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メディアが取材したくなる飲食店のプレスリリース|西日本新聞社×ファンファン福岡×資さん

全国で開催されることが決まった「そこで、PRゼミ!」。第一回となる「そこで、PRゼミ!さぁ福岡!」が2022年10月17日(月)に開催され、当日は「もっと多くの人に自社の商品を知ってほしい」「広報PR活動を始めたが効果がない」「売り上げが伸びている企業の取り組みが知りたい」など、さまざまな目的や課題を持つ方が130人が集まりました。

本レポートは、株式会社資さん代表取締役社長の佐藤崇史さんの講演レポート「年間売上100億円超、顧客数1500万人。8割が月内リピートするうどん屋の商品と顧客接点」に続き、西日本新聞社で昨年まで23年間新聞記者として活躍された西日本新聞社の富田慎志さん、グルメやイベントなど街ネタを生活者に届けるファンファン福岡で現在編集長を務めている竹若由里絵さん、佐藤さんによる鼎談をまとめています。

西日本新聞社 メディアビジネス局メディアプランニング部 部長

富田慎志(Tomita Shinji)

1998年、西日本新聞社に記者職で入社。宮崎総局、筑豊総局、報道センター、編集センター、東京支社報道部、地域報道部などを経て、2021年12月にメディアビジネス局メディアプランニング部次長。2022年8月から現職。記者時代は、主に政治、行政取材を担当。自民党幹事長番、福岡県政キャップなどを務める。2020年9月から21年11月まで、テレビ西日本(TNC)コメンテーター。趣味はスキー、囲碁・将棋、映画観賞。

西日本新聞社 ファンファン福岡WEB編集長

竹若由里絵(Takewaka Yurie)

兵庫県出身。九州大学文学部を卒業後、2010年株式会社西日本新聞社に入社。販売局 法人企画部、広告局 新聞広告営業部門を経て、2020年より現職。福岡のグルメ情報やお出かけ情報を発信する「ファンファン福岡」WEBサイト、防災情報を発信する「防災新聞」他、複数のWEBメディア運営に携わる。

株式会社資さん 代表取締役社長

佐藤崇史(Sato Takafumi)

広島県出身。1997年慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、ソニー株式会社、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)を経て、2006年株式会社ファーストリテイリングに転じ、経営変革/グループ戦略/人事/店舗運営/社長室等の責任者を歴任し、経営変革を推し進めた。2018年3月より北九州のソウルフード「資さんうどん」を運営する株式会社資さんの代表取締役社長に着任し、第二創業を牽引。現在に至る。

記者はどうやって情報収集しているのか

記事にする際に、記者はどのように情報収集しているのか伺いました。

西日本新聞社 記者歴23年富田慎志さんの場合

  • プレスリリースに目を通す
  • インターネットで検索する
  • 書店を回る
  • 管轄内の人と会って話を聞く

人と会って話を聞くのが新聞記者の取材の基本と語る富田さんもコロナ禍になり、オンライン取材やインターネットでの検索も増えたそうです。

ファンファン福岡編集長 竹若由里絵さんの場合

  • プレスリリースが掲載されているサイトを見る
  • 福岡市のおでかけ情報サイト、市役所設置のチラシを見る
  • SNSを見る
  • 会社や自宅周辺などを散歩する

竹若さんは、散歩をしてニューオープンなどの情報を得ることがあるそうです。また、発信されている情報を得るだけでなく、公式サイト、フリーペーパー紙面に情報提供・取材依頼フォームを設けるなど積極的に有益な情報を得られる環境をつくっています。

記者が記事にする際に見るポイント

二人ともプレスリリースから情報収集しているとのこと。毎日5〜15通、多いときは30通のプレスリリースを見て、取材活動につなげています。それでも、8割のプレスリリースは後回しに。発信する際は、いかに目に留めてもらうことが大切かがわかります。

新聞記者が見るポイントとして富田さんが挙げたのは、以下4点。

  1. 最新情報:新聞はニュースペーパーという名の通り、ニュースを載せるものである
  2. 内部情報・暴露情報:世に出ることのなかった特ダネにつながる可能性が高いものである
  3. 公益性・公益性のある情報:新聞の使命のひとつに社会正義の実現、不平等の解消などが挙げられ、その目的に資するもの
  4. 話題性・娯楽性のある情報:インターネットとの親和性が高く、読者の関心も高いもの

