2025年時点で10代半ば〜20代後半の世代を「Z世代」と呼びます。ミレニアル世代と呼ばれる「Y世代」の次に消費の主役になる存在として、マーケターから注目されています。Z世代の消費行動は、今までの世代と異なる点が多いです。
本記事では、そんなZ世代の定義や年齢、6つの特徴など基礎知識についてご紹介。ミレニアル世代との違いや、心をつかむポイントなども解説します。
Z世代とは?定義・年齢
消費世代の区分のひとつとして知られている「Z世代」。1996年ごろから2010年ごろまでに生まれた人のことを指します。2025年時点では、10代半ば〜20代後半の人が当てはまります。
消費傾向の異なる各世代に名前が付けられるようになったのは、アメリカで1960〜70年生まれの世代を「ジェネレーションX」と呼んでいたことがきっかけです。それから約10年単位で生まれる次の世代をアルファベット順に並べ、Y世代の次をZ世代と呼ぶようになりました。Y世代が「ミレニアル世代」ともいわれるため、「ポストミレニアル世代」と表現されることもあります。
Z世代の10つの特徴
Z世代は、消費行動や情報を手に入れるときの価値観にさまざまな傾向が見られます。Z世代を対象としたマーケティングを行う際に押さえておきたい10つの特徴をご紹介します。
Z世代の10の特徴
- スマホネイティブ
- デジタルネイティブ
- SNSネイティブ
- コスパと並び「タイパ」を重視
- 自分にとっての価値を重視した消費行動
- 社会課題への関心が高い
- オンラインとオフラインの融合を重視
- 自己表現への高い関心
- 多様性と包容力を重視
- 学び直しやスキルアップへの意欲が高い
特徴1.スマホネイティブ
1つ目の特徴は、「スマホネイティブ」です。初代iPhoneが日本で発売されたのが2008年であり、現在20代中盤のZ世代は12歳前後でスマホに慣れ親しんでいます。そのため、初めて使用した携帯が「ガラケー」ではなく、スマホである人が多い傾向があります。
特徴2.デジタルネイティブ
2つ目の特徴は、「デジタルネイティブ」です。これはY世代であるミレニアル世代の一部にも当てはまることですが、10代でインターネット環境が整備されていたため、日常的にさまざまなインターネットサービスに触れながら成長してきた傾向があります。
10代前後でスマホやパソコンなどを手にしていることもあり、デジタル機器を使いこなしている人が多いのも特徴です。ミレニアル世代と異なるのは、Z世代は生まれた時点でさまざまなデジタル機器がそろっていたこと。そのため、もっともデジタルネイティブに近い存在ともいわれています。
特徴3.SNSネイティブ
3つ目の特徴は、「SNSネイティブ」です。スマホの普及とともに利用が拡大したのが、Twitter・Facebook・InstagramなどのSNS。そのため、Z世代はSNSネイティブでもあり、各SNSを使いこなして情報収集を行ったり、知人とコミュニケーションを取ったりしています。
Z世代を対象に株式会社ネオマーケティングが実施した情報や人との接し方に関する調査結果によると、1日の利用時間が長いのはYouTube。1日に1時間以上視聴しているZ世代は多く、ほかにも、InstagramやLINEも普段から使っているSNSのひとつです。2017年に日本でリリースされ、総ダウンロード数が伸びているTikTokは、Instagramに次いで若い世代によく見られているSNSです。
特徴4.コスパと並び「タイパ」を重視
4つ目の特徴は、払ったお金に対してどんな効果があったかを示す「コスパ(コストパフォーマンス/費用対効果)」と同様かそれ以上に「タイパ(タイムパフォーマンス/時間対効果)」が重視されている点です。ここ数年、Z世代が重視する価値観として取り上げられ、「タイパ」「タムパ」などの略語が使われるようになりました。
お金と同じように、自分が使う「時間」の価値を大切にする考えで、短時間で満足感を得られる「タイパ(タムパ)が高い」モノやコトの消費がさかんな傾向にあります。「SHIBUYA109 lab.」がZ世代を対象に行った映像コンテンツの楽しみ方に関する調査によると、「あなたはタイムパフォーマンスを重視しますか」との問いに85%が「重視する」と答えました。動画を「倍速視聴」する人は48.6%、「スキップ再生(映像を飛ばしながら見る)」は51.5%と約半数を占めており、コンテンツ消費のあり方も「タイパ(タムパ)」重視であることがうかがえます。
特徴5.自分にとっての価値を重視した消費行動
