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飲食店PR施策10選!企画を考えるステップとポイントを解説|外食・食品の課題解消に

1997年に29兆円あった外食産業の市場規模は、2000年以降20年以上にわたり27兆円を下回り続けており(※1)、この数字は新型コロナウイルス感染症が拡大する前の2019年と比較して回復してきていますが、これは価格改定による一時的な顧客単価増の影響といえます。

食品業界も低い利益率が続いています。また、共働き家庭や単身世帯の増加により、調理済み食品の需要は増えていくことが想定(※2)されるものの、そもそもの人口減少という課題があります。

このような状況下で大切なことは、新たに外食する機会を提供し産業自体を活性化することや付加価値、需要に合わせて働きかけること、そして集客し購買行動につながるようなきっかけをつくることです。

本記事では、「飲食・フード業界向け月別PR施策12選|季節別イベント・キャンペーン企画イベント・キャンペーン企画」に続き、飲食店の課題別のPR施策を事例とともにご紹介します。

※1 一般社団法人日本フードサービス協会「JF外食産業市場動向調査」より
※2 Panorama Data Insights「世界の調理済み食品の市場(2022年2月23日発表)」より
参考:株式会社帝国データバンク「『食品主要105社』価格改定動向調査」より

飲食・フード業界がPR施策を考える3つのポイント

最低限、押さえておきたい飲食店向けのPR施策のポイントは以下の3つです。いずれも重要ですが、1、2は実現しているもののニュース性がなくPRにならないケース、3を意識しすぎて1、2が欠けているケースが多く見受けられます。3点を意識し、自社でできる施策を検討してみてください。

ポイント

ポイント1.顧客にニーズがあること(顧客目線)

PR施策がどんなに優れていても実施タイミングがずれたり、お客さまにとって魅力的でなかったりすると意味がありません。アピールしたい顧客層の生活をイメージし、お客さまが喜ぶ内容になっているか、どんなメリットがあるかを考えてみましょう。

ポイント2.通常の運営に負荷がかからないこと(自社目線)

PR施策を実施するための予算、店舗の運営を十分に考慮した内容にする必要があります。特に、継続して稼働していないスタッフや経験が浅いスタッフが多い場合はオペレーションや人員配置、シフトもあわせて検討しましょう。

ポイント3.ニュース性があること(社会目線)

「新メニューが出ました」「〇〇キャンペーンを始めました」だけでは、なかなかニュースになりません。メディアに取り上げられるには季節感や時流があること、社会背景があることが重要です。

(例)

  • 自然災害で農作物に影響があった →農家の支援になるような企画
  • 家計が苦しい人が増えた →低価格企画/あえてのプチ贅沢企画
  • 個食が増えた →おひとりさまプラン/あえての団欒プラン

また、1点目の顧客のニーズにもかかわるポイントです。生活者の消費行動は、モノ消費からコト消費、トキ消費に変化しています。消費行動、社会的背景を踏まえ、ニュース性のあるPR施策を実施しましょう。

以下の記事では、PR施策に役立つ「メディアフック」について解説しています。

飲食店の課題に合わせたPR施策

ここからは、新規顧客数UP、顧客単価UP、リピート率・ロイヤリティUPに向けたPR施策、話題性があるPR施策をご紹介します。

新規顧客数UPに向けたPR施策

取引先を救う|農家や漁師を、食べて応援するプラン

天災やコロナ禍で飲食店を応援する動きが多数ありました。飲食店の利用が増えてきたタイミングで、応援したい取引先からの仕入れを強化し、顧客への提供を増やすという、顧客を巻き込んだ応援プランを考えてみましょう。

企画内容:農家や漁師を、食べて応援する企画
顧客目線:普段の飲食店利用が、救済を必要とする事業者の役に立つ
自社目線:新規層の獲得、話題性、取引先の救済につながる
社会目線:地域性・社会性・公益性

お客さまの来店が少ない時間帯に特典|春の朝採れ野菜食べ放題/旬のお魚朝だけ盛り放題

ランチ営業をしている場合、朝早くから準備をしている飲食店も多いはず。お客さまが入りづらい時間帯に少し特別な施策を行ってみてはいかがでしょうか。これまでとは異なる時間帯に活動する顧客に対してアピールすることができます。

このプランで特に重要なポイントは、「通常の運営に負荷がかからないこと(自社目線)」です。運営工数を十分に加味し、検討しましょう。

企画内容:お客さまの来店が少ない時間帯に特典を付ける朝だけ〇〇プラン
顧客目線:多くの飲食店が開いていない時間帯に利用できる
自社目線:入りづらい時間帯対策、新規層の獲得
社会目線:地域性・季節性

