口コミの重要性が高まる現代において、レビューマーケティングは有効な広報戦略の手法のひとつです。実際の顧客の声は、企業が発信するメッセージや広告よりも信頼性が増しやすく、潜在顧客に強い影響を与えます。
本記事では、口コミを活用した広報戦略のメリットや具体的な方法、成功事例を紹介しながら、企業がどのように口コミを広報PR活動に取り入れているかを解説します。口コミの力を活かした戦略作りの参考にしてみてください。
口コミを広報PR活動に活用するメリット
口コミを広報PR活動に活用することで、企業やブランドへの信頼性向上や自然な拡散が期待できるでしょう。生活者のリアルな声が第三者からの信頼性の高い情報源となりやすく、広告より説得力が増す可能性もあります。低コストで展開できるため、コストパフォーマンスに優れている点も魅力です。ポジティブな口コミの拡散やネガティブな口コミへの適切な対応が、企業やブランドの評判向上に寄与します。
企業やブランドへの信頼性が向上する
口コミは、実際に商品やサービスを利用した生活者の「生の声」であるため、潜在顧客層からの信頼性が高まりやすいのが特徴です。顧客のリアルな感想や評価は、第三者からの信頼性の高い情報源として受け取られるため、企業が発信する広告よりも説得力があるともいえるでしょう。
特に、ポジティブな口コミが広がることで、多くの人々が関心を持ちやすくなり、商品やブランドに対する注目や興味が集まりやすくなります。また、ネガティブな口コミに対しても、企業が真摯に対応する姿勢を示すことで顧客からの信頼を回復し、結果的にブランドの信頼性を向上させる機会にもなり得るでしょう。
口コミはブランドの評判を築く重要な要素となり、持続的な広報PR活動において大きな役割を果たします。
自然な拡散が期待できる
口コミは、企業が直接関与しなくてもSNSやオンラインレビュー、口頭で自然に広まる点が大きな強みです。満足度の高い顧客は、自発的にその良い体験をシェアすることが多く、その情報は信頼性の高い情報源として、新規顧客層への有効なリーチになり得ます。
口コミを促進するためには、顧客が体験を簡単に共有できる仕組みを整えることも重要です。例えば、ホームページ上のわかりやすい場所にSNSシェアボタンを設置することも有効です。
また、口コミを投稿してくれた顧客に対するポイント提供や割引などのインセンティブをつけて投稿促進を図るのもよいでしょう。UGC(ユーザー生成コンテンツ)をリポストしたり、インフルエンサーと連携して口コミの拡散力を高める戦略も検討できます。
広告と比較してコストパフォーマンスがよい
口コミを活用する広報戦略は、大規模な広告費を投じる必要がなく、低コストで実施できるのが大きなメリットです。広告は企業側が伝えたいメッセージを意図的に配信するのに対し、口コミは第三者からの推奨として受け取られやすく、信頼性が高いと思われやすいのが特徴といえます。
また、口コミは自然に広がる特性があります。オンライン上であればSNSやレビューサイト、オフラインでは口頭で情報が共有され、幅広い人々に短期間で届く可能性があるでしょう。広告出稿と比較すると、口コミの管理などにかかるコストは低いため費用対効果の高い広報戦略ともいえます。
口コミを従来の広報手法と組み合わせて活用する方法
口コミは、従来の広報手法と組み合わせることで信頼性や拡散力をさらに強化しやすくなります。プレスリリースや広告に顧客の口コミを引用することで企業のメッセージにリアリティを加え、説得力を強化できるでしょう。SNSキャンペーンやイベントで口コミを促進し、拡散力を活かすことも有効です。これらの方法を活用することで、企業やブランドの認知度向上と顧客ロイヤルティの強化が期待できるでしょう。
プレスリリースに口コミを掲載する
プレスリリースに実際の顧客の口コミやフィードバックを引用することは、企業の信頼性を高めるために効果的な方法のひとつです。企業側のメッセージだけでなく、顧客の「生の声」を紹介することで読み手にリアルな感覚を伝えることができ、共感や信頼を得やすくなります。
特に体験談を盛り込むことで、企業の商品やサービスがどのように実生活に役立つかを具体的に伝えることができるため、対象顧客層への訴求力が強まるでしょう。この方法は、企業が配信するプレスリリースの信頼性を向上させるだけでなく、より広範なメディアに取り上げられる可能性も高める重要な戦略ともいえます。
