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プレスリリースを “手書き”。リチカの「現物主義」が生んだ伝わるリリースづくり

SNSやPR TIMES上で話題になったPR事例の裏側に迫る本連載。今回は2021年1月6日に社名変更・リブランディングを発表した、カクテルメイク株式会社あらため、株式会社リチカさんのプレスリリースをご紹介します。

株式会社リチカさんのプレスリリース

>>カクテルメイク、リチカに社名変更

テキストを中心とした文書形式のプレスリリースが多い中、リチカのプレスリリースは画像をメインにした“手書きリリース”。企業にとって大きな発表となる、社名変更・リブランディングを行うに至った背景から、“手書きリリース”という新たな手法を生み出した裏側を取材しました。

株式会社リチカの最新のプレスリリースはこちら:株式会社リチカのプレスリリース

株式会社リチカ コーポレートDiv / 広報 

岡本 麻由(Okamoto Mayu)

1991年生まれ、神奈川県出身。
慶應義塾大学卒業後、大手チケット販売会社やLINE株式会社にてwebメディアの編集職を経験。現在は株式会社リチカの広報としてプレスリリース配信や、SNS・note・YouTubeを活用した情報発信を担当。

株式会社リチカ 開発sec / UI/UXグループ / UIデザイナー

森長 希奈(Morinaga Kina)

1993年生まれ、滋賀県出身。
京都女子大学卒業後、銀行に就職。入行3年目のタイミングでデザイナーへの転職を目指し、デジタルハリウッドSTUDIOの「webデザイナー専攻」に通う。
現在は株式会社リチカのUIデザイナーとして、成果フォーカスの動画コミュニケーション開発ツール「リチカ クラウドスタジオ」のUI/UXの改善を中心に、その他デザインまわりの仕事を行う。

想いは何も変わらない。目線を合わせるための社名変更

── そもそも、社名変更・リブランディングを行うことにしたのはなぜですか。

岡本:我々は2018年から、プロクオリティの動画を、知識不要で誰でも簡単に作成できる動画生成スマートエンジン「RICHKA(リチカ)」、現在の「リチカ クラウドスタジオ」を提供してきました。“伝えたいこと、動画にリッチ化”を掲げ、厳選されたクリエイターが開発したフォーマットを利用し、ブログを書くような感覚で効果の高い動画を作成することができるツールとして、好評いただいております。

今回の社名変更・リブランディングの話が出る前から本サービスを提供する中で、ユーザーが本当に解決したいことの本質とは、ただ「動画ができる」で終わりではないと感じていました。我々はムービーカンパニーではない、あくまで動画はコミュニケーションを豊かにするためのいち手段だと

株式会社リチカ_岡本麻由_森長希奈_2021021501

そこで今回、改めて、動画という枠にとらわれずに自社を「リッチコミュニケーションカンパニー」と再定義を行い、コミュニケーションをリッチにする会社であることを表明しました。そして、社内だけではなく社外も含めて目線を合わせるために、今回の社名変更・リブランディングを実施するに至りました。

── 全体のタイムラインとしてはどのように進んでいったのでしょうか。

岡本:昨年の夏頃に、経営者層を中心にこれから会社をより成長させていくためにも、世の中にどんな価値を提供していきたいのか、改めてどんな会社でありたいのかということを話し合う機会がありました。そこで社名変更・リブランディングの話がでてきました。

経営者層から現場に話がおりてきたのが、その年の秋頃。そこから、私とデザイナーの森長さんに声がかかり、代表の松尾を含めた3人で社外への発表に向けて準備を進めていきました。

打ち出すメッセージの方向性は3人で定めた上で、コピーライターの方にも協力していただきながら、プレスリリースを完成させました

slack01
slack02
松尾さん・岡本さん・森長さん3人によるSlack上でのやりとりのようす

基本的には3人の合意がとれたら進めるような形ではありましたが、週次で行っている全社朝礼や月末に行っている月次締め会の場で、全社への共有をこまめに行なっていました。そのため、全社総意のもとで、プレスリリース発表に向けて準備を進めることができました。

