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美容・コスメ業界の広報PR担当者必見!取り上げられるニュースのつくり方をメディアに学ぶ

日々、新たな商品が発売される美容・コスメ業界。自社製品の認知を拡大し話題化させるために、メディア掲載を目指す企業も多いのではないでしょうか。

プレスリリース配信サービス「PR TIMES」を運営する株式会社PR TIMESでは、2024年5月20日に美容・コスメ広報担当者向けのユーザー会を開催。『MAQUIA』編集長の清田恵美子さん、『MEN’S NON-NO WEB』編集長の丸山真人さん、『yoi』編集長の高井佳子さんの3名をゲストに迎え、企画づくりで大切にされていることや、情報収集の方法、話題の企画から考える広報PRのポイントをお話いただきました。

株式会社集英社 『MAQUIA』編集長

清田恵美子(SEITA EMIKO)

1996年集英社入社、『MORE』編集部に配属。2006年に広告部 営業第2課に異動し、化粧品、ジュエリー、アパレル、食品ほか多数のクライアントを担当。2014年より『MAQUIA』副編集長。2021年より本誌編集長をつとめる。

株式会社集英社 『MEN’S NON-NO WEB』編集長

丸山真人(MARUYAMA MASATO)

1998年、集英社に入社。『non-no』編集部で5年、『BAILA』編集部で11年勤務ののち、『UOMO』、『éclat』編集部を経て2019年より『MEN’S NON-NO』副編集長に。2021年6月より現職。『MEN’S NON-NO WEB』のメンズ美容企画やタイアップ企画を自ら担当することも。

株式会社集英社 『yoi』編集長 

高井佳子(TAKAI YOSHIKO)

1996年集英社入社、『non-no』配属。『BAILA』『éclat』、『Marisol』を歴任し、全年代のインサイトに精通。2016年『non-no』副編集長に就任、『non-no Web』を立ち上げ、デジタルキャリアは7年。2021年『@BAILA』編集長就任、2023年6月より現職。中学生男児の母。

各メディアの企画づくり

メディアがどのような視点で企画を考えているのかは気になるポイント。

『MAQUIA』編集長の清田さん、『MEN’S NON-NO WEB』編集長の丸山さん、『yoi』編集長の高井さんに、企画づくりで大切にされていることや、情報収集の仕方についてお話いただいたことをまとめています。

メディアとしての軸はぶらさず、情報は幅広く集める

集英社初の美容雑誌として2004年に創刊し、今年で20周年を迎える『MAQUIA』。コア読者層である30代の女性をはじめ、美容に興味がある方々に広く愛読されています。そんな『MAQUIA』が企画づくりで大切にしているのは、創刊からぶれることなく「自分のための美容」という視点

同誌の編集長を務める清田さんは、さまざまな発表会に足を運ぶことはもちろん、撮影現場に顔を出してヘアメイクアップアーティストの話を聞いたり、美容エディターとの雑談を通して幅広く情報を集めることを心掛けているそうです。

一過性のブームではなく生活の中に定着させることを目指す

20代の男性向けファッション雑誌の先駆けとして1986年に創刊した『MEN’S NON-NO』は、「おしゃれをしたい」「カッコいいを極めたい」という願いを叶えることをテーマに発信しています。

企画を考えるうえで意識しているのは、「最近はメンズ美容が流行ものとして取り上げられがちですが、われわれが目指しているのはブームを起こすことではなく、メンズ美容を男性たちの生活の中に組み込み、一過性の流行ではなく定着させること」と、『MEN’S NON-NO WEB』編集長の丸山さんは説明します。

ウェルネスを軸に異なる視点で美容情報を発信

「心・体・性のウェルネスメディア」として2021年9月にローンチしたオンラインメディア『yoi』は、「ウェルネス」の視点を軸にしているのが特徴です。例えば、美容に関する情報を扱う際も、「心が健康でなければ肌も健康になれない」という気づきを読者に促すようなアプローチを大切にしています。

「『yoi』の読者は新しい価値観を持ち、商品の背景にある理念やメッセージ、ブランドストーリーなどを大切している方が多い」と話す、編集長の高井さん。情報収集の際にもその視点が生かされています。

企業から送られてくるプレスリリースやメール、製品などは基本的にすべて確認するという高井さんですが、その中でも「肌に優しい」「環境に優しい」といったキーワードや開発秘話などのストーリーを重視。また、美容に関する商品については、効果が実感できることは大前提としつつ、「心の健康が肌をきれいにする」というメンタルヘルスの視点からも見ているそうです。

