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ChatGPTを使ってプレスリリースを作成する方法と3つのコツ・注意点を紹介|牛山マーティン

近年のChatGPTをはじめ、AI(人工知能)の進化により、広報PR活動に新たな可能性が生まれています。具体的には、プレスリリースや企画書の作成が挙げられます。本記事では、ChatGPTを使ったプレスリリースの作成方法やコツ、注意点をご紹介。

ChatGPTを活用したプレスリリースの作成経験が豊富な、株式会社Gaudiyの牛山 マーティン氏に執筆していただいています。

株式会社Gaudiy HR/PR・PR lead

牛山 マーティン(Ushiyama Martin)

ドイツ生まれ、日本育ち。二児の父。IT関連企業でのWebデザイナーや事業開発ディレクターを経験した後、2015年にクックパッドに入社。2018年から同社の広報として、複数の新規事業のプロダクト広報を担当。2022年6月にGaudiyに入社し、広報やブランディングを担当。最近はNotionやChatGPTを活用した広報業務DXにも取り組む。

ChatGPTを使ってプレスリリースを作成できる?

文章生成に特化した生成AIである「ChatGPT」は、プレスリリース作成にも有効に活用できるツールです。

プレスリリースを作成する際には、ChatGPTとの対話だけでなく、ChatGPTを壁打ち相手として利用し、その生成結果をもとに自分自身で編集することが重要です。このプロセスを繰り返すことで、より良い結果を得ることができます。

他社から受領した機密情報や、自社の高機密情報を入力しないなどの注意事項を守りつつ、ChatGPTの上手な活用法を身につけることで、プレスリリース作成が効率化できます。

本記事では、まずChatGPTを使用してプレスリリースを作成する手順と具体的なプロンプトの例を紹介します。その後、作成時のポイントや注意点について解説します。

ChatGPT

ChatGPTを使ってプレスリリースを作成する手順

ChatGPTを活用したプレスリリースの作成手順を、企画を立てる、構成を作成、ドラフト原稿の作成、原稿を改善し、仕上げるの4ステップに分けて、ステップごとの利用の仕方を紹介していきます。

STEP1.企画を立てる

実際の原稿を書き始める前に、プレスリリースの目的や目標などを明確にし、必要なコンテンツについて考えます

まず、会社や事業に関する情報・プレスリリースの概要や目的を文章にしてChatGPTに入力して、プレスリリースの目的と目標、ターゲットとメディアを生成してもらいます。

ChatGPTが生成した結果をもとに、自らの思考を深めたり、対話を通じて往復しながら企画を具体化したりしていきます。ChatGPTを用いて初期アイデアを素早く形成することで、思考プロセスの効率化が図れます。

STEP2.構成の作成

プレスリリースの企画が固まったら、プレスリリースの構成案を作成していきます。最初に整理した会社・事業の情報、STEP1で作成した企画内容をもとにChatGPTを活用してプレスリリースの構成を作成します。

構成案の初稿をもとに、改善が必要な箇所や気になる点は修正を依頼します。

また、ChatGPTに新聞記者や番組ディレクターなど専門家の役割を与えて、その視点からレビューを受けて、構成を改善することも有効です。

例えば、新聞記者なら「市場規模」や「ビジネスモデル」といった経済的視点を加えるような提案、番組ディレクターなら「映像資料」や「映像が撮影可能なイベント」といったビジュアル要素の提案をしてくれます。

これらの専門的な視点を取り入れ、プレスリリースの構成を完成させます。

STEP3.ドラフト原稿の作成

構成案が完成したら、原稿の作成に着手します。理想としては、構成案に基づき、一気に原稿を仕上げたいところですが、ChatGPTに長文を依頼すると内容が薄くなる傾向があります。そのため段階的に作成することをおすすめします。

必要な情報はすでにほぼ揃っていますので、これまでの情報を入力しながら、パーツごとに文章を作成していきます。

ChatGPTが生成した文章に対し、足りない要素の追加、文章の短縮などの修正を指示しながら、文章を調整していきます。ある程度のベースができたら、自身で手を加え、文章を整えていきます。

各パーツができたら、組み合わせて、ChatGPTにタイトル、導入文を生成してもらいます。この段階では、ある程度のブラッシュアップで十分です。次ステップでさらに改善していきます。

