大阪府富田林市で、1913(大正2)年から豆菓子の開発・製造を行う株式会社冨士屋製菓本舗。
節分の時期のみ製造する豆菓子の「助六豆(福豆)」を生まれ変わらせるべく、新人職員のアイデアを採用した「のこり福豆」を発売しました。
新商品の発送開始・予約販売に合わせて公開したプレスリリースは、「人に語りたくなるストーリーを最も有しているプレスリリース」として、プレスリリースアワード2021の「ヒューマン賞」を受賞。
同プレスリリースの作成を担当した「3代目嫁の何でも屋さん」こと、株式会社冨士屋製菓本舗の北野雅江さんに、受賞プレスリリースの作成時のポイントや、受賞後の心境の変化などを伺いました。
ルーキーの成長記録とともに、新商品の製造工程・魅力を発信
── PR TIMESでのプレスリリース作成は初めてでしたが、今回作成・公開を決断した理由を教えてください。
節分の季節に食べる「福豆」をアップサイクルすることは、ずっと私たちの課題でした。2020年、25年ぶりに新しい職人を迎えたのですが、「アップサイクル商品を企画からしてみてもいいですか?」と本人から提案が。
これは彼自身の成長にもつながると思い、プレスリリースを活用して、「成長記録」のようなイメージで発信することにしました。
── 商品の紹介よりも、ルーキーの開発に着目した内容でした。プレスリリース作成において、特に意識したポイントはありますか。
とにかく、新しい職人が成長していく姿を記録して、そこから「のこり福豆」の製造工程や魅力も知ってもらえるよう意識しました。
プレスリリースは通常、企業向けに書かれると思いますが、私たちは一般のお客さん向けに発信しています。作り手がいて、作り手を支えるスタッフがいて、それを発信する私がいて。さらにその先にお客さんがいることで、うちの会社が成り立つ。だから、お客さんが知りたい情報と、私たちが伝えたい情報を合致させることが重要だと考えています。
── プレスリリースの発表後、社外からの反響はいかがでしたか。
いろいろなところから取材のお話をいただきました。日本経済新聞で取り上げていただいたのと同時にテレビの取材依頼もあって、放送内容はYouTubeでも公開していただきました。
今回のプレスリリースで発信したかった「製造とは?」という部分に焦点を当てた内容になっていて、私が伝えたいことをしっかりと読み取ってくださったんだな、と感じられたところがうれしかったです。
参考:毎年完売!節分限定・伝統の味付けの「助六豆(福豆)」が最強のおつまみに変身
小さな会社の「私たちらしさ」が愛と情熱を伝える
──「プレスリリースアワード2021」の受賞を知ったときの心境を教えてください。
私を含め、スタッフ全員が驚いていました。もともと応募する予定はなくて、「プレスリリースアワードに応募してみては?」というご提案をいただいたのですが……繁忙期ということもあり断ってしまって。
それでも、「北野さんが思っていることを書いていただいたらいいですよ」と、応募方法も丁寧に教えてくださったので、挑戦してみよう、と。何が何だかわからないまま応募したのですが、まさかの受賞で……本当にびっくりでした。
──「ヒューマン賞」の受賞理由についてはどのように捉えていますか。
私のつたない文章の中で、思っていたことを読み取っていただけたんだな、ということがわかってうれしかったですね。
プレスリリースでは、堅い文章よりも、私たちらしさが出るような文面を意識したので、そのあたりから「愛と情熱」を感じていただけたのかな、とも思いました。
── プレスリリースアワードの授賞式に参加されていかがでしたか。
さまざまな企業の広報担当の方々がいらっしゃって、すごく良い刺激になりました。
今回のプレスリリースでは私が書きたいことを優先しましたが、今後は商品についてもっとリサーチして、より深い部分にも言及するべきだ、と。広報という役割を理解したプレスリリースを作るべきだと感じました。
取り組みを記録として残していく、新たな広報PR活動
── 受賞後、社外からの反響や、受賞を受けての変化はありましたか。
授賞式の様子がYouTubeで配信されることをFacebookなどのSNSで宣伝していたのですが、想像以上に見てくださる方が多かったです。
授賞式で、私が胸いっぱいになりながら話した言葉を聞いて「胸がいっぱいになった」と言ってくださったり、「豆菓子ってこんなふうに製造していたんだ!」と気付いてくださったりしました。
── 今回の受賞をきっかけに、広報担当者として心境の変化はありましたか。
私たちが取り組んでいることを、プレスリリースで記録として残していく、という部分を意識するようになりました。
もちろん新商品や販売情報を知ってもらうことも大切ですが、事業全体を公開して残していくことも同様に重要だ、と。今後は積極的に発信して、お客さんたちにしっかりお伝えできるような広報活動ができればいいな、と感じています。
今回の事例のポイント
- 新商品よりも、若手職人にフォーカスしたプレスリリース
- 読み手が知りたい情報と、自社が伝えたい情報を合致させた製造工程の説明
- 複数のSNSを活用した積極的な広報PR活動
顧客に対する新商品のPRではなく、若手職人の企画力や開発工程をメインにピックアップした今回のプレスリリース。
成長記録として発信したものが、結果的に新商品の製造・魅力といった部分を知ってもらうことにつながっています。
また、「プレスリリースアワード2021年」の授賞式を多くの人々に発信できた点は、日常的にSNS運用に取り組んできた賜物ともいえるでしょう。
伝統的な豆菓子の製造から、さらに積極的な情報発信へ
小さな会社ながら「プレスリリースアワード2021」に挑戦し、見事受賞を果たした株式会社冨士屋製菓本舗。
25年ぶりに入職した職人にフォーカスしたプレスリリースや、「私たちらしさ」にこだわった文面からは、まさに愛と情熱が感じられました。
「今回のプレスリリースで新たな課題ができた」と語る北野さん。次回以降のプレスリリースアワードにもエントリーを検討中とのことなので、さらに進化したプレスリリースや、新たな取り組みにも要注目です。
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