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ステークホルダーの意味とは?広報PR担当者が知っておきたい関係性の作り方

広報PR活動の大きな役割として、企業を取り巻くステークホルダーとの関係性の構築があります。「ステークホルダーに浸透させる」「ステークホルダーに伝えていく」などといった言い方で使うこともある言葉です。ただ、一口に「ステークホルダー」といっても、具体的にどのような人を指すのか、またどのように関係性を作っていくのか明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。

本記事では、広報PR担当者が知っておきたいステークホルダーとの関係性の作り方をご紹介。そもそも企業・団体におけるステークホルダーの意味についても解説します。

各ステークホルダーとのコミュニケーションとなるハブの役目を担う際の参考にしてみてください。

ステークホルダーの言葉の意味・定義とは?

ステークホルダーとは、企業に関わる利害関係者のことです。企業以外にも、団体や行政などにもステークホルダーは存在します。

ステークホルダー

代表的なステークホルダーとして挙げられるのは、株主・投資家、顧客、自社の従業員などです。それ以外にも、取引先や行政機関、地域社会など、企業におけるステークホルダーは多様化してきています。

というのも、直接的な利害の一致のみならず、企業は自社を取り巻く環境や社会とも何らかの形で関わっているため。広報PR担当者は、自社のステークホルダーを明確に把握しておくことが必要です。ここからは、自社に関わるステークホルダーを区分する方法として、「直接的ステークホルダー」「間接的ステークホルダー」の2つの分類を紹介します。

ステークホルダーは直接的・間接的の2つで大別できる

ステークホルダーは、企業との関係が直接的か間接的かによって2つに大別することができます。対象の属性や組織の大小を問わず、関係性に着目した分類があることを覚えておきましょう。

1. 直接的ステークホルダー

直接的ステークホルダーとは、企業活動の結果によって、主に利害による直接的な影響を受ける人々のことです。自社目線で、「普段から深い関わりを持っている人物や団体」と認識しておくとよいでしょう。

  • 従業員
  • 商品・サービスを利用する顧客
  • 取引先や代理店
  • 自社の株式を保有する株主・投資家
  • 融資を受けている金融機関

全社的なプロジェクトを進める際は、直接的ステークホルダーとの認識のすり合わせが必要です。広報PR担当者としては、直接的関係にある人々や団体のリストを作っておくことで、ステークホルダーに伝えたいプレスリリースを行う際に、漏れを防ぐことができます。

2. 間接的ステークホルダー

間接的ステークホルダーとは、企業活動の直接的な影響を受けない人々のことを指す言葉です。主に、行政機関、企業・団体が所属する地域社会、メディア、そして自社の商品・サービスに触れたことはないものの、今後接点を持つ可能性のある生活者などが該当します。

間接的ステークホルダーは、直接的な関係がないため、厳密に範囲を定めるのが難しいです。とはいえ、間接的であっても、自社が与える影響は無視できません。また、企業活動の持続可能性が注目される今、環境に与える影響なども考慮していく必要が出てきました。CSR活動などと重なる部分もありますが、企業活動を広い視点で捉え直すことで、間接的ステークホルダーの範囲も明確にすることができるでしょう。

その他のステークホルダーの分類

企業との関わり方で区別するほか、対象となる集団の属性そのもので分類する考え方もあります。関係性でとらえる考え方とは異なり、各属性が必要としている情報や個別の利害関係について考察するときに、より具体的に捉えることができます。

1. 生活者:自社製品・サービス情報の提供

生活者には自社製品やサービスを知ってもらい、満足度を高めてもらうため、オープンな情報提供をすることがポイントです。ただし、そのときのトレンドによって生活者が自社に求める情報は異なるため、発信する内容は定期的な見直しが必要でしょう。生活者という区分においても、自社の商品・サービスに触れたことのある人は直接的、ない人は間接的ステークホルダーに当てはめて考えることができます。

生活者の動向を確認するため、消費者庁がまとめる「消費者白書」などの資料を参考にトレンドを読み解くのも有効です。例えば、「令和3年消費者意識基本調査」では、「SDGsや倫理的な消費(エシカル消費)」への関心があると答えた回答者が約47%を占め、10代後半は20代と比較して高い結果となっています。自分の価値観に合った商品を必要な分だけ持つ消費活動が重視されており、このような考え方に寄り添う情報が求められていると考えることもできます。

情報を発信する際には企業姿勢も一緒に示すことで、製品やサービスを通さずに自社について理解してもらえます。例えば、商品に使用している素材やその素材が生まれている環境などもオープンにすることは、生活者からの信頼を得ることにつながります。
参考:変わる若者の消費と持続可能な社会に向けた取組 ~18歳から大人の新しい時代へ~

2. 地域・行政機関:懇親会への参加、協働への積極的な参画

自社が関わる地域の振興、再開発などの取り組みにおいて、密接に関わってくるのが地域・行政機関。雇用による地域活性化や助成金、技能実習生の登録などの施策で関連があるようでしたら、直接的なステークホルダーとしての一面を持ちます。関わる施策ごとに、企業側から積極的に関わりを作る活動をすることが大切です。

自社が属する地域・行政への貢献活動を行いつつ、コミュニケーションを取れる場所にも積極的に参加します。地域や行政機関に知られていない場合は、まずは認知してもらうことが第一のステップともいえるでしょう。

その後、可能であれば地域全体を巻き込んだイベント、行政との協働、地域貢献活動なども検討してみてください。自社がどのような企業で、どのように社会や行政に貢献できるかを知ってもらうことで、良好な関係を築けます。

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3. 自社従業員:自社の業績開示や方針の共有

自社の従業員は、会社を構成するメンバーであると同時に、雇用によってつながる直接的なステークホルダーです。近年では自社従業員をステークホルダーとしてとらえ、良好な関係構築に努める企業は多くなってきています。社内においては、業績開示、企業の理念、方針などの共有を行います。場合によっては企業にとって課題だと感じている部分を共有し、全社で課題意識を持ってもらうこともよいでしょう。

テレワークが進み、従業員同士のコミュニケーションが以前より希薄になった企業もある中で、社内広報はコミュニケーションを強める施策になり得ます。社内報のほか、定期的にアンケート調査を実施したり、取材を通じた現場とのコミュニケーションを行ったりすることで、会社へのロイヤルティーを高める機会を設けましょう。

ステークホルダーと良好な関係を築くため、積極的なコミュニケーションを

企業活動に多様性や持続可能性が重視される今、企業とステークホルダーとの関係の築き方も変化してきました。今後はコミュニケーションを密にし、さまざまな利害関係者を深く理解した発信のあり方が求められるでしょう。

まずは自社にとってのステークホルダーを種類別に分け、各ステークホルダーが何に関心を持っているのかを明らかにします。その過程で「直接的」「間接的」の枠組みでは捉えきれないステークホルダーに気付くこともあるでしょう。そういった場合も含め、自社を取り巻く利害関係者が求める情報や企業としての姿勢を示すことが、ステークホルダーとのエンゲージメントを高めることにつながります。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

広報が知っておくべき企業における「ステークホルダー」の意味に関するQ&A

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この記事のライター

佐藤 杏樹

佐藤 杏樹

フリーのライター・編集者。PR TIMESに新卒入社しメディア事業部にてコンテンツ編集者・SNS運用・イベントなど担当。現在も執筆業に携わりながら広報・PRの仕事もしています。広報実務を通して得た知見や実践しやすい広報ノウハウ、最初に知っておきたい広報の基礎など、みなさまに分かりやすくお伝えします。

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