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広報がフリーランスとして独立し、仕事を獲得する4つの方法・必要なスキルとは?

ランサーズ株式会社が公開したフリーランス・副業・複業ワーカーの実態調査「【ランサーズ】フリーランス実態調査 2021」によると、国内のフリーランス人口は約1670万人と1年間で57%増えたことがわかりました。経済規模は28兆円となり、昨年から約10兆円増加しています。

本記事では、コロナ禍で働き方を再考する人が増える中、広報としてフリーランスになることを検討している方向けに、フリーランスの広報として独立するとどのようなメリットがあるのか、どのようなスキルが必要か、仕事の獲得方法や留意点も含め具体的に説明をしていきます。

そもそも、フリーランスの広報は需要があるの?

そもそも企業は、フリーランスの広報に業務委託をする必要性を感じているのでしょうか。フリーランスの広報に対する委託数推移、企業側のメリットや依頼時に懸念していることをあらかじめ把握しておきましょう。

市場ではフリーランスの広報に対する委託は増加している

「広報会議」が2020年11月~12月に行った調査によると、PRエージェンシーなどに一部業務を委託している企業は41.0%にのぼり、前年の37.3%を上回る結果となっています。(※1)

 PR代理店の売上高も毎年上がっており、公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会の調査では「広報・PR 担当者の役割が増大する」と72%の企業が回答しました。(※2)

ステークホルダーとの関係を重視する企業にとってブランディング・広報は欠かせない要素です。今後も専門性をもつフリーランスの広報へ委託をする企業は増える傾向にあると考えられるでしょう

※1参照:広報会議調査「広報業務の外部委託 課題と感じていることは?」

※2参照:公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会「コロナ禍とパブリックリレーションズに関する意識と実態」

企業がフリーランスの広報へ業務委託するメリット

企業がフリーランスの広報へ業務委託をする大きなメリットは、採用費・福利厚生費・教育費などのコスト削減です。

広報は売上に直接貢献する部署ではないため、広報専任担当者を採用・育成するよりも、他職種の採用を優先させたり、企業の成長フェーズに合わせて兼務ができる人材を採用する傾向にあります。

また、日本はジョブローテーションが主流で、包括的に職務にあたる人が多いので、企業フェーズに合わせて必要スキルをもったプロフェッショナルに外注をするほうが費用対効果が高いと考えることができます。

近年ではタスク型ではなく、ミッション型やプロジェクト型で仕事を請けるフリーランスの広報もいるので、「そもそも広報活動で何をしたらよいかわからない」という課題をもっている企業にとって強い味方になっています。

企業がフリーランスの広報へ業務委託するときに懸念していること

フリーランスの広報に業務委託をするうえで企業が懸念することは、費用に対する効果が現れるのかということです。成果が出ていなくても契約した金額は発生するため、PR業務の中でも何を担ってもらうか、課題の棚卸し、PRの目的、効果測定による評価のすり合わせが必須になります。

また、広報の必要性を感じる企業が増えている中、広報機能を業務委託することで、自社の広報担当者が育たないという点も懸念されます。ノウハウを社内に蓄積するようなコンサルティング機能をもつ広報も求められてきています。

フリーランスの広報へ業務委託

フリーランスの広報になるときに必要・求められる4つのスキル

フリーランスの広報として、プレスリリース作成をはじめとする限られた役割で活動することも可能ですが、プロジェクト型のニーズが高まっている今、PRの業務一連を把握しているか、また実践しているかどうかというのは大事なポイントになります。

そこで、フリーランスの広報になる際に求められやすいスキルを4つ紹介します。

スキル1.業界・ビジネスを理解する力

フリーランス広報に求められる1つ目のスキルは、業界の知識や、ビジネスモデルを理解する力です。

業界構造・業界課題・ビジネスモデルの理解は、担当する企業について理解する際にはもちろん、メディア関係者に支援企業の説明を行う際に特に必要になります。市場規模をはじめ、業界慣習、競合他社との違い、サービス優位性などを説明できることが求められます。