記者によって見る観点はさまざまですが、メディアフックとして取り上げている点と重なっています。

記者の目に留まったプレスリリース事例5選

では、富田さん、竹若さんから見て記事にしたくなるのはどんなプレスリリースなのでしょうか。記者の目に留まったポイントを交えながら、選ばれたプレスリリースの発信ポイントや背景について、佐藤さんに語っていただきました。

事例1.公益性・公共性が高いプレスリリース

富田さんが最初に挙げたのは、資さんこども基金設立のプレスリリース。取り組み自体が公益性・公益性が高く、関心度が上がっているSDGsに資する情報という点で最新情報、話題性という観点でも注目したそうです。

参考:株式会社資さんは、障がいのあるお子さまを支援する「資さんこども基金」を設立!実質自然エネルギー100%「ハチドリ電力」へ電力を切り替え、電気料金の1%、従業員・お客さまからの募金を福岡県へ寄付します!

【資さんのポイント】
資さんが企業の姿勢や取り組みを発信するのは、地域やお客さまとの信頼関係を、より深めるため。新商品や新店舗のプレスリリースに比べ、堅い印象になりがちなため、お客さまへ伝わりやすい表現を心がけ、少しでも興味を持っていただきたいという気持ちを込めています

事例2.意外性があるコラボレーションプレスリリース

生活者目線、生活に密着した情報を発信する竹若さんが注目したのは、「資さんうどん×めんべい」コラボレーションのプレスリリース。選んだ理由を3点挙げています。ひとつ目は福岡県民が大好きな資さんうどんと福岡県民が大好きなめんべい、福岡県民が必ず興味を持ってくれること。二つ目は「お土産」、福岡県外の方も興味を持ってもらえるのではないか、ということ。3つ目は、甘いぼたもち、辛いめんべいは「どんな味?」とTwitterなどSNSとの相性の良さでした。

参考:北九州のソウルフード「資さんうどん」と福岡⼟産の定番「めんべい」とのコラボレーション第2弾「資さんめんべい ぼた餅味」が満を持して登場!ついに完成した名物”ぼた餅”味の”めんべい”をぜひご賞味下さい!

【資さんのポイント】
他社とコラボレーションする最大のメリットは、自社のお客さまやメディアの方だけでなく、コラボレーション相手のお客さま、つながりのあるメディアの方に発信できることだと佐藤さんは語ります。今回の場合は、めんべいのファンで資さんのことを知らないお客さま、ラーメンや普段はほかのうどんファンのお客さまが「面白そうだからちょっと資さん食べてみよう」と思ってもらえることに期待。事例1「資さんこども基金設立」のハチドリ電力や県庁のように、通常であればアプローチするメディアがまったく異なる場合でも、この件をきっかけにほかのニュースで取り上げられました。

一方で大変な点も多々あり、そのひとつがプレスリリースのトンマナ(トーン&マナー)だそうです。企業によりトンマナが異なる中、それらをすり合わせながらもいかに資さんらしさを追求していく、ということを大切にしています。

事例3.読者にとっての「初」をニュースにした新規性のあるプレスリリース

富田さんが、新聞記者はやはり「初」に弱いというか敏感なんです、と取り上げたのは、宮崎県初出店のプレスリリースです。その地域にとっての初だけでなく、ぼたもち毎日500個サービスという限定感もポイントとして挙げました。

参考:待望の南九州・宮崎県初出店!北九州のソウルフード「資さんうどん」は、「資さんうどん都城川東店」を10/29(金)午前10時~グランドオープン!直前の10/26(火)からの3日間プレオープンを実施!

【資さんのポイント】
「初」のニュースはメディアに取り上げてもらえる一方で、「初」という新規性のある発表は、一度しか使えないもの。そんな中、資さんでは、その地域の人にとっての「初」をニュースにしています。

宮崎県を例にすると、前述の事例である都城という地域は九州の南方にあるため「南九州・宮崎県に初出店」、宮崎県2店舗目となる日向市に出店した際には「宮崎県北部に初出店」と打ち出しています。経済圏や生活圏が異なる場合、読者にとっての「初」となり、メディアにとっても生活者にとっても有益なニュースになります。

また、資さんでは新規性がないときに切り口を変えてニュースをつくっています。例えば、お彼岸になると毎年行うぼた餅の予約受付とプレスリリース発信。うどん屋がなぜぼた餅を販売するのかという背景や、ぼた餅がなぜ北九州で愛されているのかというストーリーを書いていたそうです。しかし、お客さまに伝わるものの、メディアには年々ニュース性が低くなってきて、取り上げられづらい。そんなとき、「ついに500万個突破しました」という従業員からの報告があり、「500万個販売突破」をメインのニュースとして、予約販売開始についてはあわせて発信。狙い通りに多くのメディアに取り上げられました。

参考:北九州のソウルフード「資さんうどん」の名物”ぼた餅”が、皆さまに愛され年間販売数500万個を突破!秋のお彼岸(9/20~26)に向けた予約受付も8/24(水)~開始します。ぜひご利用ください!!