春の朝採れ野菜食べ放題/旬のお魚朝だけ盛り放題イメージ

顧客単価UPに向けたPR施策

追加注文したくなる|会員ランクアップ特典

注文や来店回数に応じた、会員ランクアップ特典を設けている飲食店は多いのではないでしょうか。そのまま展開するのではなく、イベント要素を加え、PR施策として打ち出してみましょう。

レモンサワーを3杯飲んだらシルバー会員(メガジョッキが頼める)に昇格
レモンサワーメガジョッキを3杯飲んだらゴールド会員(ギガジョッキが頼める)に昇格
レモンサワーギガジョッキを3杯飲んだらプラチナ会員に昇格……など

企画内容:追加注文・来店すればするほど会員特典UPプラン
顧客目線:追加注文・複数来店で特典が得られる、イベント感覚で盛り上がる
自社目線:顧客単価UP、リピート率UP
社会目線:最上級・希少性

たくさん食べて応援|推しメニュー選手権

売上個数、売上金額、食べた後の満足度……など、どの料理が一番かを競う対決。

そのほか、「ご当地からあげ対決」という企画で、ザンギ(北海道)、せんざんき(愛媛)、中津からあげ(大分)など有名なからあげをメニューに採用して地域性を打ち出し、新しいお客さまに対すし働きかけることもできます。

<参考>

企画内容:〇〇の一番を決める企画
顧客目線:イベント感覚で盛り上がる
自社目線:顧客単価UP、新規層の獲得、SNS投稿促進
社会目線:地域性・季節性・最上級

記念日のプレゼント|長寿1位の滋賀県食材「近江牛」でお祝いプラン

誕生日や母の日・父の日、敬老の日、勤労感謝の日などに、「ありがとう、長生きしてね」の気持ちを込めたメッセージ性のあるプランを考えてみるのはいかがでしょうか。男性の平均寿命が5年に一度の統計調査で2回連続1位、女性も最新調査で2位の滋賀県(※1)。近江牛という特別感のあるメニューとすることで、お祝いにふさわしいものになるでしょう。

<参考>

企画内容:滋賀の食材で長寿のメッセージを、産地にあやかりプラン
顧客目線:プレゼントにメッセージを込められる、記念日などの時にイベント化しやすい
自社目線:新規層の獲得、観光地トピックが少なくても自らつくれる
社会目線:地域性・時流/季節性・最上級/希少性・逆説……など、メディアフックの切り口は無限

※1 厚生労働省「令和2年都道府県別生命表の概況」より

リピート率・ロイヤリティUPに向けたPR施策

コアファンが喜ぶ|いろいろな理由で外れたメニュー限定復活

売れ行きが非常にいいわけではなかったけれど一定のファンがいたメニュー、店員の中で意見が割れて試作品で終わったメニューなど何かの理由で定番メニューにならなかったものを復活させる企画。

期間限定で提供してみることで今後のメニュー展開のヒントになるかもしれません。

<参考>

周年記念に使える|1年限定、自分の名前が正式メニューになる参加型イベント

お客さまの要望で、ときおり提供するメニューをほかのお客さまに提供してみたところ反響があった、少し改良してメニュー化できそう、など顧客の声にヒントがあることも多いはずです。待つのではなく、自ら要望を聞くべく参加型のイベントとして、メニューを募集してみてはいかがでしょうか。

頻繁にはできないと思うので、周年記念などのイベントと合わせて、特別感を出した企画がおすすめです。

<参考>

企画内容:自分の名前が正式メニューになる参加型イベント
顧客目線:新しいメニューに出合える、イベント感覚で盛り上がる
自社目線:リピート率・ロイヤリティUP、SNS投稿促進
社会目線:地域性・独自性

友達や家族にも広がる|お店の味を自分でつくれる料理教室

お店のレシピを自宅でつくれるように教える料理教室プランです。食事に加え、一緒につくるという体験も提供できます。飲食店からすると、普段外食しない顧客層にお店を知ってもらうきっかけになるかもしれません。

企画内容:普段外食しない親に体験をプレゼント、親子での料理教室プラン
顧客目線:通常と少し異なる贈り物になる、当日の食事だけでなく自宅でも活かせる
自社目線:新規層の獲得、既存顧客・ファンの満足度向上
社会目線:トキ消費(その時/その場にいた人限定という点がアピールポイント)

話題性があるPR施策

SDGs施策としても有効|こだわりの食材のフードロスも防げる閉店前限定1BUY1

翌日に展開するのが難しい食材を「閉店前2時間」などの時間を限定して1つ注文で2つを提供するのはいかががでしょうか。食材廃棄を軽減し、顧客に対しても値引き以外の価値提供ができます。また、普段は注文しない一品を味わってもらえる機会です。Web予約を設けている際は「21時以降の予約限定」の特典としてもよいでしょう。また、あわせて食材や仕入れ先へのこだわりを伝えることで、普段の営業では伝えきれないことをアピールでき、共感してくれる顧客に出会えるかもしれません。

