最先端のテックカルチャーの中でワクワクする気持ちを読者と同じ目線で楽しむアメリカ発のテクノロジーメディアサイト『ギズモード・ジャパン』。株式会社メディアジーンが運営する日本版のこのメディアの記事で紹介された商品は売れ筋になることから、消費行動に多大な影響を及ぼすメディアとして周知されています。
『ギズモード・ジャパン』の編集長を務める尾田さんが、12月6日に名古屋で開催された「宣伝会議リージョナルサミット2023」第二部に登壇。本記事では、第一部のレポート「経営戦略×社会性で企画化。周囲を巻き込み推進する愛知・伊藤手帳の広報PR術」に続き、尾田さんが語る編集者の情報収集術、地域企業だからこその広報PRについてレポートします。
株式会社メディアジーン 執行役員 メディア編集部門担当 ギズモード・ジャパン編集長、FUZE編集長
シンコー・ミュージック、MTV JAPANを経て、ギズモード・ジャパン、ライフハッカー日本版、Kotaku JAPAN、ルーミーの編集長を歴任。2015年よりサイバーエージェントの初代エディトリアルスタジオ長、SILLY編集長を務める。2017年にメディアジーンに復職。
株式会社PR TIMES 営業本部
東京生まれ、埼玉・香港育ち。新卒で広告代理店に入社後、2016年にPR TIMESに入社。営業担当としてお客様へのサービス提案を経験後、2019年よりサポート部門責任者に。その後、新規事業推進担当やプロダクト開発との兼務を経て、2022年末から営業本部に復帰。現在は営業本部副部長として営業活動の全体推進を行いつつ、プレイヤーとしてサービス利用のご提案や利活用の支援活動を行う。
「地域にこそ面白い情報がある」情報源もドーナツ化現象の兆し
小暮:早速ですが、『ギズモード・ジャパン』のような全国メディアはどうやって地域情報を発掘しているのでしょうか。「地域にこそ面白い情報がある」ということですが、その理由も教えてください。
尾田さん(以下敬称略):地域って日本に限らず世界中にありますよね。例えば、カリフォルニアだとサンタバーバラ。ニューヨークだとマンハッタンではなくブルックリン。そんな都心からちょっと外れた地域の、イケてる場所を探すのが得意。僕の場合、ガイドブックを読むわけでもなく、コーヒーと音楽を探るだけ。地元のコーヒーショップやライブハウスに情報が詰まっていて、その土地らしさが感じられるというのが僕の持論です。
地域のほうが面白い理由は、地価の安いところに若いアーティストやいろんな人種が集まってミクスチャーを起こすから。ただ地域が注目されて都市開発されていくと、ドーナツ化現象を起こして、面白い地域はもっと都心から離れたところへと移っていきます。
コロナ禍以降、ドーナツ化現象はさらに顕著になっています。僕も勝手に地元の近所にシェアオフィスを借りて仕事するようになったので、本社のある渋谷オフィスに行くのは週1〜2回程度です。
小暮:地域で広報PR活動をする企業さんのお悩みで多いのが「メディアキャラバンも不利」というもの。物理的にもアプローチがしやすい都心の方が広報PRも成功しやすいと感じるようです。その点についてはどう思われますか。
尾田:僕はそう思わないですね。会議やインタビューも最近はオンラインが主流なので、地域企業との物理的な距離はあまり感じなくなり、オンライン打ち合わせにも抵抗はありません。
こうした状況だからこそ、地域に足を運んだときの驚き、感動、興奮は大きい。リアルで会う意味や価値が高まっていると感じます。
足を運んででも取材したい情報とは
尾田:「知名オーディオ」の記事は、実際に沖縄に足を運んだものなんです。
沖縄・古座地区で昭和50年創業のオーディオメーカーの創業者が生み出した「知名オーディオ」が沖縄本土で話題となり、海を越えて本土でも評判に。尾田さんが知名オーディオを知ったのは知人のデザイナーを介してのこと。小さい出力でありながら素晴らしい音質を実際に聴いてみたら、開発者に会いたくなりました。
『ギズモード・ジャパン』のSNSでも「このオーディオが気になる」と投稿したところ、開発〜創業者の親戚である現社長とつながることができ、家族旅行で沖縄に行った際に訪問し取材。沖縄では至る所で知名オーディオが設置されていることを知り、「古座という音楽が盛んな町で生まれたオーディオ」という切り口で紹介したところ、反響となりました。
ファッションや買い物情報を提供しているYouTubeチャンネルの「ネットでポチり隊」も、仙台まで足を運んで得たものです。話題となった情報は実際に話を聞きにいきたくなりますね。
編集者の目利きは「未来予測」
小暮:なかなかハードルは高そうですが、話題になっていない商品やサービスを全国メディアに見いだしてもらうにはどうすればよいでしょうか。
尾田:わかりやすく、何が面白いのかを伝えることが重要でしょうね。プレスリリースだったら、タイトルを見た瞬間にどんな記事なのかがわかるのは大事。タイトルで結論を述べてしまうくらいでちょうどいいかもしれません。
皆さんオンラインでは情報収集しているので、国会図書館にあるようなレガシーなメディアに情報を求めることもあります。
またうちの編集部員も「どこから情報収集しているんですか?」とよく聞かれるらしいのですが、情報量は他のメディアと大差ないと思います。そこで語られるストーリーが多彩だからそう感じるんじゃないかな。うちで紹介しているものは商品なのですが、その物の中から未来が明るいかもね、といったわくわくするようなそんな情報を掲載するようにしています。
あとは「編集者の目利き」に引っかかる内容かどうか。目利き=未来予測と考え、編集者やライターの視点を考えてもらえるとよいかもしれませんね。
小暮:それでは最後に。地域にいる方が『ギズモード・ジャパン』さんに取り上げてもらえるためのコツなどはありますか。
尾田:なかなか難しいところですが、SNSで発信されるものにメンションを介してもらうことでしょうか。プラットフォーム上で双方が意識するようになるのは効果的だと思います。
AI(人工知能)だけでなく、人とのコミュニケーションが大切で、面白い切り口は編集者次第。編集者は自身の目利きにのっとって情報を選び、新たな切り口やストーリーを持たせて紹介したいと考えていますので、恐れず情報提供を考えてみてください。
まとめ:面白い情報は地域企業から全国へ
地域の面白い情報をピックアップしたい全国メディアの編集長の情報収集が語られた今回のセミナー。全国各地にあふれる情報の中からどんなものを選んで発信しているのかがわかる内容でした。地域にこそコンテンツのヒントがある。量ではなくストーリーや熱量が伝わるものの中から、編集部員の目利きによって情報を探しています。
メディアに取り上げてもらうためには、ひと目で内容がわかるプレスリリースのタイトルや商品・サービスのストーリー性が重要です。編集者の目利きをフックとした情報を発信し、地域から全国へつながるような広報PRを意識してみてください。
第一部では、地縁なし、知人ゼロから始めた広報活動。関係者の熱量を高め続ける広報PR術とは?をテーマに、地域企業を代表して伊藤手帳株式会社広報部の神谷敦子さんが登壇。講演の内容をまとめていますのであわせてご覧ください。
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