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リモートワークが拡大するいま、広報活動への影響は?広報PR担当者への臨時アンケート結果

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、東京都は3月25日に異例の在宅勤務を要請。これを受けて、リモートワークへの対応移行が急速に進んだ企業もあるのではないでしょうか。

社内外問わず、人との関わりが欠かせない広報業務を担う方々も、普段何気なく行っていた社内での情報共有・収集やメディア対応の方法へアップデート・見直しが必要な状況になってきています。

そこで今回、株式会社PR TIMESでは、「リモート対応下における広報活動・広報体制に関するアンケート」(調査期間:2020年3月31日~4月2日、調査対象:プレスリリース配信サービス「PR TIMES」を利用する一部企業、有効回答者数:93名)を臨時で実施しました。

この中から、今後の判断のヒントとなる情報をまとめ、本稿でご紹介していきます。

有事の際は、意思決定も複雑で、各社方針が異なるものです。そして、同じ悩みを持ちながらも、互いの経験やナレッジは共有しづらいものだと思います。だからこそ、いま広報として何ができるのかを検討するにあたり、最も有益なヒントは日々模索する各社の経験や考えの中にあるのではないでしょうか。

情報発信を担う私たちは、今後一層の非常時対応が余儀なくされる可能性も、視野にいれておかなければいけません。どのような状況変化があっても、想定と備えがあれば、悩みながらも適切な判断ができるはずです。

是非本稿でご紹介する各社の声も踏まえ、今後の対応のヒントにされてみてください。

※アンケートに回答いただいた企業のうち、公開許諾をいただいた企業に限定し、社名を付記させていただいております。匿名希望の企業からいただいた回答は「匿名希望」と記載しております。

全社員数に対するリモートワークの導入率は? 広報担当はリモート勤務多数

アンケートではまず、全社員数に対するリモートワークの導入率を伺いました。最も多かったのは、下図赤枠の通り、全社の対するリモート導入率は2割未満という回答が第一位(36.5%)でした。次いで、2~4割8割以上がそれぞれ17.2%という結果に。

リモートワークに切り替える社員の割合は、各社の方針によって様々で、特別な傾向は見受けられませんでした。

全社員数に対するリモートワークの導入率のアンケート集計結果

続いて、広報担当者自身の勤務体系を聞くと、フルリモートが10.7%、原則リモートで必要時のみ出社が43.0%と、約半数がリモートワークに切り替えていることが分かります。

その他、時差出勤は15.0%、通常出勤は22.5%という結果です。後ほど詳しく見ていきますが、同じ広報業務でも、広報チーム体制や、業種・業態などによっても、リモート切り替えによる業務への影響度合いは違うようです。

広報PRを担当者自身の勤務体系のアンケート集計結果

リモートの広報業務で困っていることは?浮かびあがる4つの問題点

現在の勤務体系について、フルリモートもしくは原則リモート(必要時のみ出社)と回答した50名のうち、広報業務で困っていることがあるかと聞いたところ、「ある・まあまあある」と回答した人は23名(46%)、「ない・ほとんどない」と回答した人は27名(54%)という結果になりました。

リモート対応で広報業務の困りごとに関するアンケート集計結果

「ない・ほとんどない」と回答された人たちの理由(後ほど詳しく紹介)を見ていくと、

  • 基本オンラインでの情報発信なので、在宅でも準備、配信が可能な状態にある(匿名希望)
  • 取材対応はほとんどをオンライン(電話もしくはZoom)で対応(サイボウズ株式会社)
  • 部署機能停止を防ぐべく各部署にて、交代制でテレワークを実施しているため、現況にて特に業務に支障をきたすことはありません。(匿名希望)

など、日頃からオンライン対応を取り入れてきた企業が多いことが伺い知れます。一部イレギュラー対応はありながらも、問題なく対応できる環境下にある担当者はスムーズな移行ができている印象です。

一方で、困っていることが「ある・まあまあある」と回答した人たちの悩みを見ていくと、問題は大きく以下の4つに分類されそうです。それぞれ具体的な回答内容をご紹介していきます。

  1. 社内の情報収集・確認などコミュニケーション関連の問題
  2. メディア対応・露出機会損失の問題
  3. 必要資料確認上の問題
  4. 情報発信の是非検討の問題(実施すべきか否かの判断)

1:社内の情報収集・確認などコミュニケーション関連の問題

社内の承認権者への確認に時間を要する。説明時に微妙なニュアンスが伝わりづらい。(匿名希望)

統括という立場上、部下が上司(私)と直接のコミュニケーションが取れなくて困るのではないか、という不安がある。(大網株式会社)

新聞の定期購読ができない。会社に届くので最新号が読めない。(匿名希望)