── 社名変更・リブランディングが発表された時、社員の皆さんの反応はどのようなものだったのでしょう。

森長:代表の松尾から発表があったのですが、社員の反応としてはそこまで驚いた様子はなかったですね。なんとなくみんな、いつかは「カクテルメイク」という社名から「リチカ」に統一されていくんじゃないかという気はしていたように思います

もともと弊社は、制作会社として動画制作を行っていました。ただ、その時代から、単に動画をつくって納品して終わり、ではなく、お客さまの抱える本質的な課題をサポートすることが大事であり、積極的に行っていくべきという意識がありました。

ですから、サービス自体が持っていた「コミュニケーションをリッチにする」という思想は決してサービスだけのものではなく会社全体としても持つべきだという考えのもとで行われた今回の社名変更に対して、社員のみんなもポジティブな反応が多かったんだと思います。

「伝わる」に向き合い、“手書きリリース”を生み出した

実際に配信された”手書き”プレスリリースの一部
実際に配信された“手書き”プレスリリースの一部

── 今回、画像をメインにした“手書き”のプレスリリースを生み出した経緯をお聞かせください。

岡本:プレスリリースって、一般的にはテキスト中心で書かれるものだと思うんですけど、明確にテキストでなければならないというルールは無いじゃないですか。誰が何をしてどうするのかという内容が伝われば、形はなんでも良いのかなと思っています。伝えたいことが伝わるということが重要なので、既存の形にとらわれない「伝わる」に挑戦したいという想いがありました。たとえば、テキストを一文字も打たない動画だけのプレスリリースなんてどうか、みたいなことを代表の松尾とも話していましたね。

タイムラインとしては、まずは画像をメインにしたプレスリリースに挑戦しようという話が去年の11月中旬頃にまとまりました。そこから、“手書き”にこだわったものにしようと決まったのは11月末頃ですね。その後、骨子づくりをすすめ、12月中に詰めて、年始に公開しました。

── 画像メインにしたということですが、そこであえて“手書き”にしたのはなぜですか。

森長:実は最初、インフォグラフィックにしようと思っていました。ただ、岡本さんと松尾さんと3人で議論をする中で、今回の発表においては、エモーショナルな部分や人の感情の部分を伝えることが大事だと思い、人のぬくもりを伝えることのできる“手書き”を選択しました

弊社の中で“手書き”には馴染みがありました。採用ページに使用しているバナーなどもそうです。普段から、人の感情に訴えるにあたって“手書き”が伝わる手段として有効だという実感値があったことも今回のプレスリリースに影響していると思います。

採用ページバナー
リチカの採用ページバナー

正直、対外的な公式文書となるプレスリリースに“手書き”画像を採用しても大丈夫だろうかという思いはありましたが、「現物主義」にのっとり、まずはつくって出してみた感じですね。

── 「現物主義」とはなんですか。

岡本:「現物主義」とは、弊社が設定しているバリューのひとつです。他者とコミュニケーションをとる上で、言葉だけの机上の空論を言い合っていても意味がないし、時間の無駄だと考えています。実際のものや現物をもとに議論をした方が、早いし正確に伝わるよね、という意識から「現物主義」をバリューのひとつに掲げ、社内に浸透しています

「現物主義」という言葉を大事にするようになった背景には、代表の松尾が以前ベンチャー企業に所属していた時に、現物を用意することでお客さんとのコミュニケーションを円滑にでき、受注率を上げることができたという原体験があります。そこから、社内でもなるべく完成品に近いもので話すことでコミュニケーションの効率を上げようという声掛けがありますね。何か議論する際にも、ラフではなくて実際のものをつくってから、という意識が浸透しています。

