近年、企業がよりよいマネジメントや組織運営を行うときの手助けになるような、さまざまなツールがたくさん開発されています。そのうちのひとつとして、アメリカのギャラップ社が開発した「ストレングスファインダー(新称:クリフトンストレングス)」があります。
ストレングスファインダー®は、Web上の177個の質問に答えることで、自分の強みや才能を見つけることができる診断ツールです。こちらのツールを活用し、その結果をもとにチームビルディングやマネジメント、組織運営に生かすことができます。
今回は、ストレングスファインダー®をチームビルディングや組織運営に生かす方法や注意点、導入する際のステップなどを紹介していきます。
ストレングスファインダー®とは?
まずは「ストレングスファインダー®(新称:クリフトンストレングス ※以下ストレングスファインダー®のみ記載)」とはどのようなものかを理解するために、概要や特徴などをお伝えいたします。冒頭でもお伝えしたとおり、ストレングスファインダー®は自分の強みや才能を見つける診断ツールで、自己理解・他者理解・相互理解を効率的に行うことができます。
40年にわたって研究を重ね、200万人へのインタビューなどを経て、アメリカのギャラップ社が開発。Web上で177個の質問に答えることで、34の資質のなかからもっとも近い上位5つの才能が判定されます。
なお、ストレングスファインダー®でいう才能とは「無意識に繰り返される思考・行動・感情のパターン」のことを指します。詳しくお伝えすると、才能=強みのことではなく、強みになり得る資質・傾向のことなのです。そのため、上位5つの資質を自分の強みではなく、その資質を理解して強みにできるよう開発していくものと捉えるようにしましょう。そして、上位の資質=強みではないように、下位の資質=弱みではないことも覚えておきましょう。
参考:クリフトンストレングスオンライン才能テスト | JA – ギャラップ
ストレングスファインダー®をチームビルディングに生かす方法
ストレングスファインダー®は、企業や部署、プロジェクトなどでのチームビルディングの際に役立ちます。どんな点を意識して生かしていけばよいのか、その方法を紹介していきます。
1.異なるキャラクターでチームづくりを行う
チームビルディングで大切なのは、一人ひとりが持つパワーを発揮しながらチーム一丸となって取り組むことです。しかし、どれだけ一緒に仕事をしていても、誰がどんな強みや個性を持っているのかは、意識して見るようにしないと簡単にはわかりません。しかし、ストレングスファインダー®を活用して一人ひとりの資質を知ることでチームビルディングが進めやすくなるという利点があります。
チームビルディングを行う際、思考力、人間関係力、影響力、実行力など、同じ強みを持った人たちが集まっても、スムーズに仕事を進めることはできません。仕事やプロジェクトを進めるチームでは、異なる強みを持った人たちが集まることで、考え方や取り組み方の幅が広がります。
ストレングスファインダー®の結果をもとにチームビルディングを行い、異なるキャラクター同士を集めて、360度の視点でパフォーマンスが発揮できるようにしましょう。また、一人ひとりの資質を知ることで相互理解が深まり、「できないこと」ではなく、「できること」に目が行くようになることもポイントです。
2.自身とチームメンバーの資質や特性を把握し協力しやすい環境をつくる
仕事内容やプロジェクトにもよりますが、チームビルディングでは普段あまり一緒に仕事をしたことがない人たちとも関わる機会が増えます。それぞれの役割を全うしつつ、メンバーといい関係性を築いてスムーズに仕事を進めていくためにも、まずは自己理解が必要です。
チームで仕事を進めるときに大切なのは、それぞれが持つ強みとなる資質を生かして取り組んでいくこと。そのためにもストレングスファインダー®で自身の強みや弱みを知り、自己理解を深めていくことで、無理をせずに相手に協力を求めることができるようになります。
自分の弱みになり得る資質は、チームメンバー誰かの強みになり得る資質かもしれません。自身の強みや弱みを把握することは、相互に協力しやすい環境をつくることにもつながるのです。
3.得意分野を生かせる役割を任せる
ストレングスファインダー®を活用し、自身の強みや弱みとなる資質を理解するとともに、チームメンバーの資質や特性も知っていくようにしましょう。他者の資質を知ることで、どの部分を補い合えばよいのかが見えてきます。チーム内で依頼や協力をしやすくなることはもちろん、マネジメント視点でも一人ひとりの得意分野を生かせるチーム構成を組むことができるのです。
せっかく素晴らしい資質を持った人たちが集まっても、それぞれの強みや弱みを生かすことができなければ、よいチームワークやパフォーマンスは生まれません。社交性、規律性、競争性、共感性など、強みとなる資質から生まれる得意分野は人それぞれです。各メンバーの得意なことを生かしながらチームで仕事を進めていくためにも、ストレングスファインダー®を活用してみてはいかがでしょうか。
企業がストレングスファインダー®を導入するステップ