5つ目の特徴は、自分の価値観を重視した消費行動です。Z世代はブランドや商品の知名度よりも、自分にとって価値があるものにお金を使う傾向があります。
3社が共同運営する「Z世代会議」が若者の価値観やライフスタイルに関して行った調査によれば、価値観やライフスタイルに関する上位10項目のうち、2位に「自分が気に入れば有名ブランドの商品でなくても良い」という項目が入っています。男女ともにこの項目が上位にランクインしていることから、「自分が価値を感じたものを購入する」という特徴が読み取れます。
特徴6.社会課題への関心が高い
6つ目の特徴は、社会課題への関心が高いことです。Z世代の多くが小中学生だった2011年には東日本大震災があり、昨今ではSDGs(持続可能な開発目標)に関する情報が日常的に見られます。これらの実情から、災害や社会課題について考えることは当たり前という認識が強い傾向があります。
高校生を対象にSDGsに関する意識調査を行った「渋谷トレンドリサーチ」によると、SDGsの17の目標のうち、5「ジェンダー」や10「不平等」、1「貧困」などに強い関心を示しています。ジェンダーに関してまとめた「SHIBUYA109 lab.」の調査でも、LGBTQ+に関しては、同世代に比べ、親世代や社会・政府の理解が足りないと感じているようです。Z世代はジェンダーの多様性を重視しており、課題意識も持っていることがうかがえます。
特徴7.オンラインとオフラインの融合を重視
Z世代は「オンラインとオフラインの融合」を重視している点も特徴です。SNSやデジタルプラットフォームを日常的に活用しながらも、リアルな体験への価値を同時に求めています。例えば、オンラインで購入した商品をポップアップストアやリアルイベントで体験したり、SNSで話題のスポットを訪れて写真を撮り共有したりするなど、デジタルと現実の世界を行き来する消費行動が一般的です。
特徴8.自己表現への高い関心
Z世代は「自己表現への高い関心」があることも特徴です。SNSの普及に伴い、Z世代は自分の考えや個性を積極的に発信する傾向があります。InstagramやTikTokをはじめとするSNSでは、自分のスタイルや趣味を独自に表現する投稿が増加しており、クリエイターとして活動する若者も少なくありません。
また、表現の幅も広がっており、ファッションやアートだけでなく、環境問題や社会課題への意見発信も積極的に行われています。
特徴9.多様性と包容力を重視
Z世代は「多様性と包容力」を重視する傾向があります。これは、インターネットやSNSの普及によって、異なる文化や価値観に触れる機会が多かったことが理由として挙げられるでしょう。性別、国籍、宗教、身体的特徴など、あらゆる違いを受け入れようとする姿勢が顕著であり、他者を尊重する価値観を大切にしています。
特徴10.学び直しやスキルアップへの意欲が高い
Z世代は「学び直しやスキルアップへの意欲」が高いのも特徴です。情報技術が急速に発展する中で、変化に対応する力や新しいスキルを身につけることを重要視しています。また、オンライン学習ツールやスキルシェアプラットフォームの普及も、この傾向を後押ししているといえるでしょう。
特に、プログラミングやデザイン、動画編集といったデジタルスキルへの関心が高い一方で、趣味を深めるための学びも重視されています。
Z世代と比較されるその他の世代
近い将来、消費の主役になるとされているZ世代。比較対象として、X世代やY世代(ミレニアル世代)がよく取り上げられます。さらに次の世代として、「α世代」といった呼称を目にする機会も増えています。Z世代と合わせて知っておきたい、X世代・Y世代・α世代についても解説します。
X世代
「X世代」は、1960〜1980年代前半に生まれた世代を指します。「ジェネレーションX」と呼ばれることもあります。
日本では学生運動と高度経済成長が終わったころ。そのため、X世代は現代の日本文化を活性化させた世代でもあるといわれています。
X世代の主な情報源は新聞・雑誌・テレビなどのマスメディアです。まだインターネットは普及しておらず、一部の人が使っていた時代です。消費行動はバブル世代などと比べて慎重派で、コスパを重要視し、ブランドの価値よりも、機能性に対して価格が見合っているかを検討する傾向があります。
Y世代(ミレニアル世代)
「Y世代」は、1980年代前半〜1996年に生まれた世代のことを指します。「ミレニアル世代」と呼ばれることもあります。
