プレスリリース配信サービスを運営するPR TIMESでは、プレスリリースの配信に注力したい自治体の広報PR担当者向けに、オンラインで「PR TIMES自治体活用セミナー」を開催しています。
本記事では、2022年12月21日の自治体活用セミナーでお話しいただいた、埼玉県戸田市市長公室広報・広聴担当の副主幹、石井正義氏のお話をレポートします。
戸田市 市長公室 広報・広聴担当 副主幹
2009年度入庁。保育幼稚園課で保育所の入所選考や施設管理などを担当。保険年金課を経て2019年度、政策秘書室(現市長公室)広報・広聴担当に。広報紙のリニューアルや「とだPR大使」の任命・活用など、市内外への魅力発信に取り組む。
東京都に隣接、人口14万人の都市が担う広報PRとは?
荒川を挟んで東京都に隣接する戸田市の人口は、約14万人。平均年齢は埼玉県内でもっとも若い41.7歳です。JR埼京線で新宿駅まで約20分と都心部への交通アクセスもよく、1964年東京五輪のボート競技が行われた「戸田ボートコース」、緑豊かな水辺でBBQやスポーツを楽しめる「彩湖・道満グリーンパーク」なども有名です。
5名のメンバーで日々発信
市長・副市長直轄の部署として広報・広聴担当5名でPRにあたっています。発信するプレスリリースは、毎月10数件位です。TwitterやFacebook、LINEなどのSNSの運用も行っています。市長への提言の受け付けや回答、どこの課に相談すればよいかわからない市民からの問い合わせなどにも対応しています。
市内外に幅広く戸田市をアピールして少しでも知ってもらうのが目的なので、原則プレスリリースはすべてPR TIMESにも載せています。ただ小学校における取り組みなど、問い合わせが殺到すると現場に迷惑がかかってしまう発表については、各担当課と相談して、PR TIMES上で配信するかどうかを決めるなど、柔軟な運用が求められることも。
プレスリリース配信の実務的な部分としては、初稿は各担当課ですでに決裁済みのものを、ワードのデータでもらって手直しするのが基本です。戸田市は紙の利用を削減していこうとの方針なので、紙でのやり取りはほぼなく、必ずワードのデータでもらって直しています。
記者クラブ向けの資料では「戸田市では」としている書き出しを、PR TIMES上の投稿では全国の人が見ているという意識で「埼玉県戸田市では」と直すなど、細かい修正も忘れないようにしています。
若い住民・メディアに届けるためプレスリリースのWeb配信を検討
現役世代、子育て世帯など若い住民に人気の街ですが、年間1万人ほどが転入する一方、転出も9千人ほど発生しており、市民の「定住」が課題です。また、さいたま市や川口市など、近隣に政令市・中核市が存在する土地柄、プレスリリースで発表する内容が先進的でも、ネームバリューで他の市に埋もれてしまうことも多かったです。
2021年までは記者クラブ向けに発信したプレスリリースを掲載する先はもっぱら、市のホームページでした。市外に広く情報を伝える手段は、ほぼなかったと言ってもいいでしょう。
そんななかで、平均年齢が若いという市の特徴を考えると、リーチすべき若年層の住民の方々が長く触れているのは、インターネットなのではないかと。加えて企業、個人がSNS上で拡散する効果も期待しており、配信サービスの導入を考えるようになりました。
導入のきっかけは災害復旧・復興支援プログラム
PR TIMESを試してみようと思ったきっかけは、「災害復旧・復興支援のための情報発信プログラム」。1ヵ月ほど無料で使える期間があり、その間にほかのサービスも試しながら比較しました。投稿画面でスマホのプレビューを見ることができる、プレスリリースの内容についても丁寧にレクチャーしてもらえるなどの点が決め手となり、導入を決めています。
挿入する画像の利用方法まで細かくチェックしていただき、30分~1時間ほどかけてレクチャーしてもらえた点は驚きました。それまでは記者クラブ向けのプレスリリースでは画像を重視しておらず、ほぼ文章で伝えるものが多かったのですが、ビジュアルで伝えることの大切さを学べた気がします。
プレスリリースの内容についても、従来とは変わったと思います。今までは各部署から提出された資料を修正して、ほぼ上がってきたそのままの内容でプレスリリースとして発表していました。PR TIMESのレクチャーで、「記事になる」ことを目的としたプレスリリースの書き方を知った部分も大きいです。例えば、メディアが載せる記事の内容から逆算して構成を考えたり、ニュースバリューがどこにあるのかを吟味して書いたりすることの大切さを、改めて実感できました。
子育て給付金の「最速」支給で累計13万PVのプレスリリース
こちらからは、PR TIMES導入後に反響があった広報PRの事例を紹介していきます。
物価高騰に対応するための給付金の内容と、申し込み通知の発送作業を2日後に報道公開する旨を伝えたプレスリリースです。全国一律で取り組むことになる給付金ですが、市長・副市長も交えた検討の中で、他市よりも1日でも早く市民に給付することで市民の満足度は上がりますし、そこがニュースバリューになると考えました。
現場と協働しつつスピーディーに動くことで、「最速」のニュースバリューを提供することができました。結果としては配信から約7ヵ月で13万PVを獲得しまして、多くの方の目に触れる機会を作れたと思っています。
参考:【子育て世帯生活支援特別給付金】県内最速を目指し5月27日に児童扶養手当受給者へ支給
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Web配信ならではの反応測定
Web配信ならではの反応から、効果を実感することもありました。教育現場をクラウドファンディングで応援するためのプロジェクトのプレスリリースは、PVは目立つものではありませんでしたが、結果的にはSNSでの発信力を持った著名人からの寄付を受けることができました。
参考:【埼玉県】戸田市未来の学び応援プロジェクトが始動しました!
参考:戸田市と医療法人慈公会公平病院がオンライン診療の実証実験に係る包括連携協定を締結します~誰も取り残されない医療・福祉・地域連携~
こちらのプレスリリースは配信後、Webメディアの記者の方から問い合わせがあり、実際に取材に来てもらえました。まさに、Web上で情報提供していることによる効果を実感したのを覚えています。
「知らせる」ことの価値を再認識
メディアの取材が入るなどの「成功体験」が重なってくることで、担当課からプレスリリースの資料として上がってくる情報が増えているのを実感しています。従来の現場目線では、プレスリリースで発信したあとに問い合わせが増えることはいいことばかりではない、と捉えられがちでした。今はメディアに取り上げられることが「いいことなんだ」という意識が、庁内で醸成されてきているともいえます。
広聴事業の中では、物価高騰の関係で「戸田市は何もやってくれないのか」という意見が届いたのですが、キャッシュレスポイントの還元や上下水道の料金を免除するなどの取り組みを伝えたら「知らなかった」と。その後に、「逆にそこまでやってくれていたんだ。ありがとう」と正反対のご意見をいただいた瞬間、やっぱり知らせることってすごく大事で、それが広報公聴としての仕事なんだなって感じました。
それぞれの課がやっている事業を、市民の方や全国に伝える広報広聴担当として、これからも発信していけたらと思います。
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