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広報の目標「OKR」はどう作る?設定する内容の例・流れ・運用の注意点を紹介

適切な設計や評価が難しいとされることの多い、広報の目標管理。その課題解決として注目したいのが、目標管理法のひとつ「OKR」です。OKRは、組織の目標と個人の目標を関連付け、定量だけでなく定性目標も含んで設定し、より高い目標達成を助けてくれるフレームワーク。本記事では、そんなOKRの骨格と設計方法を解説します。

そもそも、OKRとは?

様々な企業が取り入れているOKRですが、その本質は一体どんなものなのでしょうか。OKRという言葉の意味に加えてKGI・KPIとの違いも確認し、OKRへの理解を深めましょう。

OKRの意味

OKRとは、「Objectives and Key Results(目標と主な結果)」のこと。アメリカのインテルで生まれ、GoogleやFacebookといった企業が取り入れています。そんなOKRの最大の特徴は、組織(会社)の目標と個人の目標がリンクすること

会社の目標(Objectives)に対して3〜4つの結果指標(Key Results)が紐付き、そのKRの下にチームのOKR、さらにその下に個人のOKRが紐付く……という階層構造になります。OKRは、個人が成果を出すことよりも、組織が一丸となって成果を出すことに重きをおいたフレームワークなのです。そのため、原則的に会社やチームだけでなく個人のOKRも全社に公開されます。

会社の目標と指標

また、OKRはその進捗確認のサイクルが短期的であることも特徴。毎月、あるいは3ヶ月ごとに確認と更新を実施するため、次のようなメリットがあります。

  • 変化の速い市場に適応しやすい
  • 達成できない目標に固執しなくて良い
  • 日々の業務や打ち手の固定化やマンネリ化を防げる

では、互いに深く関わりを持つObjectivesとKey Resultsの詳細も確認してみましょう。

ObjectivesとKey Resultsを確認する

O:Objectives(目標)

目標を意味するObjectivesのポイントは次の5つ。

【Objectivesのポイント】

  1. 定性的な目標であること(数字等の定量的な指標を入れない)
  2. ワクワクするようなチャレンジングな目標であること
  3. 達成率が60〜70%になる目標であること
  4. 1ヶ月〜3ヶ月ごとに更新する短期的な目標であること
  5. シンプルで覚えやすい目標であること

Objectivesの目的は、ワクワクしたりモチベーションを高めたりすることです。そのため、多少ストレッチして、達成可能性はあるが達成率は60〜70%ほどに落ち着く定性的な目標をセットすることになります。

KR:Key Results(主な結果)

Key Resultsは、Objectivesがどの程度達成されているかを測るための指標のこと。Objectivesとは反対に、定量的であることが何より重要です。Objectivesは定性的であるがゆえに達成率が測りにくく、その達成率を具体化するためにKey Resultsが必要になります。どんな数字を達成すれば、Objectivesを達成したと判断できるのかそのことを意識しながらKey Resultsを設定しましょう

【Key Resultsのポイント】

  1. 数値で測れる定量的な目標であること
  2. Objectivesに対して3〜4つ設定すること
  3. 達成率が70%以上になる目標であること(70%で達成とみなす)

KPIとの違い

目標管理法の中でも特に導入企業が多い、KPI(Key Performance Indicator)。一見すると同じ目標管理方法ですが、OKRは「導入目的」「目標の共有範囲」「進捗確認や評価の頻度」「求められる達成率」において、KPI・KGIとは大きく異なる性質を持っています


OKRKPI
導入目的会社と個人の目標の関連付けによる、目標達成に向けたコミュニケーションや生産性の向上
プロジェクト単位の目標の達成度チェック
目標の共有範囲全社
プロジェクト内
進捗確認や評価の頻度1〜3ヶ月に一度
プロジェクトにより異なる
求められる達成率60〜70%
100%

目標設定しにくい広報だからこそ、OKRを設定するメリット

コーポレート広報やサービス広報、採用広報など幅広い領域をカバーしているにもかかわらず、目標設定や評価に一定の難易度がある広報の仕事。何に向かって日々の業務を遂行すれば良いのか、あるいは成果に対する評価が適切なのかどうか、迷ったり悩んだりする広報担当者は少なくありません。しかし、そんな広報だからこそOKRを設定するメリットがあります。詳細を確認してみましょう。

