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「熱意」と「ビジュアル」で読み手の心を動かす情報発信|青木被服×山陽新聞社×岡山経済新聞×菅公学生服

PR TIMESは、広報PRに関する学びと交流の場「そこで、PRゼミ!」を2022年10月より全国で展開しています。第2回となる「そこで、PRゼミ!さぁ岡山」は、2022年10月27日(木)に岡山市で開催されました。

当日は、「売り上げが伸びている企業の取り組みが知りたい」「もっと多くの人に自社の商品を知ってほしい」「広報PR活動を始めたが効果がない」など、さまざまな目的や課題を持つ地元企業の担当者が集まりました。

イベント前半の第一部では、日本全国・海外15カ国にジーンズを中心としたファッションブランドを展開している青木被服株式会社の青木俊樹さんが「デザイナーであり、経営に携わる自身が今でも自分の言葉で伝える理由」をテーマに登壇。

後半の第二部は、「取材したくなる『人』と『企業』」をテーマに、株式会社山陽新聞社、菅公学生服株式会社、岡山経済新聞を交えた4社によるトークセッションが繰り広げられました。

第一部 海外からも高い評価を得る岡山発・アパレル企業の情報発信

第一部は、岡山県の北部・井原市に本社を構え、デニム製品で国内外から高い評価を得ている青木被服株式会社の専務取締役・青木俊樹さんが登壇しました。

青木被服株式会社 専務取締役

青木俊樹(Aoki Toshiki)

岡山県井原市出身。関西外国語大学卒業後、大手アパレル勤務。その後渡英しロンドン芸術大学に留学。在学中、2010年に自身のブランド「FAGASSENT/ファガッセン」を立ち上げヨーロッパを中心にデニム主軸のコレクション展開をスタート。長渕剛 /稲葉浩志(B’z)/TAKA(ONE OK ROCK)等のステージ衣装を手がける一方、「青木被服」オリジナルラインでは地元岡山企業とのコラボレーションを強化中。

ロンドンで学んだファッションデザイナーでもある青木さんは、「FAGASSENT」「DENIM KIMONO」などヨーロッパ市場に向けた複数のブランドも展開。長渕剛さん、Guns N’ Rosesなど国内外の著名アーティストの衣装制作も手がけています。

青木さんは、多忙の中自らプレスリリースを執筆するなど、広報PR活動にも力を入れています。

その理由について、「感動を与えたい、共感してもらいたいという想いが根底にあり、その想いを自分の中で掘り下げていくのがデザイン、人に向けて発信するのが広報PR活動。どちらも本質的には同じ『クリエイション』だと捉えている」と語りました。

そこで、PRゼミ!さぁ岡山①

岡山を拠点とする青木被服の製品がグローバルに受け入れられている背景には、製品の品質にかけるのと同じ熱量で、経営者が自ら「情報発信」にこだわる姿勢がありました

青木さんの広報PRに関する取り組みや考え方について詳しく知りたい方は、こちらのインタビュー記事を読んでみてください。

第二部 メディアが取材したくなる「人」と「企業」

第二部では、青木被服株式会社の青木さんに加え、同じく岡山県のアパレル企業・菅公学生服株式会社から広報PR担当の谷岡美樹さんと柄川麻紀さん、株式会社山陽新聞社から臼杵正純さん、岡山経済新聞から松原龍之さんが登壇。

「メディアから見た取材したくなる『人』と『企業』」をテーマにトークセッションが行われました。

株式会社山陽新聞社 ビジネス開発局新事業推進部 副部長

臼杵正純(Usuki Masazumi)

1995年、山陽新聞社に記者職で入社。福山支社(広島県)、社会部、整理部、高松支局(香川県)、デジタル編集センターなどを経て2019年12月にビジネス開発局IT企画開発部副部長。21年3月から同局新事業推進部副部長。岡山大学病院で行われた国内初の生体肺移植手術(1998年)のほか、環境行政に大きな影響を与えた香川県・豊島(てしま)の産業廃棄物不法投棄問題を取材した。(2022年10月現在)

岡山経済新聞 編集長 

松原龍之(Matsubara Tatsuyuki)

2012年に地元岡山へUターン。家業の不動産会社「富士土地」に入社。現在、常務取締役。2014年から同媒体の編集長に就任。ゴミ拾いボランティア、北長瀬の公園活用、高梁川流域での地域人材の育成、倉敷市のSTOP温暖化、ひとり親家庭など貧困支援、耕作放棄地を使った農業など地域と暮らしについて活動する。

菅公学生服株式会社 カンコーブランディング室

谷岡美樹(Tanioka Miki)

岡山県出身。ノートルダム清心女子大学卒業。2002年、尾﨑商事株式会社(現:菅公学生服)へ中途入社。社長室、経営企画室を経て2015年よりカンコーブランディング室で秘書業務と兼務で社内外広報を担当。プレスリリースの作成やSNS運用、社内報編集等を行っている。好きな制服はセーラー服。昭和レトロ好き。

菅公学生服株式会社 マーケティング室

柄川麻紀(Karakawa Maki)

岡山県出身。就実大学卒業。2016年中途入社。カンコーブランディング室でお客様相談室、社内外広報業務を経て、2019年よりマーケティング室にて広報・PR担当。プレスリリースの作成、PR企画、イベント運営などを行っている。好きなアイテムはチェックのボウタイリボン。canonのカメラを愛用。

取材につながる情報発信のポイントとは

第一部のトークテーマであった「自分の言葉で語ること」を受け、山陽新聞社・岡山経済新聞のお二人から、取材したくなる情報のポイントについてお話がありました。

共通していたのは以下の2点です。

  • ストーリー性が感じられるか
  • 画像の量・質(わかりやすさ)がそろっているか

1つ目の「ストーリー性が感じられるか」について、山陽新聞社の臼杵さんは「記者は表面的な現象ではなくて、『なぜそれをしたのか』というところを取材する。個人的なエピソードが入っているなど、ストーリー性があって熱量の高いプレスリリースは、ちょっと取材してみようかなと直感的に思ってしまう」と言います。