最終的に、全体をつなぎ合わせてフォーマットを整えれば、ドラフト原稿の完成です。

STEP4.原稿を改善し、仕上げる

最終ステップでは、作成したドラフト原稿を完成稿に仕上げます。全体をあらためてレビューし、改善点を洗い出したり、セクションごとに加えるべき要素を確認したり、必要に応じて追加します。

プレスリリースの中でも重要なタイトルに関して、以下の記事を参考に、ChatGPTにタイトル作成のポイントをインプットして10案ほど提案してもらいます。その中から気に入ったものを選んで、修正を加えていきます。良い案が出てくるまで何回かトライすることも有効です。

最終的に各パーツの文章を校正し、整理することで、プレスリリースの原稿が完成します。ChatGPTを利用することで、自分では気づきにくい視点を補ったり、文章作成の速度を上げたりすることが可能です。これをうまく活用することで、業務の効率化が図れます。

ChatGPTでプレスリリースを作成するプロンプト付き

それぞれの手順で、利用できるプロンプトの参考例を紹介します。これらのプロンプトはあくまで例示であり、書き方を工夫してみるなど、試行錯誤してみてください。

STEP1.企画を立てる

プロンプト:初期の入力

あなたはPRプランナーです。
株式会社アグラスタが発行するプレスリリースを作成します。

今回のプレスリリースは、アグラスタが提供する「エアロファーム・インテグレーター」の顧客を獲得するために、顧客にサービスを認知してもらい、問い合わせにつなげることが目的です。

# 会社紹介
株式会社アグラスタは、“持続可能な農業で地球と人の未来を守る”をミッションに掲げる農業スタートアップです。ドローンとAIなどの先端技術を農業技術と組み合わせ、精密農業支援サービス「エアロファーム・インテグレーター」の開発と提供を行っています。このサービスを通じて、農業生産の効率化と環境への影響を軽減し、より持続可能な農業の未来を創造しています。

# 提供サービス「エアロファーム・インテグレーター」
エアロファーム・インテグレーターは、ドローンを利用した精密農業支援サービスです。ドローンによる土地の3Dマッピング、作物の健康状態のモニタリング、適切な時期における種まきや肥料散布などを行います。また、データ収集と分析を通じて、農地の最適な管理方法を提案し、農業生産性の向上と環境への影響を最小限に抑えることを目指します。

以上の会社に関する情報をもとに、以下の内容を考えてください。

プレスリリースの目的:
プレスリリースの定量的な目標:
プレスリリースのターゲット(メインとサブ):
ターゲットとするメディア:

※上記のプロンプトに登場する「株式会社アグラスタ」は記事用に作成した架空の会社名・サービス名です

ポイント:

  • 会社や事業の情報をまとめて入力することで、情報を元にして生成してくれます
  • 「あなたはPRプランナーです」という役割を設定することで、生成の精度が上がります

プロンプト:専門家の視点でレビュー

(略:ChatGPTの生成結果)

以上を、経済新聞記者、報道番組ディレクター、それぞれの視点でどんな要素があったら興味を抱くか考えてください。

ポイント:

  • ChatGPTによる生成結果をそのままプロンプトに使用し、活用します
  • 専門家の視点でレビューを受けることで、新たな視点を得られます

STEP2.構成の作成

プロンプト:プレスリリースの構成を作成

# 会社情報

## 会社紹介
(略:会社紹介文)

## 提供サービス
(略:サービス紹介文)

# プレスリリースの概要
(略:STEP1で作成した企画内容)

## プレスリリースの目的
(略:STEP1で作成した内容)

## プレスリリースの定量的な目標
(略:STEP1で作成した内容)

## プレスリリースのターゲット
(略:STEP1で作成した内容)

## ターゲットとするメディア
(略:STEP1で作成した内容)

## プレスリリースのバリュー
(略:STEP1で作成した内容)

## あるとメディアの興味を引く情報
(略:STEP1で作成した内容)

以上の内容を踏まえて、プレスリリースの構成案を作成してください。日本向けの様式でお願いします。

ポイント:

  • STEP1で作成した情報をMarkdown形式で構造化して入力することは情報を正しく伝えるために有効です
  • 「日本向け」と伝えることで、欧米向けのフォーマットになることを避けています

プロンプト:プレスリリース構成案の修正

(ChatGPTが生成したプレスリリースの構成)

