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企業活動のすべてが採用広報につながる【プレスリリース事例を徹底解説10選】|前田梨沙

採用を取り巻く環境は常に変化し、この数十年の間に、年功序列賃金、終身雇用という言葉は耳にしなくなりました。それでも、企業は依然として経験社数を重視し、成果を基にした転職が主流の時代が続いていたのも事実です。

しかし、この5~10年で働き方は大きな転換期を迎え、働き手が仕事を選ぶ軸や仕事に対する価値観が多様化したことで、転職に対する風潮も変わってきています。その結果、従来の採用活動では、企業が求める人材の確保は極めて難しく、課題に感じている方も多いのではないでしょうか。また、2024年、有効求人数や新規求人数は高い水準を維持しており、企業にとって採用難度が高い状況が続くことが予想されます。

そこで、企業としての姿勢を伝えること、潜在的な転職意向者を含め長期的な目線でコミュニケーションを図り、関係性を構築していくことが重要となってきます。

本記事では、スパイスファクトリー株式会社で広報PRを担う前田 梨沙氏に採用広報の重要性を成功事例を交えて解説いただきました。

スパイスファクトリー株式会社

前田梨沙(Maeda Risa)

愛知県出身。製造業、飲食業、エンタメなどBtoB〜BtoCまで様々な分野のPR経験を経て2023年3月にDX支援企業であるスパイスファクトリー株式会社に入社し、Public Relationsを担当。これまでのキャリアの中で営業企画・マーケティングなどの経歴も持つ。採用広報からメディアリレーションズ、幅広いPRスキルを活かして副業でも2社広報支援をしている。

中長期的に取り組む採用広報に着目

採用広報という言葉は、数年前にはトレンドワードとして取り上げられていましたが、今では採用人事や広報施策として広く認知されています。少子高齢化が進み、人手不足に悩む企業は依然として減ることがありません。そのため、採用課題は多くの企業にとって深刻な問題として定着しつつあります。そんな状況を打破すべく、経営者が「当社も採用広報をしたほうがいい」と考えることもあれば、広報PR担当者や人事担当者が「採用広報をしたほうがいいのではないか」と漠然と考えるケースも多いのではないでしょうか。「何とか情報発信を増やしているけど、本当にこれでいいのか……」と悩んでいる方や、「何をしていいのかわからない」という声も多く聞かれます。

この記事では、Public Relations(パブリック・リレーションズ)の視点と、各企業のプレスリリースの事例10選をもとに中長期的に取り組む採用広報について紐解いていきます。記事を通して、読者の皆さまが採用広報について新たな気付きを得て、明日からの広報PR活動を前進させるきっかけになることができれば幸いです。

採用広報は求める人物との関係性構築

採用広報について『PR TIMES MAGAZINE』では、

採用広報の役割は、自社の求める人物像や人材に、自社を就職先として選んでもらうための関係構築を行うことです。自社で働く具体的なイメージが持てるよう、ビジョン・ミッションをはじめ、社内の雰囲気や現場の社員の声など自社の魅力を発信していきます。ターゲットは、就職や転職を希望している人に限りません。潜在的な採用候補者との関係構築も役割に含まれます。採用広報は、就職や転職を考えていない層の興味も引くような情報発信の役割を担っているのです。

引用:採用強化のキー「採用広報」とは?具体的な5つの施策、実施する際のポイントを紹介

と解説しています。

採用広報を実施するとき、多くの企業はまず、現在転職活動や就職活動を行っている方々に向けた直接的な情報発信を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、採用広報の説明にもあるように、採用広報におけるターゲットは幅広く、潜在的な採用候補者との中長期的な関係構築も必要です。潜在的なステークホルダーとの関係性を構築し、企業文化や価値観に共感してくれる方との出会いやつながりを持続的に増やしていく必要があります。

企業活動すべてが採用広報になる、Public Relationsの視点を大切に

この記事の解説においては採用広報の情報発信の範囲を、採用目的のブログやWebサイト、イベントなどに限定せず、企業から発信されるすべての情報を対象としています。なぜならば、企業活動のすべてが採用広報につながるからです。

企業活動のすべてが採用広報につながるという考え方が欠けてしまっていると、採用広報を行ううえで機会損失を生み視野を狭めてしまいます。一つひとつの情報発信や行動に企業文化、姿勢、価値観、メッセージを織り込むことができるからです。それらが継続的に情報として積み重なることで「〇〇株式会社はこういう会社なんだ」という認知や共感が形成されていきます。