また、日頃の社内コミュニケーションを行うSlack上でも独自スタンプをつくって、「現物主義」な行動をした人を褒め称える文化もありますね。

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自由なプレスリリースを生んだリチカの文化「永遠にベータ版」

── テキスト中心のプレスリリースが一般的な中で、“手書き”画像を中心とした新しいプレスリリースの形に挑戦。不安などはなかったのでしょうか。

森長:弊社には「永遠にベータ版」という言葉があります。「永遠にベータ版」、つまり、どんなものも完成することはありえない。だからこそまずはスモールスタートではじめて、その後、改善・改良をガンガン加えながら、アップデートしていきましょうという考え方が浸透しています。

このように新しいことをはじめることへのハードルを最大限に下げてくれる文化があるので、自由に発想し挑戦することができましたね。

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── 気をつけたことはありますか。

森長:「型破り」という言葉があると思うのですが、型破りって読んで字の如く、型があるから破ることができるものですよね。プレスリリースでいうと、一般的なテキスト中心の文書構成という型で伝えているようなことが伝わらないと意味がないと思うので、そこはきちんと伝わるように気をつけましたね。

今回伝えたかったのは、社名変更を行うという事実はもちろん、なぜ社名変更を行うのか、そして社名変更しても私たちの想いは何も変わらず、これからも愚直にお客様に向き合っていくということです。そこが読んだ方々に伝わるように、手書きの文字で画像にシンプルにまとめました。

岡本:ただの自己満足で終始して伝わらなかったら意味が無いので、画像をメインにしつつも、後半部分にはテキストだけでも伝わるような補足説明を入れました。また、画像には含めなかった代表のメッセージもテキスト部分に記載しています。ここで改めて、弊社が「伝えたいけど、うまく伝わらない」という課題を解決したいという想いを伝えたいと思いました。特殊なことをやりながらも、プレスリリースの本質である報道発表資料になっているか、伝わるものになっているかというのは、強く意識しながら作成をすすめました。

── 同じように既存の形にとらわれないプレスリリースの形に挑戦するような他社へのアドバイスがあれば、お聞かせください。

森長:弊社のバリュー「永遠にベータ版」という考え方が表しているように、まずはつくってみて、途中共有をこまめに行なってすすめてみることが大事だと思います

私たちも、社名変更・リブランディングの話があがり、プレスリリースに向けて準備をはじめた当初は、松尾の描くイメージを具体的にどう形にしたら良いかわからず、もんもんと頭だけで考える日々が続いてしまっていました。ただ、わからないなりに、まずはつくってみて、代表の反応はもちろん、ほか社員の反応を確かめながら、少しずつすり合わせをしていったことで、今回のプレスリリースに行き着くことができたんだと思います。

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今回の事例ポイント

  • 形にとらわれず「伝わる」ことにこだわる
  • 「現物主義」のもと、具体的な議論を進める
  • 「永遠にベータ版」。新しいことに対してスモールスタートで挑戦しつづける

自分たちを“リッチコミュニケーションカンパニー”という再定義をしたリチカ。

“情報をリッチ化して、「伝える」から、「伝わる」に。”とプレスリリースに手書きされていたように、あらゆる手段を用いてコミュニケーションの課題解決に向き合う姿勢は、「伝わる」に向き合うすべての広報PRパーソンにとって参考になる要素が詰まっていました。

リチカの大切にしている「現物主義」や「永遠にベータ版」という考えを取り入れて、伝わることにこだわることで、さまざまな人に届けたい情報を届けられるヒントがあるのではないでしょうか。

(撮影:原 哲也、取材はリモートで実施しました)

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この記事のライター

林 優

林 優

サイバーエージェント新卒入社、Makuake配属。イベント企画・運営を担当するとともに、ガジェット・ファッション・飲食店・日本酒…など、毎月数百件開始するプロジェクトの広報業務を担当していました。多岐にわたるジャンルのプロジェクトPRを担当する中で積んできた広報業務経験を活かしたコンテンツづくりに取り組んでいます。

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