美容・コスメ広報担当者向けのユーザー会『yoi』編集長の高井佳子さん

メディアの企画から考える広報PRが注目すべきポイント

ここからは、各メディアで話題となった企画を振り返りながら、広報PRが情報発信をするうえで注目したいポイントを探っていきます。

「自分起点」で考えられる特集が好評の『MAQUIA』

「『美容』で『人生』は変えられる 明日の私をMAKEしよう」

創刊20周年を機に打ち出したタグラインに絡めた立体特集、「『美容』で『人生』は変えられる 明日の私をMAKEしよう」(2024年5月号)は、美容家の神崎恵さんのインタビューを取り入れた特集を構成。力強いメッセージとビジュアルで伝えた「美容で人生を切り開く」ヒントには、多くの読者からの感想が寄せられています。

(最近特に好評だったテーマ)

  • 自分にとって必要なメイクの取り入れ方
  • 自分のポテンシャルを表現できるメイク
  • 「今の自分の肌の状態」が日々わかるオリジナル肌診断テスト

大切にしたのはやはり「自分のための美容」という視点で、清田さんは「『自分を起点に考える』が今の美容のトレンドだ」とあらためて実感したそうです。

OVER40に向けた特集「MAQUIA Plus」

40代以上に特化した特集「MAQUIA Plus」は、読者アンケートの結果をもとに、スキンケア、メイク、美容ギア、美容医療など、時間とお金に少しゆとりができてポジティブな気持ちで美容に向き合う情報を発信。

中でも「大人の不調100問100答」の反響が大きく、40代以上を想定したマチュア世代はヘルスケアやインナーケアに向ける関心の高さも明らかになっています。

ベストコスメ」&「みんなのベスコス」

美容のプロがこれぞと認めたコスメに投票する「ベストコスメ」や、読者アンケートで決定する「みんなのベスコス」は、『MAQUIA』の中でも人気が高く美容業界の方々も注目する企画のひとつです。

広報PR担当者の方からよく問われる「どうしたら取り上げてもらえるのか」「どんな情報提供をしたらよいのか」といった質問に対し、清田さんは「アンケート結果に基づく企画のため、難しいところですが」と前提に置きつつ、「ベストコスメ」は美容のプロである美容賢者に情報が届いているかがひとつの大切なことだと教えてくれました。

また、「みんなのベスコス」はアンケートフォームにお悩み別の項目もあるので、それぞれのお悩みに対して良い実感、良い体験をしてもらうことがポイントです。読者に使ってもらえるようなサンプリングや付録などの打ち出し方も関係しているのかなと思います。

美容・コスメ広報担当者向けのユーザー会『MAQUIA』編集長の清田恵美子さん

「自分ごと化」しアクションにつなげる『MEN’S NON-NO WEB』

女性の定番アイテムを男性の「新しい武器」として紹介

女性にとってはおなじみのアイテムでもある、ルースパウダーやファンデーションや色つきリップ。これらを男性の「新しい武器」として紹介した『MEN’S NON-NO WEB』の記事は、いずれも予想を超える大きな反響を呼んでいます。「特定の人のための企画」にならないこと、「自分も使っていいんだ」と自分ごと化できることが大切だそうです。

また、自社商品の情報を発信する際、「詳しい使い方を添えてほしい」と言う丸山さん。アイテムによっては持ち方すらわからないこともあるらしく、この点を意識できていない場合はあらためて情報発信の際のポイントとして押さえておくとよいでしょう。

世界最大規模のメンズ向けベストコスメ特集「メンズノンノ美容大賞」

年1回行われるベストコスメ特集「メンズノンノ美容大賞」も、人気の高い企画のひとつで、既存品も含めたすべてのアイテムが対象とのこと。美容エディターやメンズノンノモデル、カメラマンやヘアメイクアップアーティスト、誌面で取り上げているサロンのスタッフ、一般の読者など幅広い選者が多様な視点で選んでいるため、新商品がないタイミングにもアプローチしやすいのではないでしょうか。

美容・コスメ広報担当者向けのユーザー会『MEN’S NON-NO WEB』編集長の丸山真人さん

自分軸を大切にした『yoi』の企画

複数の価値を好む読者に向けた「心でキャッチできる」企画を重視

『yoi』のコア読者である30代前後の女性たちはデジタルネイティブでSDGsに対する意識が高い。そのため、商品の情報だけでなく、創業の背景や理念、公式SNSアカウントの発信内容などを即時に調べて深掘りする傾向があると分析しているそうです。

効果実感はもちろん、「肌に優しい」「香りが良い」「パッケージがおしゃれ」「ブランドストーリーが共感できる」など好きな価値観が複数あることも特徴として挙げています。

フェムテック・フェムケアに関する情報も積極的に発信

『yoi』では今年3月8日の女性国際デーに合わせて、「第2回フェムテック&フェムケアアワード」特集を実施。25人の「フェムテック賢者」たちがおすすめのアイテムを選出しました。

日本のフェムケア市場は2025年までに2兆円規模になると言われていて、世界規模でも向こう10年で600億ドル規模の拡大が見込まれています。大手美容企業をはじめ、美容以外の大企業が新規参入するケースも増えているため、今後より注目度の増すキーワードのひとつだと言えるでしょう。

