在宅勤務やハイブリッドワークが一般化し、チームメンバーと直接顔を合わせる機会が減った今、タスクマネジメントの難易度はかつてないほどに高まっています。対面であれば些細な確認やフォローができたとしても、オンライン中心のやり取りでは「誰が・いつまでに・何をやるのか」が曖昧になりがちです。
そこで本記事では、タスクマネジメントが得意な人たちが実践している5つの管理方法と、チームや個人におすすめのタスク管理ツールを紹介します。リモート環境でもスムーズに業務を進めるヒントを、ぜひ見つけてください。
タスク管理を行う重要性とは?
そもそも、なぜタスク管理は重要なのでしょうか。もっとも大きな理由は、業務における必要タスクを漏らさず確実に実施するためです。
タスク管理を実施することで、必要タスクの洗い出しができるほか、納期や重要度に対応して優先順位をつけることも可能です。また、個人で業務を進める場合はもちろん、複数人で協働するプロジェクトにおいても、進捗や担当を明確にするうえで欠かせません。
タスク管理は、業務全体の質とスピードを左右するビジネスの土台だといえるでしょう。

タスクマネジメントがうまい人が実践している5つのタスク管理方法
では、タスクマネジメントがうまい人はどのようにタスクを管理しているのでしょうか。タスクマネジメントは、個人のタスクに対して行う場合と、チームやプロジェクトに対して行う場合があります。
個人とチームやプロジェクトでは、マネジメントする人数は異なるものの、タスクマネジメントに必要な力は共通です。今回は5つのタスク管理方法をご紹介します。
1.タスクとToDoを分けて管理する
タスクとToDoは混在されがちですが、実は異なります。一般的にタスクは期限が決まっている仕事、ToDoは期限が決まっておらず、いつかやらなければならない仕事を指します。これらを区別せずに管理していると、重要な業務の優先度が埋もれてしまいがちです。
ただしタスクやToDoという言葉は、個人によって認識が異なることもあり、言葉の意味を理解せぬまま使用している人も少なくありません。
タスクをマネジメントする際には、期限を定めてタスクを洗い出す必要があります。また、チームでプロジェクトなどを進行する場合には、メンバー全員で「タスク」と「ToDo」の定定義を統一しておくと、認識のズレを防げます。まずは「いつまでに誰がやるか」が明確なものを優先して整理しましょう。
2.優先度と緊急度を分けて管理する
タスクは期限があるものと紹介しましたが、多くのタスクが手元にある場合、期限が重なるタスクもあるでしょう。その場合、タスクに対する優先度と緊急度を分けて管理することが重要です。
優先すべきという判断は、タスク消化に要する時間や、タスクに関わる人物などを加味し行います。期限までにタスクを終わらせなければならないという前提に立つと、自身とかかわる人物のスケジュールやタスク消化に要する時間を理解したうえで優先度をつける必要が生じます。
緊急という判断、お客さまにご意見をいただき時間をかけることで不満につながる場合や通常タスクのスケジュールやかかわる人物が変更になり時間をかけることができなくなった場合など、予期せぬことが多いといえるでしょう。タスクを消化するのではなく、最適な対応順序を見極めることもタスクマネジメントに必要となります。
以下のように「緊急度」と「重要度」のマトリクスで整理をして、感覚ではなく論理的に優先順位を決めるようにしましょう。
- 緊急かつ重要:今すぐやるべきこと
- 緊急ではないが重要:計画的に進めるべきこと
- 緊急だが重要でない:できれば他人に任せたいこと
- 緊急でも重要でもない:後回しでOK
3.対応期間が重なるタスクを可視化する
タスクが複数並行して動くと、納期までの余裕を過信して着手が遅れがちになります。その結果、直前でスケジュールが逼迫し、品質や納期に悪影響が出ることもあるでしょう。
そこで有効なのが、タスクの対応期間(開始日〜期限)をガントチャートなどで「見える化」すること。どの期間にどのタスクが重なっているかを把握できれば、前倒しの行動やリソースの再調整が可能になります。
4.関係者とタスクを共有する
ビジネスにおいて、自分一人でタスクが完結するということはありません。一人でタスクを消化する場合も、本当にタスクが消化できているのかという点を上司などと確認する工程があります。また、プロジェクトやチームの場合、ほかのメンバーと自分のタスクが密接に関わっている場合もあります。そのため、関係者とタスクを共有することは非常に重要です。
