顧客やパートナーとの対話、社内コミュニケーションの活性化など、活用の幅は広がりつつあります。

本記事では、ビジネスシーンにおけるラウンドテーブルの特徴や導入メリット、実施にあたってのポイントを紹介します。対話を起点にした新たな関係構築の手法として、ぜひ自社での活用を検討してみてください。

目次
  1. ビジネスにおけるラウンドテーブル(ラウンドテーブルディスカッション)とは

  2. ラウンドテーブルがビジネスシーンで注目されている背景

  3. ラウンドテーブル形式を導入する5つの効果・メリット

  4. 広報PR活動でラウンドテーブル形式を導入できるシーン

  5. 広報PR活動でラウンドテーブル形式を導入するときの5つのポイント

  6. メディア露出の確度を高める広報PR活動の手段のひとつとしてラウンドテーブル形式を活用しよう

  7. ビジネスにおけるラウンドテーブルに関するQ&A

ビジネスにおけるラウンドテーブル(ラウンドテーブルディスカッション)とは

ビジネスシーンで使われるラウンドテーブルとは、役職や部署、立場など関係なく数人で円卓を囲み、自由に意見交換を行う会議のことです。「ラウンドテーブルディスカッション」「ラウンドテーブルミーティング」とも呼ばれ対話を重視したコミュニケーションの手法として、近年ビジネスシーンでも注目を集めています。

ラウンドテーブルディスカッションという名前は、有名なヨーロッパ文学『アーサー王と円卓の騎士』が由来とされています。アーサー王に認められた騎士たちは円卓に着くことで上下関係を意識せず対等な立場で意見交換を行っていました。この「円卓=対等」の精神が、現代のビジネスにおいても、風通しのよい議論や相互理解を促進する手法として取り入れられています(※1)。

ビジネスにおけるラウンドテーブルは、普段の上下関係が強く出やすい会議とは異なり、一体感や信頼関係を育みやすいのが特徴です。社内の活性化や他部署との連携強化を図るだけでなく、メディアや取引先など社外の関係者との関係構築の場としても有効です。

(※1)国際アーサー王学会日本支部オフィシャルサイト「円卓」

ラウンドテーブルがビジネスシーンで注目されている背景

近年、企業活動において「対話の質」や「関係性の深化」が重視されるようになったことを背景に、ラウンドテーブル形式が再び注目されています。特に2020年以降、リモートワークやオンラインコミュニケーションの普及により、対面での深い意見交換やリアルな関係構築の機会が減少したことが、見直しのきっかけとなりました。

ラウンドテーブルディスカッションは、少人数で対等な立場のまま意見を交わす場をつくることで、上下関係に縛られない率直な対話やアイデアの共有が可能になります。この形式は、商品やサービスに対する理解を深めたり、関係者同士の相互理解を促進したりするうえで非常に効果的です。

例えば、新製品のフィードバック収集、ユーザーとの共創、パートナー企業との意見交換、社内横断プロジェクトの活性化など、様々なシーンで活用されています。こうした対話型のミーティング手法として、ラウンドテーブルが幅広い業種・部門で取り入れられるようになってきています。

ラウンドテーブルのイメージ

ラウンドテーブル形式を導入する5つの効果・メリット

ラウンドテーブルは、少人数かつ対等な立場で意見交換ができる形式のため、通常の会議やプレゼンテーションでは得られない多くのメリットがあります。ここでは、実際にビジネス現場で導入することで得られる5つの代表的な効果をご紹介します。

効果1.相互的な意見の交換がしやすい

ラウンドテーブルは、上座・下座のない円卓を囲む形式のため、肩書や役職に関係なく意見を交わしやすい環境を作れます。発言のハードルが下がることで、忖度のない率直な対話が生まれやすく、結果として質の高い議論やアイデアが生まれる土壌になります。

また、ラウンドテーブル形式は隣り合う方と斜め45度の角度で話をします。これはカウンセリングの現場で使われる「直角法」の応用で、相手と視線が合いにくいため、視線がぶつかりにくいため、心理的な圧迫感が軽減され、より自由に発言できる雰囲気が醸成されます。

効果2.率直なフィードバックや多様な視点を得やすい

プレゼンテーション形式では得られにくい「本音」や「現場目線の意見」も、ラウンドテーブルでは引き出しやすくなります。少人数でフラットな場であるため、参加者の意見が活発に出やすく、商品・サービスの改善点や新たな視点に気づく機会となります。

特に顧客・ユーザー・パートナー企業などとの対話の場として活用すれば、より実践的なフィードバックが得られ、事業開発や施策改善に直結するヒントを得ることもできます。

効果3.関係性の質が深まり、信頼関係が構築できる

対面での密な意見交換を通じて、参加者同士の関係性がより深まるのも大きなメリットです。単なる意見の受け渡しではなく、互いの価値観や背景を理解しながら対話することで、信頼や共感が醸成され、継続的な関係構築にもつながります。