物心ついたころにはインターネット環境が整っており、ITに触れる機会が多かったため、デジタルネイティブといわれることも。親世代とともに、雑誌や新聞などの紙媒体のメディアで情報収集することも少なくありませんでした。そのため、情報源はテレビ・雑誌・新聞・インターネットとバランスに優れている傾向があります。
消費行動はモノよりコトで、旅行などにお金を使う傾向があるようです。
α世代
「α世代」とは、2010年以降に生まれた世代のことを指します。ラテン文字で「Z」の次にあたるのが「α」であるため、そう名付けられたといわれています。
2025年時点では小学生〜中学生くらいの年代なので市場に与える影響は少ないのですが、2030〜2040年ごろには社会に進出し、消費の中核を担う世代です。
α世代は、IT技術が発達した状態を経験しながら成長していくとみられます。そのため、IT技術が生活にもたらす利便性や、AI技術を利用したスポーツ・医療・介護など、各分野における価値観が、Z世代とは異なると予想されています。
Z世代とミレニアル世代の違い
2025年時点で10代半ば~20代後半のZ世代。
いま消費の中核を担っているY世代(ミレニアル世代)とは、時間の使い方や消費行動に違いがあります。押さえておきたい3つの違いについて解説します。
1.テレビの視聴時間
1つ目の違いは、テレビの視聴時間です。NHK放送文化研究所の国民生活時間調査によると、Z世代の一部である10代は、テレビを見るよりも睡眠やそのほかの用事に時間を割く傾向があることがわかりました。「テレビ離れ」が進むZ世代と比べ、Y世代(ミレニアル世代)は、新聞・雑誌・テレビなどを通じた情報収集もいぜんとして行っている、と考えることもできます。
2.活字に触れる機会
2つ目の違いは、活字に触れる機会です。
株式会社ADDIXが25~29歳のミレニアル世代の女性を対象に行った情報収集の方法に関する調査によると、SNSはコンテンツを楽しむものであり、きちんとした情報を収集するなら雑誌などの書籍を利用する、と情報源を使い分けている傾向があります。活字への信頼感をもつ層といってもいいでしょう。
一方、Z世代はYouTubeやTikTokなど、動画系SNSのコンテンツによりさまざまな情報を得られるようになったため、それらを閲覧する時間が増え、相対的に活字離れが進んでいるといわれています。株式会社ネオマーケティングによるZ世代への調査で、余暇に行うこととして「読書」が下位に位置しているという結果も出ています。
3.消費行動の動機
3つ目の違いは、消費行動の動機です。
Y世代(ミレニアル世代)は、モノを購入するプロセスそのものや体験に価値を感じるのが特徴。優れた体験ができるものであれば、お金を出すことに抵抗を感じにくいとされています。個性を伸ばす教育が行われた「ゆとり世代」を含むミレニアル世代は、大量消費よりも商品が持つ個性やストーリー、かけがえのない顧客体験を重んじる傾向にあります。
Z世代は不況の時代に成長したため、現実主義といわれています。ミレニアル世代に比べて貯金や将来への投資意識が高く、自分に適したものを必要な分だけ好んで買う傾向にあります。カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が実施した若者のライフスタイルに関する調査によると、18〜20歳は「今後の未来のこと」「お金のこと」に不安を持っている傾向があるそうです。
Z世代の価値観に合わせた訴求方法とは?心をつかむ3つのポイント
Z世代にうまく商品やサービスを訴求するには、どのようにすればよいのでしょうか。Z世代の心をつかむための3つのポイントを解説します。
ポイント1.長期的な価値を訴求する
1つ目のポイントは、長期的な価値を伝えることです。
モノ・コトの消費に対してシビアな目を持つZ世代は、支払う金額に対する「コスパ」と費やす時間に対する「タイパ(タムパ)」を重視します。倹約家と思われがちですが、高価なものでも自分にとって価値があり、長期的に見てお得であることがわかれば、出費を惜しみません。Z世代に受け入れられやすい価値観の商品をアピールし、高価でも長く利用できることを訴求しましょう。
ポイント2.共感を得られるポイントを作る
2つ目のポイントは、Z世代が共感しやすいポイントを作ることです。
Z世代は企業名やブランドなどの社会的な価値を信用しすぎない傾向があります。自身が大事にしている価値観と共鳴し、周囲にシェアしたいと思った商品やサービスを利用します。
