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新規事業の立ち上げプロセス7ステップとは?成功のポイントも解説

新規事業の立ち上げ」は、少人数で進めることが多く、限られたスケジュールの中で抱えるタスクが多くなりがちです。ここで紹介する立ち上げに必要な7つのプロセスは、いずれも重要な項目です。各プロセスをいかに効率よく的確に進めていくかが、新規事業立ち上げを成功に導く重要なポイントになります。

本記事では、新規事業の立ち上げの7つのステップと、事業を成功に導くための5つのポイントについて解説します。新規事業の立ち上げに関わる方や、立ち上げに向けて進めている方などは、ぜひ参考にしてみてください。

新規事業の立ち上げプロセス7STEP

新規事業の立ち上げには、立ち上げメンバーの決定をはじめ、アイデアの検討や事業計画の立案など、重要なステップが多くなります。ここでは、新規事業の立ち上げプロセスに必要な7つのステップについて解説します。

各ステップの内容を実行していくうえで必要となる具体的な方法についても触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。

新規事業の立ち上げプロセス7STEP

STEP1.新規事業立ち上げメンバーの決定

新規事業を立ち上げる際の最初のステップは、立ち上げメンバーの決定です。今後新規事業を推進していく中で中心的役割を果たすメンバーになります。

始めは、アイデアの検討や市場調査、資金調達など、新規事業の核となる部分の検討や決定が必要になるため5人以内にとどめ、コミュニケーションの行き届きやすさを重視しましょう。

立ち上げ時の主要ポジションは、プロジェクトマネージャー、プロジェクトコーディネーター、プロジェクトリーダーです。

  • プロジェクトマネージャー
  • プロジェクトコーディネーター
  • プロジェクトリーダー

プロジェクトマネージャーは、新規事業全体の管理業務を担う統括総責任者です。内部管理だけではなく、対外的な交渉なども発生するため、全体を俯瞰できる視野を持ち、交渉力や決断力の高い人物であることがポイントになります。

プロジェクトマネージャーの補佐的な役割を担うプロジェクトコーディネーターは、比較的規模の大きい新規事業において必要になります。プロジェクトリーダーのリソースがとして組織内外における調整なども必要となるため、高いコミュニケーションスキルと交渉力などが必要なポジションといえるでしょう。

プロジェクトリーダーは、担当する領域に対する深い専門知識を持っており、チームメンバーの指揮をとっていく重要な役割を担います。リーダーシップを発揮してチームメンバーのサポートをしつつ事業を推進していくため、優れたリーダーシップがあり、担当業務における豊富な経験を持っている人物を選ぶことが大切です。

ポジションやその名称にこだわる必要はなく、どのような役割が必要になるのか、という観点で参考にしてみてください。

STEP2.新規事業のコンセプト・ビジョンの明確化

立ち上げメンバーをアサインしたら、新規事業のコンセプトやビジョンをメンバー全員がしっかり理解できるよう明確化し、わかりやすく言語化して伝えることが大切です。

ステップ3以降では、新規事業のコンセプトやビジョンをもとに、アイデアの検討や市場調査を行います。最終的には、具体的なビジネスプランや事業計画立案なども決定していく必要があるため、コンセプトやビジョンがブレないような管理体制をとることもポイントです。

コンセプトやビジョンから逸脱しないためには、このタイミングからフレームワークを活用するのもよいでしょう。フレームワークを活用することで、設定したコンセプトに沿って必要な情報や課題を明確化できるうえ、効率的に情報整理ができるため、コンセプトやビジョンから大きく外れてしまうことを防ぐことができます。

STEP3.アイデアの検討

コンセプトやビジョンに沿った内容に落とし込むため、新規事業の検討の段階においては、多くのアイデアを出しておく必要があります。固定観念を取り払い自由な発想を引き出すことでアイデアが出やすくなります。

このタイミングではアイデアの良し悪しを判断せず、アイデアの数を多く出すことに注力するのが大切なポイントです。同時に、アイデアの検討は多くの情報を整理しながら行う必要があるため、フレームワークなどを活用しながら進めるのもよいでしょう。

