プレスリリースの可能性拡大に貢献した企業と担当者を讃える「プレスリリースアワード」。5回目となった2025年は、過去最多となる4573件の応募がありました。各審査員による一次審査を経てノミネートされた101件が「Best101」として最終審査へと進み、11件の受賞プレスリリースが決定。数あるプレスリリースの中で審査員の心に響いたプレスリリースには、どのような共通点があったのでしょうか。
本記事では、2023年より3年連続で「プレスリリースアワード」の審査員を務める、テレビ東京 報道局『テレ東BIZ』編集長の小林史憲さんにインタビュー。前編では、「プレスリリースアワード2025」の振り返りと惜しくも受賞を逃したものの、「Best101」に選ばれたプレスリリースへのフィードバックをまとめています。実際に「Best101」に選ばれたプレスリリースを4件取り上げて改善案も伺っています。

テレビ東京 報道局「テレ東BIZ」編集長
立教大学法学部卒業。1998年テレビ東京入社。「ガイアの夜明け」「カンブリア宮殿」のディレクター、プロデューサー、北京支局特派員などを歴任。2024年4月からテレ東の経済メディア「テレ東BIZ」編集長。学生時代はバックパッカーで世界を放浪。趣味はキャンプ。BBQインストラクター中級。ほめる達人検定2級。著書に「テレビに映る中国の97%は嘘である」(講談社+α新書)、「騒乱、混乱、波乱!ありえない中国」(集英社新書)
「プレスリリースアワード2025」審査の舞台裏
──小林さんには2023年から3年連続でプレスリリースアワードの審査員を務めていただいていますが、今年の審査を通して感じたことを教えていただけますか。
年々、応募総数が増えて全体のレベルも上がっています。エントリーされた膨大な数のプレスリリースに目を通し、しっかり吟味する必要があるため、審査はより過酷になっていますね。大変な作業であることは間違いないのですが、同時にやりがいも感じています。また、今年も授賞式の会場で実際に広報PR担当の方々とお会いしましたが、その熱量の高さを感じました。そうした場に関われるからこそ、やりがいを感じているのだと思います。
一方、審査をしていると、1社から似たような内容のプレスリリースが複数エントリーされているケースもありました。さまざまな切り口で挑戦したいという思いは理解できますが、やはり「このテーマで、この一本」という軸を持ってエントリーされたプレスリリースや、会社として「渾身の一本」が伝わってくるものに、より魅力を感じます。
受賞を逃した実例に学ぶ。さらに輝くポイントと改善点
ここからは、一次審査を経てノミネートされた「Best101」の中から4件を取り上げ、プレスリリースがさらに輝くための改善点やポイントを解説いただいた内容を紹介していきます。
事例1.株式会社お亀堂『ぴよりんあん巻き』

参考:老舗和菓子店「お亀堂」と「ぴよりん」が地元豊橋うずら卵の危機を救うべくコラボした『ぴよりんあん巻き』をネットショップで販売開始
読み手の前提情報に左右されない構成を組む
──最初に解説いただきたいのは、お亀堂さんのプレスリリースです。2つの企業が協力し、地元の生産者の危機を支えるというストーリー性が審査員からも好評でした。小林さんはどのような点に魅力を感じましたか。また、メディア視点でより良くするためのポイントがあれば教えてください。
このプレスリリースは、私もとても気に入ったひとつです。単なる新商品発売のプレスリリースで終わらせず、県内の2つの企業のコラボレーションという背景や、ピンチに陥った地元企業を「助ける」というストーリーがすごくいいなと思いました。
一方で、タイトルに関しては少し「もったいないな」と感じましたね。伝えたい要素が詰め込まれているものの、読み手にとっては要点がつかみにくくなっています。特に「ぴよりん」は、地元の方にはよく知られた存在かもしれませんが、全国的には必ずしも前提知識があるとは限りません。その地域の方に向けた発信であれば十分ですが、全国向けに発信するのであれば、お菓子なのか、キャラクターなのか、補足する枕詞があると親切です。
また、冒頭にもってくるキーワードも大切です。例えば、社会性のあるテーマを先に提示することで、「日本一のうずら卵の産地がどこなのか」「なぜ危機に直面しているのか」と、続きを読みたくなる導線をつくり、より多くの方の関心を集めることもできるでしょう。
【小林さんが提案する改善案】
(配信タイトル)
