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事業拡大とは?主な方法と戦略立案の5つのステップを解説【事例あり】

競争が激化する現代のビジネス環境において、新たなチャンスを掴み、成長し続けるためには、事業拡大が重要な経営戦略です。既存事業の拡大や新規市場への進出、M&A(買収・合併)など、事業拡大の方法は多岐にわたります。本記事では、事業拡大の方法や戦略の立て方などについて、事例とともに解説します。ぜひ参考にしてみてください。

事業拡大を実施するメリット

事業拡大とは、新しい市場や顧客を獲得し、売り上げや利益を増やすことを意味します。事業規模が大きくなることで、より多くの製品やサービスを提供し、収益の安定性を高めることができます。事業拡大によるメリットはさまざまですが、ここでは3つに絞って紹介します。

メリット1.売り上げ・利益の増加

事業拡大による一番大きなメリットは、より多くの製品やサービスを提供できるようになることで、売り上げや利益が拡大することです。また、事業規模が大きくなると、大量仕入れによる単価の引き下げや、生産プロセスの効率化により、利益率を改善できます。市場でのシェア拡大や規模の経済によるコスト削減が実現することで、競争優位性が強化され、市場での存在感が増すでしょう。さらなる新事業への投資も可能になります。

メリット2.企業ブランドの強化

事業が拡大すると、ブランドの知名度が向上し、信頼性が高まります。特に、大手企業と取引する際には「規模の大きさ」が信用の指標となることも。また、企業ブランドは融資や株式発行による資金調達にも影響を与えるため、事業拡大に合わせた広報PR活動も重要になります。また、事業拡大の過程が注目されることで、多様な人材を採用しやすくなるというメリットも。優秀な社員や多様な経営層を確保することで、組織の専門性が向上し、競争力を強化できます。

メリット3.リスク分散による経営の安定化

事業を特定のエリアや市場に集中させると、その市場が不況に陥った場合に大きな影響を受けます。しかし、事業拡大により、異なる地域や国に進出することで、一つの市場が低迷してもほかでカバーすることが可能になります。同様に、複数の事業を持つことで、一つの事業が低迷してもほかの事業で補うことができ、収益源のリスクを分散することができます。また、調達先や生産拠点の分散も可能になり、サプライチェーンのリスクを軽減できるのも、今の時代においては大きなメリットといえるでしょう。

事業拡大を進める5つの方法

事業拡大にはさまざまな方法がありますが、企業の状況や目標に応じて適切な戦略を選ぶことが重要です。事業展開するエリアや顧客層を変えて拡大するケースや、新たな商品やサービスを開発したり、他社と協力して新市場へ進出したりするケースも多いです。ここでは、主要な事業拡大の方法と、そのアプローチについて詳しく説明します。

方法

1.新市場への参入

既存のビジネスを拡大し、新たな顧客層や地域、業界に進出することで、売り上げの増加を狙う方法です。地理的な拡大としては、ローカル店舗を全国展開したり、国内事業を海外展開したりする例が代表的です。また生産拠点をほかのエリアに増設して拡大するケースもあります。一方、ターゲット層を拡大するには、異なるセグメントの顧客層を狙ってマーケティングを強化したり、BtoBの事業をBtoCへ展開したりする方法もあります。販売チャネルの開拓も効果的で、近年では店舗からオンラインへと拡大する事例も多くあります。

参考:スシロー、中国大陸の華東地域に初出店。「スシロー蘇州中心店」 が12月24日(火)にオープン ~日本のすしの“うまさ”をそのまま届け、世界に喜びを広める~

2.パートナーシップ戦略

事業を大きく拡大するには、パートナーとの協力が有効です。他社をM&Aしたり、提携を通じてリソースやノウハウを共有したりなど、互いの強みを活かして事業拡大を図ることができます。またM&Aにはさまざまな形態があり、サプライチェーン上の企業を子会社化し、コスト削減や品質向上を図る垂直統合、競合企業を買収し、市場シェアを拡大する水平統合、技術や市場を共有するためにパートナーシップを形成する共同事業(ジョイントベンチャー)などが代表的。フランチャイズモデルで加盟店を増やすのも一つの手段です。

参考:オープンがトリックトラック株式会社と業務提携

3.新製品・サービスの開発

既存のリソースや技術を活用し、新しい製品やサービスを開発して売り上げを拡大する方法です。まったく新しい製品を開発するケースだけでなく、既存の製品のラインナップやシリーズを追加したり、 サイズ、カラー、機能などのバリエーションを増やしたりするパターンも多くあります。また、既存製品を補完するものとして、サポート、メンテナンス、トレーニングなどのサービスを新ビジネスとして加えることも。製品の販売から、レンタルサービスやサブスクリプションサービスへと展開する事例も増えています。