タスクマネジメントがうまい人は、関係者に共有すべき事項を判断し、常に共有をしています。関係者がタスクを把握していると、キャッチアップをスムーズに行ってもらえるだけでなく、担当者にやむを得ない事情が生じた場合に、ほかの人が代わりにタスクを実行できるという側面もあります。
5.タスク管理ツールを活用する
タスク管理は手帳やスプレッドシートでもできますが、より効率的に行うなら専用ツールの活用が効果的です。タスク管理ツールは、パソコンやスマートフォンにいずれも共有して使用できるものが多く、時間や場所を問わず、タスクを管理することができます。
タスク管理をするときの5つのポイント
タスクマネジメントを上達させるためには、単にタスクを「やることリスト」として消化していくだけは不十分です。業務と質のスピードを両立させるためには、的確な管理スキルと戦略的な視点を持ちながら、適切なポイントを押さえる必要があります。
今回は、タスク管理をする際に重要となる5つのポイントをご紹介します。

ポイント1.タスクを細分化し、粒度を揃える
まず最初に取り組むべきは、タスクの粒度を揃えることです。タスクの洗い出しを行うと、タスクの粒度がバラバラになりがちです。しかし、大きな業務と細かい作業が混在した状態では、優先順位の判断や進捗管理が難しくなります。正しくひとつずつ遂行していくためには、できる限りタスクを細分化し、管理するために粒度を揃えましょう。
細分化する方法として、まずは広いカテゴリーで括られたタスクを確認します。その後、一段階ずつカテゴリーの階層を狭めていくと、必要なタスクを確実に洗い出しながら、タスクを細分化することが可能です。
たとえば、「イベント運営」などの広いカテゴリで括られているタスクを確認し、それを「資料準備」「メール配信」「会場レイアウト確認」など、より具体的な作業単位にまで分解していきます。
こうすることで、見落としや手戻りのリスクが減り、他のタスクとの比較・調整が容易になります
ポイント2.タスクを「行動レベル」になるまで具体化する
タスクを実行しようとする際に、何から手を付けたらいいかわからない場合は、タスクを具体化できていない状態です。タスクを見てすぐに行うことがわかるレベルまで、具体化して管理しましょう。
例えば、「資料を作る」では曖昧すぎて着手しづらく、先延ばしの原因にもなりがちです。
「○○会議の配布資料をA4・5ページで作成する」など、「何を・いつまでに・どんな形式で」実行するかが明確なレベルにまで落とし込むことで、作業開始までの心理的ハードルが下がります。
タスクを細分化した状態からスタートできれば、具体性を伴わせることは比較的容易です。前述した「ポイント1.タスクを細分化する」と、このポイント2を確実に実行することで、適切なタスク管理を実現できます。
ポイント3.タスク完了に必要な時間を見極める
タスク管理を行ううえで、見落としがちなのがタスクを完了させるために必要な工数です。「思ったより時間がかかってしまった」というのは、よくある失敗のひとつでしょう。タスク完了の工数を見誤ると、結果的にタスクが期限までに完了できなかったり、ほかのタスクに手を付けることができないといった問題が生じます。
自身の業務キャパシティを踏まえ、必要工数を算出することが重要です。工数に応じて、タスクの優先度や緊急度が変わるため、今本当に取り組むべきタスクを選択しやすくなります。
初めのうちはざっくりでも構いません。日々の業務にかかった時間をログとして残しておくことで、予測の精度は徐々に高まります。タスクを着手する際には、所要時間を見積もる癖をつけるようにしてください。
ポイント4.常にプロジェクトの全体感を把握する
タスク管理というと、常に目の前にあるタスクのみを把握していればいいように感じるかもしれません。しかし、本当の意味で適切なタスク管理を行うためには、タスクがあるプロジェクトの全体感を把握することが必要となります。
タスクはプロジェクトの中では小さな点でしかなく、プロジェクトという大きな点を見失ってしまう可能性があります。「今やっていることが全体のどこに位置しているか」を意識できていないと、優先度を誤ったり、重要な業務を見落としたりする恐れがあります。たとえばプロジェクトの山場に向けて「先にやるべき準備」が存在する場合、それを見落としていると納期直前に対応しきれなくなります。
定期的に全体マップを確認し、タスクを上流から俯瞰して見直す癖をつけましょう。
ポイント5.タスク管理に負荷をかけすぎない