老舗和菓子店「お亀堂」と「ぴよりん」が地元豊橋うずら卵の危機を救うべくコラボした『ぴよりんあん巻き』をネットショップで販売開始
(改善タイトル)
日本一のうずら卵産地の危機を救う!老舗和菓子店『お亀堂』と名古屋の人気スイーツ『ぴよりん』がコラボ
本文についても情報量は十分にある一方で、読み進めるうちに少しもどかしさを感じました。「ぴよりん」について明確に説明されておらず、「人気和菓子店」と紹介されているお亀堂と並列で語られることで、関係性がわかりづらくなっている思います。お亀堂がぴよりんを製造しているのか、それとも別の企業の商品なのか、そもそもお亀堂はどのような和菓子を得意としているのかといった基本的な情報が整理されないまま話が進むため、興味は惹かれるものの理解が追いつかない。ストーリーやテーマがとても魅力的な一方で、読み手の前提知識に左右されやすい構成になっている点がもったいないと感じました。
数字や詳細説明を加え取材イメージを描かせる
──「地域の危機を救う」という社会性があるリリースだと思いますが、ニュース番組や経済メディアの視点で、さらにどのような情報があると魅力的でしょうか。
まず、豊橋が日本一のうずら卵の生産地であることを裏付ける具体的なデータがあるといいですね。年間の生産量や、2位・3位との比較などが示されることで、私たち自身も「そんなにすごい場所だったのか」という驚きを持てますし、ニュースとしての説得力も高まると思います。
需要が落ち込んだ背景についても、もう少し丁寧な説明があるとよかったです。どのような事故が起き、どの程度需要が減少したのか。その結果、うずら生産者がどのような苦境に立たされ、生産量や経営、気持ちの面でどんな影響があったのか。さらに、それが地元経済全体にどのような影響を及ぼしているのかまで描けると、状況の深刻さがより具体的に伝わります。そこをきちんと伝えたうえで、「だからこそ今回、2つの企業が地元を救うために手を組んだ」というストーリーが立ち上がってくると、より強い文脈になるのではないでしょうか。
また、「4ヵ月で40,000個を購入」という数字も、それがどれほどの規模感なのかがわかる補足があると親切だと思います。ささやかながらの支援なのか、それとも生産者にとって一定のインパクトがある取り組みなのかで、受け取り方は大きく変わるからです。
そして、現地の方や生産者の声が入っていると、メディア側としては取材のイメージが一気に広がります。どんな現場で、どんな画が撮れそうなのか、どんな言葉が拾えそうなのかが想像できると、伝わり方もより立体的になるのではないでしょうか。
事例2.カゴノオト『田んぼの中のシュトーレン』

参考:クリスマス半年前に予約200本突破!田んぼの中のシュトーレン専門店が1年分の果物で作る1本1万円のシュトーレンが選ばれる理由とは?1年の時を刻む贅沢スイーツで新たなクリスマスの楽しみ方を提案
盛り込む情報の取捨選択を行い整理する
──次に、カゴノオトさんのプレスリリースについて伺います。審査の際に小林さんは、タイトルの秀逸さを特に高く評価されていましたが、どのような点が目をひいたのでしょうか。
エントリーされたプレスリリースの中でも特に「強い」タイトルだったと思います。冒頭に「クリスマス半年前に予約200本突破」と書かれていて、何が200本突破なのかはわからないものの勢いがあって興味を惹かれました。プレスリリースに限らず書籍や雑誌などでもそうですが、タイトルに数字が入っているものは目に留まりやすいと思います。
また、「田んぼの中のシュトーレン専門店」「1年分の果物でつくる1本1万円」とインパクトのあるワードが続きます。気になる情報が次から次へと書かれていて、素晴らしいタイトルだなというのが第一印象でした。強いて言うなら、最後の一文「1年の時を刻む贅沢スイーツで新たなクリスマスの楽しみ方を提案」は不要だったかもしれません。読者はその前のワードで十分興味を持っていて、早く本文に入りたいと思っているので、タイトルには情報過多な印象も受けました。
具体を伝え、象徴的なキーワードの補強をする
──ほかの審査員の方からは、「共感性と納得性を生む構成」や「プレスリリースでありながらLPとして活用している」点など、本文も好評でした。メディア視点でより良くするためのポイントがあれば教えてください。
そうですね。本文全体を通して温かみを感じ、お店の思いが伝わってくる構成になっていました。写真もバランスよく配置されていましたし、必要な情報が網羅されて文章量も適切。小見出しを【隅付き括弧】で表記し、ポイントとなる部分を太字にするなど視認性の面でもよく整理され、「思いを伝える」という点では非常に完成度の高いプレスリリースだったと思います。