また、発言や意見が尊重され、双方向のコミュニケーションが行われる場では、参加者自身が「関わって良かった」「有意義な時間だった」と感じやすくなります。

単なる情報提供イベントでは得られない体験価値があるからこそ、参加者のエンゲージメント向上にもつながり、今後の信頼関係の構築や参加意欲の向上にも良い影響を与えます。

効果4.共創が実現する

ラウンドテーブルは、参加者が“当事者”として関わる意識を持ちやすい形式です。企業側が一方的に情報を提供する場ではなく、参加者とともに課題や価値を考える場であるため、共創の第一歩となり得ます。

特に、共創型の製品開発やサービス改善、コミュニティ形成を志向する企業にとって、ラウンドテーブルは非常に有効な手法だといえるでしょう。

効果5.自社軸のコミュニティを作れる

ラウンドテーブルを継続的に実施することで、自社をハブとした信頼あるネットワークが形成されていきます。これは、顧客・取引先・メディア・有識者など、ステークホルダー同士の横のつながりを強化するきっかけとなり、自社に対する信頼性や親近感の向上にもつながります。

将来的にはこうしたネットワークが、企業の新しい取り組みやキャンペーン、共創型プロジェクトの基盤になる可能性もあります。

広報PR活動でラウンドテーブル形式を導入できるシーン

少人数で意見交換ができたり、良好な関係性を築いたりできるのがラウンドテーブルのメリットです。では、そうしたメリットはどのような場面で活用するのが良いのでしょうか。ラウンドテーブルが効果を発揮する5つのシーンをご紹介します。

シーン1.メディアとの関係を構築する記者懇談会

ラウンドテーブル形式は、記者懇談会で活用できます。10人以下のメディア関係者を招待し、自社との関係性を構築します。

当日は議題をいくつか設けて、企業とメディアから意見を出し合いディスカッションを行います。メディア関係者は企業からの情報を求めていますし、企業は記事を掲載してもらえるメディアとの良好な関係を求めています。

ラウンドテーブルを用いてお互いがメリットに感じられるような情報を交換する場を設けることで、広報PR活動にも良い影響を与えられる可能性があります。

シーン2.記者を招待した小規模セミナー

ラウンドテーブル形式は、自社とメディア関係者の関係を構築するだけでなく、記者に特定の業界について知ってもらう勉強会としても活用できます。その場合は、小規模セミナーという形で記者を招待し、業界をよく知る専門家にも参加してもらいましょう。

記者を招待した小規模セミナー開催の目的は、結果として自社や自社製品への理解を深めてもらうことにあります。業界の動向や課題を記者に知ってもらうことができれば、自社製品やサービスに関する記事を執筆する際にも内容に厚みが出ます。

シーン3.サービスの認知拡大を狙った発表会

サービスの広報PR活動でもラウンドテーブル形式は活用できます。企業や広報PR担当者が思っているほど、メディア関係者や記者は商品やサービスのことを理解していません。

特に、大きな発表会の実施が難しい中小企業では、ラウンドテーブルによる小規模の発表会が有効です。10以下の媒体の関係者を招待し、改めてサービスの強みや特徴などをプレゼンすることで、サービスへの理解を深めたり、興味を持ってもらいやすくなります。

新規の商品だけでなく、既存商品の広報PR活動にもおすすめです。既存商品は発売から時間が経過すると新しい情報がなく集客が非常に難しくなります。そのような場合でも、季節のイベントに絡めたり、軽微なリニューアルをしたりすることで、広報PR活動が可能になります。親交がある媒体の担当編集者の変更をきっかけに実施するのも良いでしょう。

サービスの認知拡大を狙ったラウンドテーブルでは、商品やサービスの情報だけでなく、市場や社会の動きなどを絡めて説明すると説得力が出ます。記事にしてもらいやすくするため、ひとつのストーリーとして話すのがおすすめです。

シーン4.協力会社や取引先との意見交換の場

ラウンドテーブルは、協力会社や取引先との意見交換や親交を深める場としても有用です。普段からやりとりがある企業の担当者を招待して、発注元や受注先などに関係なく話し合います。

普段の仕事のやりとりから、今後の仕事の提案まで幅広く議論できるのがポイント。ラウンドテーブルをきっかけに新たなアイデアが生まれる可能性も期待できます。まずは良好な関係性を築くことを目的にラウンドテーブルを実施しましょう。

シーン5.利用者のリアルな声を聞くユーザー会

商品やサービスに関して利用者のリアルな声を聞きたい場合にも、ラウンドテーブルは有効活用できます。自分たちでは気づいていなかった商品の特徴や使い方、逆に改善すべき点などについて直接意見を聞けるのがメリットです。

