PR TIMES MAGAZINE|広報PRのナレッジを発信するWebメディア
記事検索
title

共感を生んだのは、「自社が伝えたいこと」を書かないプレスリリース|テレワーク・テクノロジーズ株式会社

2021年8月、「机と椅子しかない個室」でテレワークができるサービスを発表したテレワーク・テクノロジーズ株式会社。

ネガティブにも捉えられかねないこの企画を、「締め切りに追い込まれた方専用」とユーモアたっぷりにプレスリリースで表現することで読み手の共感と笑いを誘いました。

発表したプレスリリースのPV数は累計20万超、Twitterでは1.5万件以上の「いいね」を獲得。「プレスリリースアワード2021」では「受け手の心を動かし共感を育むことで最も飛躍したプレスリリース」として「エンパシー賞」を受賞しています。

共感を生む企画の裏側やプレスリリース作成のポイントについて、代表取締役 荒木賢二郎さんに伺いました。

マーケティングの一環としてプレスリリースを活用

──『1日14時間で取り戻せる「締切に追い込まれた方」専用テレワーク個室プラン登場』のプレスリリースで、「プレスリリースアワード2021」の「エンパシー賞」を受賞されました。受賞の知らせを聞いていかがでしたか。

メディアの方ではなく一般の方が読むことを始めから意識して書いたという点で、プレスリリースとして異端だと考えていたので、受賞するとはまったく思っていませんでした。

驚きましたが、プレスリリースの新しい形として認めていただけたことはとても嬉しかったです。

── 受賞理由についてはどのように捉えていますか。

プレスリリースは広報PR活動のためのツールだというのは重々承知していますが、私は広報担当ではなく経営者ですので、プレスリリースを広報の手段として書いているわけではなくて。市場の反応を知るテストマーケティングの一環として利用しています。

そういった活用方法に対しても「新しい在り方」として評価いただけたので、何かしらプレスリリースのさらなる可能性を示せたのではないかと思います。

テレワーク・テクノロジーズ株式会社 プレスリリース

参考:1日14時間で取り戻せる「締切に追い込まれた方」専用テレワーク個室プラン登場、1時間330円から/テレスペ

多くの共感と笑いを誘った企画は、空振りからの再挑戦

──『1日14時間で取り戻せる「締切に追い込まれた方」専用テレワーク個室プラン登場』企画の背景について教えてください。

実は、同様のサービスを1週間前にもプレスリリース(テレスペ、東京都のコロナ再拡大を受けて「誰でも使える・提供できる」テレワーク個室専門の予約サイトを公開)で発表していたんです。

しかし、そちらは完全に空振りに終わりました。PR TIMESのPV数も伸びませんでしたし、Twitterでも「価格が高い」「部屋がしょぼい」というご意見が多く……。

そこで、「もっと低価格のプランを考えよう」と値段から検討し、1時間990円を1時間300円まで下げることを決定しました。

1時間ごとのご利用だとどうしても赤字になってしまうため、1日単位の長時間パックとし、発表した14時間プランになりました。

── プレスリリースでは、時代性を押さえたユーモアある表現にも注目が集まりました。プレスリリースを書く際はどのような点に気を付けていましたか。

直前のプレスリリースがあまり記事に取り上げていただけなかったので、逆に「プレスリリース自体を記事のように面白く読んでもらおう」と考えて、メディアの方ではなく一般の方を意識して書いていました。PR TIMESを通じてプレスリリースが原文転載されていく中で、目にした人が話題にしてくださればという目的です。

その結果、記事としても数多く掲載していただきましたし、やはりプレスリリース自体をとても多くの方に読んでいただけました。当時はPR TIMESで配信すると1万PV前後のことが多かったのですが、このプレスリリースは公開後1週間で18万PV以上あったんです。

利用目的のお問い合わせもたくさんいただき、Twitterでも見たことのないぐらい、何千とリツイートしていただいて。面白いネタとして共感していただけたのかなと感じました。

「自社が伝えたいこと」を書かないプレスリリース

── まだ規模の小さいベンチャー企業であるテレワーク・テクノロジーズ株式会社が、プレスリリースを成果につなげられているのはなぜなのでしょうか。

「自社が伝えたいこと」を書かないことが大切なのではないかと思います。僕も、プレスリリースを書き始めた当初は「自社が伝えたいこと」を書いていました。「こういったプロダクトを作ったので、ぜひ使ってください」というような。

そこから、受賞したプレスリリースをきっかけに「誰のどういう課題を解決します」という書き方に変わりました。「伝えたいこと」より「読み手が知りたいこと」を書くようになったんです。

── より具体的には、プレスリリースを書くときはどんなことに気を付けていらっしゃいますか。

プレスリリース原稿を書きはじめるときに、本文とは別にまず「ニュースバリューが何なのか」を書き出すようにしています。

「新しい」「初めて」「意外性」など、「メディアの方がなぜこの内容を記事にしたくなるか」という理由を最初に言語化するんです。

そして、内容を100%書かないことも心がけています。昔はプレスリリースだけで1から100まで伝わるように書いていたのですが、全体の2割ぐらいを表現したほうが読みやすいですし、相手の興味を引き出せると思っています。

プレスリリースアワード2021

まとめ:共感を生み出すカギは、徹底的な読み手目線

CEO自らプレスリリースに注力しているテレワーク・テクノロジーズ株式会社。

「営業や開発には潤沢な予算を使っているのに、広報という分野にリソースを割いている企業は少ない。ここに力を入れれば差別化できるのではと思った」と語ってくださいました。

「最近はあまり遊び心のあるプレスリリースが書けていない」とのことですが、プレスリリースを起点に生み出される新たな事業やサービスに今後も要注目です。

(取材は、質問に対するメールでの回答と電話取材を通じて行いました)

PR TIMESのご利用を希望される方は、以下より企業登録申請をお願いいたします。登録申請方法料金プランをあわせてご確認ください。

PR TIMESの企業登録申請をするPR TIMESをご利用希望の方はこちら企業登録申請をする

この記事のライター

大林志帆

大林志帆

2021年PR TIMESに入社。営業本部で大企業から自治体、スタートアップまでさまざまな企業の広報・PRをサポートしたのち、PR TIMES MAGAZINE編集部へ異動。営業本部で出会ったいろんな広報の方々を思い浮かべながら日々記事を執筆しています。食べることが大好きです。

このライターの記事一覧へ