情報発信ツールとして注目されている「音声配信サービス」。SNS上でも、音声配信サービスを活用した投稿を見かけることが多くなりました。アメリカやヨーロッパ、中国などのアジア各国ではすでに数年前から音声業界が盛り上がっており、日本でも2019年から音声業界へ参入する企業・団体が増えてきています。
本記事では、「音声配信サービス」とは何か、そして、広報PRで活用する際のメリット3つと、具体的な活用方法をご紹介します。
そもそも、音声配信サービスとは?
音声配信サービスとは、その名の通り音声コンテンツを配信できるサービスです。最近は、X(旧Twitter)上でグループトークが行える「スペース機能」も拡充され、音声でのコミュニケーションが活発になってきています。音声配信サービスでは、ニュースやラジオ番組にも似たコンテンツ、英会話などの教養系コンテンツに加え、雑談など幅広いジャンルが展開されています。配信者は、芸能人や企業・団体、個人まであらゆる人が存在します。
放送局が主体となって発信されるラジオよりも、配信者がより視聴者にとって身近になったのが「音声配信サービス」です。例えば、以下のようなサービスがあります。それぞれのサービスの概要については、追って解説します。
- Voicy
- stand.fm
- Radiotalk
- Clubhouse
広報PRで音声配信サービスを活用する3つのメリット
広報PR担当者として音声配信サービスを活用することで得られるメリットを3つご紹介します。
メリット1.聞き手に人柄・親しみやすさを伝えられる
音声配信サービスは、文字通り「音声」でコンテンツを配信するサービスです。テキストだと伝えきれない温かみやリアルさを表現することができるので、配信者の人柄も一緒に伝えられます。音声によって届く情報量が増え、親しみを感じてもらいやすくなります。
メリット2.テキストや動画よりも手軽に始められる
音声配信では、音声の収録によってコンテンツを作ります。動画の場合、画面の被写体が映える動画になっているか、見飽きないカット構成になっているか、など音声以外にも多くの要素に気を配る必要があります。テキストの場合、パソコンなどの端末を使い、場合によっては画像を組み合わせつつ、構成を考えながら執筆する必要があります。
音声配信では、ナレーターと台本は必要ですが、スマホで手軽に録音できるため、動画・テキストよりも制作コストが低いことが多く、比較的容易に配信できるのが特徴です。
メリット3.内容をストレートに伝えやすい
音声配信はテキストだと伝えきれない温度感も声にのせられるため、文字にすると冷たい印象を持たれる可能性があるテーマでも、声色や話し方を工夫することで内容をストレートに伝えられます。
広報PRで音声配信サービスを活用する3つの方法
具体的に、音声配信サービスをどのように広報PR活動に取り入れていけばよいのでしょうか。ここでは3つの方法をご紹介します。
方法1.新たな情報発信ツールとして活用
音声配信では、上記の3つのメリットで挙げたように、動画・テキストとは性質の異なる情報発信ツールとして活用することができます。音声配信サービスを活用することにより、今までよりも幅広い人たちに向けて、自社について知ってもらう機会を創出しましょう。
株式会社Voicyは自社採用ページに「声の求人票」を掲載しており、現場の担当者が音声で働き方や求人に関する情報を発信しています。
方法2.コミュニケーションの場として活用
例えば、ラジオ番組のように視聴者からのお便りを募集するというようなコンテンツづくりも可能です。ときには、ユーザーに出演してもらうことも考えられます。
テキストコミュニケーションではできなかった、新しいコミュニケーションの場として活用してみてください。
方法3.インターナルコミュニケーションツールとして活用
先に挙げたように社外に向けた配信はもちろん、社内に向けたツールとして活用することもできます。実際に、「音声版社内報」として活用している企業・団体もあります。武蔵野大学アントレプレナーシップ学部では校内放送を開始しているほか、株式会社カインズや株式会社明光ネットワークジャパンでも導入されているとのこと。
住友ゴム工業株式会社は「社内ラジオ」を開設し、社員一人ひとりの人柄を本社・工場勤務の従業員に発信しています。
一般的な紙やWebの社内報とは違い、音声配信であれば、業務の最中でも「ながら聞き」をすることができます。また、配信者の人柄も伝わることで、自社への愛着も湧くでしょう。
音声配信をするときに必要なもの
基本的にはスマートフォンと台本があれば、すぐに音声配信を始めることができます。ASMRや音にこだわったコンテンツであれば特殊なマイクなどの機材が必要ですが、通常の配信であれば不要でしょう。スマホには配信するポッドキャストなどのアプリを入れるようにします。
リスナーとのコミュニケーションやアドリブを重視する場合は、ざっくりとした流れを書いた台本を、収録や対談などで事前に考えたトークをする場合は、セリフをしっかり書き込んだ台本を、といったように配信するコンテンツに合ったものを用意する必要があります。収録までに時間があれば、担当者間で何度か読み合わせをするのがベターです。
音声配信サービスを利用する流れ
音声配信サービスを活用するメリット、具体的な活用方法についてご紹介しました。では、実際に音声配信サービスを利用する流れはどうなっているのでしょうか。
【音声配信サービスを利用する流れ】
- 配信目的・聞いてほしいリスナーを決める
- 配信サービスを選定する
- 配信内容を決める
- 配信方法を決める(配信者を誰にするか、いつ配信するか、など)
- 収録・配信
まずは、音声配信サービスを活用する目的を定めます。配信先が社外か、社内かによって、聞いてほしいリスナーや配信内容が変わります。その後、どの音声配信サービスを利用するかを決めて、配信の準備に進みます。
音声配信サービスの中には、配信者になるために審査が必要なところもある一方で、誰でも番組を持ち、配信者になれるところもあります。特定の人だけに限定配信できるサービスもあるので、聞いてほしいリスナーを明確にイメージしてどのサービスを活用するか決めることが大事です。