タスクマネジメントを行ううえで、タスク管理に時間をかけすぎてしまっては本末転倒です。タスクを整理することに時間がかかりすぎてしまったり、利用しているツールへの入力だけで時間を浪費してしまう場合は、タスク管理方法が誤っている可能性があります。
タスク管理を行ううえで大切なのは、手軽に素早く行うことです。タスク管理がタスク消化以上に手間とならないよう、適宜タスク管理方法を見直すことが重要です。
タスク管理表に入れておくべき4つの項目
では、スムーズなタスク管理を行うために、タスク管理表に必要な項目は何でしょうか。タスク管理表の中に入れておくと、スムーズにタスクを実行できる項目を4つご紹介します。
1.プロジェクト名と関係者名
まず大切なのは、プロジェクト名と関係者名です。
どのタスクがどのプロジェクトに属しているのか、そして誰が関与しているのかを明記することで、責任の所在が明確になります。タスクをミスなく確実に実行するという観点だけでなく、万が一ほかの人がタスクを実行する場合、円滑な共有を行うことができます。
特に複数プロジェクトが並行して動いている場合は、タスクの属する文脈が見えにくくなりがちです。プロジェクト名と関係者をセットで管理することで、引き継ぎやタスクの再配分もスムーズに行えます。
2.タスクの締め切り
タスクの締め切りは、わかりやすく記載しておきましょう。締め切りを入れるのは当たり前だと思うかもしれませんが、書き方や表示方法を工夫することで、タスクの優先順位が格段に把握しやすくなります。
たとえば「日付だけでなく時間も含める」「色分けして緊急度を可視化する」など、視認性を高める設計にするのがおすすめです。また、締め切りの近い順にソートできるようにすることで、対応の遅れを防ぐことができます。
3.タスク処理にかかる時間(工数)
「締め切り」だけではタスクの重みは見えてきません。タスクを管理するうえで重要となる、タスク処理にかかる時間もタスク管理表に入れておきます。タスクの締め切りが先の場合でも、タスク処理にかかる時間が多いタスクは、実は締め切りまで余裕がないかもしれません。たとえば、締め切りが1週間後のタスクでも、着手から完了まで10時間以上かかる場合、早めの着手が必要です。
見積もり時間を記載することで、無理なスケジュールの防止にもつながります。
4.優先度と緊急度
タスク管理表では、優先度と緊急度がひと目でわかるような工夫をすることが大切です。優先度や緊急度がひと目でわかるルールを決め、管理表を運用しておくと、必要なタスクから取りかかることが可能となります。例えば「A:最重要」「B:重要」「C:低優先」などのランク分けや、チームで設定したルールに基づいたラベル設定も効果的です。
なお、優先度と緊急度はタスクを実行していくなかで変動する可能性があるため、柔軟に記載を変更できる工夫が必要です。
5.タスクのステータスと進捗状況
タスク管理表において「今そのタスクがどの状態にあるか」を示すステータスの記載も重要です。たとえば「未着手/進行中/完了/保留」などのステータス区分を設けることで、プロジェクト全体の進行状況がひと目で把握できます。
また、「進捗率(%)」を合わせて記載すれば、完了までの見通しも明確になり、関係者間の情報共有や報告業務も円滑になります。チームでの運用時には、週次でのステータス更新ルールを設けるとより効果的です。
チームでタスク管理をするときの4つのポイント
チームでタスクを管理する際は、個人でのマネジメントとは異なり、複数人が連動して動くことから、より高いレベルの調整力と連携が求められます。ここでは、チーム全体で効率よくタスクを遂行するために意識したい4つの重要なポイントをご紹介します。
ポイント1.定期的に進捗確認を行う
チームでタスク管理を行う場合には、それぞれのメンバーに定期的にタスクの進捗を確認することが大切です。
チームの場合、一人のタスクが遅れてしまうと、ほかのメンバーへ影響を及ぼすため、定期的な進捗確認がチーム全体のリスクヘッジとなります。
進捗確認は週次やデイリーでのミーティングなど、頻度をあらかじめ決めて実施するのが理想です。タスクの遅れが発生した際には、スケジュールの再調整だけでなく、そもそもの工数設計や依頼内容が適切だったかも併せて見直しましょう。全体のリスクを早期に発見・対処できる体制が、チームの信頼感を高める基盤となります。
ポイント2.迅速な情報共有を行う
新たなタスクが生じる場合や、タスクに遅延が生じている場合などは、チーム内で迅速な情報共有を行うことが大切です。