フレームワークとは、多くの情報を効率的に整理し分析するツールです。特に、新規事業においては扱う情報量が多いため、思考や検討の抜け・漏れが発生しやすくなります。フレームワークを活用することで、検討が必要な要素の見落としを防ぎやすくなるメリットもあります。さらに、メンバー内での情報共有もスムーズになるため、検討時間の削減にもつながるでしょう

フレームワークには多くの種類があるため、フレームワークの特徴に合わせて利用することが有効活用のポイントです。フレームワークについては、後ほど紹介する「新規事業の立ち上げに活用したいフレームワーク」にて解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

STEP4.市場調査・事業調査

新規事業のアイデアがまとまり始めたら、参入市場を絞り、市場調査や事業調査を実施しましょう。

市場調査では、参入する市場の規模や成長性、顧客数についての詳細な情報が直接入手できます。事業調査は市場調査の中で行われる調査のひとつで、対象市場で高いシェア率のある主要企業や競合企業の業績や動向調査などを行います。

市場調査には、「定量調査」と「定性調査」があります。

定量調査は、人数や割合、傾向などを数値化する手法で、市場の全体像を把握しやすいのがメリットといえるでしょう。具体的には、アンケート調査や街頭アンケートなどが定量調査にあたります。

定性調査は、対象者の発言や感想、行動といった数値化できないものを調査する方法です。定性調査は、対象者の声を直接聞ける貴重な機会になります。グループインタビューや電話インタビューなどは定性調査に該当します。

市場調査の際は、定量調査と定性調査のどちらも取り入れることで、対象者の声と数値による傾向などをバランスよく入手できるでしょう。市場調査の結果が出たら、対象顧客の需要や課題もあわせて検討する必要があります。需要や課題の明確化にはニーズ調査がおすすめです。対象顧客を中心にアンケート調査することで、顧客層ごとの課題や需要の傾向が見えるでしょう。

STEP5.ビジネスプラン・事業計画の立案

アイデアを検討し、市場や顧客についての調査や分析ができたら、ビジネスプランを整理し、事業計画を立てましょう。

事業計画立案の際に作成する事業計画書は、資金調達で融資を受ける際や助成金・補助金の申請時にも提出が必要になります。さらに、事業計画書は融資の際の審査基準にも大きく関わるため、情報の過不足なく綿密にまとめることが大切です。

良い事業計画書に仕上げるポイントは、事業内容を明確に可視化し、事業全体の見通しをわかりやすく示すことです。

事業計画の立案をスムーズにするには、フレームワークを使うのがおすすめです。フレームワークを活用することでビジネスプラン全体を整理し、必要な情報を効率的にピックアップできます。思考が整理されることで、事業計画書の作成もスムーズにできるでしょう。

STEP6.資金調達

事業規模にもよりますが、新規事業の立ち上げには数百万円〜数千万円の資金が必要になることもあります。立ち上げ資金の内訳は、当面の間の運営費用をはじめ、市場調査や競合調査費用、開発費なども含まれます。

新規事業立ち上げの際の具体的な資金調達方法は以下のとおりです。

  • 補助金や助成金
  • 金融機関からの融資

補助金や助成金は、国や地方自治体が実施している制度です。一定の条件を満たしていれば申請することができ、審査が通れば返済不要で助成や補助が受けられるのがメリットです。ただし、申請期間が限られていたり、審査が厳しいものもあるため、事前にしっかり調べ準備することが大切です。

補助金や助成金だけで足りない場合は、金融機関からの融資も検討しましょう。新規事業の立ち上げ資金は、日本政策金融公庫から融資を受けるのがおすすめです。日本政策金融公庫は、個人や中小企業の資金調達を支援する目的で設立されているため、比較的審査が通りやすいのがメリットです。さらに、民間銀行の融資よりも金利が低いことも魅力です。

STEP7.実行に必要なメンバーをアサイン

資金調達のめどがついたら、ビジネスプランと事業計画をもとに、新規事業の実行に必要なメンバーをアサインしましょう。

実行メンバーをアサインする際には、以下のポイントに留意して人選するのがおすすめです。

  • リーダーシップがある
  • 新規事業のビジョンやコンセプトに共感できる
  • 論理的思考を持っている

新規事業では、実行メンバーにおいても他部署や取引先など、内外との関わりが多くなります。そのため、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーだけでなく、実行メンバーにもリーダーシップが必要です。