そのためには、Public Relationsの視点、そして広い視野が必要です。企業(または組織)にとって大切なステークホルダーとより良い関係を築くことがPublic Relationsの役割です。その対象の範囲には、採用候補者や未来の採用候補者も含まれます。そして今の時代は、あらゆる情報通信サービスが進化し、いつでもどこでもつながることができて、出会える時代。情報発信によってつながる誰もが、採用候補者になる可能性があるのです。

企業を取り巻くステークホルダー

採用広報の情報発信で気を付けたいリスク・注意点

ここでは採用広報を行うにあたって、気を付けたいリスクについて紹介していきます。客観的に自社を見ることを常に意識して情報を発信するように気付けましょう。慣れてしまうとどうしても中からは気付きにくい場合もあるので、第三者にチェックしてもらうと良いでしょう。社内で文章作成や情報発信におけるガイドラインやセルフチェックシートをつくるのもおすすめです。

特に、やってしまいがちな注意点を3つ紹介します。

1.ある日を境に突然止まっている情報発信

情報発信が急に止まっていると「会社の状態は大丈夫なのか」「組織状態が悪いのか」と疑念を持たれるきっかけになります。採用面談中に口頭で伝えている取り組みも、会社公式として発信していないことが多い場合、事実の整合性が取れないため正確な情報としてみなされにくいでしょう。

2.ミッション、ビジョン、バリュー、パーパスから外れた情報発信

共通の価値観や行動、言葉が見えないことで「この会社は何がしたいんだろう」と認知形成が固まらず、企業認知や共感が得られない可能性があります。また、企業文化や価値観に合わない人材からの応募につながってしまい、入社後の早期退職や転職の可能性が高くなります。

3.社会背景や社会情勢を考慮しない情報発信

多様性への配慮、社会の課題、歴史的な背景などを考慮しない情報発信は、読む人や見る人を時に傷つけてしまうこともあります。情報の受け取り手を傷つける結果になった場合、信頼の回復が難しくなる、または、時間がかかるでしょう。また、ネガティブな情報ほど広がるのが早いのも特徴です。

<おすすめの対処法>
慣れてしまうと、客観的に見られずに気付きにくい場合もあります。社内のメンバーでもいいので第三者にチェックしてもらうと良いでしょう。文章作成や情報発信におけるガイドラインやセルフチェックシートをつくるのもおすすめです。

各企業事例を採用広報の視点で、プレスリリース徹底解説10選

採用広報をPublic Relationsの広い視野で見たときに特に注目したいのは「情報の透明性」「一貫性のある行動」「社会とつながり」この3点です。ここからは、その3点に着目して各企業のプレスリリースにおける情報発信の事例を採用広報の視点で解説していきます。

※一般的な情報の受け取り手としてあくまで寄稿者個人の分析視点です。各企業広報PR担当者に直接聞いたわけではありませんので、ご了承ください

人事・組織変更・オフィス移転などの発表

1.経営体制の刷新:株式会社スープストックトーキョー

  • 社長交代、新社長就任にあたり丁寧に創業からの成り立ちを丁寧に説明していることで初めて見た人でも着実に成長してきた会社であることが伝わる
  • 「ミッション」「ミッションに関連するキーワード」を使いながら伝える文章が多く含まれており「らしさ」を表現している

上記2点が伝わることで、「一貫性のある行動」が伝わり企業文化やミッションへ共感する人材との出会いにつながります。株式会社スープストックトーキョー「らしい」暖かな言葉の表現がちりばめられているのが特徴的です。さらに、経営者が目指す方向性がわかることで、「情報の透明性」を高め企業理解を深めるための材料になります。また、採用候補者はコーポレートサイトやオウンドメディアなどさまざまな場所から情報を収集しています。ミッションや自社「らしい」言葉の紡ぎ方を定義し、戦略的にブランディングしていくことは実は簡単なことではありません。

参考:スープストックトーキョーが経営体制を刷新。2024年4月1日付で取締役の工藤萌が社長に就任します。

2.オフィスの拡張移転:スパイスファクトリー株式会社

  • 社会の動向を捉えている
  • 写真や画像はイメージできるように多く掲載している
  • 企業独自のカルチャーと、働き方の取り組みを盛り込んでいる

コロナ禍を経て、オフィス回帰を選ぶ企業が増え、働く場所としてのオフィスの在り方やコミュニケーションの課題を抱える企業が増加していました。それに伴い、関連する報道も増えています。そんな中、環境や従業員の働きがいなど「サステナビリティ」を考慮した企業の姿勢もトレンドとなっています。メディアに掲載されることで、採用における潜在層への認知拡大も図ることができます。コミュニケーションを触発するオフィスの設計が「一貫性のある行動」と「社会とのつながり」として伝わることで、長期にわたり関心を集め、複数のメディアで取り上げられました。