そのうえでメディア視点で見ると、以下のような情報を整理するだけでさらに伝わりやすくなる余地があると思いました。
- これまでの歩み:震災をきっかけに移住し、農家での経験を経てシュトーレン作りに至った流れや、販売本数がどのように増えて現在の規模に至ったのかを時系列で補足
- 価格設定:1本1万円という価格設定は大きな個性。なぜその価格にしたのか、どのような価値を届けたいのか。そもそもシュトーレンは馴染みが薄いので、一般的なシュトーレンの価格帯などの情報も記すことで、読み手の理解が深まる
- 販売方法:オンライン中心なのか、百貨店での催事販売を定期的に行っているのかなどを整理し、具体的な数字や事例を加えて実績や広がりを伝える
また、「田んぼの中のシュトーレン専門店」という見出しはとても印象的なワードなので、その理由や背景を本文で丁寧に回収できると、より強い訴求につながります。実際に田んぼに囲まれた場所にお店があるのであれば、その写真が加わることでビジュアル的にも大きな魅力になりますし、象徴的な表現として使用しているのであればその意図を補足するだけで納得感が生まれます。
さらに、地元の農家さんの声や、四万十という土地の豊かさがもう少しまとまって紹介されると、「地域とともにある店」という印象がより鮮明に伝わるはずです。使用している果物を一覧で示したり、生産者のコメントを添えたりすることで、地域を支える取り組みとしての広がりも、より伝わりやすくなるのではないでしょうか。
ストーリーや思いを伝えるという点ではとても魅力的なので、情報の整理と具体性を少し補うだけで、共感に加えて納得感も高まり、メディア視点でもさらに関心を集めるプレスリリースになると思いますね。

事例3.山田プライド株式会社『ショベルカー操縦体験』

参考:GWは山田町でショベルカーを操縦しませんか!?建設現場で活躍する重機を操縦出来る体験会が、 岩手県山田町のふるさと納税返礼品になりました!【岩手県山田町ふるさと納税】
瞬時の判断で「読みたい」を引き出す
──山田プライドさんからは「ショベルカー操縦体験」をふるさと納税の返礼品とするというユニークな取り組みの発表でした。小林さんの目にはどのような点が留まり、印象に残ったのでしょうか。
このプレスリリースは、実は個人的にとても応援していた一本でした。単に企業の取り組みを伝えているだけではなく、「地域が抱える課題を解決するんだ」という本気度を感じましたね。タイトルも非常によかった。「ショベルカーを操縦しませんか」というワードに強いインパクトと驚きがあり、思わず続きを読みたくなるタイトルだと思います。
ただ、もったいないなと感じたのが、タイトルの中に「山田町」という言葉が3回使われていたこと。一番伝えたいポイントは「重機を操縦できる」ことで、「山田町」という場所ではありませんし、読み手からすると同じ情報が重なってしつこい印象を与えてしまう可能性もあります。また、「GW」という表記も、メディアの立場としては「ゴールデンウィーク」と正式に書いたほうが瞬時に理解しやすいと感じました。プレスリリースを発表されたのが12月なので、季節的にもピンと来ないと思います。膨大なプレスリリースの中で、瞬時に読む・読まないを判断されることを考えると、「読み手を悩ませない」「パッと見て理解できる」書き方がおすすめです。
以上を踏まえて、僭越ながら私なりにタイトルを手直ししてみました。
【小林さんが提案する改善案】
(配信タイトル)
GWは山田町でショベルカーを操縦しませんか!?建設現場で活躍する重機を操縦出来る体験会が、 岩手県山田町のふるさと納税返礼品になりました!【岩手県山田町ふるさと納税】
(改善タイトル)
ゴールデンウィークにショベルカーを操縦してみませんか?建設現場で活躍する重機の体験会が、ふるさと納税の返礼品になりました【岩手県山田町】
盛り込んでいる情報は同じですが、この方がシンプルに伝わるのではないでしょうか。冒頭のインパクトも強まり、「重機の体験会がふるさと納税の返礼品に」という要素も際立ってくると思います。
私たちが原稿を書くときに「文章がゴロゴロする」という表現をするのですが、余計な単語や言葉を抜いて「ゴロゴロ」を省いていくと読みやすくなります。特にプレスリリースは、「読む」というより、瞬時に内容を「把握」したいものなので、そのことを前提とした言葉のチョイスが重要だと思います。