また、立ち上げメンバーとともに新規事業を実行していくため、ビジョンやコンセプトに対してしっかり共感しているかどうかもポイントになります。

さらに、論理的思考を持っていることも大切です。新規事業では、社内外の人物やチームメンバーと冷静かつ論理的な意見交換が必要になることも多いでしょう。論理的に物事を捉えられる人物が集まることで、問題に対する解決性が高くなるメリットもあります。

新規事業の立ち上げを成功させる5つのポイント

どんな新規事業でも、立ち上げまでには多くのタスクが発生します。新規事業の立ち上げを成功に導くには、多くのプロセスをこなす中でも、特に5つのポイントを押さえておくことが重要です。

アイデアを検討するときやメンバーアサイン時のポイントや、補助金や助成金を有効活用する方法など、具体的なポイントについて解説していますので、ぜひチェックしてみてください。

新規事業の立ち上げを成功させる5つのポイント

ポイント1.必要なリソースの確認・把握

各工程における必要なリソースの把握は、新規事業を成功に導くための重要なポイントです。

リソースを把握するには、「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つの経営資源ごとに可視化させることが大切です。

「ヒト」は新規事業に必要になる人材、「モノ」は製品や製品づくりに利用する機器などが該当し、「カネ」は新規事業にかかる運営費や人件費、設備投資などの資金全般を指します。「情報」は、顧客データや自社が持つノウハウだけでなく、地域とのつながりなど、無形の資産にも当てはまります。情報は扱い方によって価値が増すため、重要な経営資源のひとつと考えられているのも特徴です。

事業計画や収支計画を立てる際に、これら4つの経営資源を軸としたリソースがどのくらい必要なのかを理解しておくことで、事業計画や収支計画に落とし込みやすくなるでしょう。

ポイント2.事業撤退ラインを事前に決めておく

事業撤退ラインとは、事業の継続と撤退を判断する明確な基準です。

事業撤退ラインを設ける目的は、新規事業における損失を最低限におさえ、自社全体の経営悪化を避けるためです。そのため、事業の収支状態が悪化してから撤退を判断するのではなく、必ず新規事業立ち上げ時に事業撤退ラインを決めておくことが大切です。

事業規模などにもよりますが、具体的な撤退ラインの基準としては以下のようなものがあります。

  • ◯期連続で減収減益したら撤退
  • KPI計画に対し、◯ヵ月連続で基準を下回ったらメンバー交代の判断

事業継続か撤退かの判断期間は、資金などによっても異なりますが、具体的に決めておくことが重要です。事業の撤退時期を誤ると、既存事業をはじめ自社全体の経営状態が悪化する原因になります。

また、事業撤退ラインは、立ち上げメンバーと共有し合うことも大切です。あらかじめ共有しておくことで、メンバーのモチベーションアップにつながることもあるでしょう。

ポイント3.自社の強みを活かした事業プランにする

新規事業プランは、自社の持つ技術やサービスなどのリソースを活用すると成功しやすくなります。すでに持っているノウハウや設備などを応用するため、競合優位性を持ち市場に参入することができるのもメリットです。

例えば、ECサイトの運営により集客ノウハウがある既存事業の場合、新規事業としてECサイトの集客コンサルタント事業を立ち上げるプランは、自社のリソースを活用しているといえます。さらに、同市場におけるノウハウなども活かせるため、競合優位性を持った状態で市場に参入でき、成功しやすくなるでしょう。

既存事業とほぼ関わりのない事業を展開する場合、生産や流通、販売ラインなど、多くのリソースをゼロから開拓する必要があるため、収益化までに時間がかかる可能性が高くなるでしょう。

新規事業を立ち上げる際には、自社の強みを活かした事業内容にすることで成功しやすくなるため、自社の技術やサービスについて深く理解しておくことが大切です。

ポイント4.立ち上げメンバーは必要最低限の人数にとどめる

立ち上げメンバーに必要な人数は、事業規模にもよりますが、多くとも5人以内の少数精鋭で構成することが大切です。立ち上げメンバーは、アイデアの検討や市場調査、資金調達などの新規事業の核となる部分を進めていくことになるため、コミュニケーションが行き届きやすい人数にとどめておくのがよいでしょう。