広報担当者は情報参謀として経営方針を把握しステークホルダーとの関係構築を図るのが職務になるため、代表や役員、マネージャー、現場が発信する情報も収集し、適切に理解することも求められます。そのため、ビジネスモデルの理解や経営への知識も求められます。

スキル2.企画力

フリーランス広報に求められる2つ目のスキルは、企画力です。特に社外向けの広報の場合、報道につながる打ち出しを考えるための企画力が問われます。

時流にあわせて数字根拠を示せる、ニュース性がある企画を出すためには、「なぜこのタイミングに、なぜその情報をとりあげる必要があるのか」という問いに答えることが大切です。メディア関係者からみた魅力と、自社が考えている打ち出したい魅力に相違がないように、情報収集したうえで企画を作る力が求められます。

スキル3.文章力

フリーランス広報に求められる3つ目のスキルは、文章力です。プレスリリース作成、SNS発信、代表インタビューの台本や想定問答の原稿作成など、自社情報をわかりやすく伝える際に必要となるスキルでしょう。

商品やサービスの魅力を伝える際、言葉選びや表現で読み手の印象は大きく変わります。

伝えたい想いを言語化したり、難しいビジネスモデルほどシンプルに説明をしたりなど、情報を言葉でまとめる力も広報に求められるスキルだといえるでしょう。

スキル4.メディアプロモート力

フリーランス広報に求められる4つ目のスキルは、メディアプロモート力です。メディアで自社を取り上げてもらうために、メディア関係者にアプローチをして情報提供を行う一連の業務把握・スキルが求められます。

まずはメディア関係者との接点をつくり、提案時は自社が伝えたいことばかりを伝えるのではなく、相手のメリットや求めている話をすることで関心をもってもらい、報道のきっかけを掴むことができます。

また、自社でメディアリストを持っていない企業の場合は、メディアとのリレーションがあることも評価されるでしょう。

企画を作るフリーランス広報

フリーランスの広報が行う仕事例

フリーランス広報に求められるスキルは、一般的に広報に求められるスキルと同様ですが、チームで補っていたものも一人で行う必要があることに注意が必要です。

では、フリーランスの広報として仕事をする際、どのような職務があるのでしょうか。企業が求める主な職務を4つ紹介します。フリーランスになった場合、すべてを請け負うのではなく、一部だけ請け負うこともあるでしょう。

自身が、どのような業務はできて、どのようなことはできないのかも明確にしておくといいでしょう。

仕事例1.プレスリリースの作成と配信

フリーランス広報に発注のある仕事の中で最も多いもののひとつが、プレスリリースの作成です。

情報をまとめるだけではなく、広報担当者のプロとして、タイトルの付け方や写真の使い方など、メディア関係者に興味を持ってもらえるような打ち出しを提案し、情報を要約していきます。

仕事例2.記者会見の企画・実行

記者会見の企画・実行もフリーランス広報の業務として任されることのある内容です。

メディア関係者へのニュース告知、集客、原稿作成、想定問答作成、当日の誘導、タスク管理、司会進行、アフターリリースなど記者会見の一連の流れを把握したうえでディレクションを行います。

場合によっては司会など一部機能のみを担当する可能性もあります。

仕事例3.メディアプロモート

フリーランス広報に任される業務には「メディアプロモート」もあります。

情報を伝えたいユーザーを明確にし、媒体を選定、記者へアプローチをして関係作りをしていくメディアプロモートは、継続して関係性を作るケースが多いため、企業内で行われるイメージも多いのではないでしょうか。

フリーランス広報は、プレスリリースの作成や、記者会見などの単発でも行える業務だけでなく、メディアプロモートのような長期に渡って行う業務を担当することもあります。

もともと持っているメディア関係者との人脈も活用しながら、担当する企業に合わせて新しいメディアとの関係性を作ったり、署名記事を通じて新たな人脈を作ったりしながら業務を進めます。