チームでタスクを管理している場合、メンバーそれぞれがタスク消化に必要な時間を確保し、来るタスクに備えて準備をしています。こうした中で「知らなかった」「聞いていない」という情報の行き違いが発生すると、進行の妨げとなるだけでなく、信頼関係にも影響を及ぼします。
そのため、想定外の事象は迅速に共有し、チーム全体への影響を最小限に抑えることが大切です。チャットツールやタスク管理アプリの通知機能、共有ドキュメントなどを活用して、常に最新情報に全員がアクセスできる状態を保ちましょう。
ポイント3.計画遅れをリカバリーできる体制をつくる
どれほど綿密にスケジュールを立てても、チームタスクでは予期せぬトラブルが起こることがあります。そのため、計画通りに進まなかった場合を想定したリカバリープランを準備しておくことが重要です。
具体的には、全員のスケジュールをタイトに詰め込むのではなく、一部のメンバーに余裕のある工数設定を行ったり、バックアップ担当者を明確にしておくなどの工夫が必要です。
また、タスクの優先順位に応じて柔軟に人員をアサインし直す仕組みを整えておくことで、トラブル発生時の影響を最小限に抑えられます。
ポイント4.メンバーの役割と責任を明確にする
チームでのタスク管理において意外と見落とされがちなのが、「誰が何をどこまで担うのか」を明確に定義しておくことです。役割が曖昧なままだと、タスクの押し付け合いや、逆に誰も手を付けずに放置される「宙に浮いたタスク」が発生しがちです。
役割分担は、プロジェクトの立ち上げ段階で文書化しておくのが理想です。
また、責任範囲だけでなく、必要に応じて承認者や相談窓口も明記しておくことで、意思決定の停滞も防げます。こうしたルールを明確にすることで、各自が主体的にタスクに取り組みやすくなり、チームの生産性向上にもつながります。
タスク管理におすすめのツール・アプリ
最近ではテレワークが増えたこともあり、オンライン上でタスクを管理できるツールやアプリが増えています。今回は、代表的なタスク管理ツールをご紹介します。
Jooto
40万人以上の利用実績を誇るJootoは、有料プランだけではなく、無料プランがある点が特徴です。あらゆる組織やチームに対応できるよう設計されているため、タスク管理はもちろん、案件進捗管理やメンバーの業務を一覧化して管理するといった、管理者向けの使い方をすることも可能です。
タスクの進捗がひと目でわかるほか、タスクに対するコメント機能があるため、チーム内での細かなタスク確認をJooto上で完結させることができます。
Backlog
プロジェクト管理を行うBacklogは、プロジェクトに紐づいたタスクを管理することに向いています。一人ではなく、チームやプロジェクトで利用することに適したタスク管理ツールです。
タスクはガントチャートで一覧化されるため、無駄な操作なくわかりやすくタスクを可視化することができます。タスクに要する時間を管理することが苦手な方におすすめです。
Trello
ただタスクを管理するだけなく、タスク管理ツール上でコミュニケーションを取るように管理したい方におすすめなのがTrelloです。タスクの中でも、開発などのタスク管理に適したツールとなっています。
タスクを感覚的に整理できるため、直感的な操作でタスク進捗を管理したいと考える方に向いています。タスクそれぞれに対して、気軽なコミュニケーションを行うことが可能です。
自分に合ったタスク管理方法を見つけることが大切
タスクマネジメントを上達させるためには、自分に合ったタスク管理方法を見つけることが大切です。個人やチームなど、タスクの関係者に応じて適切なタスク管理方法は異なります。さまざまな人との関わりの中で、それぞれが編み出したタスク管理方法を確認しながら、自分のタスク管理に生かしていくのもよいでしょう。
現時点でタスク管理が苦手だという方は、本日ご紹介したポイントをもとに、明日からのタスク管理を実行してみてはいかがでしょうか。タスク管理がうまくいかない場合には、何か見落としているポイントがあるのかもしれません。ぜひさまざまなタスク管理方法やタスク管理ツールに目を通し、もっとも管理しやすい方法を見つけてみてください。
<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>
タスク管理に関するQ&A
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