続いて、企業がストレングスファインダー®を導入したいと考えたとき、どのように進めればよいのかを5つのステップで解説していきます。ストレングスファインダー®を組織運営やチームビルディングなどで生かすためにも導入する環境を事前に整えておくことをおすすめします。
STEP1.強みになり得る才能を生かす発想に切り替える
ストレングスファインダー®を導入するには、社内全体で発想を切り替えることから始めましょう。人によって得意・不得意な部分はそれぞれ異なります。その際、不得意なことやできない部分などの「弱み」を克服していくという考え方ではなく、それぞれが「強み」を生かして仕事をしていくという発想に切り替えることが大切です。
発想や考え方をすぐに変えることは難しいかもしれません。ミーティングの場や一人ひとりと会話をする際など、意識的に強みを生かす発想に切り替えていきましょう。社内全体に「なぜストレングスファインダー®を導入して活用しているのか」をしっかり伝えて、理解を深めていくことも効果的です。
STEP2.一人ひとりの才能が活かせる体制や環境を整える
発想を切り替えたら、ストレングスファインダー®を生かすための体制づくりや環境を整えていきます。新たな取り組みやツールを導入する際は、それを活用するための土台づくりが大切です。人が持つ資質は強みにも弱みにもなり得る可能性があるため、体制や環境が整っていないと強みとして資質を発揮できなくなる可能性もあります。
新たにチームを発足する場合、何も考えずにメンバーを集めるのではなく、ストレングスファインダー®を活用して戦略的にチームづくりを行うなど、会社全体で体制やルール、環境などを整えていきましょう。
STEP3.チームでそれぞれの資質を共有する
体制や環境を整えることができたら、チーム内でそれぞれの資質を共有します。他者と共有し合う前に、自身の強みや弱みとなり得る資質をきちんと把握しておくことも忘れないようにしましょう。チーム一人ひとりの資質を知ったときに、「どんな行動ができるか」「どんな形で接すればよいか」などがイメージしやすくなります。
そしてチーム内でそれぞれの資質を共有・把握することができれば、仕事を進めていくうえで必要な協力や助け合い、補い合えるポイントなどが見えてきます。自分の資質を生かしながら、他者の資質も活かせるように意識して、行動に落とし込んでいくようにしましょう。
STEP4.それぞれの資質を補い合える組み合わせを考える
続いて、ストレングスファインダー®から資質をどう組み合わせたら相互に補い、協力できるのかを考えていきます。プロジェクトを複数名で進めるときやチームをつくる際、強みとなり得る資質を活かせる組み合わせにできるかが鍵となります。
活発性の資質がある人は、戦略性や慎重さが資質にある人と組んで進めるなど、それぞれの資質の生かし方までイメージできるとなおよいでしょう。
STEP5.マネジメントや組織づくりで生かす
そして最終的にはマネジメントや組織づくりにも生かしていきましょう。発想の切り替えや体制づくりなど、社内全体でストレングスファインダー®に対する落とし込みが整ったのち、マネジメントや研修、組織づくりに生かしていくという流れが理想です。
会社全体で、ストレングスファインダー®の理解を深め、一人ひとりが得意分野を生かし、強みとなり得る資質を伸ばして活躍できる環境を構築していけるようにしましょう。
ストレングスファインダー®を組織運営やマネジメントに生かす5つのポイント
組織運営やマネジメントにストレングスファインダー®を生かしていくには、どのようなポイントを押さえていけばよいのでしょうか。きちんと効果的に活用していけるように5つのポイントを紹介します。
ポイント1.自分の資質を理解する
まずはストレングスファインダー®で自分自身の資質を理解しましょう。自分にはどんな資質があり、どんな強みや弱みとなり得るものがあるのか。そこを理解・把握することで、マネジメントの方向性や他者との接し方が見えてきます。
自身の資質を理解したら、一人ひとりがパフォーマンスを発揮して仕事に取り組める環境づくりができるように、どのような戦略を立てるべきか、どんなマネジメントの形がよいのかを考えましょう。
また、強みに着目して得意分野を生かすことは大切ですが、同時に弱みを知ることも大切です。弱みを自覚して管理することで、弱みが原因となるネガティブな発想や結果の発生を防ぐことにもつながります。
ポイント2.資質を生かした関わり方をする
組織運営やマネジメントにストレングスファインダー®を生かす際、一人ひとりとの関わり方や接し方も意識するようにしましょう。細かい部分ではありますが、ストレングスファインダー®の結果を参考に、それぞれの資質に合った依頼方法や指摘の仕方を考えるようにします。
初めて会った人ともためらいなく話せるという特徴がある「社交性」の資質が上位にある人と、人の感情を敏感に察知できる「共感性」の資質が上位の人では、同じように接したとしてもそれぞれ受け取り方が異なります。強みとなり得る資質を知るとともに、どのようにその資質を生かしていくのが良いかを考えることも、組織運営やマネジメントでは大切です。
ポイント3.結果を参考にマネジメントを行う
ストレングスファインダー®によって導き出された結果の資質は、一人ひとり異なります。そして、その資質の生かし方も異なるため、それぞれに合ったマネジメント方法やアプローチ方法が見えてくるのです。
