2021年4月22日、第3回緊急事態宣言の発令が決定しました。
その24時間後、ホテルの部屋を自分たちだけのプライベート・ダイニングとみなしルームサービスを拡充させる新企画「スーパールームサービス」を発表したのが株式会社ニュー・オータニです。
ゴールデンウィーク直前の宣言発令に多くの人々が不安を覚える中、制限を逆手に取った柔軟な発想にもとづく企画。プレスリリースでの発信後、テレビ放映8本、SNSトレンドワード入りなど多大な反響を獲得しました。
ゴールデンウィーク期間中のルームサービス売上はコロナ前比211%を記録し、プレスリリースアワード2021でも「社会とのつながりを表現し深めることに最も貢献した」として「ソーシャル賞」を受賞しています。
「スーパールームサービス」のプレスリリース作成背景や日頃の広報活動に対する社内の意識について、株式会社ニュー・オータニ マネージメントサービス課の片岡 慎一郎さんに伺いました。
プレスリリース作成で意識しているポイント
── 日頃プレスリリースを作成するうえで心がけているポイントについて教えてください。
一番大切なのは、発信する情報が社会にとってどれだけ新しいのかというところと、ホテルとしてみなさまのお役に立っているかというところだと考えています。
とくにコロナ禍においては、日々お客さまのニーズやライフスタイルが変化していきますので、どのように「新しく」「お役に立てる」ホテルであり続けることができるかを模索しながらプレスリリースを作成しています。
当ホテルは規模が大きいこともあり、社内だけで考えてしまうと自社目線のプロダクトアウトな企画・発信になってしまいます。そうではなくてお客さま目線のマーケットインな企画や発信ができるように、できる限り社外の方々から情報収集をするよう心がけていますね。
具体的にはメディア関係者の方々、ホテル・レストランの方、全く異なる業種・業態の方まで、頻繁にコミュニケーションを行っています。
──「スーパールームサービス」はプレスリリースでの発表後多くの反響を呼び、売上増にもつながりました。どのような点を意識してプレスリリースを作成されましたか。
プレスリリースとして基本的な部分ですが、社会性であったり、数値など詳細な部分をしっかりと入れ込むようにしました。
写真も、「スーパールームサービス」を企画した当日に社内で連携して撮影まで行いました。
やはり、すべてを一日で組み立てて、全社一丸となってつくりあげることができたというのが大きかったと考えています。
参考:緊急事態宣言中は1479室すべてがあなただけのレストランに!料理120種、ワイン&カクテル300種をお部屋で楽しむ『スーパールームサービス』
プレスリリースアワード受賞を振り返って
── プレスリリースアワード受賞の知らせを受けていかがでしたか。
賞をいただいたプレスリリースは、私たち広報チームとしても一日で作り上げたので、現場との調整など今振り返っても非常に大変でした。
ただ、その分すごく多くの反響をいただいて、こうして賞までいただいて。
とても成功した事例になったので、ひとつの教科書的存在として「新しく、みなさまのお役に立つものを」ということを常に意識してプレスリリースを書いていこう、とあらためてチームで決意するきっかけとなりました。
より多くのスタッフにも浸透するよう、記念の盾はホテルスタッフの共有スペースに受章当時の写真とともに大きく飾りました!
── 受賞理由についてはどのように捉えていらっしゃいますか?
先ほどもお伝えしたように、「新しさ」「社会に対する貢献」というものがあれば、メディアの方はちゃんと時流に合っているものとして注目してくださると思っています。
メディアの方が取り上げてくだされば、お客さまが反応して利用や購入に踏み切ってくださるという流れがありますよね。この「スーパールームサービス」のプレスリリースではその流れがとてもうまくつながって。
私たちのスピード感も一因ではあったと思うのですが、プレスリリース配信サービスというものがあってこそこのような良い流れがつくれたと感じています。
その意味で、「プレスリリースの可能性拡大に貢献した事例を称える」というアワードの主旨に非常に合致しているものとして、受賞につながったのではと思いますね。
プレスリリースアワード2021受賞後の反響や変化
── 受賞後、社外からの反応などはいかがでしたか。
ほかのホテルさまから、「1479室すべてをレストランにする」というスケールの大きな企画をリリース配信まで24時間以内に実現したことに称賛のお声を多くいただきました。
スピード感や実行力というところもおっしゃっていただきましたし、あとは何よりあのタイミングで、世の中に明るいニュースを発信しようと動けたところでしょうか。
ゴールデンウィーク直前に緊急事態宣言が出て、外出制限や飲酒提供の制限がかかって……。
飲食や宿泊業を営む立場としてはもちろん、世の中全体が暗い気持ちになってしまっているときだったので、そこで前向きな発想に切り替えられたことをお褒めいただきました。
── そのような状況下でも、前向きな姿勢を保つことができたのはなぜだったのでしょうか。
やはり、ホテルとしていかにみなさまのお役に立てるかを第一に考えることを徹底しているからだと思います。
全社においてそういう姿勢を貫いているからこそ、情報発信の重要性は現場も含めて社内ですごく理解されていて。
広く世の中に知っていただく方法として、プレスリリースの有効性についても各部門で認識を共有しているので、プレスリリースづくりへの協力や広報目線での企画づくりというところにつながっています。
「新しさ」と「社会への貢献」を軸に、全社一丸で情報発信
社会全体が不安定な状況に陥る中、「ホテルとして社会のお役に立つ」方法を前向きに考え、明るいニュースを世の中へ送り出した株式会社ニュー・オータニ。
社会に必要とされる企画をスピーディーに実現・発信まで結びつける鍵は、社外との積極的なコミュニケーションにもとづく時流のキャッチアップと、全社の理解・協力のもと一丸となって取り組む広報体制にありました。
昨年に続きプレスリリースアワード2022にもエントリーを検討中とのことですので、株式会社ニュー・オータニのプレスリリースに今後も注目です。
(取材は、質問に対するメールでの回答と電話取材を通じて行いました)
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