参考:SHUREがNAMM 2025にて、革新的な新製品群を発表。

4.DX(デジタルトランスフォーメーション)

デジタル技術を活用すれば、新しいビジネスモデルや顧客接点を構築することができ、事業拡大につながります。例えば、オンライン販売のためのECサイトやモバイルアプリの開発もそのひとつ。また、デジタルマーケティングの手法として、SEOやWeb広告、SNSやメールを活用したマーケティングなども広く活用されています。近年ではサブスクリプションモデルも普及し、事業拡大に貢献しています。DXは既存事業を効率化したり生産性を向上させたりすることにも寄与するため、事業拡大の過程で多くの企業で導入されています。

参考:西松建設、デル・テクノロジーズの「Dell Precision 5480 モバイルワークステーション」導入で建設業務の生産性の向上と効率化を実現

5.ブランディングの強化

事業拡大においては、新規市場での認知度を向上させ、顧客や投資家の信頼を得ることが重要です。そのためには、広報PRを活用してブランディングを強化する必要があります。例えば、公式サイトで創業の背景や成長ストーリーを公開したり、理念や企業ビジョンをメディアを通じて発信したりすることで、共感を得ることが期待できます。また、サステナブルな取り組みをプレスリリースで発信し、自社の社会的価値を伝えることも有効です。同時にインナーブランディングも進め、社員が誇りを持てる企業文化をPRし、採用につなげることも期待できます。

参考:PITTANが事業拡大に向けたリブランディングを発表

事業拡大を進めるときの注意点

事業拡大を進める際には、慎重な計画とリスク管理が不可欠です。巨額の投資をして新市場へ進出したとしても、ニーズがなければ思ったように売り上げにつながらず、資金不足で計画が頓挫することも。また、急な事業拡大に伴い、人材不足や管理体制の崩壊が発生する恐れもあるため、新市場に適したスキルを持つ人材を採用したり、管理職やリーダー層を育成したりするなど、組織力を強化することも重要です。

さらに新規事業にリソースを割きすぎて既存事業が疎かになると、既存顧客へマイナスの印象を与えてしまう可能性も。事業拡大のフェーズでは、会社としての一貫したブランディングがより一層重要になります。

事業拡大の戦略を立てる5つのステップ

事業拡大は綿密な計画をもとに進める必要があります。リスクを最小限に抑えて着実に事業拡大を進めるためにも、PDCAをうまく回し、改善を重ねることが重要です。ここでは実際に事業拡大の戦略を立てる際に行うべき5つのステップを紹介します。

ステップ

STEP1.市場調査を行う

まずは新しい市場における顧客ニーズや購買動向を分析しましょう。競合企業の強み・弱み、価格設定、マーケティング戦略などを調査し、新市場への参入、新商品開発、M&Aなどの選択肢から最適な手法を決定します。その際注意したいのが、既存ビジネスとのシナジーを生むかどうか。また、海外市場なら現地の法規制、税制、労働基準もチェックしましょう。ビジネスライセンスや特許、商標の取得が必要かどうかも、参入の難度に関わります。市場調査の中で競争環境や法的リスクを確認できたら、事業拡大の適正を評価できるはずです。

STEP2.戦略立案と資金計画を立てる

次に行いたいのが、事業拡大のための具体的なロードマップを作成し、資金を確保することです。そのために重要なのが、事業拡大のKPI(重要業績評価指標)。売り上げ目標、顧客獲得数、利益率などを明確に設定し、そのうえで必要なリソースを洗い出しましょう。人材については新規採用するのか、社内トレーニングで補うのか、設備・システムについては新店舗を出店するのか、ECサイトを開設するのかなど、具体的に決定します。さらに初期投資の予算を設定し、資金調達の方法も検討しましょう。必要なリソースとコストをリストアップできたら、資金調達の準備を進めていきます。

STEP3.市場投入と広報PR

立案した計画を実行し、新事業の運営を開始します。また、新店舗や営業拠点の開設、新商品・新サービスのリリースと並行して、マーケティングや広報PRを強化しましょう。特に重要なのがプレスリリースの配信で、多くのステークホルダーに事業拡大に関する情報を届けることができます。それらがメディアに取り上げられることで、さらなる注目を集められるため、メディアの目に留まるフックを組み込み、事業拡大で目指すことなどについて発信していきましょう。PRイベントや記者会見を開催し、信頼を構築するのも有効です。

STEP4.評価と改善

設定したKPIを測定し、事業拡大の成果を評価します。計画通りに進んでいるかを細かくチェックし、問題点を特定したうえで改善策を検討しましょう。また、投資対効果をもとに、不必要なコストを削減できるか検証することも重要です。価格戦略や販売戦略を最適化することで、競合優位性を強化できるでしょう。同時に、広報PRの効果測定も実施します。掲載したメディアの数やその内容、ブランドの認知度やイメージ変化などを調査し、PR戦略を最適化することが重要です。