仕事例4.調査リリース

企業の商品やサービスに関係する調査を行う「調査PR」も企業から求められる役割です。

メディアアプローチを目的として調査をする際には、対象となる商品やサービスのアピールに繋がるテーマで調査を行います。

これらの調査項目を検討し、依頼企業が保有する顧客リスト・SNS・調査会社を利用して調査を実施、結果を集計・分析・コメントを行うことや、調査リリースを作成することもあるでしょう。

また、企業が掲載された番組・媒体・内容を記録しメディアに取り上げられた結果を評価するなど効果検証を任されることもあります。

効果検証をしている

フリーランスの広報が仕事を受注する4つの方法

フリーランスとして独立する際に特に気になることのひとつは、「どのように仕事を受注するのか」ではないでしょうか。

収入の安定や、成長の機会を得るために仕事を獲得する具体的な方法について紹介します。

1.紹介・口コミ

フリーランスの広報が仕事を獲得する方法で多いのは紹介・口コミです。広報コミュニティーに属することで広報仲間からの紹介を受けることも多々あります。

また、もともと属していた企業から一部業務を請け負うケースも少なくありません。仕事内容の理解や、社員との関係構築ができているためスムーズに業務遂行が可能です。独立当初はネットワークが少ないと思いますが、どのような業務内容であっても、企業とのやりとりを重ね、積極的に提案をしていくことで信頼が築け、紹介に繋がっていきます。

2.エージェント

近年フリーランスに仕事を紹介するエージェントが増えてきています。働き方やスキルと合致する企業が紹介されるため、マッチングしやすいといえるでしょう。

また、エージェントを通して契約することで、トラブルが起きた場合対応してもらえるケースもあるため、利便性が高いこともメリットです。一方、利用手数料やマージンがかかるため身入りが少なくなることや、企業にとっての負担額は高くなることもあるため、求められるレベルが高くなることも留意しておきましょう。

3.営業

紹介を受けるだけではなく、自ら営業をして仕事を請け負う方法もあります。広報支援をしたい企業に問い合わせをしたり、求人に応募して直接コンタクトをとったり、SNSを活用することも可能です。

今までの経験やスキルが問われるため、著作権に気を付けたうえでポートフォリオを用意しておくとよいでしょう。

4.クラウドソーシングサービス

ランサーズココナラなど、企業とフリーランスをつなぐクラウドソーシングサービスを利用することも、ひとつの方法です。

依頼されている仕事内容をみると、プレスリリースの代行やコピーライティングなど、単発の仕事が多く見られます。経験や実績を積んだり、新規取引先の開拓をしたりするためには有効な手段だといえるでしょう。

タスクの見直しをしている

広報がフリーランスになる前に知っておきたい5つの注意点

時間や場所に制約がなく自由な働き方ができるフリーランスですが、実際に独立すると想像もしていなかったことが起こることもあります。独立後に「こんなはずではなかった」と思わないように、最低限知っておきたいポイントを5点お伝えします。

1.慎重に価格設定をする

フリーランスになる前に知っておきたいことの1つ目は、価格設定です。

フリーランスとして仕事を請け負う際、料金の交渉や契約の条件を決める必要があります。最初は相場価格がわからず、不安な気持ちから低く見積りを出す方も多くいるようです。

その場合は、都度金額を変えるよりもあらかじめ自分で料金表を作っておくことをおすすめします。その際目安となるのが、稼働時間・案件の難易度・作業量です。

年収から時給換算を行い、各タスクに係る時間や手間を計算する、各タスク×相場で検索をする、先にあげたクラウドソーシングサービスでタスクの出品金額を参考にするといったように、インターネットにも相場があるので確認しておくとよいでしょう。

なお、メディア掲載のプロモートの場合は、掲載されない場合も料金は発生するのかという完了要件を明確にすることでトラブルを未然に防ぐことができます。

2.タスク管理方法を決めておく

フリーランスになる前に知っておきたいことの2つ目は、タスクの管理方法を検討することです。

フリーランスになると事務作業や経理業務は依頼しない限り自分で行うことになります。また、複数企業の案件を請け負う場合は、作業中に連絡が入ることも多くあるため、気持ちの切り替えが難しく集中力の維持に苦戦する可能性があります。