2:メディア対応・露出機会損失の問題

キャラバンが実施できない。(株式会社明色化粧品)

会社より社外者との対面の打ち合わせや面談を原則禁止とされているため、対面取材を受けられない。書面取材、テレカンで対応いただいている媒体もあるが、渋られる場合も多い。(匿名希望)

キャラバンができず、顔や商品を見ながら話すほどのハートやパッションが伝わりづらいこと。(匿名希望)

取材対応はオンラインと対面半々で対応をしています。特に新聞社やTVの皆さまはリモートワークを活用されていないケースが多く、対面で行っています。(匿名希望)

3: 必要資料確認上の問題

掲載資料や内容が社内サーバーにしかない場合、苦労します。(匿名希望)

社内データサーバーへ自宅から入る事が出来ないので、パブリシティの問い合わせがあった際、データを先方へ送る事ができない。(匿名希望)

4:情報発信の是非検討の問題(実施すべきか否かの判断)

どういった情報を発信していくべきか悩む(特にサービス広報、採用広報)また、もともと発表を予定していた情報を予定どおり出すべきかリスケするべきか悩む(匿名希望)

情報発信に対し消極的にならざるを得ない。今発信して意味がある情報か、と踏みとどまる。ネタを作り出そうというマインドになりづらい。(匿名希望)

スムーズなリモート移行を実現する様々な工夫

先述した、困っていることは「ない・ほとんどない」と回答した企業の中には、「日頃からオンラインで対応している」という回答も多くありましたが、中には様々な工夫を凝らすことで困りごとのない状態・環境を整えている企業もありました。

ここでは、今後リモート対応の範囲が拡大したり、新たにリモート対応が必要になる可能性に備え、各社の工夫のポイントを見ていきます。

困ったりわからないことがあった場合はすぐにチャットするようにしています。また、オンライン会議では感情が伝わりにくいので、大げさにリアクションをするようにして、とにかく自分の表情を見せることを意識しています。チャットでもいつもより絵文字をたくさん使っています。(匿名希望)

対面でMTGが必要な時間は週に1度などまとめる。また、有料Zoomを活用してオンラインMTGもできているので困っていないです。工夫している点としては、社内でリモート可否&1日のだいたいのタスクを記入する表を社内全体で活用しています。そのため、週1の出勤日も決定しやすいです。(株式会社ツクルバ)

IT企業ということもあり、コロナウイルス以前よりhangoutやzoomを使ったMTGを日常的に行なっていた。各部署やプロジェクトごとにslackを活用し、コミュニケーションをとっており、広報部に関しても、専用slackチャンネルで各自の仕事の共有から相談、雑談まで気軽にできるチームワークがある。(面白法人カヤック)

一部取材はテレビ会議で実施の上、宣材写真を別途提供するなど、イレギュラー応対はあったが問題なし。今回の騒動を機に、メディアには取材もリモート化(遠隔地からの参加)を標準選択肢に入れて欲しいと期待している。(匿名希望)

取材はメールや電話等を主とし、必要に応じたオンライン取材にて対応しているため現状は問題ありません。撮影や対面での取材を希望される場合には、時期を改めていただくなど、メディアにもご協力いただいています。新サービスのプレスリリースなどは時期を鑑み、配信タイミングを調整しています。(匿名希望)

今最も時間を割いている広報活動は?大半がコロナウイルス対応関連

続いて、「現況において、どのような広報活動に一番時間を使っていますか」という質問には、やはりコロナウイルスに関連する活動に時間を使っているという回答が大半を占めました。

一部、平時と変わらない広報業務も挙げられましたが、コロナウイルスによる事業への影響度合が小さい企業に限られている印象です。

ここでは、コロナウイルスに関連して最も時間を割いている広報活動について、各社からあがった声をご紹介していきます。回答は大きく2つの方向性に分かれます。

1つは、自社のコロナウイルス対応方針を整理したり、メディア対応をおこなったりといまの業務を進めるもの、もう1つは、このような機会だからこそ体制や先々の発表に備えるこれからの準備に注力しているというものです。

1:いまの業務を進める広報活動

取引先、パートナー、メディアとのスケジュール調整→コロナ影響で露出控えを希望する取引先が発生している。メディアがコロナ特集に紙面を割くために取材や記事化延期発生していることに対しての社内調整。(匿名希望)

コロナを使って集客している、コロナを利用している、コロナをネタにしていると思われないような発信。誰かを不安、不快にさせる可能性のある施策の敬遠(株式会社一の湯)

日々状況が変わるコロナウイルスの感染拡大に応じて、都度社内説明資料などの更新、および翻訳作業。(匿名希望)