以下の修正をお願いします。

・「はじめに」と「会社紹介」のセクションを合体して「提供背景」にしてください
・社会課題との接続、社会性をもう少し入れたいです。構成の内容に反映してください
・サービス利用者の募集のセクションを作ってください。入れるべき内容も考えてください

ポイント:

  • 生成結果に対して修正点を伝え、改善します

STEP3.ドラフト原稿の作成

プロンプト:プレスリリースの文章作成

# 会社紹介
(略:会社紹介文)

# 提供サービス
(略:サービス紹介文)

# 解決する課題
(略:社会課題とその解決)

# 提供背景に書くこと
– 会社のミッションと、社会問題への対応を組み合わせた背景を説明。

以上の情報を踏まえて、セクション「提供背景」の内容を書いてください。

ポイント:

  • 書いてほしい内容と、必要な情報を入力すると文章を作成してくれます

プロンプト:プレスリリースの文章作成

(略:作成した文章)

以上の文章を校閲してください。

ポイント:

  • 「文章を校閲してください」というプロンプトで、文章を大きく変更することなく誤字や誤った日本語表現の修正が可能です

プロンプト:プレスリリースの導入とタイトル作成

(略:作成したプレスリリースの本文)

以上はプレスリリースの本文です。タイトルと導入文を書いてください。

ポイント:

  • プレスリリースの内容を入力することで、内容を反映した導入文やタイトルを作成してくれます

STEP4.原稿を改善し、仕上げる

プロンプト:専門家の視点によるドラフト原稿のレビュー

(略:作成したプレスリリースのドラフト原稿)

以上のドラフト原稿を、経済新聞記者、テレビ番組ディレクター、それぞれの視点でレビューして改善点を示してください。また、どのセクションにどんな情報を追加すればいいか提案してください。

ポイント:

  • 専門家の視点でのレビューにより、足りない要素に気づくことができます

プロンプト:専門家の視点によるドラフト原稿のレビュー

(略:作成したプレスリリースのドラフト原稿)

ドラフト原稿を踏まえて、以下のポイントを参考にプレスリリースのタイトル案を10個提案してください。

# プレスリリースタイトルのポイント
・30文字を目安に設定・長い場合はサブタイトルをつける
・第三者目線でニュースバリューを確認・読み手が興味を抱くキーワードを前方に
・言い換え・体言止め・句読点で文章を簡潔に
・数字や固有名詞で具体的に
・読み手に疑問を抱かせない言葉選び

ポイント:

  • 参考となる指針を伝えることで、より良い生成結果を得られます

ChatGPTは同じプロンプトでも実行するたびに生成結果は変わりますし、ChatGPT自体も頻繁にバージョンアップされてプロンプトに対する回答も変化していきます。今回ご紹介したプロンプトだけでなく、さまざまなものを試してみると良いでしょう。

ChatGPTを使ってプレスリリースを作成する3つのポイント

ChatGPTを活用するためには、いくつかのポイントを理解し、適切に応用する必要があります。ここでは、ChatGPTを使用して効果的なプレスリリースを作成するためのポイントを3つ紹介します。

ポイント

ポイント1.自社の背景情報を入力する

ChatGPTは大量のテキストデータを学習して多様な知識を持っていますが、特定の会社や製品についての詳細な情報は持っていません。自社に関する背景情報を入力しないと、一般的な知識をもとにした薄い内容のプレスリリースになってしまったり、不明な情報を適当に埋められてしまったりします。

自社の情報を反映したプレスリリース原稿を作成するためには、言語化された背景情報を提供することが重要です。具体的には、会社情報、製品情報、必要に応じてミッション・ビジョン・バリューなどの情報です。

ChatGPTがこれらの背景情報を踏まえることで、自社に特化したプレスリリースを作成できるようになります。普段は暗黙知とされる情報も、このプロセスでは重要な役割を果たします。