広告に口コミを取り入れる
広告に実際の顧客の口コミやレビューを引用することで、企業の信頼性を強化するだけでなく、他社との差別化を図ることができます。口コミは企業側からのアプローチとは異なり、第三者の意見として受け取られやすく、潜在顧客にとってはより説得力のあるメッセージとなります。
口コミやレビュー内容の引用は、オンライン広告、オフライン広告のいずれにも適用可能で、特に信頼性を重視する生活者に対しては効果的です。口コミを広告に組み込むことで、広告のメッセージがよりリアルになり、ブランドへの興味を高めることにもつながるでしょう。
口コミを活用したSNSキャンペーンを展開する
SNSで口コミキャンペーンを実施する際は、ハッシュタグの活用や、口コミをシェアすることで得られるインセンティブを提供することで広がりやすくなります。顧客に体験談をシェアしてもらうことで、新しい潜在顧客へのリーチにも期待できるでしょう。
また、シェアされた投稿やレビューなどを公式アカウントでリポストやリプライをすることで、顧客の口コミをさらに拡散できます。口コミの拡散力は非常に強いため、ブランド認知度の向上や新規顧客の獲得に大きく寄与するでしょう。
イベントや展示会で口コミを促進する仕組みを導入する
イベントや展示会で口コミを促進する際は、投稿者に特典やインセンティブを提供することで投稿促進効果が期待できるでしょう。SNS上でイベントや展示会の口コミを集めたい場合は、専用のハッシュタグを事前に設定しておくことで、投稿者は口コミをシェアしやすくなるうえ、投稿を見つけてもらいやすくなります。
同一のハッシュタグにおいての投稿が盛り上がることで、SNS上での大きな拡散も見込めるでしょう。イベント終了後に投稿者に対してリポストなどのフォローアップを行うことで、顧客ロイヤルティを高めやすくなるでしょう。
口コミを広報に取り入れるときの3つのポイント
口コミを広報PR活動に活用するには、顧客が投稿しやすい環境を整え、満足度の高い体験を提供することが重要です。また、広報PR活動の効果を正確に測定し、持続的に改善するためにデータを活用することも欠かせません。加えて、ネガティブな口コミに対しては迅速で誠実な対応を行い、ブランドの信頼性を維持することが大切です。これらのポイントを押さえて口コミを活用するのが、成功のポイントとなるでしょう。
ポイント1.口コミが生まれやすい環境を作る
口コミを自然に増やすには、顧客が簡単に口コミを投稿できる環境整備が重要です。例えば商品購入後にレビュー依頼メールを自動送信するシステムを導入したり、SNSへのシェアボタンをわかりやすい場所に設置したりすることで、口コミ投稿の機会を増やせるでしょう。
また、優れた顧客体験の提供も大切です。顧客自身が思わず体験をシェアしたくなるような満足度の高いサービスを提供することで、自然とポジティブな口コミが増えやすくなります。さらに、口コミ投稿に対してポイントや割引といったインセンティブを提供するのもよいでしょう。顧客に投稿のきっかけを与えることで、投稿数の促進につながるでしょう。
ポイント2.口コミを定量的に測定して、広報効果を測定する
口コミの効果を最大限に活用するためには、定量的にデータを測定することが不可欠です。SNSでのエンゲージメント数、レビュー数、平均評価などをKPIとして設定することで、広報PR活動の成果を客観的に把握できるでしょう。
また、特定のキャンペーンやイベント後には、口コミの増加数やメンション頻度などを追跡することで施策のインパクトを評価できます。このように定量データをもとにPDCAサイクルを回すことで、広報PR活動の効果を持続的に向上させられるでしょう。
ポイント3.ネガティブな口コミへの対応を決める
ネガティブな口コミへの適切な対応も重要です。ネガティブな口コミは無視せず、誠意を持って対応することがブランドの信頼性を保つことにつながります。ネガティブな口コミへの対応方針を事前に策定しておくなど、冷静かつ適切な対処が必要です。
ネガティブな口コミには迅速に謝罪や改善策の提示を行うことで、ほかの顧客に対して誠実な企業イメージを与えることができるとともに、信頼を回復する機会にもなり得ます。また、問題が解決した際には、その改善内容を公に伝えることでブランドの透明性と信頼を高める効果も期待できるでしょう。