メリット1.定性・定量の両方を適切に評価してもらえる

1つ目のメリットは、OKRが定性・定量の両方を含むフレームワークであること。広報の仕事においては、メディアへの露出などは定量的に測れるものの、「その露出を通してどんな企業イメージを醸成できたのか」といった定性的な評価が必要になることも多いでしょう。

OKRはObjectivesが定性目標、Key Resultsが定量目標という構造なので、「●●業界においてXXという企業イメージを確固たるものにする」といった定性的な目標を設定したとしても、配下にある定量目標のKey Resultsによってその達成度を測ることが出来るのです。

このことが、定性・定量の両方の適切な評価に繋がります。

メリット2.組織の目標と個人の目標が一致する

2つ目のメリットは、会社の目標と個人の目標が紐付いていること。多くの場合、広報の仕事の大義は企業課題の解決にあります。そのため、企業がどんな目標を目指していて、その達成のためにどんな広報活動をすべきかを設計することは、広報にとって必要不可欠。

しかし、会社の目標と広報の目標が分断されていたり独立していたりする場合、一体何のために広報活動をしているのか、本当に企業課題の解決に繋がっているのかが不透明になってしまうことも少なくありません。特に、いわゆる「ひとり広報」の場合、そんな迷いが強いかもしれません。

その点、OKRは必ず会社と個人の目標が紐付いているため、目標やその達成のために必要な行動を見失いにくいメリットがあります

メリット3.PDCAをまわし調整できる

3つ目のメリットは、PDCAをまわしやすく、目標の調整もしやすいこと。「決めっぱなし」の目標の場合、進捗確認や振り返りまでの期間が長いほど、業務が漫然化したり停滞したりしやくすなります。

しかし、OKRは1〜3ヶ月の単位で進捗確認と目標の見直しを実施するフレームワークです。この速いサイクルによって、市場の変化に適応しやすくなったり、達成率が芳しくない場合に目標を適切に調整し直せるメリットがあります

メリット4.ストレッチ目標で伸びしろを作れる

4つ目のメリットは、目標達成に向けて伸びしろを作れること。目標管理において、「確実に達成できる低すぎる目標」や「絶対に達成できない高すぎる目標」は、会社や個人の成長に資するものではありません。「頑張れば達成できそう」という絶妙なレベルの目標を設定することが大切なのです。

OKRでは、60〜70%程度の達成率を目指して、「ストレッチ目標(頑張れば達成できる可能性がある少し高めの目標)」を設定します。これが、より高みを目指す習慣に繋がります

メリット5.広報の仕事を理解してもらえる

5つ目のメリットは、全社に向けて広報の仕事を理解してもらうチャンスになること。水面下での仕込みの仕事も多く、 ともすれば「何をやっているか分からない」と言われることも少なくない広報の仕事。

そこで活用したいのが、「個人のOKRは全社に公開される」というルール。目標が公開されているだけでも、周囲からの理解は格段に得やすくなります。また、他の事業部やメンバーのOKRを把握できるので、互いのOKRの達成に向かって協働する場面も生まれるかもしれません。

広報の仕事を理解してもらう

広報がOKRを設定する流れ

ここまでOKRの基本やメリットを確認してきました。では、実際に広報がOKRを設定する際には、どんな手順を踏めば良いのでしょうか。広報のOKR設定における基本の流れをご紹介します。

STEP1.会社>部門/チームのOKRを確認する

繰り返しご紹介しているとおり、OKRは必ず組織と個人とで紐付いています。そのため、最初に広報担当者の上層にあたる「会社」「部門/チーム」のOKRを確認しましょう

STEP2.Objectivesを設定する

続いて、Objectivesを設定します。Objectivesは「定性的かつワクワクするようなチャレンジングな目標」である必要があるので、「少し高め」を意識しましょう。ひとり広報の場合でもチーム広報の場合でも、「メンバー全員のモチベーションが上がる目標」と考えてください。

STEP3.Key Resultsを設定する

最後に設定するのがKey Results。Key Resultsは、定性的なObjectivesに対して、定量的である必要があります。また、1つだけでは達成度を適切に測れない可能性があるので、ひとつのObjectivesに対して3〜4つほどKey Resultsを紐付けるのも重要なポイントです。逆に、Key Resultsの数が多すぎると論点が増えてしまい、チームのコミュニケーションを阻害する可能性があるので注意してください。

広報のOKRを設定するときには「SMART」が重要

高すぎる目標も低すぎる目標も設定するべきではないというOKR。「頑張れば達成できる可能性がある」という絶妙で適切な目標を設定するために取り入れたいのが、「SMART」です。