もし社内でコロナウイルスの感染者が出てしまった場合の対応想定のマニュアル作成など。(匿名希望)

弊社店舗ですので、コロナウィルスによるショッピングセンターの閉店情報等の情報開示(株式会社キデイランド)

メディアとのリレーションが途切れないようにしている(匿名希望)

2:これからに備える広報活動

今までできなかった作業フロー等の資料作成。広報担当として属人化している業務、ルールを見える化するために整理をしている。4月に入り組織体制も変わるため、新体制におけるミッション、業務の整理等もこの機会に行っている。(匿名希望)

3月上旬頃は、イベントや物産展等の急な中止に伴う、掲載予定雑誌等の内容変更/差替え調整や、食料品売場での試食試飲・化粧品売場のタッチアップの自粛に伴う、TV情報番組の取材内容の変更/調整などで、バタバタしていました。(匿名希望)

コロナ関連の公表文書準備→現時点では陽性社員がいないものの、疑い、濃厚接触者判明時点で、公表に向けた情報収集を始めている。また、状況が刻々と変化する中で公表する範囲や表現も変えていく必要がある。(匿名希望)

長引きそうなので来期の予定をどう進めるか検討、相談など(匿名希望)

広報というよりはマーケになってしまうが、オフラインの施策が全部できなくなっているので、代替としてのオンライン施策の企画準備が中心となっている。

弊社は観光業のため、今はPRするのは難しい時期かと思っています。そのためコロナウイルスの影響で自粛が落ち着いてからのPRを考えています。(ジャパンリゾート株式会社)

6割超がコロナウイルスに関する取り組みを実施。そのうち半数以上がメディア掲載に

続いて、コロナウイルスに関する何らかの取り組みや情報発信を行っているかについて聞いたところ、全体の62.3%が「発信している」もしくは「これから発信する予定」と回答しました。

業界に特別な傾向は無く、何らかの形で情報発信を行おうとする企業が多い結果となりました。(実際に配信されたプレスリリース例は後述します)

コロナウイルスに関連した取り組みの発信に関するアンケート集計結果

加えて、コロナウイルスに関連した取り組みを行っていると回答した人のうち、それらの情報がメディア掲載に繋がったかを聞くと、28社(54.9%)が「取り上げられた」と回答。メディア側もコロナウイルス関連の情報を求め、積極的に情報収集していることが垣間見える結果となりました。

取り上げられたメディアも、テレビ(ニュース番組)、新聞(日本経済新聞や専門紙など)、Webメディア(ストレートニュースやコロナウイルス特集など)と、多岐に渡るようです。中には、取材依頼はあったものの、今はすべてお断りしているという声もありました。

コロナウイルス関連情報はメディアに取り上げられたかどうかのアンケート集計結果

各社のコロナウイルス関連のプレスリリース事例(一部紹介)

Laline JAPAN株式会社 
~We Support~ラリンから感謝と敬意を表して、新型コロナウイルスと闘う医療従事者にハンドクリーム無償提供

株式会社アドバンテッジ リスク マネジメント
新型コロナウイルス感染拡大に伴う当社の対応について

大網株式会社
ホビーでうちかつ!! あみあみが「#うちかつホビー」 運動を呼び掛け。

株式会社ツクルバ
プロフェッショナルが集結し、コミュニティを活性化「Community Growth Member 制度」、co-ba ebsiuで本日スタート!

ジャパンリゾート株式会社
子どもも一緒に、旅行気分でリモートワーク「ホテルにおこもり宿泊プラン」3月限定で販売

株式会社LIFULL
<新型コロナウイルス感染症に対する不動産事業者の意識調査>7割が “企業活動に影響が出ている” さらに、9割が “今後の企業活動への影響を心配している”と回答

有事の広報対応についてヒントとなる情報を発信していきます

今回はアンケートに協力していただいた各社の回答の一部をご紹介いたしました。

日々変化し続ける新型コロナウイルスの情勢に対して、企業の広報担当者は引き続き難しい判断を迫られるでしょう。PR TIMES MAGAZINEでは、皆さんのプレスリリース事例や、それに伴う広報判断のポイントについて、情報発信者のヒントとなる情報を継続的に発信していきたいと考えています。

自社の取り組みについて情報をお寄せ頂ける方は、是非こちらまでご連絡ください。

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この記事のライター

名越 里美

名越 里美

PR TIMESの人事本部長。PR TIMES MAGAZINEの立ち上げチームの1人。MAGAZINEの力で「PRの民主化」に一歩ずつでも近づけるよう、裏側から変わらず見守っていきます。4歳息子とバトルする日々です(だいたい負ける)。あと、だいたいいつも走ってます。

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