例えば、ジェンダーレスなアイテムやサステナブルな取り組みから生まれた商品など、社会課題に広く関心のあるZ世代だからこそ共感できるポイントを作るのがおすすめです。
ただし、社会に対する企業の姿勢と商品のコンセプトにズレがないかは注意ポイントです。Z世代をターゲットにする前に、企業として発信してきたイメージが一貫しているか確認しましょう。
ポイント3.オンライン・オフラインどちらからもアクセスできる環境を整える
3つ目のポイントは、オンライン・オフラインどちらからもアクセスできる環境を整えることです。
Z世代はオンラインでのショッピングが当たり前です。Instagramにショッピング機能が搭載されたり、海外から商品を取り寄せできるサービスがあったりと、オンラインショッピングに多様な選択肢があります。また、SNSを通じて口コミ情報も収集し、失敗を避けながら買い物する傾向も。
インターネット上でのコミュニケーションに慣れているため、リアルな体験ができるオフラインの店舗訪問は、新鮮さを感じることができる体験として認識されています。店員との会話を通じてインターネットから得られないような情報を入手することも、楽しめる世代です。
株式会社読売広告社が実施した「Z世代の買い物行動調査」によると、新型コロナウイルスの流行以前は実店舗での消費行動も一定の人気がありましたが、現在はInstagramなどのSNSが商品のタッチポイントとなっているそうです。とはいえ、実店舗がもつ魅力が衰えたわけではありません。オン、オフを交えた体験を提供できるようにすることが大切です。
Z世代への訴求を行うときに注意しておきたい3つのポイント
Z世代をターゲットとしたマーケティング活動を行う際に注意するべきポイントが3つほどあります。各ポイントをきちんと意識できているかどうか、施策を行う前にチェックしてみてください。
ポイント1.インフルエンサーを起用する際は互いの意図や理解を深めておく
Z世代への訴求を行うときに注意しておきたい1つ目のポイントは、インフルエンサーを起用する際は互いの意図や理解を深めておくことです。
インフルエンサーに商品をPRしてもらうことはZ世代へのアピールとして有効ですが、同時にZ世代はPR投稿に慣れきっているため、「刺さる」投稿のハードルが上がっていることを意識しましょう。
インフルエンサーには露骨なタイアップをお願いするのではなく、自身の言葉で商品の魅力を語ってもらうほか、PR投稿を依頼した目的や商品発売の背景までについても、あらかじめ理解してもらうことが大切です。Z世代に向けた情報発信はあくまで自然に、誠実に伝える姿勢を意識しましょう。
ポイント2.商品開発の裏側がわかるよう透明性を意識する
2つ目のポイントは、商品開発の裏側にあるストーリーを包み隠さず伝えることです。透明性を意識する、と言い換えることもできます。
Z世代の傾向のひとつとして、低価格でデザイン性の高いものでも、手に取るときは、持続可能性や環境負荷についての情報を考慮することがあります。納得できるストーリーがなければ、購入に至らないことも。
商品開発の理由や関係者、製造過程などを明らかにすることで、Z世代に好意的に思ってもらうことが大切です。共感したり安心感を抱いたりすれば、商品を購入する可能性が上がるでしょう。
ポイント3.Z世代とひとくくりにせずリアルなインサイトを知る
3つ目のポイントは、「Z世代」とひとくくりにせずリアルなインサイトを知ることです。
これまでZ世代とひとくくりに説明してきましたが、同じZ世代でも前半と後半では年齢が10歳以上離れていることもあり、その分消費行動や価値観には違いがあります。
全体的な特徴を意識しつつも、商品と消費者層とのミスマッチを減らすため、リアルなインサイトを知ったうえで訴求施策を考える必要があることを留意しておきましょう。
Z世代への商品訴求は派手さや珍しさではなく、誠実さや堅実さのアピールがカギ
ほかの世代と比べ、Z世代全体としては「時間を有効活用しつつ、お得な商品を失敗せずに購入したい」気持ちを強く持つ傾向があります。10代のうちからスマホやSNSでさまざまな情報を得ているZ世代は、社会貢献を目的とした商品や、長く使える価値のある商品を好みます。そのため、Z世代と誠実に向き合い、一人ひとりと対話をするようなマーケティングを行うことが大切です。
<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>
Z世代に関するQ&A
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