ポイント2.プロンプトを構成する4つの基本要素を意識する

ChatGPTを利用する際に、4つの基本要素を意識してプロンプトを作成することで、より良い生成結果を得やすくなります。以下に基本となる4つの要素を説明します。

命令:「プレスリリースを書いてください」「文章を要約してください」など実行してほしいタスクを明確に指示します。

文脈:「あなたはPRプランナーです」という役割の定義や、会社やサービスの情報など、背景となる情報を与えることで、より良い生成結果が期待できます。

入力データ:プレスリリースを作成する場合はその材料となる情報、文章要約を行う場合は要約前の文章がそれにあたります。

出力指示:「箇条書きで書いてください」「子どもでも理解できる言葉で書いてください」など、生成結果の出力タイプや形式を指定することができます。

ポイント3.対話を通して改善していく

ChatGPTを利用してプレスリリースを作成する際、対話型の特性を活かしてステップバイステップで内容を改善していくことが重要です。

生成結果をもとに、より具体的な指示やフィードバックを行うことで、内容を修正していくことができます。文章に新しい観点を加えたり、言い回しを変更したり。対話しながら磨き込んでいくことで、より目的に沿ったプレスリリースを作成することができます。

ChatGPTを使ってプレスリリースを作成するときの注意点

非常に便利なChatGPTですが、利用する際にはいくつかの注意点があります。以下の注意点に気をつけて利用しましょう。

注意点1.個人情報や機密情報は入力しない

ChatGPTは外部サービスであり、セキュリティ対策は提供元に依存しています。このため、機密情報や非公開情報の入力は、情報漏洩や契約違反のリスクがあります。他社から受領した機密情報や、自社の高い機密性が求められる情報、個人情報、契約情報、訴訟や審査請求に関わる情報は入力しないようにしましょう。

また、機密情報に限らず、一般的な情報を入力する場合に関しても、所属する組織の定めるポリシーやガイドラインを確認して利用するようにしましょう。

なお、OpenAIのポリシー(Content co-authored with the OpenAI API)によると、OpenAIのAPIを一部使用し、書籍などのオリジナルコンテンツを公開する場合には、AIを利用している旨を開示する必要がありますので、ご注意ください。

注意点2.回答の根拠や裏付けは必ず自ら確認する

ChatGPTによって生成された回答は、自然な表現をしているため正確に見えますが、必ずしも真実ではありません。虚偽の情報だったり、偏った価値観が反映されていたりすることもあります。そのため、生成された内容の正確性については自ら根拠や裏付けを調査することを忘れないようにしましょう。

注意点3.最新情報の取り扱いについて

ChatGPTの知識は、トレーニングデータが最後に更新された時点のものです。そのため、最新のイベントやデータ、トレンドに関する情報は、ChatGPTでは提供されません。

最新の情報をもとに生成したい場合は、自分で調査、整理してインプットするなどの一手間が必要です。また有料版ではWebブラウジングの機能も提供されているため、Webを検索して最新情報を取得できるようになりました。この機能を活用する場合も、参照元の情報が正しいか必ず確認することを怠らないようにしましょう。

プレスリリース作成にChatGPTを活用している事例

ChatGPTを利用してプレスリリースを作成する事例はすでに数多く存在します。

全社員のAIツール活用促進を目的に「ChatGPT Plus」等の使用料を全額サポート

国内グルメコミュニティサービス初!Chat GPTによる生成系AIでSARAHアプリのタイトル劇的進化

GaudiyもGPT-4が提供開始された翌々日である2023年3月17日に、ChatGPTで作成したプレスリリースを配信しています。

Gaudiy、全社員向け福利厚生にAIサービス「ChatGPT Plus」と「GitHub Copilot」を導入

これらの事例は、プレスリリースをChatGPTで全文作成する手法の一例です。一方で、すべてをChatGPTに作成させて話題にする時期はすでに過ぎており、現在は作成過程にChatGPTを活用して効率化を図るケースが当たり前になってきているように思われます。

得意と不得意を理解し、ChatGPTを活用しましょう

この記事では、ChatGPTを用いて効率的にプレスリリースを作成する方法、ポイント、注意点について解説しました。ChatGPTは、初期のアイデア出し、構成案の作成、ドラフトの作成、最終稿のブラッシュアップまで、プレスリリース作成の各ステップをサポートしてくれます。

今後、ChatGPTのようなAIツールが進化するにつれ、プレスリリースの作成方法やプロセスも変わっていくでしょう。しかし、AIを最大限活用するには、その得意分野と不得意分野を理解し、人間の創造性と組み合わせることが必要です。これにより、ChatGPTを効果的に使い、業務の効率化を図ることができます。

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