採用候補者にとって、オフィスの情報は働く場所を選ぶ重要な情報源です。写真や画像を多く掲載することで、「情報の透明性」が高まり、具体的に情報を伝えることができます。拡張移転・移転は「事業成長性」を伝えられるチャンスです。

参考:コミュニケーションを触発するオフィスへ「トレードピアお台場」にスパイスファクトリー本社を拡張移転

企業の方針・レポートの発表

3.カスタマーハラスメント方針発表とテンプレートの公開・配布:株式会社ヌーラボ

  • 社会課題に対して、ブランドメッセージに一貫性した行動をしている
  • 他者にも再現性のある有益情報を提供している
  • 発表に対する反響や社会の声を拾い、双方向の情報コミュニケーションを実現している

Public Relationsとして社会課題に寄与し、情報をきっかけに「社会とのつながり」をつくっている素晴らしい一例です。株式会社ヌーラボが「カスタマーハラスメント」(以下、カスハラ)に関する発表を行ったのは2020年6月1日です。大企業に向けて施行された労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)に合わせた発表であり、社会動向を捉えた動きと言えます。さらに、2023年12月13日の改正旅館業法の施行に合わせて、ヌーラボはカスハラ方針文のテンプレートを公開・配布することを決定しています。この情報は多方面から関心を集め、多くのメディアで取り上げられました。

カスハラ対策は、働き手の尊厳を守り、安心して働くことのできる環境を整えることで、会社の成長を支えていく重要な取り組みです。採用候補者に対して、会社の方針発表や関連する取り組みが伝わることで、安心や信頼を醸成します。株式会社ヌーラボは「“このチームで一緒に仕事できてよかった”を世界中に生み出していく。」というブランドメッセージを掲げており、働き手を守る「一貫性のある行動」を取ることで、企業文化に共感する人材との出会いにつながりそうな情報発信です。

参考:ヌーラボ「カスタマーハラスメントへの対応に関する方針」のテンプレートを公開・配布誰でも自社の方針策定ができるようノウハウを共有

4.「政策共創」事例のインパクトレポートを公開:株式会社PoliPoli

  • インパクトレポートの公開で、事業の社会的影響を数値や解説で可視化している
  • CEOのメッセージで公開の背景を丁寧に説明している
  • 初めての取り組みとしてβ版から公開している

初めての取り組みを迅速に世の中に伝えることができること、そして事業情報がまとまったレポートを公開することは、「情報の透明性」を高めるために非常に有効です。社会的影響を数値で可視化し、事業を通じた事例を掲載することで、採用候補者が「社会とのつながり」を理解しやすくなります。

情報洪水の時代において、情報を整理して提供することは採用候補者にとって重要です。インパクトレポートが公開され、企業を理解するための重要な情報が一元的にまとめられていることで、ほかの企業と比較して深い理解を得やすくなります。

参考:「政策を共創するためのプラットフォームをつくる」株式会社PoliPoliがインパクトレポート(β版)を公開

多様な働き方

5.週休3日制導入:スター食堂株式会社

  • 飲食業界の課題と、働き方改革の背景を丁寧に説明している
  • 歴史の長い企業でありながら、今の時代にあった働き方を柔軟に取り入れる挑戦の姿勢、企業文化が見える
  • 働き手の顔がみえる写真を多く掲載している

働き方に関する情報発信は、自社が属する業界課題や社会の動向を捉えることで「なぜ、私たちが取り組む必要があるのか?」を伝えることができます。その情報の中で、大切にしている企業文化や働き方に関する姿勢において「情報の透明性」を高めることができ、採用候補者に「働く場所」として認知してもらいやすくなります。スター食堂株式会社の場合には、創業から歴史の長い企業が業界内でも先駆けて時代に合った新しい働き方を取り入れていることで、「挑戦」する企業文化があることがよく伝わってきます。

さらに、こういった働き方関連のプレスリリースでは、写真や動画を活用することで「人が見える」とよりイメージが湧きやすくなります。また、柔軟な働き方は採用後の定着率やエンゲージメントにも寄与します。

参考:大正14年創業、京都の外食企業「スター食堂株式会社」が週休3日制導入!!