人気の音声配信サービス6選
音声配信の方法は、大きく分けると「ポッドキャスト系」と「独立配信系」に分けられます。こちらでは、人気の音声サービスを6つ紹介します。
「ポッドキャスト系」は音声をアップすると、あらゆるポッドキャストアプリ(Apple PodcastやGoogle Podcasts、Spotifyなど)に配信されるため、リスナー側で視聴環境の幅が広がるのが特徴です。「独立配信系」はスマホで収録でき、そのまま配信・視聴ができるアプリのことです。「ポッドキャスト系」とは異なり、該当のアプリユーザーだけに配信されます。
1.Apple Podcast【ポッドキャスト系】
Appleによるインターネットラジオ・インターネットテレビサービス。ポッドキャストを配信するためには、音声ファイルをアップロードする必要があります。RSSフィードを生成し、登録することで配信することが可能です。機器がなくてもスマホひとつで音声収録から編集まで行える「Anchor」アプリを活用して、手軽に始められます。
2.Voicy【独立配信系】
「声と個性を楽しむこれからの放送局」として2016年に始まった日本発の新しい音声メディア。パーソナリティは審査制です。配信者は審査を通過したユーザーに限定することで、質の高いコンテンツを提供しているため、信頼度の高いプラットフォームのひとつです。
3.stand.fm【独立配信系】
スタイリッシュでおしゃれなデザインが魅力的で、ユーザー数を増加させている急成長中のサービスです。質問箱のような機能があり、リスナーとのコミュニケーションが取りやすい設計となっていることも特徴のひとつです。
4.Radiotalk【独立配信系】
スマホ1台で収録から配信まで可能で、ポッドキャスト配信もOK。編集なしの一発収録のみで、最長12分までという制限がありますが、この制限によって、集中しつつ作り込みすぎない、リアルなコンテンツづくりができます。5人までコラボ収録することができるため、遠隔にいる人たちとコンテンツを一緒に配信することも可能です。
5.Clubhouse【独立配信系】
すでに利用している知り合いからの「招待制」で利用できるのが特徴のアプリがClubhouseです。ユーザーは「ルーム」に入り、知らない人との会話や、著名人同士のトークの様子を楽しめます。業界の関係者が仕事の話をしたり、つながりを作ったりとルームごとに多様なテーマが存在するコミュニケーションアプリです。
【番外編】X(旧Twitter)のSpaces(スペース)機能
音声配信専用のサービスではありませんが、X(旧Twitter)のスペース機能を使えば、音声配信を手軽に行うことができます。ツイートや投票機能と連携してテーマへの関心を高めたうえでスペースを開催することもできるため、リアルタイムでさまざまな発信を行うことができます。
音声配信サービスを広報PRで活用するときの3つのポイント
配信目的・聞いてほしいリスナーを決めて準備ができたら、実際に配信を行います。ここからは、広報PR担当者が音声配信サービスを活用するときの3つのポイントを解説します。
ポイント1.リスナーが興味のある配信内容を検討する
採用広報、リスナーとのコミュニケーション、ブランディング──。音声配信に取り組む目的によって、ターゲットは異なります。ターゲットが興味を持ちそうな配信内容を検討しましょう。
例えば新卒向けの採用広報が目的であれば、就職活動するときに役立つ情報もちりばめつつ、「ながら再生」「倍速視聴」などの視聴スタイルに対応できるコンテンツとするなどの工夫も大切です。
ターゲットを細分化したい場合は、ペルソナを設定してみるのも効果的です。
ポイント2.リスナーへのリアクション・反応を行う
リアルタイム配信のコンテンツであれば、リスナーへのアクション・反応は欠かせません。はじめに「しっかりと聞こえていますか」「いかがでしょうか」などの呼びかけから始め、質問のやり取りをする場合はゆっくりと発話しながらタイミングを探り、相手が話すのをさえぎらないようにしましょう。
コメントにもリアクションすることで、双方向のコミュニケーションが可能です。
映像とは異なり、リスナーはこちらの表情が見えていないため、声のリズムと抑揚もつけて退屈させない配信を目指せるとよいですね。
ポイント3.あらかじめ配信時間を告知する
多くのリスナーと接点を持つため、あらかじめ配信時間をSNSやプレスリリースなどで告知しておきましょう。リアルタイム配信であれば聞き手が多いほうが盛り上がりますし、後日聞けるよう配信データを残す場合にも、その旨を知らせることができます。社内配信の場合は社内報、社内サイトなどで告知するのがベターです。
目的に沿うように、音声配信サービスを上手に活用しよう
新たな情報発信ツールとして注目されている「音声配信サービス」。
本記事では、音声配信サービスの概要をはじめ、広報PR担当者が音声配信サービスを活用するメリットや具体的な活用方法、人気の音声配信サービスを紹介しました。
【広報PR担当者が音声配信サービスを活用する3つのメリット】
- 聞き手に人柄・親しみやすさを伝えられる
- テキストや動画よりも手軽に始められる
- 内容をストレートに伝えやすい
【広報PR担当者として音声配信サービスを活用する3つの方法】
- 新たな情報発信ツールとして活用
- コミュニケーションの場として活用
- インターナルコミュニケーションツールとして活用
音声配信サービスを活用して何をしたいのか、まずは目的を設定してみましょう。広報PR担当者として活用するにあたってのメリットや活用方法を認識して、上手に音声配信サービスを活用してみてください。
<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>
「音声配信サービス」を広報で活用するメリットと活用方法に関するQ&A
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