事例4.季節性や時流に合わせたプレスリリース

竹若さんが次に着目したのは、ゴールデンウイークのタイミングで発表された「ぬりえキャンペーン」。休日前になるとどこかに行きたい、一方でどこに行けばいいんだろうという生活者の方が増えると言います。その中で「何日から何日まで(開催の日程)」「どこで(場所)」「こんなイベント(イベントの詳細)」の要点がまとまっている。さらに開催直前でなく、開催日よりも余裕を持って発信している点を含めすばらしいと評価しました。

参考:北九州のソウルフード「資さんうどん」は、4/23(土)~5/8(日)、お子さまを対象に「G.W.ぬりえキャンペーン」を開催!色塗りしたぼたくん&ぼたちゃん”ぬりえ”をお持ち頂くと「ぼた餅」プレゼント!

【資さんのポイント】
このプレスリリースには、お客さまとメディア以外に対するアプローチも含まれている、と佐藤さんは言います。イベントは、お客さまに喜んでいただけるし、メディアにも取り上げられる。しかし、それと同時に従業員には負荷がかかります。イベントを開催する背景、私たちの姿勢をお客さまだけでなく、従業員にも伝えることで「がんばろう」と奮起してもらうことも考えて発信しているそうです。

事例5.画像にこだわったプレスリリース

プレスリリースの大切な要素として画像があります。資さんでも画像にこだわったプレスリリースが多く、竹若さんの目にも留まりました。

参考:北九州のソウルフード「資さんうどん」に、3/16(水)~”牛とじ丼”に”海老天”・”トンカツ”・”鶏天”をマッチングさせた3種の”合い盛り丼”が登場!人気メニューの夢のコラボ丼を是非、ご賞味ください!

【資さんのポイント】
竹若さんが映えると評価したこの画像、実はかなりこだわって撮影したとのこと。メニュー写真はおいしそうに見えることはもちろん、店舗での再現性がないといけない。ここにギャップがあると、店舗に苦労をかけるだけでなくお客さまからの信頼を失いかねないため、何度も繰り返し撮影を行ったそうです。

メディアフックがつまったプレスリリース

今回の対談のテーマは、「資さんのプレスリリースはなぜメディアが取材したくなるのか」。富田さん、竹若さんが記者目線で選んだプレスリリースを軸に解説していただきました。

メディアが取り上げたくなる背景には、資さんがプレスリリースにかける想いや工夫、こだわりがあります。

  • 公益性・公共性があるプレスリリース:お客さまへ伝わりやすい表現を心がけ、想いを込めて信頼関係を深める
  • コラボレーションのプレスリリース:トンマナをすり合わせつつ自社らしさを追求する
  • 新規性のあるプレスリリース:読者にとっての「初」を大切に、新規性がないときはニュースをつくる
  • 季節性や時流に合わせたプレスリリース:イベントものは認知拡大だけでなく、社内の奮起につなげる
  • 画像にこだわったプレスリリース:メニュー写真はおいしそうに、かつ店舗での再現性を保つ

また、佐藤さんはメディアの方も生活者・お客さまと言います。店舗前ののぼりや店舗のメニュー、SNSから目に留まる場合もある。そんなときに、プレスリリースやオウンドメディアで新メニューの背景、こだわりなど深いストーリーを発信しておくとメディアの方が取材したい、と思ってくれるかもしれないと語っていました。

生活者・お客さま、メディア関係者、従業員。多方面に向け発信する資さんのプレスリリースは、「もっと多くの人に自社の商品を知ってほしい」「広報PR活動を始めたけど効果がない」「売り上げが伸びている企業の取り組みが知りたい」など、さまざまな目的や課題を持つ方の参考になったのではないでしょうか。

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この記事のライター

丸花 由加里

丸花 由加里

PR TIMES MAGAZINE編集長。2021年、PR TIMESに入社し、「PR TIMES MAGAZINE」、ご利用企業向けのコミュニティイベント「PR TIMESカレッジ」の企画・運営を行う。2009年に新卒入社した大手インターネットサービス運営会社では法人営業、営業マネージャーとして9年半、その後オウンドメディアの立ち上げに参画。Webコンテンツの企画や調査設計に携わる。メディアリレーションズを主とした広報を経て、現職。

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