広報コンサルを複数請ける場合は、業界情報のインプットなど、作業以外にかかる時間もあるため、あらかじめ時間配分を考慮する必要があります。業務に集中するためにも会計ソフトの活用、タスク管理機能など省力化を進めながら自分のタスクマネジメントを怠らずに仕事を進めましょう。

いざ、仕事を請け負い始めてからタスクを遂行できない……!となることを避けるためにも、予めタスクの管理方法を決めておいたり、スケジュールの管理方法を検討したりしておくことがおすすめです。

3.理想の収入を見積もる

フリーランスになる前に知っておきたいことの3つ目は、理想の収入を見積もることの重要性です。

収入や先行きの不安から、気の進まない仕事を受けてしまったり、仕事量を増やしすぎたりして忙殺され、「なんのために独立したかわからなくなる」ということはフリーランスの広報に限らずよく聞く話です。

仕事を請けても期待通りに仕事ができなくなっては元も子もありません。独立の理由を明確にし、売上や仕事内容など、目標を落とし込み、目的と目標に常に立ち返れる状態をつくっておきましょう。

4.企業との丁寧なコミュニケーションを怠らない

フリーランスになる前に知っておきたいことの4つ目は、企業との丁寧なコミュニケーションが重要だということです。

広報は長期間かけてステークホルダーとの関係性を構築したうえで成果が出てくる業務が多い職種だからこそ、結果が出るまでに時間がかかることも多いでしょう。依頼主に安心して業務を任せてもらうためにも、作業プロセスや業務内容の報告を通して企業との信頼関係を築くことが求められます

社員として社内にいるメンバーとは違い、業務委託という形態で関わる外部の人間だからこそ、丁寧な報連相を行い、信頼関係を築いていくことを目指しましょう。

5.企業の大切にしている想いや目指すことへの共感を大切に

フリーランスになる前に知っておきたいことの5つ目は、企業への共感が大切だということです。

メディア関係者が企業に関心を持つポイントの一つに、企業の「情熱」や「想い」があります。メディア関係者に企業の説明をする際、企業理念への共感があるかないかで伝え方が変わります。

複数の案件を請け負っている場合、どうしても忙しくて仕事が作業的になってしまうこともあるかもしれません。しかし、企業の広報をする上で、理念への共感はモチベーションにつながる大きな要素になります

仕事を請け負うときには、単に条件面だけを確認するのではなく、企業理念や目指している部分に共感できるかどうかも意識してみてはいかがでしょうか。

フリーランス広報としての働き方が向いているかよく検討する

広報の必要性を感じる企業が増え、フリーランスの広報に対する需要が高まっているため、独立を検討する方にとっては追い風が吹いているように思います。コロナ禍によってライフスタイルを再考する機会が増えた中、時間や場所にとらわれることが少ないフリーランスは人生の設計をする上で有効な手段となりえるでしょう。

独立を検討する際に大切なのは、フリーランスになると得られるメリットと注意点を天秤にかけた上で、フリーランスという手段が自分の目的にあっているかを考えることです。

独立をすると自分の働き方や考え方のくせに向き合うことになります。葛藤することが多い一方で、同じ境遇の人も多く、コミュニティーやフリーランス向けのサービスも多く展開もされているので、情報収集をしながら一つずつ課題解決ができる環境が整っています。

まずは自分に向き合い、フリーランスの広報という働き方を、自分らしい広報を実現する手段として検討してみてはいかがでしょうか。

フリーランスで広報PR活動を行うためのQ&A

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この記事のライター

坂下 彩花

坂下 彩花

合同会社KOUYO代表。スタートアップ企業で広報と人事を兼務しながら、広報業務を一通り経験。提供する情報がない中での企画作り、メディアアプローチが強みです。これまでの広報経験を生かして広報担当者さんの役に立ちたいと思いPRTIMES MAGAZINEに参画。現在シェアハウスの愉快な仲間たちと賑やかに暮らしています。

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