6.産前休暇”前”に最大20日有給特別休暇を取得できる「プレママ・パパ制度」:スパイスファクトリー株式会社

  • 従業員の子育て世代増加の可能性を見越した、サステナブルな制度設計を伝えている
  • こども家庭庁発足から数カ月後、共働き世代の増加を受けた社会動向に合わせている
  • 制度に賛同する企業が合同で情報発信している

行政の制度だけでは時に不足がある場合には、民間企業が自ら従業員とともに「子育て」しやすい社会をつくっていくという「社会のつながり」を形成する情報発信です。賛同企業と合同で情報発信することで、制度における需要がある事実を訴求。また、実際に制度を利用した従業員のコメントを掲載することで、制度の活用イメージも具体的に伝えることができます。これから家族が増える採用候補者や、その予定を考えている方に共感を得られる内容です。制度発足後、利用実績や利用者の声を定期的に集めておくことを忘れないようにしましょう。

また、新しい働き方を導入するには、情報を発信する以前に会社としてルールや規程を整備するなど、さまざまな関係者の協力が必要です。例えば、「変更になっている内容が違った」などとならないように、情報発信前に念入りな制度内容の事実確認を行いましょう。

参考:「つわりや妊婦健診でも休めない」をなくす、育児休業給付金の課題に対応した「プレママ・パパ制度」を導入

7.花粉時期の生産性最大化を目的として、メンバーに最大20万円を支給する「Tropical Escape」実施:アイザック株式会社

  • パーパスに基づいた制度設計をしている
  • そのほかの制度も一覧にして合わせてに掲載している
  • 働き手の顔や活用シーンが見える写真を掲載している

生産性高く働くことを目的に、「ただアイザックが楽しいから」と、生涯働き続けられるような場所を創っていきたいと考え「全ての挑戦者が、生涯働きたいと思える場所を創る」というパーパスに基づいて設計されている、この制度の情報発信には学ぶべきことが多いです。花粉症は2人に1人が発症する国民病ともいわれるほど多くの人々が悩む日本において、共感が多く、「社会とのつながり」を感じさせる情報です。

また、情報発信が行われた2月は、ちょうど花粉症が始まるタイミングであり、季節の社会的なトレンドでもあります。そのため、多くのメディアの関心を集め、ワシントンポストなど海外メディアからも注目を浴びました。

「トロピカルエスケープ」というキャッチーなネーミングも、人々の記憶に残りやすく魅力的なポイントです。花粉症をも味方にし、挑戦者たちの「無邪気な好奇心」を後押しするという文章がプレスリリース内にありますが、あくまで働き方に徹底した内容であることも「一貫性のある行動」として伝わりやすいポイントです。「楽しそう」というのが素直に伝わってくる「情報の透明性」も、採用広報として効果的であるプレスリリースの事例です。

参考:花粉さえも味方に。アイザック株式会社が花粉時期の生産性最大化を目的として、メンバーに最大20万円を支給する「Tropical Escape」を2024年も実施

8.社員が給与額を自分で提示する「自己申告型報酬制度」の導入:側島製罐株式会社

  • ミッションに基づいた制度設計と賃上げを表現している
  • 真剣に議論している様子が見える写真を掲載している
  • 「現代の閉塞感のある仕事観に一石を投じる」という挑戦のメッセージがある

創業117年の老舗缶メーカー、側島製罐株式会社は「世界にcanを」というミッションを掲げ、「人の想いに正面から向き合い、自らの手で人や社会を幸せにすること」というその想いに基づいた制度設計になっています。このように、「一貫性のある行動」が見られる企業の取り組みは、信頼性を高めます。また、実際にさまざまな働き方や制度設計、組織開発の取り組みの結果として「賃上げ」を実施していることも、「社会とのつながり」として大きな訴求点です。特に中小企業における賃上げは、現在の国の重要な取り組み事項でもあります。

ただ挑戦することを伝えるだけでなく、自社や社会の課題を捉えながら情報を発信することで、「なぜ、この取り組みが必要なのか?」という現実的な制度運用イメージを伝えることができ、特にメンバーが議論している様子の写真からは試行錯誤しながら真剣に取り組まれていることが伝わってきます。

この挑戦する姿勢に共感し、「新しいことに一緒に挑戦したい」と考える方との出会いを促進する事例です。採用候補者にとって、報酬や働き方が良い方向に変化していく可能性があることは、応募意欲の向上につながります。

参考:【老舗中小企業の覚悟】年間約1000万円の給与総支給額アップ!社員が給与額を自分で提示する「自己申告型報酬制度」の導入で上意下達な中小企業の文化を変える社運を賭けた挑戦。