続いて岡山経済新聞の松原さんも、「プラスの情報として個人的なエピソードなどが入っていると、『この商品って●●らしいよ』など、ほかの人に話したくなる。Webメディアは紙媒体と違って文章の長さに制限がない分、そういった『ほかの人にも教えたくなるような情報』を取り上げられるかどうかが肝」と同意しました。

紙メディア・Webメディアを問わず、情報における「ストーリー性」が重視されています。

そこで、PRゼミ!さぁ岡山②

2つ目の「画像の量・質(わかりやすさ)がそろっているか」について。松原さんは、「Webメディアにはいろいろなバリエーションの写真が必要。プレスリリースに写真が複数掲載されているとありがたい」と、画像の枚数について言及しました。

一方、臼杵さんは、紙の新聞では「1枚の写真の中にニュースが全て詰まっている写真がいい写真」という記者の共通認識があると話します。

例えば、「有名な映画監督が映画に関する大きな賞を取った」という場合、

  • 喜んでいるという感情(監督の笑顔など)
  • 授賞式であるという状況(表彰状や受賞のトロフィーなど)
  • 登場人物たちの関係性(そばに主役を演じた俳優がいるなど)

といった要素が1枚に盛り込まれているとベストだそう。

情報発信を行う際は、写真などビジュアルにこだわり抜く姿勢も、取材を呼び込む重要な鍵となるようです。

記者の目に留まったプレスリリースの事例3選

では、山陽新聞社の臼杵さん、岡山経済新聞の松原さんから見て、実際に記事にしたくなるのはどのようなプレスリリースなのでしょうか。

記者の目に留まった理由を交えながら、菅公学生服の谷岡さん・柄川さん、青木被服の青木さんが語った各プレスリリースのポイントや背景について紹介しました。

事例1.担当者の想いを伝える、ストーリー性の高いプレスリリース

菅公学生服が全国の公立中学校へ「LGBTQの生徒への配慮」を調査し、その結果をプレスリリースで発信したプレスリリースについて、臼杵さんは「担当者の想いがしっかりと書かれている点に熱意を感じ、非常に心が揺さぶられる」と評価しました。

菅公学生服の柄川さんは、こちらのプレスリリース内に「担当者の想い」をコメントとして記載した理由を「ただの調査ではなく、背景には『すべての生徒さんにより良い学校生活を送ってほしい』という想いがあることを伝えたかった」と話しました。

また、同社は「花粉の中のタンパク質を分解し無害化する」という技術を搭載した制服・体操服の発表会のプレスリリースにも、社長のコメントを掲載。「社長自身が20年以上花粉症に悩まされている」というエピソードを通じて、少しでも記憶に残るよう工夫しています。

そこで、PRゼミ!さぁ岡山③

事例2.「地域性」「意外性」を盛り込み、思わず人に話したくなるプレスリリース

松原さんが挙げたのは、青木被服の岡山・美星町の星空をイメージしたデニムバッグに関するプレスリリース。藍色のコントラストがあるデニム生地を使ったバッグは、ただその商品を見せるだけでは「きれいだな」という感想で終わってしまいます。

そこに、さらに「美星町の星空をイメージしている」という「地域性」や「意外性」などの要素が加わることで、思わず誰かに「こんな商品があって……」と話したくなる。そういったプレスリリースは、記者としても記事にして拡散したくなると話しました。

青木さんによると、プレスリリースの画像にこだわったのもポイント。商品ができるまでの過程や困難をドラマとして見せることで商品がより感動的で魅力的なものになると考え、製造過程や工場の写真をプレスリリースに掲載しています。

事例3.写真がもたらすインパクトの重要性を示すプレスリリース

さらに、メディア関係者の立場から「惜しい」と感じるプレスリリースについても言及がありました。

菅公学生服の「オンライン工場見学」に関するプレスリリース。学校と同社の工場を繋いで、生徒さんにオンラインで工場見学をしてもらうという取り組みです。

メインとなるトップの画像では体育館に並んで座っている学生たちの後姿が写っているのですが、「工場見学をしている」という様子が一目でわからず、ややインパクトが弱くなってしまっています。

菅公学生服の「オンライン工場見学」に関するプレスリリース

臼杵さんからは、「この写真で何を伝えるのか」という目的を写真を撮る段階から考えてみてほしいとアドバイスがありました。

菅公学生服の谷岡さんは、「広報PR担当者が現地に行けず、営業担当者に写真を撮ってもらったが、できるだけ事前に広報側でシミュレーションして要望を具体的に伝えるべきだった」と話しました。

自社の魅力を伝える情報発信の鍵は、「熱意」と「わかりやすいビジュアル」

第一部・第二部を通して、経営者が自ら情報発信を行うことによる効果や、メディアが取材したくなる「伝え方」についてナレッジが共有されました。

登壇者の方々が話した内容の中から、広報PR・情報発信に関する考え方のポイントを下記にまとめます。

  • 「商品の品質」と「商品に関する情報発信」は、方向性こそ違うものの等しく重要である
  • 情報発信の際は、担当者や経営者の熱意を伝えて記者の心を動かす
  • webメディア・紙メディアを問わず、「一目で伝えたい内容がわかる写真」が必要

これから情報発信に注力したい、情報発信をもっと効果的に行いたい、と考えている岡山県の企業の方々は、ぜひこうした点を意識し、行動されてみてはいかがでしょうか。

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この記事のライター

PR TIMES MAGAZINE編集部

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