企画内容:食材や入れ先にこだわったメニューを閉店前2時間限定1BUY1特典
顧客目線:割安に注文できる、考え方に共感した企業を応援できる
自社目線:新規顧客の獲得、来店・注文促進できる、新しいメニューを食べてもらえる
社会目線:SDGs

<参考>

〇〇の日にちなんだ企画|肉の日(2月9日)に合わせて「利き肉」プラン

肉の日に合わせ、「利き肉」勝負など参加型の企画。例えば3つの部位を用意して、それぞれを実食し当てるというもので、当たった部位は1皿半額提供、外れた場合は2人前必須注文、など外れても顧客の負荷にならない程度の注文促進を条件とします。そのほか、年中ある記念日「○○の日」にちなんだ催しは、どのような業態の飲食店にもおすすめのPR施策です。

<参考>

企画内容:「利き肉」勝負で勝てば半額、負ければ2倍の量で2倍の金額プラン
顧客目線:参加型、損はしない
自社目線:来店・注文促進できる
社会目線:記念日(メディア目線だが、記念日に合わせた企画はスポットで取り上げられる)

関連リンク:今日は何の日 | PR TIMES MAGAZINE

飲食店がPR施策を企画する3つのステップ

ご紹介した事例を参考に、自社の店舗で実施するPR施策を考えてみましょう。企画・実施する際の3つのステップを解説します。

1.目的を定め、目標を決める

さまざまな課題や自店の考えがあると思います。実施するプランを通して何を実現するか、何を目的とするかを考えましょう。

(例)

  • 新規顧客の獲得(今は30代男性が多いが、30~40代女性にもアピールしたい)
  • リピート数向上(大人数利用の後、個人的な少人数での利用につなげたい)
  • 1人当たりの利用金額増(食事をメインに、もう少し長い時間楽しんでほしい)

また、実施後にその企画を継続するのか、別の企画を行うのか、はたまたやめるのか。目標を決め、振り返り、次につなげられるようにしましょう。

2.訴求したい顧客層と利用機会を決める

年代(何歳くらいか)、属性(大学生、会社員、主婦・夫なのか)、仕事の状況(アルバイトの状況や正社員の場合の業界)、家族構成、生活環境などを踏まえ、具体的にどんな人に訴求したいかを決めます。あわせて、その人がどんなシチュエーションで利用するのかも考慮しましょう。

3.対象者に知ってもらえる訴求を検討する

1の「目的・目標」、2の「顧客層・利用機会」に沿ったPR施策ができたら、あとは多くの人に届けるために、訴求するのみです。新しい顧客層を開拓するのか、現在と同じ顧客層に対し、より深くアプローチするのか。自店に合った訴求を検討しましょう。

  • LINE・Facebook:来店したことがある人(完全顕在層)
  • Instagram:過去の来店有無にかかわらず、その地域で飲食店を探している人(ほぼ顕在層)
  • SNS・Web広告:行動に沿った広告出稿のため、比較的ニーズがある人(潜在層に近い顕在層)
  • チラシ:来店の可能性が高い地域すべての人(顕在層に近い潜在層)
  • 口コミ:その時に飲食店を探していなくても、いつか来店する可能性がある人(ほぼ潜在層)
  • テレビCM:SNS・Web広告と比較して制限のない、とにかく多くの人(完全潜在層)

広告を利用せず、多くの人に訴求できるのがプレスリリースです。プレスリリースを配信するメリットとして、「新たなお客さまの獲得につながる」「競合店舗と差異化ができる」「めずらしい料理・業態を知ってもらえる」などが挙げられますが、新規性、ニュース性がないと目に留まらないため、企画の段階からどう訴求するかも考えておきましょう。

プレスリリース

飲食店の課題解決をPR施策で実現しよう

飲食・フード向け毎月使える飲食・フード業界向け月別PR施策12選|季節別イベント・キャンペーン企画」に続き、飲食店の課題別のPR施策を事例と一緒に紹介しました。

外食する機会を提供し産業自体を活性化させるため、また、集客につなげるために、PR施策の検討は有効な手段のひとつです。現在感じている課題とPR施策を行う目的・目標を考えたうえで、企画していきましょう。

飲食店向けのPR施策に関するQ&A

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この記事のライター

丸花 由加里

丸花 由加里

PR TIMES MAGAZINE編集長。2021年、PR TIMESに入社し、「PR TIMES MAGAZINE」、ご利用企業向けのコミュニティイベント「PR TIMESカレッジ」の企画・運営を行う。2009年に新卒入社した大手インターネットサービス運営会社では法人営業、営業マネージャーとして9年半、その後オウンドメディアの立ち上げに参画。Webコンテンツの企画や調査設計に携わる。メディアリレーションズを主とした広報を経て、現職。

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