正確な前提情報を提供する
──では、この取り組みの魅力をさらに広く生活者に伝えるとしたら、どんな情報や視点を補足するとよいでしょうか。
地域が抱える課題に対するひとつの解決策になっている一方で、打ち出し方という観点では、まだ伸ばせる余地があるとも思いました。特に「地域活性化」という軸をもう少し明確に立てられると、報道番組などの取材にもつながりやすくなります。岩手県山田町は全国的にはあまり知られていない地域なので、そこに「どんな素晴らしい自然や観光資源」があるのか。一方で「過疎化や高齢化などどんな課題」を抱えているのか。そういったことを説明したうえで、「だからこそこういう企画を考えた」という背景が丁寧に描かれていると、読み手の心をより強く打つプレスリリースになるのではないでしょうか。
また、テクニカルな部分では、プレスリリース全体の主語がわかりにくかったです。一見すると佐々総業さんが主語のように受け取れるのですが、実際の発信元は山田プライドさん。そして、両社の関係性が十分に説明されていません。プレスリリースでは前提情報が明確であることが重要なので、山田プライドさんがどのような会社で、なぜ佐々総業さんの取り組みを紹介しているのかが簡潔に示されていると、理解しやすくなると思います。メディアの立場としては問い合わせ先や両社の関係性がわかるだけでも助かりますし、その点を補足するだけで、読み手の迷いはかなり減ると感じました。
──先ほど伺った「読み手を悩ませない」という点にも通ずるものですね。
そのほかにも、プレスリリースの「読み手」はメディアだけでなく、その先にいる読者や視聴者でもあります。このプレスリリースも掲載する情報を少し工夫するだけで、より多くの方に体験会に参加してもらえるかもしれません。「重機を操縦する」という体験にインパクトがあるものの、それだけで遠方から山田町に来てもらうのは難しいでしょう。
ゴールデンウィークのファミリー層をターゲットにしていると思うので、
- 山田町おすすめの観光ルート
- どのような地元料理や人気店があるのか
- そもそも山田町ってどんな町なのか
- ゴールデンウィークの時期に楽しめること
- 空港や駅からのアクセス
などを紹介することで、印象は大きく変わるはずです。
また、本文には重機の写真や山田町の紹介もあり、プレスリリースを構成する要素はそろっているように思えますが、情報としては全体的に少しふわっとした印象を受けます。「どういう操縦体験ができるのか」「子どもも親と一緒にハンドルを握ることができるのか」など、具体的な情報を追加することでより体験をイメージしやすくなるでしょう。さらに、牡蠣小屋の写真があり名産であることも触れられていますが、牡蠣の旬は冬から春(11月ごろ~4月ごろ)。体験時期にも食べられるのかは気になるので、「牡蠣小屋は何月までやっているのか」という情報があると親切です。
このプレスリリースは地元メディアや建設の業界誌などに取り上げられたそうですが、さらなる工夫によって、観光雑誌やゴールデンウィークの特集を組むようなメディアにも掲載される可能性が高まると思います。
事例4.クックデリ株式会社『花粉症手当』

参考:「花粉症手当」を新設!社員のWell-beingを支えるユニークな取り組み
ぱっと見で理解を促す表記を選ぶ
──最後に伺いたいのが、クックデリさんのプレスリリースです。Well-beingを支える施策として新設した花粉症手当についての発表ですが、小林さんはどのような点を評価されていたのでしょうか。
このプレスリリースのすごくいい点は、自社の商品やサービスの宣伝ではなく、多くの日本人が悩んでいる「花粉症」に対して、企業としてサポートする姿勢を示しているところです。取り組み自体はもちろん、プレスリリースの内容も、ほかの企業にとっても参考になる事例と言えるでしょう。
本文が見出しや箇条書きをうまく使って読みやすくまとめられている点や社員の声など過不足なく書かれている点が素晴らしいですし、何よりもタイトルが秀逸ですね。細かいですが、あえてテクニカル的なことを言えば、「Well-being」はカタカナで「ウェルビーイング」と表記した方がいいかもしれません。先ほどの「GW」を「ゴールデンウィーク」と表記するのと同じで、ぱっと見て理解しやすいですし、まだまだ馴染みのない言葉なので、少なくともタイトルではカタカナのほうがよいと思います。その上で、本文には「Well-being(ウェルビーイング)とは」と説明を加えるといいでしょう。