立ち上げメンバーは、今後新規事業を運営していく中でも中心的役割を担うポジションになる人物です。さらに、立ち上げまでのプロセスは、メンバー全員が多忙を極めるため、途中でやむなくメンバー交代などが発生することのないよう、慎重に人選しましょう。

さらに、プロジェクトリーダーやプロジェクトコーディネーターなど、各ポジションの役割をしっかり担える人物を選定することも大切です。

ポイント5.補助金・助成金を活用する

新規事業の立ち上げには、多くの資金が必要になります。資金調達の手段の中でも、国や地方自治体が実施している助成金や補助金は返済不要で利用できるものが多く、立ち上げ後の運営資金を圧迫しない点もメリットです。

新規事業立ち上げの際に活用されることの多い補助金や助成金には、以下のものがあります。

  • キャリアアップ助成金
  • 創業助成金
  • IT導入補助金

キャリアアップ助成金は、従業員の処遇改善やキャリアアップにかかる費用の一部を助成する制度です。キャリアアップ助成金には大きく分けて2つのコースがあるため、事業規模や人員構成に合うコースの選択ができます。

創業助成金は、創業して5年以内の中小企業を対象とした助成金です。広告費や専門家指導費、従業員の雇用費などに対して支給されるため、新規事業立ち上げの際に活用しやすい助成金のひとつです。

新規事業立ち上げの際は、クラウドサービスや業務管理システムなどのITツール導入を検討することも増えるでしょう。IT導入補助金は、ITツールなどのサービス導入にかかる費用の一部を補助する制度です。おもに中小企業を対象とした補助金ですが、資格要件や補助金額などが年度によって変動することがあるため、事前にチェックしておきましょう。

助成金や補助金は種類が多く、立ち上げる業種などによっては活用できないものもあるので、事前にしっかりと調べておくことが必要です。

新規事業の立ち上げに活用したいフレームワーク

新規事業の立ち上げの際は、多くの課題解決や情報の整理が必要になります。さらに、分析や検討結果をもとに、スピード感ある意思決定が必要になることも多くなるでしょう。

フレームワークは、必要な情報を効率的に整理し、問題解決に向けての情報整理に活用しやすいツールです。活用することで思考の抜け・漏れを防ぎ、速やかな意思決定につなげられるメリットもあります。

フレームワークには、さまざまな種類があるため、新規事業立ち上げのプロセスに合ったものを活用することが大切です。例えば、アイデアを生み出すタイミングで利用することが多いブレインストーミングもフレームワークのひとつです。ブレインストーミングは、複数人で集まり、可能な限りアイデアを出し合う方法です。自分からは生まれない発想に出会えるうえ、アイデアを数多く生み出せるメリットがあります。

アイデアの整理だけでなく、市場の分析などといったマーケット調査に活用しやすいフレームワークもあります。

以下の記事では、新規事業立ち上げのプロセスに合うフレームワークやフレームワークを有効に活用するポイントについて解説しています。どんなフレームワークを活用するべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

まとめ:新規事業は適切なプロセスと成功ポイントをおさえることで成功に近づく

新規事業の立ち上げを成功に導くには、適切なプロセスに沿って事業プランを進めていく必要があります。新規事業の立ち上げにおけるタスクは膨大なため、効率的なタスク管理や情報の整理が必要です。フレームワークなどを活用しながら、適宜必要な情報を整理しつつ進めましょう。

また、新規事業を成功させるためには、必要なリソースの把握や事業撤退ラインの設定など、いくつかのポイントをおさえておく必要があります。新規事業を成功に近づけられるよう、ポイントをチェックして事業を推進しましょう。

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この記事のライター

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『PR TIMES MAGAZINE』は、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」等を運営する株式会社 PR TIMESのオウンドメディアです。日々多数のプレスリリースを目にし、広報・PR担当者と密に関わっている編集部メンバーが監修、編集、執筆を担当しています。

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