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マーケティング×広報で神戸から全国へ。バリューを意識したケンミン食品の戦略広報

2023年12月に開催されたマーケティングイベント「宣伝会議リージョナルサミット2023」。大阪会場では、「地域から全国への広報術(企業・メディア両者の視点)」をテーマに講演が行われました。

本記事では、第一部、神戸市に本社を置くケンミン食品株式会社でマーケティングと広報PRを兼務する田中国男さんによる「マーケティングと広報の組み合わせが事業成長への鍵。事業担当者があえて両輪を担う効果とポイント」をレポートします。

ケンミン食品株式会社の最新のプレスリリースはこちら:ケンミン食品株式会社のプレスリリース

ケンミン食品株式会社 マーケティング部部長兼広報室長

田中国男(Tanaka Kunio)

1992年江崎グリコ株式会社に入社。営業、商品企画、マーケティング業務に従事し、アイスクリーム、ポッキーのブランドマネージャーを経験。2019年ケンミン食品株式会社に入社後、マーケティング部長兼広報室長として主力ブランド「ケンミン焼ビーフン」など事業に関わるマーケティング戦略の立案・実行に従事。合わせて立ち上げ間もなかった広報業務を推進している。

社長主導でスタートした「戦略広報」

1950年の創業以来、国内ビーフン市場でトップシェアを誇るケンミン食品株式会社。1960年に発売された世界初の味付きビーフン「ケンミン」は、同社を代表するヒット商品で、2020年には「世界でもっとも長く販売されている味付けビーフン」としてギネス世界記録にも登録されています。

ケンミン食品が広報PRの重要性に気づくきっかけは、2017年に日本テレビ系の人気番組『秘密のケンミンSHOW』で取り上げられたことでした。放送翌日の売り上げは10倍、メディアの力をあらためて実感したそうです。

その後、社長の高村祐輝氏が先頭に立ち、専門家を招いたセミナーや勉強会を実施。2019年には、広報PR活動を経営の中心に据えることで「企業認知の向上」「継続的な利益確保」「企業の社会的価値の向上」を目指すケンミン食品の『戦略広報』がスタートしています。

広報PR活動の4つの特徴

目まぐるしく変化する時流や世間の環境に適応するケンミン食品の「戦略広報」には、4つ特徴が挙げられます。

1.マーケティングと広報の連携

マーケティング部と広報室が同じフロア内で連携して広報PR活動に取り組んだ結果、情報共有のスピードが上がり、発信する情報の量も増加。事業の中核として商品を生み出すマーケティング部が広報に携わることで、より効率的な認知拡大とブランディングにつながっています。

2.メンバー全員がマーケター&広報担当

担当や役割で区別することなく、メンバー全員が「当事者」意識を持ち、それぞれがメディア対応を行うことで、何かあれば「ケンミン食品に聞こう」という関係性を築いています。

3.社会のニーズに寄り添うオンリーワン戦略

「オンリーワン商品」であることを大切にしているケンミン食品。「ケンミン」だけでなく、小麦アレルギーのある人でも食べられるライスペーパーやライスパスタ、グルテンフリーラーメンなど、困っている人の役に立つ社会性を意識した商品開発で、メディアからの注目を集めています。

4.トップの理解と距離の近さ

前述通り、社長自らが広報PR活動の大切さを認識しており、広報PRの取り組みをバックアップし、気軽に相談できる距離感。フィードバックや決定が早いのも特徴です。

ニュースバリューを意識したケンミン食品の広報PR事例

メディア露出につながるニュースバリューの設定、プレスリリースや記者発表での訴求を商品企画の段階から意識することで、メディアの関心を高めています。

事例1.地域性を活かしたマーケティングとの連携企画「宮崎ケンミン焼きビーフン」

創業70周年となる2020年に立ち上げた、各都道府県の特産品を使ったビーフンを作るプロジェクト「都道府“ケンミン”焼ビーフンプロジェクト」は、マーケティング部と広報室がワンチームとなって、商品開発から携わった企画。

2021年には第2弾として、宮崎県の地鶏である「みやざき地頭鶏(じとっこ)」の炭火焼と宮崎のピーマン、柚子胡椒を入れた「宮崎ケンミン」を、2月10日の「みやざき地頭鶏の日」に合わせて発売。地元テレビをはじめ、新聞、Webニュースにも数多く掲載され、数量限定12,000食が4日で完売となるほどの大きな反響がありました。

宮崎の特産品を使った商品であることを行政(県庁)や生産者(JA)、流通(コープみやざき)、お客様(宮崎県民)に向けて発信した結果、地方局や地方新聞を中心に露出が増加。このコラボレーションがきっかけとなり、現在も宮崎県との良好な関係が構築され、さまざまな企画が生まれています。マーケティングと広報が連携して広報PR活動に取り組むことの成果を実感した事例でした。

ケンミン食品株式会社プレスリリース
創業70周年記念事業「47都道府ケンミン焼ビーフン」の第2弾

参考:創業70周年記念事業「47都道府ケンミン焼ビーフン」の第2弾!宮崎県の依頼を受け『宮崎ケンミン焼ビーフン』を開発2/10『みやざき地頭鶏(じとっこ)の日』に発売!