美容・コスメ広報担当者向けのユーザー会01

各メディア編集長へ広報PR担当者から質問

質疑応答の時間では、広報PR担当者が事前に記入していたいくつかの質問に対し、清田さん、丸山さん、高井さんが回答。ここではその一部をご紹介します。

──同じような製品やサービスがあった場合、選ぶ決め手となるポイントを知りたいです。特に、既存品を取り上げていただくコツなどはありますか。

清田さん/『MAQUIA』編集長(以下、敬称略):毎号さまざまな切り口で商品を紹介しているので、既存品だから不利だということはありません。知見や効果を裏付けるデータなどがあると、そこを踏まえたセレクトが可能です。特に、その商品が販売され続けている理由や、どれだけ売れているのかという情報など、企業側からの発信は参考にさせていただいています。また、実際に試して本当に良いと思えるものを誌面で紹介するので、早めに情報やテスターをいただけると嬉しいですね。

──どのような商品やプレスリリースに惹かれますか。

高井さん/『yoi』編集長(以下、敬称略):「人の気持ちを変えることができる製品」ですね。例えば、せっかくお天気が良い日でも「日焼けをしたくない」「シミができてしまう」と日差しが気になる方は多いと思いますが、「太陽の光を美容効果に導く」という商品が新発売されたときに、「なんて素晴らしいんだろう」と感動し、心から読者に使っていただきたいと思いました。

参考:太陽のもと、人も地球も輝き続ける世界へ 「アネッサ SUNステイナブルな世界」サイトコンテンツオープン ~「アネッサ デイセラム」サンプリングキャンペーンもスタート~

丸山さん/『MEN’S NON-NO WEB』編集長(以下、敬称略):イノベーションを感じる新商品にはついつい食いついてしまいますね。「夏場の使い心地がよくなるように冷感が少しアップしています」というように、ちょっとしたことでもいいんです。特にそれが数字で出ているプレスリリースは惹かれます。

清田/『MAQUIA』編集長:少し前に、開発ストーリーをマンガで紹介しているプレスリリースをいただいて、感動しながら読み込んだことがありました。マンガでないにしても、そういった開発エピソードがあると、「これだけ試行錯誤して完成した商品はきっと素晴らしいのだろうな」という気持ちになりますし、記事のネタ探しという視点でも興味がありますね。

──SDGsやESGに関する商品やブランドの取り組みなども増えています。こうした情報にも注目されていますか。

高井/『yoi』編集長:これからの時代は、会社としてこうした取り組みを伝えることも大切ではないでしょうか。例えば、「次世代へのスキンケア教育をしています」「売り上げの何%かを寄付しています」といった情報を発信することで、私たちがその会社をより好きになることもあると思います。

──編集部内の一般的なフローをお聞きしたいです。例えば、今秋発売の新商品があった場合、どのタイミングで発表会や情報提供をするのがよいでしょうか。

丸山/『MEN’S NON-NO WEB』編集長:本誌とWebとで進行は異なりますが、例えば新製品を9月9日発売の『MEN’S NON-NO』10月号で取り上げるとすると、企画会議はその3ヵ月前に行うため、その段階で発表会を行ったりプレスリリースなどで事前に情報をいただけたりすれば、企画会議に上げることができると思います。Webはもう少し短くて、9月の頭に記事を出す場合、7月中に情報があれば可能です。

清田/『MAQUIA』編集長:『MAQUIA』は、8月末発売の誌面の編集会議は5月なので、ゴールデンウィーク前には情報が必要です。一方、オンラインのほうは随時企画にしてアップできるため、ギリギリでも情報をいただけると助かります。

高井/『yoi』編集長:『yoi』は、しっかり作り込んだ記事に仕上げる場合には、公開月の2ヵ月前ぐらいまでに編集会議を行います。ただ、早く情報をいただけると複数の見せ方にすることを考えられるので、先に情報を出していただけると、きちんとムーブメントとしてお伝えすることができるかなと思います。

美容・コスメ広報担当者向けのユーザー会02

まとめ:メディアは読者がいかに「自分ごと化」してイメージできるか

清田さん、丸山さん、高井さん、3人の編集長が共通して大切にしていたのが読者の自分軸の視点でした。日々、新たな商品が生まれては世に出ていくからこそ、新商品・既存品にかかわらず、読者にとって「自分ごと化」できるかを大切に、一つひとつの商品を取り上げています。広報PRを行ううえでも、この観点が必要であることを再確認できたのではないでしょうか。

広報PRとして情報発信をする際には、以下のポイントも大切です。

  • そのメディアが注目するキーワードに合わせた情報の提供
  • メディアだけでなく、美容のプロにも情報が届くように
  • 読者が使っていることをイメージできるように、使い方を詳しく解説
  • 商品情報だけでなく、開発秘話やブランドストーリーも発信

上記の内容は、コスメ・美容業界だけに限らず、さまざまな業界の広報PR担当者に通ずることです。参考にしてみてください。

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