ただし、ユーザー会に招待できるのはユーザーの中のごく一部のみです。偏った意見が収集されやすい点を念頭に入れて、開催意図を明確にしてから実施しましょう。

ユーザー会イメージ

広報PR活動でラウンドテーブル形式を導入するときの5つのポイント

ラウンドテーブル形式はただ実施すれば効果を得られるというものではありません。実施前の準備やルール設計から、実施後のアフターフォローまでを決めておき、目的に対して最大の効果が得られるように考える必要があります。広報PR活動でラウンドテーブル形式を導入する際に知っておきたい、5つのポイントを解説します。

ポイント1.目的を明確にする

ラウンドテーブルの実施を通して、メディアとどのような関係を築きたいのかを明確にすることが大切。例えば、気軽に情報をやりとりできるような関係性を作る、〇〇と言えばこの企業というイメージを持ってもらうなど。

その上で、当日のテーマを考える。メディア関係者がラウンドテーブルに参加して良かったと思うような情報を提供し、お土産として持って帰ってもらうことを一番に考える。

ポイント2.当日のルールを設計する

ラウンドテーブル開催の目的を明確にした後は、当日のルール設計を行いましょう。効果を最大限に発揮するためにはルール設計が必須です。

例えば、以下のようなルールが考えられます。

  • 参加人数は10名程度
  • 開始時刻と終了時刻を厳守する
  • 1時間程度が目安
  • 時間内のスケジュールを決める
  • 自身がファシリテーターを務め、参加者全員が意見を出せるようにする

ルールは参加人数、時間に関する決めごとからファシリテーターの役割までを決めますが、開催する目的ごとに内容を変えましょう。

ポイント3.参加者にラウンドテーブルのルールを周知する

ラウンドテーブルの効果を発揮するには、ファシリテーターのスムーズな進行はもちろん、参加者の協力も必要不可欠です。当日までに基本ルールを周知し、理解したうえでディスカッションに参加してもらうよう協力を仰ぎましょう。

具体的には、「双方向のコミュニケーションを重視していること」「参加者の地位は排除して話し合うこと」「相手の意見を否定しないこと」などをルールとして周知します。

ただし、ルールを守ることを意識するあまり、参加者同士の良好な関係構築が妨げられては本末転倒です。ファシリテーターはお互いにとって有益な意見交換ができているかや、対立関係を生んでいないかなどをチェックしながら議論を進行しましょう。

ポイント4.必ず振り返りを行い過不足がある箇所を改善する

ラウンドテーブルは一度で完璧に行えるものではありません。実施するごとに不足していたり過剰だったりする部分が見えてくるので、振り返りと改善は必ず行います

社内での振り返りに加えて、参加者へのアンケートも取りましょう。アンケートは設計も大事です。設問を作る際は仮説を持ち、ユーザーインサイトを得られる内容にします。回答を誘導したり、バイアスがかかったりするような設問になっていないかも確認する必要があります。

そして、アンケートは必ず回収します。そのためには、回収できる仕組みも必要です。ラウンドテーブル実施後、その場で回答してもらうのが望ましいでしょう。

ポイント5.実施後のアフターフォローを厚くする

ラウンドテーブル開催後は、参加者に対して必ずアフターフォローを行いましょう。参加してみてどう感じたのかや、参加する価値があったと思うかなどフィードバックをもらいます。加えて、文章化された記事を参加者全員に共有するなど、情報共有も大切です。

アフターフォローは、今後もラウンドテーブルに参加してもらうために必要な作業です。参加することでほかでは入手できない情報が手に入る、ほかのメディアと情報交換できるなどのメリットを感じてもらえるよう、当日にはなかった資料や情報は後日でも良いので積極的に提供しましょう。

メディア露出の確度を高める広報PR活動の手段のひとつとしてラウンドテーブル形式を活用しよう

通常のセミナーや商品発表会とは違い、ラウンドテーブル形式は少人数で行われます。一人ひとりと話ができるため、サービスの特徴やポイントを理解してもらいやすくなります。

対面で話すことで関係を構築できるため、自然とメディア露出の確度が高まります。通常の広報PR活動に加える形でラウンドテーブルを実施し、サービスの認知拡大に活用しましょう。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

ビジネスにおけるラウンドテーブルに関するQ&A

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この記事のライター

佐藤 杏樹

佐藤 杏樹

フリーのライター・編集者。PR TIMESに新卒入社しメディア事業部にてコンテンツ編集者・SNS運用・イベントなど担当。現在も執筆業に携わりながら広報・PRの仕事もしています。広報実務を通して得た知見や実践しやすい広報ノウハウ、最初に知っておきたい広報の基礎など、みなさまに分かりやすくお伝えします。

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