事例2.Webへの露出に狙いを定めた「健民ダイニング ピリ辛汁ビーフン」

2022年3月に発売した「健民ダイニング ピリ辛汁ビーフン」は、Webメディアの露出を獲得するため、ニュースバリューを徹底的に意識。『Yahoo!ニュース』に転載されやすそうなメディアに絞ってアプローチした結果、約40件のメディア掲載を獲得しました。

ケンミン食品株式会社プレスリリース
「健民ダイニングピリ辛汁ビーフン」

参考:「神戸でしか食べられない有名店の味」が全国のご家庭で手軽に!連日行列ができる有名店こだわりの人気メニューが楽しめる袋めんが誕生「健民ダイニングピリ辛汁ビーフン」3月1日全国発売

事例3.「いい肉の日」に合わせて発売日をも変更「のっけビーフン、チャプチェ」

2023年11月に発売した、肉がたっぷりのった豪華な焼きビーフン「のっけビーフン、チャプチェ」は、ケンミン食品のオンラインショップで発売された通販限定商品。当初は12月1日の発売予定でしたが、「いい肉の日」に合わせて11月29日発売に変更したことが功を奏し、多くのメディア掲載を獲得しました。

ケンミン食品株式会社プレスリリース
「チャーシューのっけ焼ビーフン」「味付け牛肉のっけチャプチェ」

参考:【いい肉の日】どーんとお肉を“のっけ” た 「チャーシューのっけ焼ビーフン」「味付け牛肉のっけチャプチェ」11/29からオンラインショップ限定販売開始

事例4.地域性×社会性「黒枝豆のビーフン ペペロンチーノ風」

「黒枝豆のビーフン ペペロンチーノ風」は、冷凍の「丹波黒枝豆(地域性)」を製造する際、選別や計量の工程で発生する割れや形状不良によって商品化できない規格外品を使った商品。

商品開発時から「フードロス削減(社会性)」をニュースバリューとして意識した企画です。規格外品が発生する工程をプレスリリースに掲載できるよう準備。社会課題を意識した企画は、地方紙を中心に多くのメディア掲載につながりました。

ケンミン食品株式会社プレスリリース
「丹波黒枝豆」を使った「黒枝豆のビーフン ペペロンチーノ風」(冷凍)

参考:【数量限定】規格外品の兵庫県・丹波篠山産「丹波黒枝豆」を使った「黒枝豆のビーフン ペペロンチーノ風」(冷凍)を11/6に販売開始

継続的なプレスリリース配信で情報を蓄積

記者クラブなどに向けた従来の紙のプレスリリース配信に加え、オウンドメディアやSNS、PR TIMESなどを活用したWebでの情報発信に注力しているケンミン食品。一度送ると終わってしまう紙のプレスリリースとは異なり、Webでのプレスリリース配信はリリースが残るのが大きなメリットです。

例えば、ケンミン食品では「冷凍ビーフン自動販売機」に関するプレスリリースを定期的に配信してきました。メディア掲載につながらないものもありますが、継続的に配信することで情報が蓄積され、ある時にまとめてメディアに取り上げてもらえたそうです。

配信ごとの成果で判断するのではなく、こまめな情報発信によって情報を蓄積していくことも大切な取り組みといえるでしょう。

ケンミン食品株式会社プレスリリース一覧

マーケティングと広報の組み合わせで認知拡大へ

一人ひとりが当事者意識を持ちながら商品開発や企画段階から携わり、メディア露出につながるように、ニュースバリューの設定やプレスリリース配信などの広報PRに取り組む。数々の話題の企画を生み出してきたケンミン食品は、マーケティングと広報の組み合わせで商品の魅力を最大限に引き立てる最適な広報PR活動を実現しています。

  • ニュースバリューを意識した広報PR活動
  • 社会ニーズに寄り添ったオンリーワン商品の開発
  • 紙のプレスリリースに加えWebでの情報発信に注力
  • 情報を蓄積し、後のメディア露出につなげる

上記のポイントは、飲食・食品業界だけでなく、さまざまな業界の広報PR活動をするうえでも参考になるポイントではないでしょうか。

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