口コミを広報PR活動に活用している成功事例
ここでは、口コミを広報PR活動に活用している成功事例を紹介します。各企業、口コミや体験者のコメントなどをうまく取り入れながら話題性やプロジェクトの促進をはじめ、企業の信頼性向上につなげているのが特徴です。ぜひ参考にしてみてください。
事例1.株式会社資さん
福岡県北九州市で40年以上にわたり資さんうどんを展開する株式会社資さんでは、2024年9月6日に長崎県内での2店舗目がグランドオープン。地域密着型のアプローチとSNSの口コミを効果的に活用している事例です。プレスリリースにもSNSに寄せられた、オープンを喜ぶ地域住民の声を複数掲載することで、話題性の高さや出店へのポジティブな印象を築けている点も参考になるでしょう。
さらに、地域集客に力を入れる同社では、SDGsへの取り組みを強化しています。特に「地域の宝」となる子ども向けの活動に注力することで、日ごろから地域住民とのコミュニケーションを強化し、信頼関係が築けている点も成功につながっているポイントといえるでしょう。
参考:長崎県内2店舗目!大村市初出店!北九州のソウルフード「資さんうどん」は「資さんうどん大村西本町店」を9/6(金)午前10時~グランドオープン!美味しいお食事と笑顔でお客さまに幸せをお届けします!
事例2.スパイスファクトリー株式会社
スパイスファクトリー株式会社では、「つわりや妊婦健診でも休めない」という育児休業給付金の課題に対する解決策として「プレママ・パパ制度」を導入。同制度は、産前休暇前に利用可能で、社員やパートナーの妊娠期間中に最大20日の有給休暇を取得できます。つわりや妊婦健診で休む必要がある社員を支援することで、さまざまなライフステージに対応した働きやすい職場環境を整備することが目的です。
また、制度を導入した経営者や利用した社員からのリアルなコメントをプレスリリースでも紹介し、広報PR活動に活かしています。コメントを通して、制度の実効性や感謝の声を具体的に伝えることでメディアや読者の共感を生み出し、導入促進が図れている点も参考になる事例といえるでしょう。
参考:「つわりや妊婦健診でも休めない」をなくす、育児休業給付金の課題に対応した「プレママ・パパ制度」を導入
事例3.合同会社ユー・エス・ジェイ
合同会社ユー・エス・ジェイでは、感謝の気持ちを伝える機会を提供するプロジェクト「THANKS LOVE MONTH 2024」を開催。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが推進するこの取り組みでは、普段は照れくさくて言いにくい「ありがとう」を、特別なイベントを通じて伝えられる場が用意されています。
プレスリリースでは、参加したゲストから寄せられた複数のコメントやイベントの温かい雰囲気が伝わる写真を掲載。さらに、全国各地へサプライズ出張なども実施し、感謝の気持ちを社会全体に浸透させるというプロジェクトの目的に沿ったプランになっている点もポイントといえます。
感謝の文化を根付かせるというミッションが、多様な参加者からの支持につながっている成功事例です。
参考:いつもありがとう。今思った人は、誰ですか?“感謝”と“愛”であふれるスペシャルな記念月間『THANKS LOVE MONTH 2024』 本日スタート!
口コミは従来の広報PR施策と組み合わせて活用することがポイント
口コミを活用した広報PR活動は、顧客のリアルな声を通じて企業やブランドの信頼性を高めやすく、低コストで企業やブランドの認知拡大につながるのが特徴です。
従来の広報手法と組み合わせることでさらなる効果が出やすいため、プレスリリースや広告などに口コミを引用したり、口コミを活用したキャンペーンを企画したりするのも有効でしょう。口コミをうまく活用することは、企業価値の強化や信頼性の向上につながるため、成功事例なども参考にしながら広報PR活動に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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