何を、いつまでに、どうすれば、目標達成できるのかを明らかにするフレームワークである「SMART」。これを使うと、達成に向けて主体的に取り組みやすくなるだけでなく、客観的に評価しやすい目標を立てられるでしょう。

【SMART】

  • 具体的である(Specific)
  • 測定可能である(Measurable)
  • 達成可能である(Attainable)
  • 関連性がある(Relevant)
  • 期限が明確である(Time-bound)

広報のOKRの内容

初めてOKRを取り入れる場合、その内容を的確に設計するのは難しいものです。そこで、広報のOKRの内容の例をご紹介します。自分にはどんなOKRが最適なのか想像しながら、ぜひ参考にしてみてください。

【例1】
O:「●●業界といえばXX株式会社」の認知を獲得する
KR1:テレビ露出数▲▲回
KR2:メディアへのアプローチ数▲▲回
KR3:業界カンファレンスへの集客数▲▲名

【例2】
O:すべてのステークホルダーから愛される会社になる
KR1:社内懇親会の満足度▲▲%
KR2:ユーザーアンケートの満足度▲▲%
KR3:クライアントからの評価▲▲点

広報のOKR

広報がOKRを運用するときの注意点

OKRを設計する際のルールやOKRの例をご紹介してきましたが、あらためて注意すべき点に目を向けてみましょう。注意点をしっかり押さえて、より意味のあるOKRを設計できると良いですね。

注意点1.達成率100%になる目標を設定しない

OKRは、あくまで「頑張れば達成の可能性がある目標」のフレームワークです。そのため、達成率は100%である必要はなく、Objectivesに関しては達成率が60〜70%ほどになれば「適切なストレッチ目標だった」と評価されます。広報のOKRにおいても、100%の達成率になる目標は設定せず、少し高めの「ストレッチ目標」を設定してください

注意点2.現状維持に甘んじない

OKRにおいて、「現状維持」は低すぎる目標です。低すぎる目標では、会社や個人の成長・コミュニケーション・生産性の向上に貢献できません。ワクワクするような少し高めの目標によって、チームのコミュニケーションを促進したり、日々の打ち手をブラッシュアップすることこそが、OKRの目的。現状維持に甘んじず、ストレッチした目標を設定しましょう。

注意点3.目標の価値を低くしない

OKRで目指す目標に対して、それらがビジネスの成長のために必要である、つまり価値のあるものだと示す必要があります。そうでなければ、必要なリソースを配分してもらえない可能性があるからです。そのため、上層にある会社やチームのOKRとの繋がりを意識しながら、価値のある目標を設定することが大切です。

注意点4.目標に対して十分な成果指標を設定する

Key Resultsを決める際は、Objectivesの達成のために必要なことが全て盛り込まれていることが大切です。内容に漏れがある場合、Key Resultsは達成されているのにObjectivesが達成されていない、あるいは達成されているか判断できないといったトラブルが発生する可能性があります。また、Key Resultsに漏れがある場合、OKRの達成に向けたスケジュールに遅れが生じても気付けない場合があるので注意しましょう。

目標が曖昧になりやすい広報に最適なOKRで、さらなる成果をあげよう

リリースまでの仕込みが周囲に見えにくかったり、あるいはその業務領域が幅広かったりといった理由から、目標や成果が曖昧になりがちな広報。本記事では、そんな広報がぜひ取り入れたい目標管理法「OKR」について解説してきました。

より高い成果を出すためには、適切な目標設計と管理が欠かせません。また、コーポレート広報からサービス広報、採用広報など、企業活動の根幹を支えるためには、組織の目標と寄り添った広報目標が必要です。それらをカバーしてくれるフレームワークであるOKRは、まさに広報にぴったりと言えるのではないでしょうか

本記事を参考に、各組織やチームに最適な目標設計に取り組んでみてくださいね。

参考:Google re:Work – ガイド: OKRを設定する

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この記事のライター

三寳 里菜

ライター・編集者。2013年、大学在学中に旅行系ITベンチャーに入社し、現在まで約6年にわたりコンテンツ責任者・広報・PR・組織開発を担当。それぞれのフィールドでの経験を活かして、「読みやすく、分かりやすく、伝わりやすいコンテンツ」づくりに取り組んでいます。ハウツーからイベントレポート・インタビューまで、様々なコンテンツ制作が得意です。

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