資質を参考にマネジメントすることで、この人は何をモチベーションにしているのか、どんな取り組み方が得意なのか、どんなときに最高のパフォーマンスを発揮できるのかなどがわかります。
一人ひとりの資質を知ることで、それぞれの強みを生かした意味のあるマネジメントに結び付けることができます。また、マネジメントする側の資質もそれぞれ異なるため、導き方や関わり方など独自のマネジメント方法を見いだすことができるでしょう。
ポイント4.チームビルディングに役立てる
組織運営やマネジメントを行う際、チームをつくってプロジェクトを進めていく機会もあるでしょう。ストレングスファインダー®は、そんなチームビルディングをする際にも役立てることができます。
資質がわからない状態では、お互いの力を生かすチームや組み合わせを築くことは難しいでしょう。しかし、ストレングスファインダー®の結果を参考にチームづくりを行うことで、メンバーもそれぞれのパフォーマンスを発揮しやすくなります。
チームビルディングも、組織運営やマネジメントの大きな仕事のひとつです。ただ単にメンバーを分けるだけでなく、それぞれの資質を補い合える編成をし、意味のあるチームづくりに結び付けることができます。
ポイント5.資質の貸し借りができる体制をつくる
ストレングスファインダー®を活用することで、それぞれの資質を知り、チーム内やプロジェクト内で補い合える体制をつくることができます。どんな資質も、使い方や捉え方次第で強みにも弱みにもなり得ます。
そのため、それぞれの強みとなる資質を活かせる環境づくりを行い、資質の貸し借りを行えるようにすることが大切です。また、弱みとなり得る資質を、チームメンバー内の誰かが持つ強みとなり得る資質でカバーし合える体制にできるような組織運営やマネジメントを心掛けていきましょう。
ストレングスファインダー®を組織運営に活用するときの注意点
ここまでストレングスファインダー®の生かし方やポイントなどを中心に紹介してきましたが、組織運営に活用するときの注意点もお伝えします。どれも意識することで防げる注意点ですので、頭のなかに入れておきましょう。
注意点1.性格や行動パターンの決めつけをしない
ストレングスファインダー®は、強みを伸ばして弱みを管理するためのツールです。あくまでも強みになり得る資質(傾向)のことなので、「あの人はこういう資質があるからこういう人だ」などという決めつけをしないように注意しましょう。
資質や傾向でその人の強みや弱みを決めつけてしまうことで、本来持っている能力を発揮しにくくなってしまう可能性もあります。ストレングスファインダー®の結果は、「何ができるか」ということではなく、「どう進めるか、どう取り組むか」の指針になるものです。組織運営に導入して活用する際はそこの考え方を混同しないように気を付けましょう。
注意点2.資質を採用や昇進の材料にしない
ストレングスファインダー®の結果は、マネジメントやコーチングの参考にはなりますが、そのまま企業の採用や昇進などを考える際の材料にはしないよう注意しましょう。上位の資質のタイプが、そのままその人の仕事や役職に合うとは限りません。
「この人は目標志向が上位にあるから昇進させよう」とか「この人は社交性が低いから採用はしないようにしよう」など、資質をその人のすべてと捉えてしまわないように気を付けましょう。ストレングスファインダー®は、あくまでもその人自身を理解するためのひとつのツールとして活用していくことが大切です。
注意点3.弱みではなく強みに目を向ける
何かに取り組む際、苦手なことを克服する、できなかったことをできるようにするという考え方をモチベーションに、進めていくこともあるでしょう。しかし、ストレングスファインダー®を活用した組織運営やマネジメントでは少し考え方が異なります。
下位の弱みになり得る資質を克服するという考えよりも、上位の強みになり得る資質を伸ばすという考えにシフトすることを心掛けることが大切です。そもそもストレングスファインダー®は、弱みをカバーするのではなく、強みを発揮していくという考え方です。
それぞれの強みを生かして、パフォーマンスを発揮し合うことができるチームづくりを目指し、組織運営やマネジメントをしていきましょう。
ストレングスファインダー®を正しく理解して組織運営に生かそう
アメリカのギャラップ社が発明した、自分の強みや才能を見つける診断ツールのストレングスファインダー®について紹介してきました。企業で導入を考えている場合は、まずはストレングスファインダー®の内容や考え方を調べてみましょう。そして、導き出される34の資質にはそれぞれどんな特徴があるのかを知ることも大切です。
ストレングスファインダー®導入後は、チームビルディングや組織運営、マネジメントなどで活用し、一人ひとりがパフォーマンスを発揮できる体制づくりに役立てていきましょう。行動の決めつけをしない、昇進の材料にはしないなどの注意点を押さえ、ストレングスファインダー®の理解を深めていくことも重要です。企業やチームで相互に協力し合える環境を構築するときに有効活用していきましょう。
ストレングスファインダー®に関するQ&A
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