また、本文のリード文で「Well-being推進室の取り組みの一環として、花粉症手当を2025年2月より新設」と書かれていますが、どういう経緯でWell-being推進室を設置したのか、ひとこと説明があるとよかったかもしれませんね。
ニュース性を見いだして継続的に発信する
──この取り組みが単なる「企業の広報PR活動」を超え、本質的な『Well-being経営』のニュースとして扱われるためには、今後どのような情報発信が必要だと思われますか。
1年後や2年後などの節目でプレスリリースを出すのがいいと思います。1年取り組んでみてどうだったのか、数年後に会社がどのように変化したのかを検証したプレスリリースを発信してほしいですね。
「花粉症手当第2弾」や「バージョンアップ」という形で定期的に情報発信を続けることで、ほかの企業にも広がるムーブメントを生み出せるかもしれません。そうした流れができると、メディアの注目も集まりやすくなります。花粉症対策は季節性の高いテーマで、毎年3~4月ごろには必ず特集が組まれるため、継続的な取り組みを行っている企業には、その時期に取材が集まりやすくなります。そうした積み重ねによって、「花粉症対策と言えばクックデリ」という認知が広がっていくのが理想的ですよね。
また、クックデリさんは花粉症対策だけでなく、ウェルビーイングに力を入れている点も強みのひとつだと思います。ウェルビーイングは今、社会的なひとつの理念になりつつあるため、「花粉症とウェルビーイング」というキーワードで取材される存在になっていく可能性を感じました。
──第2弾、第3弾と継続的にプレスリリースを出していくうえで、どのような情報があるとよいか、詳しく教えてください。
- 花粉症手当の取り組みを1年やってどんな変化が社員にあったのか
- 関係者や取引先にどんな影響を与えたのか
- 1年やってみてバージョンアップしたことはあるのか
- 花粉症手当が好評なことを受けて新たにはじめた取り組みはあるか
などが次のプレスリリースで知れるといいですね。
もちろん、その際にはきちんとデータを提示できるとベターです。効果を数値的なデータで出すことは難しいかもしれませんが、少なくとも社員を対象にしたアンケートを実施するなど、リアルな声がわかるとメディアは注目しやすいと思います。
また、花粉症がいま全国的にどのくらい広まっているのか、日本でどのくらいの人が花粉症で苦しんでいるのか、どんなことに悩んでいるのかなどの情報があると惹かれますね。もちろん、そうした情報は記事にする際に記者が自分で調べる部分ではありますが、プレスリリースに書かれていることで普遍的な価値があることがより伝わり、クックデリさんの取り組みというだけでなく、社会課題の文脈で取り上げられやすくなるのではないでしょうか。

まとめ:取り組みの本質と可能性が伝わるプレスリリースを
「プレスリリースアワード2025」で審査員を務めた小林史憲さんに、「Best101」に選ばれたプレスリリースを事例として取り上げ、改善点などを詳しく伺いました。フィードバックの主なポイントは以下の通りです。
- 社会性や背景を丁寧に描き、なぜ今この取り組みを行うのかを示す
- 前提知識を持っていない読み手を想定し、基本情報を整理して伝える
- 数字やデータ、比較情報を用いて、説得力を高める
- 現場の声や当事者のコメントを入れ、取材や映像を想起しやすくする
- 単発で終わらせず、継続や広がりが見えるようにして、次につなげる
- 単なる商品やサービスの紹介ではなく、社会課題や地域性などに絡めて大きなテーマにつなげる
小林さんのお話から見えてきたのは、メディアや生活者に響くプレスリリースとは、「取り組みの本質と可能性がきちんと伝わるもの」だということ。新しさや話題性だけで注目を集めるのではなく、「なぜこの取り組みを・なぜ今行っているのか」「社会とどう関わっているのか」「この先どんな広がりが生まれるのか」を伝えられているかどうかで、受け取られ方や関心の深まり方は大きく変わっていきます。単発の情報発信で終わらせず、継続性や検証、社会性まで含めて設計することが、プレスリリースの価値を大きく広げるカギになるといえるでしょう。
続いては、「『読まれる』プレスリリース執筆のポイント」を解説いただいた後編をお届けします。
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