STEP5.事業拡大のさらなる推進

評価をもとに改善し、事業拡大をさらに推進します。例えば、成功した戦略を横展開できるか検討するのも良いでしょう。同様の手法でほかの地域や市場へ拡大したり、フランチャイズ展開や提携戦略を活用したりするなど、さまざまな選択肢があるはずです。また、追加のサービス開発や技術投資、新たなビジネスモデルの検討なども継続しましょう。一方で、事業拡大のフェーズでは多くの変化が生まれるため、社内向けの広報PR活動を強化し、従業員のモチベーションを向上させることも不可欠です。このタイミングでリブランディングを行うケースも多いので、併せて検討してみると良いでしょう。

事業拡大の成功事例

ここまで事業拡大の方法やステップなどを紹介してきましたが、実際に行うとなるといくつものハードルがあるでしょう。そこで、最後に事業拡大に成功した企業の事例を紹介します。いずれも実践的なヒントが得られる事例になっているので、これらを参考に、ぜひ事業拡大の一歩を踏み出してみてください。

事例1.合資会社古屋旅館

熱海でもっとも歴史ある旅館とされる「古屋旅館」を経営する合資会社古屋旅館(現:株式会社古屋旅館・2025年2月に名称変更)は、旅館経営にとどまらず、スイーツ専門店を展開するなど、事業拡大を実施。グループ全体の売り上げが前年の115%、2023年はそこからさらに130%と成長を続けている企業です。拡大とともにさまざまな施策を実行し、そのたびにプレスリリースを配信することで、メディアに注目されています。事業拡大の効果を広報PRで最大化している事例として、参考になります。

事例2.株式会社ワールドパーティー

傘ブランドを展開する株式会社ワールドパーティーは、コロナ禍で売り上げが大きく落ち込んだものの、立ち止まらずにいくつもの施策を打ち出したことで、売り上げがV字回復に。「事業拡大には大規模投資に加え、広報PR活動がなくてはならない要素」と語る通り、同社の広報RP戦略は非常に優れています。プレスリリースを配信すれば多くのメディアが注目し、SNSでは拡散されヒットにつながるなど、事業拡大と広報PRが密接につながった事例です。

事例3.奥伊吹観光株式会社

関西最大級のスキー場「グランスノー奥伊吹」を運営する奥伊吹観光株式会社は、スキー人口が減少するなか、2季連続で入場者数25万人超を実現している注目の企業です。積極的なスキー場への設備投資や、雪のない時期にはゲレンデの土地を活用したイベントの開催、グリーンシーズンに遊べるレジャー施設を運営するなど、事業拡大につながる施策を次々に展開してきました。4季連続で売上高を更新し、発表したプレスリリースは必ず話題になっています。

事例4.有限会社稲垣塗装所

静岡県で仏壇再生工房を営む有限会社稲垣塗装所は、「先祖の供養」というセンシティブで話題にしにくい問題に真摯に向き合い、新たな選択肢として、手のひらサイズの小さな仏壇「結壇」を発売。既存の仏壇をコンパクトなサイズにリノベーションするという革新的なサービスが大ヒットにつながり、事業拡大に成功しました。注目されたきっかけはプレスリリースの配信で、「とにかくメディアに取り上げてほしかった」という思いから、メディアの興味を引くフックとなる言葉を意識的に使い、成果に結びついた事例です。

事例5.株式会社古窯ホールディングス

山形県で創業70年超の老舗旅館を経営する株式会社古窯ホールディングスは、ホールディングス体制へ移行してから、グランピングやスイーツ専門店などの新規事業を毎年のように立ち上げ、事業領域を拡大しています。注目すべきはインナーブランディングで、事業拡大の理解を得るために社員研修を実施。その過程で広報PRの重要性に気づき、社内外への情報発信を強化しています。事業拡大における体制強化について、参考になる事例です。

まとめ:事業拡大で持続可能な成長を実現しよう

事業拡大は企業の成長を促進し、市場シェアを拡大するための戦略的な取り組みです。新市場への進出や新商品・新サービスの開発、M&Aなど、さまざまな方法があるなかで、自社に合った適切な方法を選ぶのが成否のポイントになります。また、事業拡大を成功させるためには、紹介した5つのステップに沿って実行することが重要です。長期的な視点でPDCAを回し、持続的な成長を目指しましょう。

もちろん事業拡大にはリスクも伴いますが、適切な計画と広報PR戦略を活用することで、成功の可能性を高めることができます。本記事で紹介した事例も参考に、自社の事業拡大の戦略を検討してみてください。

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