社会貢献・ダイバーシティ

9.障害のある人のための災害情報を届ける活動「#障害者を消さない」を始動:株式会社ヘラルボニー

  • 石川県能登半島地震からたった二日後に情報公開する迅速さがある
  • 事業やミッションに関連した一貫性のあるメッセージの発信と行動を表現している
  • SNSキャンペーンで、本当に必要とされる情報を社会から広く収集する工夫がある

石川県能登半島地震からたった二日後に行った迅速な情報公開は、ほかの追随を許さないほど「一貫性ある、強い行動力」として現れています。株式会社ヘラルボニーは、「異彩を、放て。」をミッションに掲げる福祉実験カンパニー。さまざまな形で「異彩」を社会に送り届けることで、「障害」のイメージを変え、80億人の異彩がありのままに生きる社会の実現を目指しています。震災直後から障害のある方に、本当に必要とされる情報をSNSを活用した双方向のコミュニケーション活動で、迅速かつ広く収集する工夫なども凝らしています。

ヘラルボニーのPublic Relationsの活動は、「社会とのつながり」をつくり、その情報に接する方々が「一緒に働きたい」と思うひとつの動機になる可能性があることは想像にたやすいです。それは、真っ直ぐな想いと行動の積み重ねの結果に生まれる「関係性構築」の形です。

参考:ヘラルボニー、障害のある人のための災害情報を届ける活動「#障害者を消さない」を始動

10.障害者週間にあわせて“働く環境のアクセシビリティ”をテーマにしたスペシャルムービーを公開:株式会社SmartHR

  • 「仕組みで解決できることを、やさしさで解決しない。」という企業メッセージを表現している
  • 動画のテーマについて丁寧に説明している
  • 改正障害者差別解消法施行4ヵ月前、障害者週間に合わせて公開している

改正障害者差別解消法が2024年4月1日から施行され、事業者の合理的配慮の提供が義務化。その事象に対する入念な準備と計画をもとに実行された施策であることが窺えます。このプレスリリースは2023年12月に発信されており、施行の4ヵ月前に「アクセシビリティに、何か取り組まなければならない」と漠然と感じていた人々に気づきを与えたのではないでしょうか。最近のプレスリリースでは、文章だけでなく、動画や画像での訴求も増えています。情報を届けたい相手に「伝わる」ことを目的に考えたときに、適切な手段を選ぶことがポイントです。

SmartHRは、労働にまつわる社会課題をなくし、誰もがその人らしく働ける社会の実現を目指し、働くすべての人の生産性向上を後押ししています。この施策は、多様な採用候補者や既存従業員とが一緒に働くうえでの共通認識をつくるのに役立つだけでなく、アクセシビリティに関する社内外の理解促進や新たな気づきを提供するコミュニケーションツールとしても、Public Relationsの視点を感じさせます。また、ウェルビーイングアクション実行委員会が主催する「ウェルビーイング・アワード2024」の活動・アクション部門でGOLD賞を受賞しています。中長期的な採用広報の視点からも、多くの人に見てほしい情報です。

参考:「職場に必要なのは、あなたのやさしさです?」
参考:アクセシビリティ発信プロジェクトがウェルビーイング・アワード2024「活動・アクション部門」にてGOLD賞を受賞 

まとめ:採用広報、継続は力なり

いかがでしたでしょうか。あらためて読んでみると、各企業のプレスリリースから企業文化や想いが伝わってきて、この情報発信がされるまでに「どんな経緯や、沢山の人の想いがあったのだろう」と裏側を想像して、深く考えてしまいました。採用広報は、継続的な情報や行動の積み重ねで採用候補者の認知形成をつくっていく活動です。

それでは、最後におさらいとして、採用広報のポイントをまとめてお伝えします。

  1. 自社の企業文化やブランディングを含め、「どんな人と一緒に働きたいのか」をよく理解しましょう。
  2. 「何を大切している企業なのか」ミッションやビジョン、目的に沿って発信していきましょう。
  3. 事業活動に関する情報は、「透明性高く」「一貫性のある行動」を継続的に発信して「社会とのつながり」をつくっていきましょう。
  4. 社会動向や社会課題に着目しましょう。
  5. Public Relationsの広い視野を持ち、より良い社会を一歩ずつみんなでつくっていきましょう。

これを読んだ皆さまが、明日からの採用広報を前向きかつ創造的に取り組んでいけることを願っています。

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